La Liga2部昇格PO第一戦 FCバルセロナ B 対 UCAMムルシアCF

バルサと言えばマシア。その頂点に位置するバルサBの試合の備忘録は必須! 

初めてBの試合が観られて非常に満足。

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スターティングイレブン

ムルシアの選手わからないです、ごめんなさい。

俺たちの4-3-3。スタメンを見ると名前を聞いたことがあるのはI.ペーニャとDFのO.ミンゲサ、MFのニコ・ゴンサレスマテウスペレイラ、アタッカーのコンラ、コジャド、レイ・マナイに安部。マテウスは幽霊部員と名高いM.フェルナンデスじゃなく、JuveのユースにいたM.ペレイラですね(FIFA 20でみた)、Transfermarkt見ると移籍金8m€?!期待値の高さが窺える。Twitterでよく噂を聞く左SBのバルデ、先発で観たかった。ミカ・マルモル君も一桁番号ということで良い選手なんだろう。

 

(攻撃)

・みんなクソうまい。やはりバルサ

・相手の1stライン2枚(4-4-2形)だが、バルサビルド時CBまで寄せてくる。ニコが2CB間に降りたり降りなかったり。一旦突破されるとセットしてライン間を狭くしてくる。

・コジャドがかなりフリーマンしてた。安倍と入れ替わってサイドに張ったりクロース張りに2CBの斜め前まで受けに降りてきたり。ただあんま言いたかないが、コジャドパスはいまいちか?ずれて渡らずカットされる場面が散見。引いてくるのは良いが、展開のパスに精度ないとありがたみ半減。メッシやパプ・ゴメスにG.モレノとこの辺りは総じて上手い。上手いからこその王様。

とはいえ、バイタルで受けた時の崩す力は流石だった。何人かのアタックをひらりひらりとスピードを落とさず躱していくつうメッシみてえなことをしていた。

また、中盤ながら役割的にはトップ下やセカンドトップに近く、前線に飛び出していく事が多く、ギャップ(ハーフレーン)で受けてドリブル突破の他、中盤の位置からどんどん前線に飛び出していた。コジャドが飛び出す時は安倍が少し位置を下げてバランスをとっていた。彼のこの辺りの気の利いた動きは普段から買われているんではなかろうか。

・インテリオール2枚が中盤というよりはトップ下タイプに見える。つまりアタッカーに良い形で入れるのはどちらかというとアンカーのニコやCBの持ち上がりによるところが大きかった。ただ、片側サイドに敵味方寄せといてのサイドチェンジとか、優れたアイデアも見られたが、ムルシア守備もマークはしっかりしていて、バルサがアイデアを見せられない時は攻撃を完結させられない場面も多かった。

後半はマテウスやコジャドがチーム戦術としてニコの隣に降りてビルドアップの安定を図っていたように見える。(前半のコジャドにも同じ動きが見られたが、あくまで個人のフリーマン的動きとしてやっていたという印象)これにより後ろで前半より余裕をもって持つことが出来ていたが、相手はDFラインが高く、また中盤ラインとの距離もコンパクト。易々とはアタッカー達に入れられなかった。後半以降マテウスがニコの脇、ボランチの位置に降りる時間が多かったが、その間は両SHは大外はSBに任せて内側へ位置を取り、パスを引き出す場面があった。

・度々CBがGKに渡すゴールキックをやっていた。

(守備)

両SBが上がるので、ネガトラで危うい場面が散見。中盤の構成がインテリオール2枚が守備がそこまで得意そうでない選手であることも気になる。

攻撃同様、後半開始以降修正があったように見える。前半は特に高い位置をとるバルサSB裏を度々抜かれていたが、相手がポジトラで速攻を仕掛けてくるということを念頭に入れてかDF陣の予防的カバーリングの感度が良くなり、ピンチを未然に防げていた場面が見られた。ムルシアがサイドを突く速攻→奪って逆にバルサが速攻狙う、という場面をよく見た。

<動向>

’23 FCB 0-1 UCAM-MCF⚽ ムルシアの選手のミドル

バルサ右サイドの攻めがカットされる→ムルシア、クリアボールを中盤へ、バックヘッドで繋いで2ライン間に位置していた2トップの一角に渡る→LSBのミカとM.ペレイラに寄せられながらもエリア手前5~10mぐらいまで運んで一閃。

バルサはカウンター対応で、ムルシア2トップの一角は右に大きく流れ、左にはLSHが最前線までランニングしてきており、CB2人はボールに寄せづらい状況だった。マテウスとミカの2枚で何とか食い止めたかったが、やられてしまったものはしょうがない。

’25 マナイ、右ポストを叩くシュート

コジャドやニコが左に流れ、左に両軍が集まっていた中右ハーフレーンで受けたミンゲサがエリア内でムルシアCBと駆け引きするマナイへ縦パス。敵を背中でブロックしつつ左回りでターンして一閃。敵CBに仕事をさせない駆け引き、背後からの縦パスに背負いながら2タッチでシュートまで持っていくボールタッチの上手さと身体の強さを感じた。

(後半)

’45 ⚽FCB 1-1 UCAM-MCF(PK、得点者:レイ・マナイ)

コンラが左サイド、ドリブルで縦に仕掛け相手DFに追い付かれる前に左足でグラウンダーのクロス、マナイの足元に入る。マナイは左斜め後ろから上がってきたマテウスに落とす→ボレーで撃とうとした彼の脚をムルシアDFが斜め後方から削り、PK献上。

コンラの仕掛けは素晴らしかった、相手は防ぐためとはいえまずい対応だった。

’64 ⚽FCB 2-1 UCAM-MCF マナイ、カウンターを一人で持ち込んで得点。

ムルシアがサイド攻撃に詰まり、ボランチかSB?に右大外から同ハーフレーンに斜めに下げたミスパスをカットしたマナイ、ハーフライン手前からペナルティアークまで一人でスピードを落とさず運び、右足一閃。

シュートのタイミングを逃さず振ったのが素晴らしかった。相手CBを直角の鋭い切り返しで躱し、すぐ撃った。キレがあり、スライディングでブロックにいくも間に合わず。右アウトサイドを使い、ダイナミックな、タッチの大きい切り返しだった、かっこいい。身体が分厚く、当たりに強い。

'78 安倍OUT、Gerard Fernandez IN

アタッカー、右WG同士の交代。ペケという愛称があるようで、背中のネームもその表記。バルセロナ県産の選手のようだ。前所属はコルネジャ。暖かい拍手を送られていた安倍、サポには認められているよう。

’81 FCB 2-2 UCAM-MCF⚽ CKからの得点

右からのCKはストーンのコンラを超えてニアへ、ムルシアの選手はゴールを狙わずそらす、ライナー性のそらしをDFとGKの間に許す。ファーポストゴール直前の位置に身体を投げ出したムルシア選手が得点。

見事なそらしだったが、できれば前に入られず先に触って欲しかった。フリーになってた。

’87 マナイのダイレクト、GKがセーブ

PA左で受けたコンラが、ダイアゴナルなドリブルでエリア内ポケットに侵入、エラシコから左足でマイナスのグラウンダークロス→マナイに合うもGK正面

この試合コンラは数々のチャンスを作った。マナイはコース甘かったが、左足でよく枠に飛ばしたと思う。コンラのキレとただ縦に仕掛けるのでなく、斜めに仕掛け、決定機に結び付けた仕事ぶりは称賛に値。一分後の88分に似たようなドリブルを成功させ、マーカーを背負ったマナイがスルーしてればコジャドかその背後にいた選手がダイレでぶち込んでたかも、というチャンスを作った。ここではDF2枚の間をぶち抜き、文字通り異彩を放った。こんな選手を連れてくるバルサのスカウト、恐れ入る。

’90 ムルシア、2枚替え(ATは3分)

 

(延長前半)

