21-22 LaLiga 第15節 RCDエスパニョール対レアル・ソシエダ(2021.11.28)

敵地にて1-2で敗戦を喫したELモナコ戦から中2日、同じ地中海沿岸のバルセロナ県に本拠地を置くエスパニョールとの一戦。8節のマドリー戦凄かったなあ

モナコ戦は敗戦に加えてD.シルバ、M.メリーノという中盤のエース格2人を揃って失う大きな痛手を負った。シルバは左脚大腿二頭筋、メリーノは右脚ヒラメ筋の負傷。

この先クリスマス休みまでコパを挟んでマドリー、PSVベティスビジャレアルという猛者揃い。山場山場。

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◇先発紹介

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エスパニョールのスタメンは私でも聞いたことある選手ばかり。昇格組とは思えない素晴らしいメンツ。4-2-3-1のトップ下の位置にはダルデル。より攻撃的に来るならばメレンドを起用する手があるのかもしれんが、K.バレもY.エレーラも無論良い選手。

ラレアルはまず右CB、前節のレッドカードで出場停止のアリツに代わり、故障から復帰のスベルディアが先発。今季開幕前から悩まされている股関節、恥骨付近の痛みにより離脱を繰り返していたが、22日に別メニューながらトレーニングに復帰。そんな状態だったので間に合わずにパチェコを起用する説も噂されていたが、間に合わせたんだね。無理はしないで欲しいし何ならパチェコ先発も観たいもんだが。

CFWはこの日はイサクではなくソルロスが先発。

この頃左サイドでも良いプレーを見せているヤヌザイが左WG、ポルトゥが右WG。これまでだったら併用時は逆にポルトゥが左サイドに回ることが多かった。

 

主審:マテウラオス

誰よりも見た目で分かる男。

 

◇交代、構築変更

エスパニョール~

'57

①#23エンバルバOUT、#21ニコ・メラメドIN

②#20K.バレOUT、#6M.モルラネスIN

ニコが左WGに入り、プアドが右WGに回る。モルラネス⇔K.バレは同じ左CH同士の交代。実況or解説が何で替えるんや?みたいなことを言っていて、私も同意見。エネルギッシュでチームを助けるプレーを継続的に果たしていた。

’77

③#22アレイシュビダルOUT、#2ミゲロンIN

④#9プアドOUT、#7ウーレイIN

右SB、右SHをそれぞれ入替え。ウーレイ投入は得点を期待してのものだったと思う。ミゲロンさんはビジャレアルからのレンタル2年目らしい、アレイシュビダルの牙城に迫れるか。

’89

⑤#11R.D.T OUT、#16L.モロンIN

攻守にかなり走り効いていたRDTが交代。お疲れさまでした。敵ながら天晴れの活躍。

 

~ラレアル~

’59

①ソルロスOUT、イサクIN

ポルトOUT、バレネチェアIN

ソルロス⇔イサクはCFW同士の交代。バレネは左に入り、ヤヌザイは得意の右に回った。

’80

ゲバラOUT、ナバーロIN

攻撃的な交代いいよいいよ!ナバーロは右IHに入り、オヤルが左IHに。

 

プレースキック

エスパニョール~

・右CK:エンバルバ

・左CK:ダルデル

・SFK:エンバルバ

ダルデルいてもエンバルバが蹴るんだね。クロス職人なのかもしれない。

 

~ラレアル~

・右CK:ヤヌザイ

・左CK:-

・SFK:ヤヌザイ

オヤルサバルがいてもこの人。FKでは直接狙ったりもした。

 

◇攻撃

攻撃時はスビがアンカー、ゲバラが左IHに入ってオヤルと並ぶ4-1-2-3形。もしくは、スビメンディがDFラインに落ち、ゲバラをアンカーの位置で使う3-1-4-2。エスパニョールは4-4-2(1-1)のような形で守り、CBには強くプレッシャーに来ない。一方4-4の間が狭く、バイタル以降の圧力は非常に強い。

エスパニョールの前2枚に対し、後ろ3枚の両HVが脇から攻め上がれる3-1-4-2の方がビルドアップは安定していたが、エスパニョールの鍛えられた4-4ブロックを崩すのには変わらず苦労していた。また、SBがWBとして高く上がる分、奪われた時にエスパニョールの攻撃力、走破力のあるSB+SHにカウンターの糸口にされていた。

ラレアルの攻撃は4-4の脇、サイドのスペースを使ってボールを出しつつ、ボールを出せたらDFラインも上げて押し込みに掛かる。機を見てサイドやDFラインから中央のIH、CFW、内側に入ってきたWGに預けようとするがここでキツく着かれて下げるの繰り返し。勿論ボールを前に進めることは凄く大事だけど、空いているところに付け込んで進む事なら誰だってできる。4+1が非常にうまく守る中央を迂回させられているという印象を受けた。サイドからの攻めではエスパニョールの陣形は中々崩れないため、3人目の動きでエスパニョールのライン間を突くとか、組立て、前進も大事だが、「敵守備網を崩す」ことをもっと意識した方が良いと思う。

