LaLiga 第7節 レアル・ソシエダ対エルチェCF

怪我人を沢山抱えてホームにエルチェを迎えての一戦。今週一週間であとELのモナコ戦、リーグ戦のヘタフェ戦。まあきついですね。

アリカンテ県のクラブ、エルチェはクラブ創設以来、白地に緑の横線のユニフォームで、「緑色の帯」を意味する"franjiverde"がチームの愛称になっているらしい。個人的に緑色好きです。また、ユニ左袖のスフィダンテって?と思ったら日本企業のようですね。契約5年目を数えるらしい、凄い。"sfidante"はイタリア語で挑戦者の意とのこと。

今日のイマノル、淡いラベンダー色?のシャツで珍しい。

◆先発紹介

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ーラレアルー

10人の故障者がいる中特にトップチームのスカッドで本職デランテロの3人(イサク、C.フェルナンデス、A.ソルロス)が揃って故障離脱しており、編成が注目されたが、Bチームのロベテをデランテロに抜擢し、いつもの4-1-2-3で組んできた。また、トゥリエンテスが今季初出場。Transfermarktによると、今季は第2節のラージョ戦以外はベンチ入りしているようだが、出場するのは初。PSMはちょくちょく出ていた。どうせならゲバラも使ってメリーノを休ませたいが、イマノル監督の中でオヤルサバルとメリーノは昨季から外せない存在になっている。

前節からの変更は(GK:1/1名)ライアン→レミーロ、(DF:2/4人)右CBのアリツ→スベルディア、右SBのサルドゥア→ゴロサベル、(MF:2/3人)アンカーのゲバラ→スビメンディ、メリーノの相方のインテリオールにナバーロ→トゥリエンテス、(FW:2/3人)右WGのポルトゥ→ヤヌザイ、CFWのソルロス→ロベテと、7人を入れ替え。中には故障ゆえのポジションもあるけど、しっかりローテーションしてきてますね。

メリーノ左にしないんだなあ、U-21でもトゥリエンテスは左のインテリオール又はピボーテで出ていたので、左が得意なのかもしれない。

ーエルチェー

こちらも結構入れ替えてるし、システムも3-5-2→4-3-1-2で異なる。前節出てなかったのは、右SBのパラシオス、アンカーのマスカレル、右CHのラウル・グティ、トップ下のピアッティ、左FWのベネデットの5枚。エルチェは3-5-2と4-3-1-2を使い分けるんだろうか。ドリブラーのイメージのピアッティが、トップ下の位置でどんな仕事をするのか気になります。

主審:アドリアン・コルデロ・ベガ

◆交代

ソシエダ

’73

ヤヌザイOUTポルトIN

②アイエンOUT、C.ロメロIN

同じポジション同士の交代。ロメロはマラガユース育ちの男。今夏マラガから買取OP付ローン移籍で加入。実況によるとプリメーラデビューらしい。おめでとう!(サンセすまん)観たファーストタッチは狙いすました完ぺきなインターセプトだった。やるなあ。ポルトゥは今日もエネルギーたっぷりでカッコいい。

’82

③トゥリエンテスOUTゲバラIN

④オヤルサバルOUT、バレラIN

同位置同士の交代。バレラは良く走って、前線を活性化した。ゲバラも主に勢いあるプレッシングで貢献した。

’89

⑤メリーノOUT、エルストンドIN

メリーノかなり終盤だけど下がれて良かった。うーん、3-4-3になったかなあ。3トップはそのまま、スビとゲバラが中盤センター。ただし横並びというより縦関係のように見え、前寄りがゲバラ、後ろ寄りがスビ。3バックは右からアリツ、スベルディア、ル・ノルマン。守備時ポルトゥが中盤ラインに下がって5-3-2て感じですね。

 

ーエルチェー

’66

①R.グティOUT、G.グンバウIN

②L.ペレスOUT、G.カリージョIN

4-4-2のまま。グンバウは左CHに入り、マスカレルが右CH。カリージョは左FWに入り、ベネデットが右FW。

グンバウはジローナのカンテラで育ち、2014年から3季、バルサBに所属した大柄なテクニシャン。トップチームでも数試合出場している。今夏フリーでジローナから加入。ギド・カリージョは今夏フリーでサウサンプトンから加入した長身FW。モナコからサウサンプトンに移る際、結構高額な移籍金が発生してますね。