’94 I.ペーニャ、パラドン

ムルシアの右からのCKを直接ヘッドで叩き込まれるも、超反応でセーブ

やばかった、5mないぐらいではないかな。

(延長後半)

頭 ミカOUT、バルデIN(左SB同士)

  ニコOUT、オリオル・ブスケツIN(アンカー同士)

’116 コマスOUT、R.ミンゴIN(CB同士)

コマス攣ってたかな

 

PK 

バルサ:×○○×××○○×(コンラ、コジャド、マテウス、ペケ、マナイ、オリオル、バルデ、リエラ、M.ラモス)

ムルシア:○×××○×○○○

I.ペーニャ3連続のちもう一本ストップ、よく止めました。

<雑感>

・保持率はバルサ優勢だったが、攻めっぱなしという程でもなかった。ムルシアは要所を締めていたし、べた引きでもなかった。同点になってからはムルシア引いてたけど。

・ミカが見せたロングスローは飛程、弾速ともにすごい。

・コジャドはいったん足元に止めてしまうのも気になる。トップのコウチーニョみたく、一度流れが止まってしまう。ペドリやイニエスタならすぐドリブル以外の次のプレーに繋げられる位置、マーカーから遠い位置に止めてるだろう。

・コンラのドリブル最高でした。

・PK5人で決めてくれよ...2/5はいただけない。

La Liga2部昇格PO第二戦 レアル・ソシエダ B(サンセ)対アルヘシラスCF

第一戦に引き続き、エストゥレマドゥーラUDの本拠地、Francisco de la Heraでの一戦。客席8割強は埋まってるイメージ、10:1ぐらいでアルヘシラスサポが多い気がする。アルヘシラスはカディス県のクラブのよう。ムニシピオ(アルヘシラス)のその位置やジブラルタルと同湾を挟んでお隣。なんとも覚えやすい。まじでアンダルシア。

(余談)ユニフォームの色合い、かなりアトレティコに似てないか?襟と半パンが青い。上は赤と白の縦縞だが、アトレティコ(20-21)はどっちかというと赤基調なんに対し、アルへシラスは白基調。

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スターティングイレブン

主力の左CBパチェコをトップチーム帯同で、中盤、それもアンカーをよく務めるオラサガスティを欠く。

アルヘシラスの1トップ、ロメロ選手、小柄である。上背はラウタロより小さく、サビオラぐらいな印象。線も細い。偽9番ぽい動き、小回りが利いて周りを使うのもうまい。サイドにも積極的に流れる。

(前半)

※なぜかFoottersの映像前半45分が消されており、リアタイ時の朧気な記憶で書きます。

アルヘシラスは4-1-4-1、サンセは4-2-3-1。しかしサンセは攻撃時はドブレピボーテ

一角がアンカーの役割を担う、単純な4-2-3-1とはまた異なるビルドぶりであった。

アルヘシラスのインテリオール2枚は10番タイプでなく、攻守に動き回って、特に7番のラウル選手は前目な位置取りでセカンドトップのような役割を担っていた。

サンセはDFラインからグラウンダーで繋ぐビルドアップを心がけるも、中々前線に良い形で入れられない。アルヘシラスはしっかり人をケアしてきて、球際の強さで進軍を阻まれカウンターというやり合いが続く。

サンセのチャンスはサイドに流れたロベテに入れて、彼が前向いて仕掛けるシーンが多かった。この頃キレている彼。また、ソシエダアタッカーの中では当たりが強いアルダソロがキープして時間を作ってチームを助けていた。

一方もう一人の崩しのキーマンと期待されるべきナバーロのドリブルだが、距離感の良いアルヘシラスの対人守備にうまく抑えられていた。彼、巧いんだが爆発的な加速力がないから振り切れない。また、当たりに強くないため、しっかり寄せられた時の活躍が限定的に思える。来季サンセで2部、また、昇格時にプリメーラでプレーする際に、この辺りの課題をどう克服してくるかは注目していきたい。勿論ドリブル突破以外に色んな武器を身につけてくれれば然程重要なことではないとも思う。

アルヘシラスは、繋ぎに拘らず、早い段階で中長距離のパスをサイド深くに入れてくる。足のある選手、当たりの強い選手がいて何度もサイドを深くまで侵入される場面があった。右SBに対人守備に優れたブラスコを入れているのはこの辺の理由がありそうだし、実際彼の屈強さがCBのウルコとアランバリを助けていた。

 

(後半)

<攻撃>
アルヘシラスは4-4-1(ラウル)-1(ロメロ)で守るので、CBは余裕がある。前半も似たよーなアプローチだった(多分)。奪った後のトランジションの応酬になり、サンセも前半より細かくつなぐより速い攻撃が目立った。

 

<守備>

やはりサイドからチャンスを作るアルへシラス。右SBアルカサル、速い。中盤の競り合いでも強さとキレはアルへシラスの方が上でなかなかボールを奪えない。

 

(延長前半)

改めて繋いで攻めるソシエダ。足も動いている。

(延長後半)

一点リードしても引かないサンセ。ペチャロマンがロメロに追いすがり、後ろから倒したシーンはPKかと思った。ロメロが倒れたルーズボールをダイレクトで蹴り込んだカニジャスのシュートはほんの僅かの差でバーに嫌われた。非常に危なかった。

また、スローインを相手を背負って受けたカリカブルが3人を振り切ってゴール前に行った場面はこの舞台では規格外のものを感じた。一瞬のスピードと器用なターン、身体の強さとアクションのタイミングの良さ。勿論75分に入り、比較的コンディションがフレッシュだったというハンデはあった。

 

〇試合動向〇

’50 RSO 0-1 ALG⚽(左SBエスペホのクロス、ファー寄りの左SBエスクルディアオウンゴール。)

引いて受けに来たCFロメロ、フリーで受けてターンし、右サイドに展開。右サイドの突破を左SBエスクルディアが止めるも、奪った後のパスを1列前の左SHナバーロへ、敵が寄せに来ているにも関わらずデカいトラップをかまし、かっさらわれて右インテリオールのラウルから被アーリークロス。中には両WGのアルメナラリナレス+CFロメロの3枚。クロスは流れて左SBエスペホ、ダイレクトで中へ。アランバリタッチラインに跳ね返すも、これをまたもエスペホがダイレクトでクロス→上3枚を超え、ファーで周りに敵のいないエスクルディアへ、対応を誤り頭でゴールへ流し込んでしまう。

まずはナバーロの不用意なロストはいただけないし、エスクルディアはそんなに難しい場面じゃなかったはず。これが相手の決勝点にならなくて良かった。

’55 アルカインOUT、A.ソラIN。(右SH同士)

  エスクルディアOUTヒメネスIN。(左SB同士)

エスクルディア…(´;ω;`)

A.ソラはよりエネルギッシュなタイプのサイドアタッカー。いい流れをもたらしてくれ。

’62 ⚽RSO 1-1 ALG アルダソロ、ペナ右奥隅まで抉ってのクロス。CBとGKの間に入れる低くて速いクロス、左CBのフィゲラスが対応を誤りオウン。

相手のミスとは言え、果敢な仕掛けが機会を生んだ。失点後アルへシラスの時間が続いていたので、くっそナイス。リアタイ時凄く興奮しました。

’65 トゥリエンテスOUTガリードIN

ガリードはトップ下の位置へ、アルダソロが一列下がってトゥリエンテスがいた右CHの位置へ。アルダソロ、球際強いb。

'72 アルダソロが攣る。両脚伸ばしてたが、おさえてたのは右。

'75 アルダソロOUT、U.ベイガIN。(CH同士の交代)

        ナバーロOUTカリカブルIN。(カリカブルがCFに、ロべテが左SHに)

ベイガはUDラス・パルマス移籍が決まったため、この試合がラストマッチに。恵まれた体格を生かし、主に潰しとキープでチームに貢献していた。ペチャロマンが右に、ベイガは左に入っていた。

