21-22 国王杯(ベスト16→8) レアル・ソシエダ対アトレティコ・マドリード (2022.1.19)
試合前、コック姿の謎の合唱部が登場。どうやら、太鼓祭り「タンボラーダ(Tamborrada drum parade) 」というDonostiaのお祭りのためのようです。
”タンボラーダの起源は、フランスのナポレオン軍に占領されていた19世紀初めに遡る。当時、旧市街の小さな町だったサン・セバスティアンには、水汲み場が1箇所しかなく料理人を含む市民は皆そこで水を汲んで暮らしていた。その頃、町の門の開閉合図のためにナポレオン軍は毎日太鼓をたたいて町を行進。それを見たコック達が手にもっていた水くみの樽を叩いて、フランス占領軍をあざ笑って真似をしたことが起源と言われている。”(下のHPから引用、2022.1.25アクセス)
そんな起源ある?!笑
アノエタではアコーディオン奏者の遊び心ある演奏とともにhimnoの大合唱。盛り上がってます。良い雰囲気。
◇先発紹介
‐ラレアル‐
イサクの負傷離脱を除けばベストメンバーですね、頑張れソルロス。不安を挙げるとすればヤヌザイのところの守備。今季は昨季より守備してくれる印象。
サルドゥア器用とオヤルサバル右はカラスコ対策かな、守備はゴロサベルより堅実。
-アトレティコ‐
10月下旬の第10節は4-3-3できてた。レマルに引き裂かれてたなぁ。この試合は4-4-2、シメオネは色々な形を持っているし、戦術理解度の高いアトレティコの選手たちだからできるというのもあるんだろう。
いつもやられてる印象があるグリーズマンとレマルが先発にいないのは気持ち的に大きい。
◇交代、構築変更
‐ラレアル‐
’62
①シルバOUT、ラフィーニャIN
②アイエンOUT、リコIN
それぞれ右IH、左SB同士の交代。ラフィーニャ投入は2点リードの中守備強度UPの狙いもあるか。
’78
③ゲバラOUT、スビメンディIN
アンカー入替え。
’85
⑤ソルロスOUT、スベルディアIN
CBを増やして4-1-2-3→3-4-1-2的に。最前線にポルトゥとオヤルサバルを並べ、その背後にラフィーニャ。
-アトレティコ‐
’55
①#10A.コレアOUT、#19M.クーニャIN
②#6コケOUT、#9L.スアレスIN
③#12R.ロディOUT、#11T.レマルIN
クーニャとスアレスが2トップ。カラスコが右SHに移ってコケがやってた右SHにデポウル。レマルはなんと左のSB。4トップ+本職中盤の攻撃的な左SBというやる気満々な陣容。
’78
④#5デポウルOUT、#26 J.セラーノIN
J.セラーノ氏は巻き毛のロン毛。プジョルよりごわごわしておらずD.ルイスよりな感じ。
カラスコは見せ場が減っていた。
◇プレースキック
‐ラレアル‐
・右CK:ヤヌザイ
・左CK:ヤヌザイ、オヤルサバル
・SFK:ヤヌザイ
71分の右からのCK、中央ファー寄りでフリーのルノルマンに合わせた。
-アトレティコ‐
・右CK:デポウル、カラスコ
・左CK:
・SFK:カラスコ、デポウル
デポウルはサイドチェンジも巧いが、プレースキックも良いボールを入れていた。
◇攻撃
アトレティコは守備は厳密には4-4-2形ではない。次の2つを使い分ける。
・前2枚にコケとフェリックスを並べる4-4-2(ソシエダDFラインに圧を掛ける形)。コレアは右SHに引く。
・コレアが右SHに引き、前はフェリックス1枚の4-5-1。ソシエダDFラインに圧を掛けず、中盤ラインもセンターラインを超えるとこまで出てこない事が多い。
前からのプレスのスイッチを入れるのはCHのコケorデポール。彼らがフェリックスの隣に出てきて、前2枚でパスコースを切りながらソシエダCBに寄せ、サイドへ追い込む→全体でスライド、圧縮して潰しにかかる。
ソシエダは当初ゲバラをアンカーが位置の位置に構え、CB→ゲバラ→前4枚と繋いでいた。アトレティコが中盤5枚で窮屈、実際に中盤で失うことが多かった。
