21-22 LaLiga 第19節 アラベス対レアル・ソシエダ (2022.1.2)

新年初戦はバスク州都・ビトリア=ガステイスのMendizorrotzaでのアウェーゲーム。この試合ソシエダ前節一発レッドにより出場停止のオヤルサバルに加えて、以下リンクの通り12/27実施の検査により、トップチーム10人がCOVID-19陽性反応(サンセからは7人)。どれだけの選手が出場可能か不透明な中試合当日を迎えるが、4連敗中の状況でこれ以上負けられない。チームには来季もEL出場を果たしてほしい。

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◇先発紹介

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ソシエダ

前節外されたレミーロが先発復帰。練習で良い動きを見せたのか。前半戦最後の方不安定なプレーを見せたが、なんやかんや1stGKはこの人がキープ。DFラインは右SBにアリツ。ゴロやサルドゥアは感染してしまったのか何なのか。左SBはリコ、アイエン派としては寂しいが、アラベスとの空中戦を考えたらこの人かもしれない。

中盤はアンカーにゲバラ、IHは右がシルバ、左はメリーノ。過去の試合では左右逆の時もあった。3トップは右からポルトゥ、イサク、バレネチェア。昨季は先発を外れることが多かったバレネだが、今季は期待の高さが窺える。

 

アラベス

GKがBチームの選手ですね。赤道ギニア出身の20歳。赤道ギニアはアフリカで唯一スペイン語が第一公用語の国らしい。なんと2013年夏~2017年夏ソシエダに在籍していたらしい。調べてみるもんですね、注目しよう。

右SBのアギレガビリアは地元Vitoria-Gasteiz出身らしい。25歳。U-21代表経験有。左CBで出ているF.ルジューヌ、名前しか知りませんでした。過去にビジャレアルやマンC、エイバル、ニューカッスルなどに在籍していたらしい。右SHにはI.マルティンが先発!ビジャレアルからのレンタルできているこの男の巧さはPSMで見ました。2トップの一角、ミゲル デ ラ フエンテも名前しか聞いたことがない。U-18、U-19代表経験者。バジャドリーから今季フリー移籍で加入したらしい。22歳とまだこれから。

◇交代、構築変更

ソシエダ

’5

①バレネチェアOUT、ヤヌザイIN

敵を背負って縦パスを受けてキープしようと踏ん張った際に足幅が広がりすぎ、左脚ハムストリングを負傷。

’75

ポルトゥOUT、ジュワラIN

③シルバOUT、ソルロスIN

ソルロスがイサクと並んで4-4-2にシステム変更。ジュワラは左SHに入り、ヤヌザイが右SHに回る。

’81

ゲバラOUT、スビメンディIN

スベルディアOUT、パチェコIN

ぶっちゃけアンカー同士の交代はもう少し早くても良かった。前半はとても良かったゲバラだが、守り方を変えたアラベスの1stラインに対応が遅れ、攻撃の停滞を招いた。

パチェコ、待ってました!彼が左CBに入り、ルノルマンが右に回る。彼のパス捌きが攻撃の起爆剤になることを期待したい。

 

アラベス

HT'

①I.マルティンOUT、E.メンデスIN

右SH同士の交代。今日のI.マルティンは大外に張っていたが、技巧派のこの人は大外でのサイド突破を持ち味とするタイプではないように思う。M.ガルシアを中心に繋いでいたPSMの方が生き生きしていた。今日は守備時の方が目立っていた。

’71

②ミゲルOUT、M.シラIN

攻守に貢献したミゲルがOUT。走力と球際の強さが凄かった。

◇攻撃

ミゲルの機動力を生かし、GKまで追ってくるアラベス。基本ソシエダ最終ラインへの1stプレッシャーは2トップ+ボールサイドのSHの3枚が連動して行う。この3枚の連携は強く、誰かが出て行った際のマークの受け渡し等の連動がスムーズ。またこの前3枚は、前衛守備要員であるだけでなく、ソシエダに蹴らせた後に最前線でカウンターパスの受け手として機能する。ソシエダがポゼッションを安定させ辛い要因を作った。アラベスSHはソシエダCBが持つとき、WGへの斜めのパスコースを切りつつ、SBに横パスが出ると猛然と奪いにかかる。この横パスに狙いを持っており出足が速い。

退いて受けるより寧ろボールサイドに圧縮して、高い位置から奪いにくるアラベスは逆サイドが空いている。ただ、プレスを抜けて逆サイドに素早く展開できる場面は中々なかった。

ソシエダのビルドアップはゲバラアラベスのプレス隊3枚の前に降り、両CBにワイドに開かせる。開いたCBかプレス隊3枚の背後に位置取ったメリーノを使ってボールを出す。