カリカブルさん登場。出場後1分ぐらいでファーストシュートを遠目から放っていた。こちらも立派な体格。

’77 ’79 右SBアルカサル 攣る。79分の2度目は左足を伸ばされていたのがアップで抜かれた。倒れこみつつ動けよ!て感じの激しいアクション。なぜかは知らんがアランバリが伸ばしてあげていた。死闘の様相。

’80 アルカサルOUT、ルイスIN

ルイス氏はCFに入り、ロメロは右インテリオール、ラウルが右WG、アルメナラが右SBに。右SBの10番、清水東内田篤人のようですな。

’85 アジェサ、ビッグセーブ

アランバリがマークを離しており、スルーパスに抜け出したルイスとの1vs1を制したアジェサ。両の拳を握りしめて吠えとった、熱い。ただ、この展開は上がっていた相手右SBアルメナラの裏のスペースを突いたロべテの進軍からクロス、カリカブルのトラップが流れたところをカットされたことに始まった。カリカブルはターンしながらのコントロールを試みたが、このトラップが決まっていればGKと1vs1だった。カリカブルはこれでシュート4、5本目ぐらい?まだ出場10分くらい、才能の片鱗を感じる。

だいぶオープンな展開になってきた!死闘死闘。

後半終了、延長戦へ

後半終わって少しすると、コーチ陣も総出で円陣を組んで話し込んでいた。気合十分。

 

’97 イバンOUT、ペレスIN

ぺレスは中盤の底に入り、アルマンドは左インテリオールに。

’99 半裸の男、3名の警備員を振り切って乱入。死闘

’101 ロビン、攣る

アジェサからのロングボール処理時。計2分ぐらい試合止まるも何とか戻る彼。

’104 ロビンOUTカニジャスIN

11番カニジャスはアタッカーのよう、CBのロビンと交代。ぺレスが左CBに、フィゲラスは右CBに。ロメロとラウルが両インテリオールかな。

’107 ⚽RSO 2-1 ALG A.ソラのカットインに合わせて、マーカーから、ゴールに対してダイアゴナルな動きで右後ろで離れるカリカブル。ターンしながらのコントロール、左からエスペホに寄せられるも体でボールを守り、GKの右を振り抜く。延長前半終了。

’105(延長後半頭) ロべテOUT、アランサベIN。(左SH同士)

個人的には残しても良かったんではと思った。守り切るための交代なのだろうか。

 

~感想~

・この前の試合、この試合のナバーロのパフォーマンスはそこまで良くなかったのが気になった。より当たりの激しいと言われる2部でどこまでやれるかは、彼のこれからのキャリアでも注目していきたいところ。

・リードしようがされようが、戦い方を大きくは変えなかった。危ない場面もあったが、ボールにアタックし続けることで相手の攻撃を抑え、疲労を生み、さらにはポジティブトランジションで何度もチャンスを生み出した。

・跳ね返し続けたDF陣、本当にお疲れ様です。アランバリは特に、アリツのバックアッパーとして1部での出場機会増に期待したい。

・ロべテ、下半身が強い。スタミナもあって当たりにも強く、上手くて強いアタッカー、最高です。彼やカリカブルのような優秀なFWがいて、バウティスタはどうなってしまうのか。

レアル・ソシエダを応援して一年目でこんなうれしい瞬間を見れて良かった!!Footters感謝。

La Liga 第38節(20-21最終節!) オサスナ対ソシエダ

20-21シーズンも最終節。

ソシエダベティスビジャレアルと勝ち点1差状況でこの一戦を迎える。三つ巴でEL2席(5位、6位)を争う。ベティスはセルタと、ビジャレアルはR.マドリーとのカード。オサスナビジャレアル倒してたのが印象的。簡単にはいかないことが分かっちゃいたが、ベティスビジャレアルの調子からして、この試合は勝つしかないと思って観戦開始。にしても本拠地かっこええ。

オサスナと言えばパンプローナ、サンフェルミン。日はまた昇る、最高峰のスペイン旅小説ですよ。主人公の潔い性格も好き。

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スターティングイレブン


この大一番にがっちがちのべスメンがそろう安心感よ...。これで負けるならしゃあない、とすら思う。最近消えがちなオヤルサバルがいるからベストじゃないなんて、そんなこと言わない言わない(エルチェ戦、右インテリオールで出てたあの試合、消えたオヤルサバルと題打って彼だけにフォーカスした記事を半分ネタ半分本気で心配して書こうとしてたのはここだけの話)。

 

(攻撃)

最終ライン4枚が開いてボールを回す。オサスナは4-5-1ライン。基本ソシエダCBが持ってる時はアタックにこない。スビメンディが5-1の間に立つが、CBが持ち上がると間に落ちる。4(DFライン)+1(スビメンディ)で組み立てるソシエダモンレアルは気持ち高めの位置を取り、それによりオヤルサバルが中に入る。左はゲバラやオヤルサバル、右はシルバがハーフスペースで受けようとするが、オサスナの中盤ラインと間を詰めるDFラインに狭くされ、なかなかここに差し込めない。それでも何度もボールを引き出すシルバはやはり役者が違うと感じた。一方ポルトゥはサイドに開く。ある程度運ぶ自由を与えられるも、カットインするとオサスナDFのチャレンジ&カバーによる通せんぼに遭うため、あまり自らの突破の場面は作れず。ただ、引きつけてプレーの引き出しの多いシルバに入れることで攻撃に貢献した。

ビルドアップの一つの形としてボールの扱いに長けたエルストンドが中盤ラインを引きつけ、エルストンド→スビメンディ→インテリオールとワンタッチで繋ぎ、バイタル受けを成功させる場面があった。試合を通じて何度も見られる場面じゃないが、このサリーダ・デ・バロンはソシエダの大きな魅力の一つだと思っている。

ボールは回せても中は締められ、またDFラインに人数を余すオサスナに対し、最前線のイサクに中々渡せない。たまらず30分過ぎ頃から再度に流れるイサク。代わってオヤルがトップの位置を埋めていた。敵に埋もれていたオヤルがやっと目立っていた。

スビメンディがDFラインに落ちると、ゲバラがアンカーの位置を埋め、3-1-4-2的になる場面あり。オヤルサバルが左インテリオールの位置に、ポルトゥが右FWの位置に入る。ここでもオヤルのボールを受けるアクションの少なさが目立ってしまう。

オサスナのDFアクション~

1トップは基本人を担当しない。後ろの中盤ライン5枚がアタックに行った際、応援に向かう感じ。中盤ラインソシエダDFラインのある程度の前進は許すが、ソシエダSBに入るとSHがアタックにくる。圧は弱め。5人のラインとしての連動は強く、いったん誰かが前にくるとSB→CBにパスを戻しても、CBには対面のインテリオールがアタックにくる。一方でオサスナ最終ラインの4枚は、 あまり前5枚と連動して前に来ない。→5枚ラインがハイプレスにくるとバイタルを大きく空ける。しかし、一旦スビメンディが前向きでボールを受けると、ボールへのアタックを捨てて5-4の圧縮されたミドルブロックを形成。

途中からソシエダの後ろ3(CB+スビメンディ)に対し、3-2-5の形でプレスにくる場面があった。ワントップ+両WGのバルハ・トーレスの3枚。

<後半>

1トップのガジェゴ+右インテリオールのオイエルが前2枚を形成する4-4-2ブロック基調が増えた。前からの圧力が増し、ソシエダはCB保持時の余裕が減った。

 

(守備)

割と4-2-3-1っぽく守る。スビメンディがゲバラと並び、シルバはトップ下の位置。イサクと逆サイドのCBにSHのオヤル・ポルトゥがプレスにいき後ろが連動するハイプレス。ハイプレスかます時は基本ゾーンでなく人につく。

シルバが出てイサクと1stライン2枚を形成し、4-4-2で守る時間もあった。これは今季よく見た形。

オサスナの攻撃アクション~

左はSBのマヌ・サンチェスが高い位置をとる。左インテリオールのイニゴペレスはバランスをとって低めの位置をとる。右はオイエルが高い位置をとってくる。たまにSBのナチョビダルも上がってくる。