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’76

③べネデットOUT、ペレ・ミジャIN

④ピアッティOUT、テテ・モレンテIN

テテ・モレンテは右SHに入り、ペレミジャはベネデットがいた右FWに。

’86

フィデルOUTパストーレIN

有名人登場。フィデルと同じ左SHに入る。

プレースキック

ソシエダ

右CK:ヤヌザイ

左CK:ヤヌザイ

SFK:ヤヌザイ

いつもオヤルサバルが蹴ってるイメージだが、ヤヌザイがキッカー。前節も色々なCKを見せたが、今節はニアの選手にグラウンダーで出し、それを背後にフリックさせるという変わり玉を見せた。

ーエルチェー

右CK:ー(CK一本のみ)

左CK:フィデル

SFK:あったかなあ...

思い切りよく敵が寄せ切る前に攻め切るエルチェは結果的にCKが少なかった。1本ならピアッティの爆裂ミドルからのやつだけってことかw

◆攻撃

エルチェは陣形そのまま、4-3-1-2ブロック(’18頃から4-4-2ブロックに変形)。ソシエダは2トップとCHの間のスペースを使いにいく。というかここを使ってエルチェ守備網をおびき寄せないと始まらないというぐらいエルチェの守備はしっかりしていた。ただ、CB→SBのゆったりしたボール回しではエルチェはしっかりスライドしてこのスペースを消してくるため、サイドを変えながらこのFW-中盤ライン間のサイドの空白を使う。また、相手が1stライン2枚だからか、スビメンディがよくDFラインに落ちる。メリーノがアンカーの位置に入り、SBが上がる。4-3-1-2の時、トップ下のピアッティはあまりスビメンディへのマークという守り方ではなかった。4-4-2ブロック時、CHのマスカレルが、アンカーに密着マークではないが、常にアンカー位置のメリーノを気にしており、ボールが渡ると飛び出してアンカー番をする。瞬間的に4-3-1-2に。⇔ただ、スビメンディがDFラインに落ちない時はマスカレルはアンカー位置のスビにつかないんだよね。3バック時中盤が一人減ることが関係しているのかなあ。

エルチェの守り方で、最終ラインのところが気になった。ソシエダのアタッカーをかなり近い位置でしっかり監視し、中々パスを差し込めない。実際パスが出るとスッと寄ってきてトラップ際を絡め捕られてしまったり前をむけなかったり。ラインも高く、結構強気なディフェンスだなあという印象。味方同士の距離感も良い。

ビルドアップの時スビメンディの配給があんま良くなく見えた場面があって気になった。敵守備が強固な方に出して詰まる場面がしばしば。しかし受けたり、そこから前を向くのは相変わらず上手い。

(後半)

前半同様DF- 中盤の2ライン間が狭いエルチェ。ソシエダは中盤で、ダイレクト、2タッチで細かく繋いだり、シンプルに裏へランニングした選手を使う。長く持たないことでエルチェに寄せ切られる前に前に繋いでいく。時間を掛けるとエルチェは上手く陣形を整えて来るし、球際で負けてボールを失うことが多いので、いい選択だと思う。

セットオフェンスでは4-4-2の4-4の間のスペースを起点に攻めることが多い。ただ、同じサイドで攻めてる限りエルチェの守備網は崩せず、大きなチャンスにはならない。

◆守備

ソシエダは4-1-4-1の形で守る。エルチェはどの場面でも、ドリブルで抜け出す場面以外は基本長くは持たない。例外的にサポートの選手がポジションをとるまで待つ時、または相手をボールにわざと食いつかせる時は溜めを作ってから出す。中盤の細かいパス交換でラレアルの囲いを抜け、主にサイドに展開するパターンを得意とする。'18頃から攻めの形も4-4-2に変わる。アンカーとCH、引いてきた前線らによる、斜めの角度をつけた細かいパス交換は簡単には捕れない練度がある。’21のモヒカ抜け出し、DFーGK間のクロス→ベネデットポスト直撃のチャンスも細かいパス交換から生まれた。実際、中盤フラットの4-4-2と聞くとこんなスパスパ回すチームそんな思いつかない。基本形がどうあろうと、斜めにサポートへ入った味方につけ、ダイレクト、2タッチでボールを前へ動かしていくというスタイルが染みついているように思う。