ゲバラがDFラインに引き、後ろ3枚によるアトレティコプレス隊の引き付け+ソルロスやWG、SBの張り出しで相手守備網の目を広げ、間で受ける。グラウンダーで繋ぐ時はゲバラがDFラインの近くでプレーする時間が長かった。
(後半)
2点をリードする展開の中、無理に後ろから繋がず、レミーロらからロングボールを前線に送り、セカンドボールを拾って攻めた。じっくり攻めるより、アトレティコ陣形をコンパクトにさせないとか、自軍の配置のバランスを崩さないことを意識していたように見えた。5-3のかなり守備的なブロックを敷いたが、最終ラインを下げ過ぎないことで奪ってから攻めに転じられた。大体攻めの起点にするのは相手3バックの脇や手前(アトレティコはWBが高い位置に上がるためサイドが空く)3トップがキープするのを見て全体を押し上げる。
◇守備
アトレティコは後ろで回す際、中盤のサリーダではなく、ヴルサリコを右HVの位置で使って後ろ3枚にすることが多い。ロディがWBとして高い位置を取れ、カラスコが中にも入れるため、フリーマンとして生きるJ.フェリックスの嫌さが増大。
ただ、後ろで回すと言ってもファイナルサードまでグラウンダーで繋いでいく事は少なく、フリーな中盤を作って対角線の1列、2列飛ばすキックで攻撃のスイッチを入れる。
一方、WピボーテはDFラインの少し前、低い位置で組み立てることが多く、ソシエダの守備時Wピボーテのゲバラ、メリーノはここには付かない。展開された先の2トップ+SHに対応するDF陣の応援要員としてあまり高い位置まではいかない。。
ソシエダはシルバを前に出し過ぎず、4-4-1-1のような形で対応。相手DFラインにプレッシャーを掛ける際はDFラインも高く設定し、バイタルを狭くした。全体を狭く保つので状況に応じてメリーノやゲバラも前に取りに行くことが出来た。
(後半)
2点をリードしてから、前からのプレスを弱め、5-3-1-1のブロックを敷いた。ソルロスとオヤルサバルorヤヌザイが前に残る。セカンドトップは最前線でなく、守備ブロックから離れすぎずグラウンダーでも受けられる位置。蹴るときはソルロスへ、繋ぐときはオヤルサバル、ヤヌザイへ。アンカーを含めた中盤とSBがよくボールへプレッシャーをかけたので、CB2枚は釣り出されず中の仕事に集中、これが大きかった。
◇得点
’32 ⚽RSO 1-0 ATM ヤヌザイ(アシスト:サルドゥア)
シルバ→GKレミーロのバックパスをスイッチに、アトレティコ2-4ラインが前がかりに圧を掛けに来る。→レミーロは大きな展開、前残り組のソルロス、オヤルが相手DFラインを引っ張っていたため空いた広いバイタルで受ける。サルドゥアがオーバーラップを掛け、中央のシルバ+メリーノと絡んで大外ゴールライン近くまで潜ってセンタリング→ヤヌザイが競り合いを制して頭で捻じ込む。
3人に囲まれながら競り勝つヤヌザイ何なんだ?w 値千金の先制点。
’46 ⚽RSO 2-0 ATM A.ソルロス
後半開始早々の大きな追加点。
ルーズボールを拾ったエルモソが斜め後ろの右CBフェリペに下げる、バックパスに反応し、オヤルサバルが左から、エルモソに付いていたソルロスが向かう。
フェリペが処理でもたつき、オヤルサバルに突っつかれてソルロス独走、オブラクとの1対1を制して追加点。 フェリペは1stタッチが足元に入りすぎ、GKオブラクに戻そうとターンしたところを刈られた。トラップ失敗した時点でセーフティーにクリアしても良かったかもしれない。
◇所感
‐ラレアル‐
・レミーロ
CBとのパス交換で、中央からの組立てに加わった。79分の1対1ワンハンドセーブは値千金。
・サルドゥア
流石の守備力。4バックの一角として動く上手さはリーガのSBの中でも上位だと思っている。タイミング良い上がりから先制点をアシスト。
・アリツ
ゲバラや中盤と連携しながらボールをスムーズに動かした。守備もほとんど良かったが、競り負けてピンチを招く場面がもあったので完封って感じではない。
・ルノルマン
いつも通り跳ね返し続けた。セットプレーで何回かチャンスがあった。いつか沈められる選手になって欲しい。
特に後半、周りの選手の懸命な守備のおかげで2CBが最終ライン中央のプロテクトに集中できた。