<後半>

チャンネルランが増加。このランニングを使った速攻でチャンスを何度も作った。ソシエダSBは高い位置までプレスにいくので、これにより生まれるギャップを突く形。ソシエダゲバラ、スビメンディのカバーで対応。

 

’9 イサク抜け出し→逸機(オヤルと位置を変え左にいたポルトゥへのラストパスをカットされる)

中盤ラインの手前右寄りでフリーのゲバラ、左足でオサスナDFラインの背後へ浮き球。イサクがラインブレイクで抜け出し、CBの前に出てGKと1対1。あとは小見出しのとおり。ナチョビダルのクリアミス(膝付近に当たり上に跳ねたボール)→腕にヒットしてゴールラインを割る。ハンドじゃねえのか?腕で掻き出してなければポルトゥの奪回のチャンスがあった。不服。

 

45' L.トロOUT、モンカヨラIN

アンカー同士。

54’ U.ガルシアOUTラマーリョIN

負傷交代。スライディングした太ももにイサクのスパイクが入った?交錯。ラマーリョアスレティック(お隣)ユース出身らしい。

’68 ガジェゴOUT、ブディミルIN

CF同士の交代。ブディミルはボスニア出身、元クロアチアアンダー代表らしい。全然知らんかった。昨季はマジョルカで、今季はオサスナで2季連続2桁ゴールの男。

’73 シルバOUT、C.フェルナンデスIN

故障離脱から6試合ぶりの復帰。CFDEZはイサクと横並びでなく、シルバ同様少し引いた位置に入る。

’81 CFDEZヘッド(逸機、ゴール左へ)

バイタル左で受けたスビメンディの浮き球にバイタルからオサスナ最終ライン裏に一気に抜けフリーでヘディングシュート。こういうのもできるとなると、彼が右インテリオールに入る時の期待値はオヤルの時より高くなる。

’81 オヤルサバルOUT、バレネチェアIN

  ポルトOUTヤヌザイIN

両SHの交代。気難しい顔でゆっくりピッチを後にするポルトゥと、速足でベンチ裏に消え、天上を仰いだ後何かを下に投げつけるオヤルサバル。オヤルは、パフォーマンスの出来のこともあるだろうし、EL出場権のかかった試合をスコアレスのままベンチに下がるエースの立場としての悔しさもあるだろう。

’85 OSA 0-1 RSO⚽ イサク←ヤヌザイ

 PA左角のさらに左の位置からのFK。ヤヌザイオサスナDF陣の背後を巻き、GK手前で弾むボールを蹴る。イサクが右足で合わせ先制。

’88 イサクOUT、R.ロペスIN

来季はもっとロペスの出番が観れると嬉しい。CFDEZも右インテリオールが務まるとはいえ、プレーはセカンドトップ寄りである。シルバの正当後継者は彼しかいないと思っている。

 

<感想>

・エルストンドが削られて倒れこむシーンが何度かあった。とても心配。

・キケバルハ、怖い。オサスナアタッカーの中で一番キレていたかも。

・オヤルサバルはやはり、コンストラクターではなく、インベーダーだなあと思った。けなしてばっかで悪いが、守備網の間で いい位置取っててもボールが出てこない場面があった。そこは可哀想。この試合は得意のシュートの精度を欠いた他、ワンタッチパスやトラップもクロスも流れて単純に良くなかった。

・個人的にオヤルもポルトゥも中のレーンに入るときは高い位置に張ってることが多いんだけど、この時もっとボールを引き出す動きがあってもいいかなと思う。悪く言えば中盤以降と前線が乖離した、分断サッカーになっている。例えばバレネチェアにはその動きがある。

 

今季5位でフィニッシュしたのは11節~21節、秋口から2月のイサク固め打ちまで1勝しかできなかったことを考えるとできすぎた結果に思うが、(マジで降格してしまうかと思った。)勝ち点62フィニッシュはとてもpositiveな数字と思う。

MDか何かの記事でソシエダがリーズに去ったD.ジョレンテの後釜を獲らなかったことについて、Bチームから誰か使うからOK的なコメントを残していたが、結局待っていたのは昨年ピボーテの位置で見かけたスベルディアのフル稼働。Bでエルストンドと同じ右のCBを務めるアランバリやG.D.サラテを何故呼ばないのか。。言ってること違うやん。ピケらの離脱にもアラウホやミンゲサが台頭するバルサが羨ましいなあと思っていた。個人的にはアランバリやパチェコは、既にスベルディアやサニャンより見てみたくもある。今季はル・ノルマンが鉄人してくれたので何とかなったが、彼を使いつぶさないためにも、来季以降CBの起用は注目していきたい。

DFラインのてこ入れはあるか?(K.ロドリゲスの帰還により3人になる左SBは…)W.ジョゼの去就は?次にBから昇格するのは誰か?サニャンはチームに残れる?オフシーズンもなんやかんや気になる点は多い。

 

開幕までに選手紹介の記事をUPしたいなと思っています。いつも以上にざっくばらんに、自分なりに今季見た各選手の特徴をつらつら書いていきます!

(感想)ゲルニカ -無差別爆撃とファシズムのはじまり- 著:早乙女勝元氏

今朝はトップチーム5位死守&EL出場権獲得+Bチームの2部昇格決定(実に60年ぶりとのこと)の歓喜に沸きました。

 

ところで、忌まわしきCOVID-19禍にあり、サッカー観戦の他もう一つ楽しみにしているものがあります。読書です。昔から習慣があり、虫というわけではなく、大学を出たあたりから趣味の一環として多少するようになりました。

最近まで本は読みたいけど近所の書店(地方)に魅力的な本がない+購入費が惜しいの二重苦で中々読書にありつけていませんでした。そんな中感染者増減の谷間に友人たちと大きめの図書館に行った際、「ああ、市の図書館でも行くか」という念が湧き、度々の訪問に結び付きました。今ではプライベートの楽しみの一つです。

 

読書といっても今の関心は大きく2つあって、一つは他国(最優先はスペイン)についての本、もう一つは理科関係の読みやすい本です。後者の理科関係の本のことはまた先送りにするとして、今回は前者、この記事に関しては本国で愛・情熱の国とも謳われるスペインの暗い歴史にフォーカスした一作です。それでは本題に入ります。

その前に一つだけ明示させてください。私は個人の主観による政治語り・国政を非難する人に辟易するぐらいの人間で、共和制や民主主義など各政治的イデオロギーのことは知識もなければ特に思い入れもありません。選挙に関しては毎度自宅で定期購読している朝刊記載の公約一本釣りです。

 

(本を手に取った経緯)

ピカソゲルニカのことは、幼少期から最近まで抽象画?という感しか抱いていませんでした。ゲルニカが街の名前だと知ったのはラレアルを応援し始め、背面背番号上に見える旗・イクリニャの使用色の意味を検索していたことに端を発します。以下リンクのWebサイトを拝見するに、”ゲルニカのオーク」(バスクの伝統的な議会がこの木の下で開かれたことから、伝統的な法や、民族の自治・自由といった価値を象徴する)”意味するとのこと。

イクリニャ || バスクを知る || La Pays BASQUE(ラ・ペイズ・バスク)

(2021/5/23再訪、引用)

オーク(Oak)とは樫の木の事のようで、バスク州ビスカヤ県にあるその木がバスク(Euskadi)の象徴の一つとなっていると。それではピカソの絵の意味とは?