(後半)

後半開始からかなりハイプレスを仕掛ける。敵陣深くではマンツーマン気味に守り、エルチェにロングボールを蹴らせて回収する。’53にはエルチェの自陣深くからのスローインに対してロベテ、トゥリエンテス、ヤヌザイで近場の選手へのパスコースを潰し、パスミスを誘発。ミスパスを攫ったオヤルサバルは決定機を迎えた。

前半よりサイドの守備はかなり気を遣っているように見えた。ボールホルダーに寄せる人の近くにカバーを配置。エルチェの両SBは足がある。それでもヤヌザイが一瞬でモヒカに振り切られたときは笑った。もうちょい頑張れ。

’82のゲバラ、バレラの投入で前線のプレッシングに勢いが出る。

~試合の流れ、得点等~

’18頃

エルチェ、4-3-1-2ブロックから中盤フラットの4-4-2へ。ピアッティが左SHに入り、後は順に左へ一個ずつずれる。フィデルが右SH。

’21 ベネデット、ポスト直撃(アシスト未遂:モヒカ)

CBを経由したフィデル、モヒカ、R.グティ、L.ペレスで左サイドで菱形を形成。底のフィデル→右のグティ→L.ペレス→フィデルといずれもダイレクトで繋ぎ、フィデルはこの隙に大外を駆け上がるモヒカに浮き球スルー。モヒカはダイレクトでCBーGK間にグラウンダーの速いクロスを入れ、ル・ノルマンの背後で合わせたベネデットのダイレクトシュートはポストを叩く。

’30 L.ペレス、ショートカウンターからGKレミーロと1対1、シュートは僅かにファーポストの外(決定機)

メリーノ先生のトラップミスから。アイエン→スビメンディ→メリーノと敵4-4ブロックの背後で回すソシエダ。メリーノはスビメンディからのボールをセンターサークル付近で受けるも、トラップがマイナス方向に流れ、近くにいたL.ペレスに取られそうになる。メリーノは慌てて前にボールを出すもそこにはR.グティ。この瞬間グティの前方には2トップのベネデットとL.ペレス。ベネデットにグティが素早く出した瞬間、カウンターのラストパサーとフィニッシャーが即時に決まる。ぺレスはラインブレイクへと猛ダッシュ。待ち受けるはル・ノルマンとスベルディア。ベネデットは左を向きながら半身で下がるスベルディアの右を抜かんとするスルーパススベルディアは敏捷性に難を露呈し、このボールを右足に当てるも後逸。ぺレスにエリア内左寄りからのシュートを赦す。ぺレスのシュートはボール半個、いや1/4個分すら外れていないように見えた。。肝を冷やしたぜ。

このカウンターの一連を観ても、エルチェは一つ一つの判断、プレースピードが速い。まずグティのところで他の選手の上がりを待ったり、左横にいたフィデルに出そうかなあと迷ったりしてもおかしくない。ベネデットも自分で少し持ち込んでもおかしくなかったが、ここを2タッチで出している。普通は運んでないか?命拾いしたが、エルチェの美しいカウンターに脱帽でした。

前半総括

エルチェはほぼ完璧な前半では?持ち前のサイド攻撃に加えカウンターでも決定機を作り、ソシエダの攻撃に対してはエリア手前で止め切ってしまう場面も多かった。

ソシエダは効果的な攻撃を繰り出すことが出来なかった。サイドチェンジやロングボールのレイオフなど、いくつか良い展開をみせたが、その後が続かない。戻り、対応が速いエルチェに使いたいスペースを埋め切られてしまう。守備でも細かいパス交換相手に振り回されてしまう、バルサ戦でよく見る悪い一面が見られた。時には振り回されず、自分達のブロック、味方との距離、位置関係をより慮って欲しいところ。どれだけ回されても、相手の使いたいスペースを潰せていれば済む場面もある。

後半盛り返せるか、攻撃は良くなるのか、ずるずるこのまま良い所なく終わってしまうのか、真価が問われますね。

後半立ち上がり

ソシエダは後半開始からマンツーマン気味のかなりのハイプレスを敢行。エルチェはネガトラからオヤルサバル、ロベテに次々惜しいシュートを撃たれるなど前半までのリズムを失う。60分を過ぎ、だいぶ落ち着いてくる。エネルギーは使ったけど、ラレアルは良い後半の入りをしました!