エスパニョールのラレアルサイドアタッカーに対するチャレンジ&カバーは惚れ惚れする好対応だった。

 

(後半)

外回りのボール出しばかりでなく、中盤ラインの背後に顔を出すオヤルサバルに出すサリーダデバロンが増えた。外回りのビルドアップに比べエスパニョール守備陣を動かし、慌てさせた。

サイドのトライアングルを使った攻撃で前半よりポケットの攻略がうまくいっていた他、中盤3枚を中心に色々なベクトルに動き、動的にエスパニョールの守備網の密度を奪い、中央からの攻撃を可能とした。前半からやってくれ。

 

◇守備

いつもの4-4-2ブロックでなく、エスパニョールが自陣深くで持つとき、ボールサイドのSBにWGが、Wピボーテに両IHが、トップ下にはアンカーがつき、マンツーマンで嵌めにいって蹴らせる。センターライン付近まで運ばれるとマンツーマンによるハイプレスを諦め、ソルロスを前に残す4-5-1ブロック(ゾーン)に切り替え

エスパニョールは組立てをCB、ピボーテ、トップ下のダルデルら中央の選手に任せ、SBは高めの位置を取る。WGは内側に位置どったりDFラインと駆け引きしたり。

ファイナルサードまで進入するとトップ下のダルデル、Wピボーテの一角もエリアまで詰め寄るのでクロスの時も中の枚数は十分。

 

◇得点

’77 ESP 1-0 RSO ヤンヘル・エレ―ラ

オヤルサバルが中央で力なくロストしたところから。RDTがスベルディアの脇から抜け出し、エリア内まで抉って左脚を強振して速いボールをゴール前へ。これをレミロが中央に弾くと走りこんできたY.エレーラにうまくボレーでミートされる。ブロックが間に合わず、GKの前でリコが触ったことでレミーロは反応できず失点。

スベルディア、ゴロサベルがRDTを深く持ち込まれる前に抑えて欲しかった。消極的。

 

◇所感

エスパニョール~

・ディエゴロペス

この試合に限ったことではないが、錆びつかないセービングが流石。風貌もイケてる。

・アレイシュ ビダル

孤立しても困らない馬力はSBとしては破格で、エンバルバやプアドが中でプレーできた。

・S.ゴメス

あんま彼自身が困っている場面を見ていないので、ポジショニングが良かったり周りを上手く使っているのだろう。ラレアルとしてはCBとの勝負までいけてなかったってことでもある。

90分に値千金のスーパークリア―。入ったと思った。

・L.カブレラ

ビルドアップが詰まったところからも正確なロングフィードで打開。レフティーだが右でも精度の高いキックを蹴れる。

・A.ペドロサ

攻撃参加に迫力。守備の出足も良く、ポルトゥらに自由を与えなかった。ガツガツいける守備も素晴らしい。

・Y.エレーラ

色々なところで褒められているのをよく見る彼だが、正直私には良さが分かりづらい。値千金のボレーは、終始徹底して前線に上がっていたのが実った形。抑えの利いた良いシュートだった。やめてくれ。

・K.バレ

動きがよかった。守備ではいち早くポジションをとって陣形を整え、攻撃では間に顔を出して受けてすぐはたき、司令塔のダルデルと比べれば派手な役回りではないが良い仕事をしていた。

・ダルデル

相変わらずオシャレな組立てを見せていた。ファイナルサードでの働きは限定的。

・エンバルバ

あまりいい形でボールを受けられる場面がなかった。

・プアド

この試合最も危険だったアタッカー。タッチが多く独特なリズムかつ足に吸い付くドリブルはunstoppableで、32分のスローインをポケットで受けてカットインしての左脚は決まっていてもおかしくなかった。

RDTと入れ替わって中央に詰めている時間も少なくなかった。

・RDT

自陣まで下がっての守備、サイドに流れてボールを引き出すオフザボール、色々なところに流れて落ちての楔受けも見事。得点に絡んだ場面も含め、リーグ屈指の万能CFWという印象を受けた。ベンゼマみてえなもん。

反転してみごとなウーレイへのスルー、大変見事でした。

(途中出場)

・ニコ

守備頑張っていたし、攻撃も良かった。ドリブルに加え、シュートにもパンチがあった。

・モルラネス

ビジャレアルからのローン組だけあって足下が上手い。10代前半でサラゴサからビジャレアルに移籍したらしい。いくつか素晴らしいミドルパスを前線に通してチャンスを演出した。彼のことはあまり知らないが、中距離の決定的なパスを出せる選手は重宝されそうだし見ていて楽しい。

守備もしっかり寄せていた。

・ミゲロン

あまり見てない。守備の連係のところで大きな声で支示を出していた。

・ウーレイ

速くて強そう。1対1は決めたかった。

・L.モロン

出場時間が短くてあまり見てない。

 