 

(本題(やっとで恐れ入ります。))

回答は苛烈なスペイン内戦下における、悪名高い反乱軍のフランコ及びファシズム2国のドイツ・イタリアによる、1937年4月26日夕刻に下された3h弱に及ぶゲルニカ空撃被害の描写。ゲルニカは「巨大な溶鉱炉」と化したとのこと。ピカソがパリ万博に出展した「ゲルニカ」制作中に出した声明は以下のとおり。

・スペイン戦争は、人民に対する、自由に対する、反動の闘いである。

・わたしの芸術家としての全生涯は、もっぱら反動と芸術の死に反対する絶えざる闘争であった。

ゲルニカと名づけるはずの、いま制作中の壁画においても、わたしの最近のすべての作品においても、わたしははっきりとスペインの軍部に対する憎悪を表現している。軍部こそはスペインを苦しみと死の海に投げ込んでいるのだ

ピカソ」(新日本新書) 著:大島博光氏 (標記著作中で引用)

また、早乙女氏が1997年に訪れたゲルニカ町役場庁舎で開催のあったゲルニカ爆撃展に、ピカソゲルニカ作成・公開について以下の解説があったようだ。

”「パブロ・ピカソは、爆撃の実態と悲惨さとをもっとも広く世界に知らせ、歴史の真実を明らかにするために貢献した。その芸術を通して平和と自由のためにたたかい、戦争否定の回答を与えたのである。」”(標記著85pから)

短くもなんと雄弁な解説か。ピカソの意図を考慮し、その偉業を称する素晴らしい記述と思う。

 

この章で特に印象に残り、記しておきたいと感じた場面を紹介したい。

早乙女氏はゲルニカ爆撃展の閲覧後、同じ町役場庁舎の構内で3名の体験者との対談を行った。質疑応答の場にて、

ヒロシマの話が出ましたが、日本ならびに日本人には、どんな印象がありますか?」

と早乙女氏。その返答として、

「あの当時、日本はドイツ、イタリアと手を組んでいた。三国同盟を結んだことが、頭に残っているので、なんとなくやだな。申し訳ないが、すっきりとは割り切れんのだよ。ドイツ人なんか、顔も見たくないさ」”(標記著88pから)

その次ページで早乙女氏が、ゲルニカ爆撃の半年後の1937年12月1日、日本政府が共和国政府と国交を断絶し、フランコ政権を承認したこと(英仏よりも1年以上も前)に言及してくれている。

上のことは、文系選択の上日本史Bを高校で学ばされた私も聞かされていなかった。(理系選択の方、文系世界史選択の方よりは日本史を深く学ばされただろうという意)忌まわしき過去を伝えることも必要ではないのか?それをどう受け取るかは其々であっても、伝える必要がないと何を以て言えるのか?何のための歴史教育か?上っ面をなぞるだけなら誰にもできる、「教育」とするに足らないではないか。冒頭で政治語り・批判うぜえと言っときながらごめんなさい。

「なんとなく嫌」、「申し訳ないがすっきりとは割り切れない」とクッションの利いた発言をされた体験者の方、なんと器が大きいことか。日本に生を受けた者の一人として、軽くは受け止めがたい一連と思い、特筆した次第です。

ここまでゲルニカ訪問編についてでした。

 

・トレホン訪問編

1997年のスペイン取材で、早乙女氏はトレホン元米軍基地をも訪れた。同基地は地中海最大規模を誇っていたらしい。スペインには他にサラゴサやモロンなどに米軍基地があったが、それを生んだのはフランコ独裁下のスペインがアメリカと結んだ軍事協定にあり、名目上は「共同使用」基地として設立されたとのこと。フランコ死後、トレホン米軍基地について「押しつけられた」ものと感じていたスペイン国民の不満が噴出。基地撤去を求めるデモが10万人規模で何度も繰り返した。また、スペイン新政府(社会労働党政権)も国民の意に沿い、米軍基地の「大幅削減」を国民投票で可決、それをもって米国に迫ったとのこと。アメリカは冷戦構造もあり、撤去の運びに。

これに加え、1996年、スペインはイラク攻撃に向かうアメリカの、スペイン基地をステルス機の中継基地としたいとの申入れを、「わが国は主権国家であって、植民地のように扱われるいわれはない」と断固拒否したとのこと。(「El Pais」1996.9.14)

敗戦国として戦後の立て直しから米国と強い結びつきのある日本と事情が異なるとはいえ、スペインの大国アメリカへの姿勢には目を見張るものがある。

 

また、この本の後半では、イタリア国民のファシストとの闘争が踏み込んで書かれている。さらに長くなってしまうため詳しくは紹介しないが、とりわけ心に残ったことを紹介する。

●日独伊三国同盟を突如脱退(降伏)し、連合国との休戦に踏み切ったのは、単に連合国優勢に進み、被害の拡大が予想されたということでなく、上にも書いた、イタリア国ニアの内なる対ファシズム政権の闘争の末の打倒の上になされたこと。

その実休戦に踏み切ったのはムッソリーニでなく、彼の逮捕後反ムッソリーニ勢力によってである。ムッソリーニ逮捕の裏には民衆蜂起・パルチザン部隊の闘争があった。現代のイタリア国民の暮らしは、彼らが守った遺産という側面を持つはずである。早乙女氏は本著で、このレジスタンス運動を、全体主義から自分達の町や都市を守ろうという意志、人間らしく生きたいという人権意識に基づいたものと推察している。一方、反ファシズム反乱への報復の残酷さの紹介とともに、報復に遭ったものの意思を代弁する、凄惨な現場に残る碑文の紹介があった。

「ここで、われわれは殺された。戦慄すべきいけにえとして。よりよい祖国イタリアと人民の自由ではてしない平和は、われわれの犠牲のうえに生まれるだろう」(本著175p)

人並ならざる覚悟と人々の幸せな暮らしという目的に向けて命の灯を燃やした確かな跡が見て取れる。関連したもので、先に読んだヘミングウェイ著の「誰がため鐘は鳴る」では、一軍事作戦を任されたパルチザンの、生への渇望と将来的な至上命題の達成との狭間で揺れる葛藤が描かれていた。銃口を向ける相手への、「信条を異にしても同じ家庭等の守るべきもの、また人の心を持った人間である」という当然の事実からくる迷いも。彼らパルチザンはその上で行動したのである。そしてイタリア・スペインの人々がその歴史的背景を持つということを、せめて気に留める必要があると感じた。

 

何も罪の意識を持つ必要があるとか穢れた血だとかああだこうだ言う気はないが(他国から後ろ指を向けられることはあるかもしれないが)、せめて第二次大戦中にファシズム側に加担し、また自らもその一翼を担った国の人民として、無視できる類のものではないし、頭に入れても損はないと思い、無知な自分にもそう感じさせるだけの力がある名著として、紹介させていただいた。皆さんにもそーしろとか恣意的なことを言うつもりもないし、そうあって欲しいなどという考えは持ち合わせておりません。あくまで自分にとってそう感じたという事です。

著者の早乙女氏自身が東京空襲の体験者であり、全体に重厚さを伴う作品である事、スペイン訪問はこの取材で初めてということながらベラスケス、マハなどの画家、チェロ奏者のカザルスについての言及など、スペインの文化について明るい方であることも申し添えます。

 

勿論暗い話題ばかりでなく、明るい内容の記事も今後とりあげて紹介していきたいと思います。

今回も取り留めを欠く長文となり失礼いたしました。もし皆さんにおすすめのスペイン本があれば、ぜひご紹介ください!

