La Liga 第23節 ヘタフェ対ソシエダ
首都マドリッドの中心、Puerta del Sol から南へ12km、コリセリウムアルフォンソペレスでの一戦。ボルダラス監督はやってるサッカーは兎も角、16-17シーズンから5年目を迎える長期政権、1年目にチームを1年でプリメーラに引き上げ、2年目から3季連続1桁順位フィニッシュの成績は特筆に値。
両チームのスターティングイレブンは以下の通り。
ソシエダの両SBはサルドゥアとモンレアル。シーズン序盤はゴロサベルとアイエンの序列が高いように見えたが、最近は押され気味。エルストンドの相棒は累積欠場明けのル・ノルマンでなく、前節同様スベルディアが先発。また、おそらく今季初めてイジャラをアンカーとして起用し、シルバも先発復帰。この試合シルバやイジャラの復帰により、中盤スカッドが厚くなった煽りを受けてか、U-21代表のロベルト・ロペスは招集外となってしまった。サニャンも招集外。前節は短いけど出てた。また、右SHには、前節アシストを記録したヤヌザイが入った。
ヘタフェはアレニャをトップ下で使う4-2-3-1でなく、ハイメ・マタの相棒にクチョ・エルナンデスを使う4-4-2。右SHはSB等も務めるニョムが入って、インテンシティをヒシヒシと感じる構成。他に技巧派といえば小兵アタッカーのポルティージョが思いつくが、彼も先発から外れる。
<攻防>
・ヘタフェ
(保持)
2トップだが、クチョは下がり目の位置にいることが多く、セカンドトップ的な立ち回り。マタは最前線で裏を狙う動きが多かった。
攻め手は兎に角ロングボール。SHもしくはボランチの一角を上げ、3人ぐらいで競り勝ちにいく。
59分の交代後は、DFラインからいきなり蹴らず、DFライン近くに降りるCHを経由するようになった。
70分台の交代でさらに攻撃的に。ボランチ+2CBとその他って感じ。とはいえポジトラの時は兎に角前へ蹴るのは変わらず、折角アタッカー増やしたのにひねりの無いロングボール一発のカウンターでは上がりが間に合っていない印象だった。
(非保持)
・4-4ブロックは中を優先して締めるので、外にスペースができやすい。
・数的不利の場所ではそこまでボールに厳しくいかず、その一個先の展開に人数を掛けるよう振る舞う。ソシエダはあまりインテリオールをショートパスで経由させる綺麗なビルドアップが成功する場面は多くなく、外を起点にする場面が多かった。
・ソシエダ
(保持)
イジャラはDFラインに落ちてヘタフェの1stラインに対して数的有利を作りにいく。時々メリーノがアンカーのような位置に入り、3+1枚で作ろうとする場面があった。ビルドアップの際、一度高い位置をとったSBに入れてヘタフェ中盤ラインを食いつかせてから中を使うなどしてクリーンにボール出しを成功させる場面があった。
相手がヘタフェということで、カウンターの意識が高く、失い方が悪いと一気に危機に陥れられかねない。今節のソシエダは無理につながず、相手が来たらすぐボールをあちこち動かし、動き出したアタッカーに中長距離のパスで飛ばしで入れる、というような戦いだった。イジャラの浮き球の精度は流石に、最近のゲバラやスビにないものがある。
(非保持)
基本4-4-2で構える。1stラインが突破されると4-1-4-1になったり、5-4-1になったりする。深い位置でなければプレスはいくし、ソシエダの守備はあまりオフサイドトラップに頼らず、背後への動きへはマーク相手より先に触ろうという守り方で、今節はそんなに裏を取られる場面もなく、安心して見ていられた。ネガトラでも、直後のボールへのプレッシャーと前線の敵アタッカーの捕まえを行い、ピンチの芽を摘んでいた。
<得点等>
29' イサク得点
モンレアルからスベルディアにバックパス→サリーダでCB間に落ちているイジャラが、敵LFWのクチョを引きつけ、フリーのエルストンドにパス。
→エルストンドは前方斜め右に運び、大外のサルドゥアにパスを通す。この際、サルドゥアのパスの直前、ククレジャとマクシモビッチの間を通し、ヤヌザイへパスを通そうとするフェイクを入れることで、サルドゥアに余裕を提供。サルドゥアは時間を掛けず、2タッチでアーリー気味のクロスを選択。
→クロスを蹴るタイミングでも、エリア内に入っているのはファーのオヤルだけ。その右にイサクとシルバがいるも、クロスボールからゴールするには2人ともゴールから遠すぎる。