’80 ⚽RSO 1-0 ELC オヤルサバル⑤(アシスト:スベルディア

スビメンディの落ちる動きに、ペレミジャがついていく。スビメンディはこの隙をついてセンターラインまで持ち上がり、前線に優しいロブパス。アンディアは単純なクリアミス?後逸し、拾ったオヤルサバルがシンプルなボディフェイントでGKを躱し、得点。これで7戦5得点、イサク、ソルロスの離脱という苦境にあっても頼れる10番。

リプレイを観るとアンディアはやっぱGKにヘッドで戻そうとしていたように見えた。オヤル近いから結構強気な選択だなあ。ボールスピードの無さからクリアが飛ばないと考えたんだろうか。

後半総括

後半アグレッシブにプレスを行い、良い入りをしたソシエダ。60分を過ぎると展開が落ち着くが、前半より落ち着いて回せており、致命的なカウンターを喰らう場面はなかった。また、守備も後ろの形を安定させることで、バイタルまでは迫られてもそこから前に進ませなかった。ピアッティやベネデットには良いミドルをもらったが。

オヤルサバルのゴールは、後半我慢強く戦ったチームに巡ってきた幸運だった。ものにしたオヤルサバルは流石。オヤルサバルやメリーノを下げられたという意味でも値千金。

 

◆感想

・ピアッティ、まったく錆びついてなくて嬉しくなった!フェイントのキレ、シュートのパンチ力に守備貢献。トップ下にいた時より4-4-2の右SHをやってた時の方がやり慣れてる感じはした。72分の場面はレミーロがギリギリセーブしたが、入ってもおかしくなかった。

・モヒカの加速、攻守ともについていける奴はいなかった。爆発的。

・オヤルサバルが交代後、立ち上がって味方に声を送っていたのがカメラに抜かれていた。カピタンだなあ。

・トゥリエンテス流石でした。シンプルな捌きが素晴らしいし、良い前線へのランニングも見せた。エルチェが2ライン間締めてたからあれだけど、もっとボールに絡んでも良いかなとは思った。

・ロべテがいるからオヤルサバルやポルトゥが得意のポジションでやれる。感謝してます。もう少し当たり負けしないようになったら、もっと面白いと思う。ただポストワークを頑張ろうとしてくれているのはとてもありがたいが、ランニングやドリブルなど、特異な部分も積極的に仕掛けていって欲しい。

・エルチェいいチームだった。皆足元上手い、ワンタッチツータッチで淀みなくバシバシ繋ぐ。守備の連動はリーガでも上位なんじゃない?て思うぐらい良かった。形を一度作られると崩すのが困難、圧すら感じた。中盤のラウル・グティが、足元が上手くて目立つというわけではないけど、攻守の位置取りが良くて、チャンスにも絡んでいるのが印象的だった。

 

前半のチャンスを決めきられてたら全然違っていたと思うが、勝てて何より。後半思い切ってプレスに出た時間帯で相手の勢いを削げたのが大きかった。嫌な雰囲気を振り払えて、落ち着いて戦うことができた。エルチェは意外とハイプレスが苦手なのかもしれない。サンセの選手が、試合に出しても悪目立ちしない、良いパフォーマンスをしてくれているのは非常に大きい。特にロベテ、トップの位置でよくやっている。ロベテって自分が観る限りではWG向きの選手だと思ってたけど、昨季は中央で出た試合の方が多かったみたいですね。マルトンがローン移籍でいなかったからってのもあるんかな。

バレラもパフォーマンスが良くなかったら出せてないし、今日出たロメロもこれから出番増えてくかも。左SBアイエン以外いないので... サンセには申し訳なく思っている。第7節ウエスカ戦の敗戦で1勝3敗3分となり、20位に。遂に降格圏に落ちてしまう。

トップチームより重要なものはないとはいえ、サンセにも頑張ってもらいたい。試合観れないのが悲しいが、頑張れ!