 

La Liga2部昇格PO第一戦 レアル・ソシエダ B(サンセ)対FCアンドラ

La Liga Segunda BグループA、B各上位3チームによる総当たりを1位で突破したサンセ、昇格トーナメント(2回勝てば昇格決定)初戦の相手はFC Andorra。ピレネーの麓で割とご近所。FCアンドラと言えば、バルサのピケがオーナー務めてますね。ピケ就任時にガブリエル・ガルシア(元バルサ選手(1999-2006))が辞めさせられたみたいですが、不仲なのか何なのか。ガブリ、全然知らないなあ…容易に俄かサッカーファンが露見。

また、アンドラ公国と言えば、ホアキン・ロドリゲスが自宅を構え、ピレネー山脈を普段の練習場としているそうですね。いつぞやのTDFピレネーステージで紹介されてました。

試合会場はEstadio Francisco de la Hera, Almendralejo。エストゥレマドゥーラ州バダホス県に本拠地を置くエストゥレマドゥーラUD(Union Deportiva)のホームスタジアムみたいですね。

5/15(土)20:00キックオフ。ほんのちょっとだけ観客入ってます。

 

 

※すみません、アンドラの選手全然わかりません。交代や選手名言及なしでお送りします。

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スターティングイレブン

(守備)

相手DFラインをある程度自由にさせる守備。アンドラはCBがフリーで運び、アタッカーのレイオフ→受けた中盤が前に展開という流れで目線を動かす攻撃を展開してくる。

アンドラはボールがバイタルに入るとかなりの人数が駆けあがってくる。単純に迫力があった。細かく繋ぐというよりは、ピッチを広く使い、どんどんゴール方向に進んでくる攻撃。狭く走るソシエダの外を走ったり、3人目の効果的なフリーランニングが多く、ソシエダに脅威を与えた。また、両SHはビルドアップには加わらず3トップの両ワイドと化して高い位置に張り出し、ソシエダの両IV脇を効果的に使っていた。ソシエダWBは空いてビルドに対して最終ラインの前方で構えるので、1stプレッシャーには間に合わない。

(HT)

4-2-3-1変更後、相手のDFラインにもプレスいくようになる。特に相手GKまでプレッシャーに行く場面は前半ほぼ見られず、寧ろハーフライン付近まで楽にCBに運ばれていた。攻撃も奥までいっていなかったのもある。後半は攻め込んでハイプレスという好ましい立ち回りができていた。

(延長前)

一人減ってもスタイルを変えないアンドラ。4-3-2のような形で普通に攻めてくる。ただ流石にソシエダ最終ラインを脅かすには至らず。

(延長後)

2人欠いても相変わらずよく見るカウンター一発じゃなく、普通に攻めてくる。ハーフライン超えて、ファイナルサードには入らんぐらいの位置でGKが蹴りに来てた。点取って勝つ気満々。レギュレーションでPKないんだっけか。

 

(攻撃)

アンドラはサンセGK(ショートパス)に対しては1stライン4枚+1(アンカー番)のハイプレス。同点ゴールもグラウンダーで繋ぐゴールキックに対し、嵌め込み、引っ掛けた流れから生まれたファウルゲット→直接FK。

ロベテとナバーロは頻繁にポジションを交換していた(大外⇔中より)。

また、アンドラの1stライン、2ndラインの距離感が良く、両IVが持ち上がったり、ソシエダ中盤の間受けはほとんどシャットアウトされていた。この2ラインで奪って、そのまま彼ら+その他上がりでショートカウンター→得点というのがアンドラの狙いであると感じた。(ただ、その狙いに対してはソシエダも後ろに人数を残しているため、決定機はあまり作らせなかった。)

その反面、アタッカーが中盤で受けやすくなっていたが、アタッカーが引いて受けても押し上げが遅く、効果的な攻めにつながらない場面が散見。

(HT)

4-2-3-1変更後、後ろの4枚が開いてビルドアップ。相手は1stラインに3枚持ってくるも、前半ほど人に厳しくこなかった。→相手ファイナルサードに進入できる回数が増え、両SHを起点とした攻めを展開する。前半アンドラに攻められていたミラーのような展開だが、ソシエダはショートパス主体で攻める点で異なる。アンドラは中長レンジのパスを楔に使うことが多かった。ナバーロの交代で入ったガリードは、終始気の利いたプレーを見せていた。自分で突っ走らずトライアングルを意識して連動して攻めたり、キープして味方の上がりを待ったり守備に走ったり。

(延長前)

一人少ないアンドラはハイプレスを仕掛けられず、ソシエダ最終ラインはアンドラ2トップ脇からある程度自由に運ぶ。ただ、それでも引かないアンドラ、いける時はソシエダCBにもプレスをかけて決して引いてカウンターをしない。

後半同様、バイタルまで運べても相手DFラインに掃かれるかあと一歩繋がらない場面が多く、決定機を作れない。

(延長後)

二人少なくても引かないアンドラ。3枚でプレスに来る。流石にライン間の間延びはものすごいが、あくまでボールへのプレッシャーを選択か。

 

 

<得点&交代(ソシエダ)>

7’ ⚽RSO 1-0 FCA

アンドラエリア内でハンド→PKをナバーロが沈めて先制。

右サイドからのスローインをサイドチェンジ、左で開いて受けたロべテがカットイン、パス交換でエリア内侵入してわちゃわちゃ→PKゲット。

 

36’ RSO 1-1 FCA

ソシエダショートパスによるゴールキックからの流れにハイプレスを嵌めて繰り出したショートカウンターで得た直接FKを沈める。ペナルティーアークすぐ左後ろ。

壁は跳ばず。跳んだらワンチャン届いてたんでは?というところをボールが通過。後ろに寝させて跳んどけ!w

 

'49 G.D.サラテOUT、ブラスコIN

G.D.サラテは負傷交代かな。まあまあ痛そうにしていた。

4-2-3-1に変形。ブラスコがRSB、前4枚は1トップにカリカブル、2列目左からロべテ、ナバーロ、アルカイン。ピボーテはペチャロマンが左、オラサガスティが右かな。

 

’62 カリカブルOUT、ソラIN

  アルカインOUTヒメネスIN

ソラはアルカインのいた右SHへ。ヒメネスは左SHに入り、ロベテがトップに。

ようやく暗くなってきた。ヨーロッパどうなってん??

 

’66 ナバーロOUTガリードIN

今日のナバーロのパフォーマンスは、うん…末尾でぶつけておきます。ガリードはそのままトップ下に。

 

’81 アンドラ1名(マルティ・ビラ)退場(イエロー2枚目)

 

’90 エスクルディアOUT、アルダソロIN

ヒメネスLSBに、アルダソロはLSHかな。

 

’101 アンドラ選手(パストール)一発レッド

相手選手の前向きのカットからボールを運ぶが、カットのプッシュが大きくパチェコがクリアに行く←アンドラ選手スライディングで阻止に行く。削ってレッド。

 

’112 ⚽RSO 2-1 FCA    ロベテゴール 

パチェコの手前で弾むロングボールに、マーカーの前に入ってエリア内まで抜け出す。追随するDFを中への切り替えしで躱し、グラウンダーでニア抜き。 

 

(感想)

・とりわけ、後半のブラスコ投入+4-2-3-1への変更で息を吹き返したソシエダの攻撃。両SHの突破が基本の攻め手。

・ナバーロのパフォーマンスにブーイング。基本足元にボールを落ち着けてから仕掛けたがる彼を経由することで攻撃が鈍化。得意のドリブルにもキレがなく、はがせない。守備も強度に欠け、役に立ってない。チーム得点王だか知らんが10番背負ってピッチに立つ君はちゃんとやれ。

・延長戦始まった時気づいたら暗かった。これはPais del sol。

・延長100分くらいすっげーカクカクした。ひどいときはもうカクカクすらせずジャンプした。Footters頑張ってくれ。

・延長は点の取りたいアンドラと、リスクはあまりとらず、その上で戦うソシエダの構図。アンドラのファイトスピリットと人数少なくてもサッカー成立させる強さには感嘆。 

・ロベテのゴールの他、ガリードのとソラのフルスイングぐらいしか決定機なかた

 

ともあれ勝ち残りおめでとう!!今日の夜中、めちゃくちゃ楽しみにしております。

Aupa!🔥🔥

 

La Liga 第34節 ウエスカ対ソシエダ

間が空いてしまいました。余裕がある時だけ更新していこうと思います。

ウエスカアラゴン州ウエスカ県都に本拠地を置くチーム。

 

両チームの先発メンバーは以下の通り。

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故障者:A.ムニョス、スベルディア、イジャラメンディ、メリーノ、C.フェルナンデス、サンガリ