この試合のソシエダはシルバに意識的にボールを集めていた。シルバ自身もあまり低い位置に引いてこず、バイタルに留まることが多い。彼を崩しの場面で使うということをチームとして心がけているように映った。恩恵を受けたのはオフザボールのランニングに長けたポルトゥで、1トップ、イサクのシャドー的に振る舞うことと併せて、シルバの溜めからアラベス守備に襲い掛かった。やはりポルトゥは使われる側の選手。攻撃的中盤が敵を引き付けられると俄然輝く。

(55分以降)

アラベスは試合開始から飛ばしまくったツケもあってかGKまで寄せるハイプレスはお休み。2トップ+SHはソシエダCB+ゲバラに対し、前へのパスを出したところをプレスバックで潰しに行けるようなポジショニング。これに対して困ったのがゲバラで、前半はプレス隊を上手く引きつけてスムーズにパスを循環させたが、出しどころに困ってSBに逃げたところを潰される場面が目立った。ビルド時SBに高い位置をとらせないことが多いソシエダは、CB→SBのパスにより相手に嵌められやすい

溜めを作ってCBの前進を促したり、ロングボールで一列飛ばしてみたり前線に出したりと工夫が多い。単調に近い味方への足元へのグラウンダーばかりでは読まれてしまう。

ボール出しがスムーズにいかないことで、シルバやイサクらのアタッカー陣が前を向いてボールを触る機会が減ってしまった。

また、メリーノら中央の選手にパスを出せた時も、周りの準備、動きが緩慢でパスがテンポよく繋がらない。受けた選手はフリーな選手を探しているうちにアラベスのミドルブロックに潰されてしまうアラベスはある程度1stラインによるプレッシャーが効いているからこそ、中盤ラインがしっかり潰しに行けている。中盤で潰しに来るのであれば、レイオフを使って彼らの注意を引いたりといった工夫が欲しいが、そのようなサポートが乏しいのは残念。

右SHの17番が、ソシエダが最終ラインで持つとき、中間ポジションとかでなくメリーノへのパスコースを断っていたのが特徴的だった。こういう時にビルドが得意な左SBがいたら良いのですが…リコは今季ここまで観てきて、そういう細かい芸当は得意にしておらず大味な印象。

◇守備

シルバを前に出すいつもの4‐4‐2型守備。

アラベスは奪ったら横パスやバックパスでポゼッションを安定させるのでなく、前の選手に当ててトランジション攻撃で攻め切る狙いを持っているように見えた。両SHはポジトラ時一気にサイドを駆け上がり、最前線に詰めてクロスに持ち込む。特に突破力のある左のリオハは脅威だった。ソシエダはカウンターの初動対応でDFラインが食い止めている内に中盤、WGらが戻って対応する。

ルジューヌの直接FK、入りそうだった。

◇得点

'13 ALA 0-1 RSO⚽ ヤヌザイ②(アシスト:ポルトゥ②)

ハイプレスに出るアラベスは、ソシエダのサリーダデバロン直後はDFラインが高い。その裏をポルトゥが突いてシルバのパスに抜け出す。ポルトゥのゴール前に急いで戻ったアラベスDFの手前のスペースをマイナスの折り返しで突き、逆サイドから入ってきたヤヌザイが右足ダイレクトでゴールを射抜く。

ソシエダのグラウンダーによるスムーズなボール出し、バイタルを攻略するシルバ、ポルトゥのラインブレイクの合わせ技、ナイスゴールです。

アラベスはゴール前に戻った人数は足りていたが、ボールウォッチャーになり、マイナスの折り返しへのケア、ヤヌザイのマークが間に合わなかった。

’55 ⚽ALA 1-1 RSO ホセル❿(PK)

何でもないPA内へのハイボールでの放り込みに競ったスベルディアとミゲル。スベルディアの腕がミゲルの首元に入りPK&イエロー。何やってんだ...

ホセル2桁到達おめでとう。


◇所感

前半戦は優位に立ちリードして折り返すも、割と早い時間に追い着いたアラベスにじっくり守られると、能動的なビルドアップを展開できないソシエダはアタッカーの個の力頼りになり特に何も生み出せずアラベス1stライン裏に構えるルムに掃除され続けてホイッスルを迎えたという印象。この試合キレていたイサクも、誰かがバイタルでアラベス最終ラインの注意を引いてくれないと、流石に囲まれた状態で独力でフィニッシュに持ち込めるほど甘くはない。

サプライズはジュワラ。見た試合ではゴリゴリ突破する印象が強かったが、この試合は献身的な守備や内側のレーンでの間受けと、突破以外にもバランスの良い活躍を披露した。器用さならバレネチェアより上かもしれない。

また、パチェコは逆足の右でもボールを上手く扱ったり精度の良いパスを通せるんですね。今日みたいな最終ラインからのビルドアップが微妙な試合は勿論、守備対応でも悪い所を特に見てないのでもっと試合出して欲しいなあ。