~ラレアル~

レミー

いくつかの素晴らしいセーブといつもの素晴らしい組立てへの貢献で文句なしの活躍。個人的チームMOM。失点の場面もリコが触ってなければ止めてたかもしれん。あの活躍で敗戦は報われない。

・ゴロサベル

キープができるヤヌザイと組んだ後半に攻撃参加で目立った。

スベルディア

基本的な動きは板についてきたように思う。ボールに食いついて危険なスペースを作ってしまう時があるのは直してほしい。また、失点の場面はオフサイドを取れてれば最高だった。ルノルーと揃っていれば防げたし、鈍足な分駆け引きは入念にやって欲しい。また、抜け出された後もゴロサベルにアタックを指示してカバーに入ることであのクロスは防げたと思う。受け身な守備対応でやられた感満載。正直不満が残る。

悪いとこばかり書いてしまったが、良いインターセプトが何本かあった。前よりで早めに跳ね返せるのはありがたい。

・ルノルマン

CBの良し悪しは出足の速さ、ポジションを取る速さ危険なスペースを空けない偉さだと思うが、彼はそれが良い。また、攻撃ではスビ、ゲバラらとテンポの良い組立てを披露した。

ただ、バイタルに引いたRDTを捕まえ損ねて1対1の危機を迎えた場面は完全にやられていた。

・リコ

ビルドアップ面では意表を突くパスなどで敵を往なし、貢献した。守備ではボールに食いつき過ぎてスペースを空ける場面があった。失点時の情けないブロックは、鬼神アイエンなら何とかしてそうで鬱。ファウルチップ的にセーブできなかったレミロが怒っててたぞ。

・スビメンディ

守備を引き締めた。ゲバラがブロック守備でやや頼りなかったためありがたかった。いくつか素晴らしい縦パスを通した。

・オヤルサバル

サイドに流れて敵陣でのボール回しを安定させたが、中でもっと仕事ができると助かる。故障明けでフィジカルコンタクトの力強さが落ちてるように見えるのは仕方ないが、それならポジショニングと素早い捌きで勝負して欲しい。中を使えないと敵のブロックは崩せない。サイドで出場している時に比べ、IHで出ている時に比べ、決定的な仕事をできる頻度ががくっと減るように思う。ぶっちゃけ今節前半の出来ならナバーロを観たい。

後半は前半と打って変わってバイタルで躍動。デスマルケと味方のパスのタイミングがかみ合い、何度もバイタルで前を向き、攻撃のスイッチを入れた。前半からやってくれw

ゲバラ

38分のプアドのポスト直撃の場面では、カバーの遅れから危機を招いた。6節グラナダ戦でもカバーの遅れから傷口を塞げず失点に繋がった場面があったので、注意して取り組んでもらいたい。

ファイナルサードでは目立った働きが出来なかったのはIHとしては寂しいが、組立てにおいては輝きを放った。長所の視野の広さを生かしたプレーとして、64分に上がったビダルの裏を突く素晴らしいスルーパスを通した。

ポルト

積極的な守備からボールを引っ掛け、またポジトラでは有効なランニングで好機を敵の脅威となった。ただ、オンザボールの仕掛け、ファイナルサードでのパスが正直すぎる嫌いがあり、相手にしっかり対応される場面が多かった。パスを出すにしてもまず自分で対面と駆け引きしてから出すことで相手の守備に隙を作れると思う。

ヤヌザイ

唯一エスパニョール守備網を引っ掻き回せていた男。大外で受け、マーカーとの駆け引きで優勢に立ち回りながら内側に切り込んで敵守備を引きつけて展開。テクニックって正義。違いを生み続けた。

・ソルロス

エリア内で受けられる場面は多くなかったが、相変わらずの強さと推進力で敵を押し下げた。周りがついてこられれば彼を起点とした速攻でフィニッシュまで持っていけそう。

(途中出場)

・イサク

味方と意図が合わない場面が目立ったが、幻のゴールの場面とか、動き自体は悪くなかった。個人的にセットプレーをヘディングで叩き込んで欲しいんだけど。。

・バレネチェア

果敢にドリブルで仕掛けるも、エスパニョールの人数を掛けた守備を相手に決定機を演出することは容易ではなかった。

・ナバーロ

右ハーフスペースを攻略にかかった。ヤヌザイとのコンビも悪くなかったし、もうちょっと早い投入でも良かったかも。オヤルとナバーロのWオフェンシブがファイヤー気味なのは分かる。

 

アウェイとはいえ悔しい敗戦。エスパニョールの皆がサボらない守備を崩し切ることができなかったし妥当な結果ではある。欲を言えば分けたかった。内容的にはアリツ、シルバ、メリーノなしでよくやっている。ヤヌザイの好調も大きいけど。ホームで良い試合をしたエスパニョールを褒めたい。

パチェコ、ナバーロをもっと見たい。特にCB、アリツ、ルノルマンに次ぐ第3の男がスベルディアってのはかなり格が落ちる。頑なに補強しないポジションでもあるが、なんなのか。次節マドリー戦、意地を見せて欲しい。