 

毎回ソシエダの実質トップ下、右インテリオールの人選は注目しているが、オヤルサバル。個人的にはエイバル戦の右SHが良かったので、また右で観たい。悪いがこの位置で彼があまり活躍した試合を見たことがない。

 

ウエスカ守備>

1stラインはラファミルを頂点、サンドロ、フェレイロがその降りた脇の2シャドー的位置でプレスを行う。その背後にセオアネ、リコが構える3-4-2-1形。

2シャドー位置の両名は対面のソシエダ2CBに入ったらボールにアプローチ。両WBはソシエダSBをチェックし、M.リコはアンカー位置のゲバラにアプローチ。引いて受けようとするソシエダ両SH及びオヤルサバルには、HVまたはアンカーのセオアネがチェック。

ソシエダがGK含め最後尾で回す際には、CBに2トップ、スビメンディにインテリオールがついていた。

 

ウエスカ攻撃>

ウエスカは基本速攻がメインで、ソシエダSBがWBを捕まえに出ていく背後に強パスを蹴ってくる。このボールの受け手として、2トップのみならず、左右のインテリオールがWBと交代でどんどんサイドに飛び出してくる。この時、イタリアのFIGC風に言うと、アンカーのセオアネとDFライン3枚は組み立てを主に担う「コンストラクター」だけど、インテリオール2枚は「インベーダー」としてソシエダ中盤ラインより後ろのスペースを突く動きをしてくる。

オートマティズムに富み、インテリオールがハーフスペースに張り出す際は2トップが大外に流れる。

サイド攻撃が主流で、外からクロスを放る時、2トップに加えインテリオールがボックス内に入って枚数を確保していた。

ソシエダ守備>

イサクが守備の先鋒、中央を担当し、HVの選手に出るとポルトゥ、ヤヌザイがチェック。逆サイドのSHは2ndラインで待機。オヤルサバルはセオアネらボランチ位置の相手をチェック。

低めの位置にWBを留まらせて、そこにソシエダSBに付くことで空いた背後のスペースから打開される場面が何度もあった。最終ラインの距離感の遠さが一因に見える。もっとスライドしてボールサイドに詰めてもよくねえか?過疎。

マンツー気味につくから仕方ない部分もあるが、味方同士の距離感が遠くてスルーで打開される場面があった。

また、ファイナルサードまで攻め込まれるとイサクだけ残してドン引き。そのイサクでさえ、ウエスカのバイタルぐらいにいるため、ボールを奪った後彼に渡しても、彼の前には3人以上のDFが立ちはだかり速攻成立しない場面が。

ソシエダ攻撃>

(前半)

ビルド時、基本スビメンディは2CBの間に降りる。ゲバラがアンカーの位置に代わりに入り、3+1枚を確保。

前半最後はあまりにも繋がらないからか、ゲバラをアンカーの位置、その前にスビ、オヤルを並べる4-3-3の配置に変化。

ヤヌザイが左や中央に流れてボールを引き出していた。一方ポルトゥは左にこだわらずイサクとともに敵最終ライン近く、FWの位置でプレー。ショートパスで繋いでいくより、前線めがけて蹴る場面が多かった。

ビルドアップの後は、

・右大外に張るヤヌザイにいい形でボールを入れること→スルーパス が多かった。

(後半)

中盤の選手を中心に動きが増え、敵を外してボールを受けられるようになり、1タッチ、2タッチで捌き、パス回しにリズムが生まれた。前半は前線に張る選手に強いパスを蹴る場面が多かったが、後半はより短いパスで繋ぎにいく場面が多かった。

アンカーのスビメンディがDFラインに降りる場面が少なくなった。2CBがラファミルの脇から持ち上がり、敵中盤ラインを釣ってからパスを出すことで、ある程度中盤より前がプレーしやすくなっていた。

前線も自分のポジションにこだわらず、両SHはスペースを突く動きを心がけていた。バレネチェアはモンレアルが高い位置を取る分、ハーフレーンでボールを受け、攻撃を仕掛ける場面があった。

前半は出さなかったような状況でCBからアンカーに出たり、前にロングボールを蹴っていた場面で周囲の自由な選手に渡していた。

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’85のビルドアップ。ボールを出す選手が周りと連携して中盤ラインを引きつけ、ライン間にフリーで飛び出したシルバに通した場面。こういう場面が常に見たいものだけど、アルグアシル監督もカウンターからの失点のリスクとか、選手のコンディションとかいろいろ考えておられるのだろう。。

 

<交代、得点>

’57 バレネチェアIN、ヤヌザイOUT

左SHに入り、ポルトゥが右SHへ。

’64 サルドゥアIN、ゴロサベルOUT

   シルバIN、オヤルサバルOUT

’67 セルヒオ・ゴメスIN、D.フェレイロOUT

’75 モスケラIN、リコOUT

        P. ロペスIN、マフェオOUT

’80 バウティスタIN、イサクOUT

’87 サンドロのシュート性のFKからウエスカ得点。エルストンドが頭に当てるもクリアに至らず、レミロ反応できず。

90’ G.シルバIN、シオバスOUT

  ドゥンビアIN、サンドロOUT

アディショナルタイム3分)

 

<感想>

・前半にロングボール主体、後半にショートパスを交えた攻撃を展開するのは今節に限ったことではない。一番の要因はとられてショートカウンター→被弾を回避することにあると思う。エルストンドのインタビュー記事を読むと、セーフティな戦い方にも理解を示すコメントがあり、不満を持っているわけではない旨意思表示している。

・今のソシエダに接戦をモノにするだけの勝負強さは感じられないが、ディフェンスラインからボールを繋ぎ、バイタルエリアより前では2列目の選手が予測の難しい連携を見せた後半の戦いは、得点を量産していた序盤の戦いの片鱗を見ることができた。

・サルドゥアが復帰した。自分はオヤルサバルよりもゴロのパフォーマンスの低調さが気になる。シーズン序盤は、代表に呼ばれてもおかしくないんじゃないかと思うぐらい、人に強く、また力強い攻撃参加でチームを盛り上げていた。攻守のポジショニングや91分のクロスの精度とか、サルドゥアのプレーの質の高さを感じた。

・中盤より前もそうだが、CBも前半とは全然ビルドアップ時の動きが違った。後半度々見られたエルストンドの持ち上がり、前半はほとんどなかった。

・前半、攻め込まれたが、SB裏のスペースはもっとうまく守って欲しい。失点してもおかしくない場面がいくつかあった。

 

La Liga 第23節 ヘタフェ対ソシエダ

首都マドリッドの中心、Puerta del Sol から南へ12km、コリセリウムアルフォンソペレスでの一戦。ボルダラス監督はやってるサッカーは兎も角、16-17シーズンから5年目を迎える長期政権、1年目にチームを1年でプリメーラに引き上げ、2年目から3季連続1桁順位フィニッシュの成績は特筆に値。

 

両チームのスターティングイレブンは以下の通り。

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ソシエダの両SBはサルドゥアとモンレアル。シーズン序盤はゴロサベルとアイエンの序列が高いように見えたが、最近は押され気味。エルストンドの相棒は累積欠場明けのル・ノルマンでなく、前節同様スベルディアが先発。また、おそらく今季初めてイジャラをアンカーとして起用し、シルバも先発復帰。この試合シルバやイジャラの復帰により、中盤スカッドが厚くなった煽りを受けてか、U-21代表のロベルト・ロペスは招集外となってしまった。サニャンも招集外。前節は短いけど出てた。また、右SHには、前節アシストを記録したヤヌザイが入った。

 

ヘタフェはアレニャをトップ下で使う4-2-3-1でなく、ハイメ・マタの相棒にクチョ・エルナンデスを使う4-4-2。右SHはSB等も務めるニョムが入って、インテンシティをヒシヒシと感じる構成。他に技巧派といえば小兵アタッカーのポルティージョが思いつくが、彼も先発から外れる。