サルドゥアはペナルティエリア左角ぐらいに落ちる、カーブで大きな弧を描くクロスを選択。ボールスピードがあり、GK出られない。
→イサクが中央に詰め、ニョム(右SH)はオヤルを追わない。ヘタフェDFは全員中央寄りに詰めたため、その外でオヤルがフリーで左足ボレーで合わせる。
→オヤルのボレーシュートはクロスバーの下を叩き、ゴール直近でバウンド、イサクが詰め、頭で押し込む。
この場面までソシエダシュート0本に抑えられていた。この後この試合の決勝点となるこのシーン、簡単なゴールでなかったが、得点に関与した選手の動きはいずれも素晴らしかった。ピッチを大きく使った、ヘタフェ守備網を迂回するような得点だった。
このワンチャンスで、ヘタフェDFの頭上を越しつつ、GKも出られない、なおかつ味方が詰めることができる軌道、ボールスピードで虹を架けたサルドゥアのクロスボールが兎に角極上だった。
<交代等>
59’ ヘタフェ1/5、2/5枚目
マクシモビッチOUT、アレニャIN。
D.スアレスOUT、久保IN。
アレニャはマクシモビッチと入れ替わりでLCHに。久保は右SHに入り、ニョムが一列降りて右SBに。
72' ヘタフェ4/5枚目(2枚同時交代)
M.オリベイラOUT、ウナルIN。
左SBを下げてアタッカーを投入。ウナルはヘタフェが保有元のビジャレアルに990万€程度を支払って獲得したFWの選手。187cmと長身で主にトップの位置を務める。
クチョOUT、ポルティージョIN。
ポルティージョは中盤~前線の技巧派。
多分並びは、以下に。
ウナル、マタ
ポルティージョ、アランバーリ、アレニャ、久保
ククレジャ、カバコ、チャクラ、ニョム
ボランチ2枚は低めの位置で、後はみんな高い位置。
スタート時の両SHがそれぞれ降りてんなあ。
73’ ソシエダ1/5枚目
前節お休みだったポルトゥがこのタイミングで途中出場。RSH同士の交代。
ポルトゥはこの試合もファイター振りを発揮してくれ、パスを相手選手を迫力をもって追いかけ、文字通り圧を掛けてくれていた。
77’ ヘタフェ4/5枚目
ハイメマタOUT、アンヘルロドリゲスIN。
78' ソシエダ3/5枚目(2枚同時交代)
オヤルサバルOUT、バレネチェアIN。
イサクOUT、C.フェルナンデスIN。
お疲れ交代。皆若いなあ。
LSH同士とCFW同士。
CFさんはボールタッチが柔らかく、上手いのだが、イサクと比べると格段にボールコンタクトとそこに対する本人のやる気もすごい。結構ボールへの執念を感じる。94分にスベルディアのふんわりクリアボールがエリア右方に、チャクラと競り合いになるも体を当てて競り合いに勝ち、左足で右足前に極上トラップをかまし、2タッチ目でシュートを放った。(GKソリアが右足でストップ。)
バレネは今日もよく走り、度々前線に顔を出していた。(あまりボールは来なかった。)
86’ ソシエダ5/5枚目(2枚同時交代)
シルバOUT、ル・ノルマンIN。
イジャラOUT、ゲバラIN。
こんな感じの5バックの並びになった↓
CF
モンレ、イゴール、ルノルー、アリツ、サルドゥア
92’ ボルダラス退場
ロスタイム、タッチラインを超えてもドリブルで運んだバレネにピッチに入り、足を出す
→注意に来たCFに応戦して退場
このプレーでバレネにイエロー。累積警告で次戦出場停止。
<所感>
・被枠内0本!!まあこちらも枠内2本くらいだけど。
・イジャラアンカーが効いているのか、相手のプレスにハマってしまうような場面が少なかった。ショートパスに固執せず、相手を往なすような戦い方でも勝てるのはそれはそれで良い。
・オヤルとイサクの連携がみるみるよくなっていく。イサクが貰い手として、オヤルが近くにいる時は特に、パスが出るタイミングをかなり集中して待っていたように思う。君もオヤルに良いパス出してくれよ。
・エルストンド惚れ惚れ。常にボールを前に動かす意識を持ったDF。フェイクからズバズバ前に出してくれる。大事な守備も安定。
・連勝いつ振りですか?w
・ククレジャの出足等のクイックネスは凄かった。インターセプトも多かったし、ルーズボールはかなり回収するし。あんないい選手なのにもうバルサの選手じゃないのが悲しい。
・シルバが中通されそうな場面でインターセプト決めた場面が印象的だった。前節の時計の針を進めるためのボール回し含め、崩しの場面以外でも活躍してくれるのは本当にありがたい。