・アイエン
上がりで攻撃に厚みをもたらす。取りあえずのパスに逃げず運んでくれるのもGood。
・ゲバラ
アトレティコの即時奪回のプレスを往なす、角度を変えるダイレクトがえらい。更にナイスカット&ストップ多数。守備はスビメンディと思っていたが、この試合のゲバラは凄かった。周りをよく見ているこの男は危険な位置を埋めてくれる。
・メリーノ
組立てから前線でのポストプレー、強固な守備と色々ありがとうございます。フェリペに競り勝った場面は戦術兵器。
タイミング良く上がって数本シュートを放った。
・ヤヌザイ
キープ力を武器に攻撃の起点になった。先制点は見事の一言。
・オヤルサバル
PA内で躱して撃ててればというチャンスが何度かあったが、相手DFがうまく守った。この試合も良く走ってくれた。
・ソルロス
中央に構えるだけでなく、ポジトラ時など、相手SBの裏のスペースを生かして受けてくれるのがありがたかった。
(途中出場)
球離れの良い捌きで攻撃のペースを上げた。守備でも貢献、中盤~右サイドの守備を支えた。
・リコ
良いインターセプトが何本か。
・スビメンディ
主に守備を頑張った。彼らしく縦パスも入れた。
・ポルトゥ
元気。
守備固め。
-アトレティコ‐
・オブラク
失点はどちらも止めるのが難しい。
・ヴルサリコ
DFラインを引き締めた。逆サイドのロディ、レマルに対し、守備のバランスを取った。
・フェリペ
ソシエダアタッカーに身体を当てた。
・エルモソ
チームに勢いをつける球出しで違いを生んだ。
・ロディ
決定的な仕事はなかったが上がりで攻撃に厚みをもたらした。守備も水準以上。
・コケ
守備ではハイプレスのスイッチャー、攻撃では司令塔として機能。いつ見ても渋いし上手い。
・E.エレ―ラ
守備こんな上手いんだ…。前プレス要員として出ていく事の多いコケに代わって中盤のフィルター役として機能。ポジショニングの良さと球際の強さで掃除。持ち前の捌きのセンスも流石。
・デポウル
SHというよりは中盤の補佐。攻撃では高精度のロングキックが光る。
・カラスコ
あまり目立てなかった。というのもアトレティコは左からの攻撃が多かった。守備ではしっかり戻って貢献。
・J.フェリックス
(FW)
41分、アトレティコのポジトラでデポウルからのロングボールをぴたりと止め、アリツを往なしてペナルティアーク脇から左足を振り抜いたのが最大の見せ場。オフサイドだったがきわどかったし、ポスト直撃で入っていてもおかしくなかった。
FWとしてはフリーマン的に色々なとこにいて、コレアも前線に張り続けるタイプでないため、ATMは前線の基準点が無い時間帯がちらほら。
ミドルを何本か放った。
(SH)
フリーマンとしての動きを継続。大外はレマルが担当。
(途中出場)
・M.クーニャ
ソシエダ最終ラインに消され、あまり触れず。79分にロングボールを収めたスアレスのスルーパスを受け、決定機を迎えるもレミーロに阻まれる。
・スアレス
ポジショニングが良く、何度も速攻の起点に。短い時間ながら流石。
・レマル
沢山アイデアを持つ選手なので大外勿体ない気もするが、良い持ち上がりを披露。
・J.セラーノ
攻撃では捌きの上手さと運ぶドリブル。守備では球際の強さ+広範に渡るコートカバーリングで貢献。期待。
・C.マルティン
丁寧にプレーしていた。突破力は観られなかったが、スピードもある。
抽選でアトレティコを引いた時敗退を覚悟していたのでとても嬉しい。チャンスを沢山作ったわけではないが、ゲバラ+シルバの力でグラウンダーでボールを出し、時にはSBやメリーノが上がって攻撃に厚みをもたらした。相手のロングボール、縦パスに対して身体を張ったDF陣が素晴らしかった。自分が観始めてから、多分初めて4強相手に勝ったところを観た。アトレティコの調子がいまいちなのも大きいだろうが、強豪相手にも通用したことを誇りに思って欲しい。
というわけでベスト8まで残れた。次はベティス戦、今の得点力からして最少失点に抑えることは絶対条件だろう。しっかり寄せて、ボールホルダーに時間、選択肢を与えないのが理想。