 

<攻防>

・ヘタフェ

(保持)

2トップだが、クチョは下がり目の位置にいることが多く、セカンドトップ的な立ち回り。マタは最前線で裏を狙う動きが多かった。

攻め手は兎に角ロングボール。SHもしくはボランチの一角を上げ、3人ぐらいで競り勝ちにいく。

59分の交代後は、DFラインからいきなり蹴らず、DFライン近くに降りるCHを経由するようになった。

70分台の交代でさらに攻撃的に。ボランチ+2CBとその他って感じ。とはいえポジトラの時は兎に角前へ蹴るのは変わらず、折角アタッカー増やしたのにひねりの無いロングボール一発のカウンターでは上がりが間に合っていない印象だった。

(非保持)

・4-4ブロックは中を優先して締めるので、外にスペースができやすい。

・数的不利の場所ではそこまでボールに厳しくいかず、その一個先の展開に人数を掛けるよう振る舞う。ソシエダはあまりインテリオールをショートパスで経由させる綺麗なビルドアップが成功する場面は多くなく、外を起点にする場面が多かった。

 

ソシエダ

(保持)

イジャラはDFラインに落ちてヘタフェの1stラインに対して数的有利を作りにいく。時々メリーノがアンカーのような位置に入り、3+1枚で作ろうとする場面があった。ビルドアップの際、一度高い位置をとったSBに入れてヘタフェ中盤ラインを食いつかせてから中を使うなどしてクリーンにボール出しを成功させる場面があった。

相手がヘタフェということで、カウンターの意識が高く、失い方が悪いと一気に危機に陥れられかねない。今節のソシエダは無理につながず、相手が来たらすぐボールをあちこち動かし、動き出したアタッカーに中長距離のパスで飛ばしで入れる、というような戦いだった。イジャラの浮き球の精度は流石に、最近のゲバラやスビにないものがある。

(非保持) 

 基本4-4-2で構える。1stラインが突破されると4-1-4-1になったり、5-4-1になったりする。深い位置でなければプレスはいくし、ソシエダの守備はあまりオフサイドトラップに頼らず、背後への動きへはマーク相手より先に触ろうという守り方で、今節はそんなに裏を取られる場面もなく、安心して見ていられた。ネガトラでも、直後のボールへのプレッシャーと前線の敵アタッカーの捕まえを行い、ピンチの芽を摘んでいた。

<得点等>

29' イサク得点

モンレアルからスベルディアにバックパス→サリーダでCB間に落ちているイジャラが、敵LFWのクチョを引きつけ、フリーのエルストンドにパス。

→エルストンドは前方斜め右に運び、大外のサルドゥアにパスを通す。この際、サルドゥアのパスの直前、ククレジャとマクシモビッチの間を通し、ヤヌザイへパスを通そうとするフェイクを入れることで、サルドゥアに余裕を提供。サルドゥアは時間を掛けず、2タッチでアーリー気味のクロスを選択。

→クロスを蹴るタイミングでも、エリア内に入っているのはファーのオヤルだけ。その右にイサクとシルバがいるも、クロスボールからゴールするには2人ともゴールから遠すぎる。

サルドゥアはペナルティエリア左角ぐらいに落ちる、カーブで大きな弧を描くクロスを選択。ボールスピードがあり、GK出られない。

→イサクが中央に詰め、ニョム(右SH)はオヤルを追わない。ヘタフェDFは全員中央寄りに詰めたため、その外でオヤルがフリーで左足ボレーで合わせる。

→オヤルのボレーシュートクロスバーの下を叩き、ゴール直近でバウンド、イサクが詰め、頭で押し込む。

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この場面までソシエダシュート0本に抑えられていた。この後この試合の決勝点となるこのシーン、簡単なゴールでなかったが、得点に関与した選手の動きはいずれも素晴らしかった。ピッチを大きく使った、ヘタフェ守備網を迂回するような得点だった。

このワンチャンスで、ヘタフェDFの頭上を越しつつ、GKも出られない、なおかつ味方が詰めることができる軌道、ボールスピードで虹を架けたサルドゥアのクロスボールが兎に角極上だった。

 

<交代等>

59’ ヘタフェ1/5、2/5枚目

マクシモビッチOUT、アレニャIN

D.スアレスOUT、久保IN

アレニャはマクシモビッチと入れ替わりでLCHに。久保は右SHに入り、ニョムが一列降りて右SBに。

72' ヘタフェ4/5枚目(2枚同時交代)

M.オリベイラOUT、ウナルIN

左SBを下げてアタッカーを投入。ウナルはヘタフェが保有元のビジャレアルに990万€程度を支払って獲得したFWの選手。187cmと長身で主にトップの位置を務める。

クチョOUTポルティージョIN

ポルティージョは中盤~前線の技巧派。

多分並びは、以下に。

ウナル、マタ

ポルティージョ、アランバーリ、アレニャ、久保

ククレジャ、カバコ、チャクラ、ニョム

 

ボランチ2枚は低めの位置で、後はみんな高い位置。

 

スタート時の両SHがそれぞれ降りてんなあ。

73’ ソシエダ1/5枚目

ヤヌザイOUTポルトIN

前節お休みだったポルトゥがこのタイミングで途中出場。RSH同士の交代。

ポルトゥはこの試合もファイター振りを発揮してくれ、パスを相手選手を迫力をもって追いかけ、文字通り圧を掛けてくれていた。 

77’ ヘタフェ4/5枚目

ハイメマタOUT、アンヘルロドリゲスIN。

78' ソシエダ3/5枚目(2枚同時交代)

オヤルサバルOUT、バレネチェアIN

イサクOUT、C.フェルナンデスIN

お疲れ交代。皆若いなあ。

LSH同士とCFW同士。

CFさんはボールタッチが柔らかく、上手いのだが、イサクと比べると格段にボールコンタクトとそこに対する本人のやる気もすごい。結構ボールへの執念を感じる。94分にスベルディアのふんわりクリアボールがエリア右方に、チャクラと競り合いになるも体を当てて競り合いに勝ち、左足で右足前に極上トラップをかまし、2タッチ目でシュートを放った。(GKソリアが右足でストップ。)

バレネは今日もよく走り、度々前線に顔を出していた。(あまりボールは来なかった。)

86’ ソシエダ5/5枚目(2枚同時交代)

シルバOUT、ル・ノルマンIN

イジャラOUTゲバラIN

こんな感じの5バックの並びになった↓

CF

バレネ、メリーノ、ゲバラポルト

モンレ、イゴール、ルノルー、アリツ、サルドゥア

92’ ボルダラス退場

ロスタイム、タッチラインを超えてもドリブルで運んだバレネにピッチに入り、足を出す

→注意に来たCFに応戦して退場

このプレーでバレネにイエロー。累積警告で次戦出場停止。

 

<所感>

・被枠内0本!!まあこちらも枠内2本くらいだけど。

・イジャラアンカーが効いているのか、相手のプレスにハマってしまうような場面が少なかった。ショートパスに固執せず、相手を往なすような戦い方でも勝てるのはそれはそれで良い。

・オヤルとイサクの連携がみるみるよくなっていく。イサクが貰い手として、オヤルが近くにいる時は特に、パスが出るタイミングをかなり集中して待っていたように思う。君もオヤルに良いパス出してくれよ。

・エルストンド惚れ惚れ。常にボールを前に動かす意識を持ったDF。フェイクからズバズバ前に出してくれる。大事な守備も安定。

・連勝いつ振りですか?w

・ククレジャの出足等のクイックネスは凄かった。インターセプトも多かったし、ルーズボールはかなり回収するし。あんないい選手なのにもうバルサの選手じゃないのが悲しい。

・シルバが中通されそうな場面でインターセプト決めた場面が印象的だった。前節の時計の針を進めるためのボール回し含め、崩しの場面以外でも活躍してくれるのは本当にありがたい。