21-22 LaLiga第22節 ヘタフェ対レアル・ソシエダ(2022.1.23)
前回対戦は8節のアウェーゲーム。お互い蹴り合って1-1のドローだった。上位に追いすがるためには勝ち点3が欲しい・5-3ブロックの寄せが早いヘタフェに対してどれだけアタッカーにいい形でボールを回せるか。ヘタフェはどんどん前線に蹴ってくるだろうのでネガトラ対策も必須。
セルタ戦、アトレティコ戦と良い調子だったので、良い流れのまま気持ちよく代表ウィークを迎えたい。
◇先発紹介
*ラレアル*
アンカーのスビメンディが怪我で不在。
今節の攻撃的IHはラフィーニャ。彼のおかげでシルバ不在時もオヤルサバルがWGでプレー。また、バランサー型のIHはグリディが今季リーグ戦初先発(途中出場2試合)。昨季ダイナミズムを活かしてシルバの代役も務めた男の巻き返しに期待。
右CBスベルディアか、、背中・腰辺りに不安を抱えているアリツの酷使は危険とは言え、ボール出しが心配。アンカーの時は良いのにCBだと攻撃面がヘタレてしまう男。
最近のヤヌザイは最早先発固定ですね。昨季は何方かというとポルトゥの方が優先されていた印象、内容も目に見えて充実。
*ヘタフェ*
5-3-2でまた堅いサッカーをしてくるのだろうか。セビージャから今冬ローン加入のO.ロドリゲスが2トップの左側で先発。セビージャ時代はWGかIHをやってた印象。
FWのマジョラル、CBのミトロビッチは多分初めてプレーを見る。
前者:所属元はマドリーで今季終了までのレンタル加入の24歳。マドリーでのトップ昇格からレンタル生活、LaLigaではレバンテに複数年いたらしい。
後者:セルビア生まれの31歳、身長189㎝の大型DF。RCストラスブールから移籍金約100万€で加入、LaLigaではバジャドリーに在籍経験有。
主審:ホセ ルイス マヌエラ モンテーロ
◇交代、構築変更
*ラレアル*
’61
①スベルディアOUT、アリツIN
②ソルロスOUT、イサクIN
右CBを入れ替え。ビルドアップでの貢献を期待。
’68
③ヤヌザイOUT、イサクIN
④ラフィーニャOUT、シルバIN
右WG、右IHを入れ替え。ポルトゥの前への圧とシルバの閃きで打開を図る。
’82
⑤グリディOUT、トゥリエンテスIN
左IHを交代。トゥリエンテスはお久しぶりだと思う。鉄人メリーノお休みおめでとう。
*ヘタフェ*
’76
①#25マジョラルOUT、#7J.マタIN
ベテラン投入。ヘタフェのFWと言えばこの人。
’84
②#24O.ロドリゲスOUT、#19ポベダIN
2トップのもう片方も入替え。
◇プレースキック
*ラレアル*
・右CK:オヤルサバル
・左CK:ヤヌザイ
・SFK:ヤヌザイ、オヤルサバル
ヤヌザイのCKは冴え、48分にソルロスが潰れた背後の零れからルノルマンの決定機を演出。シュートはバー直撃。
*ヘタフェ*
・右CK:O.ロドリゲス
・左CK:O.ロドリゲス
・SFK:O.ロドリゲス
流れからもセットプレーからも良いキックを見せていた。
◇攻撃
ヘタフェは5-3-2の陣形のまま守備。ソシエダのDFラインからのビルドアップに対し、前2枚はCBまで寄せにいかず、アンカーのゲバラを消す。一人はボールホルダーとの線上に立ちパスコースを断ち、もう一人はゲバラの隣ぐらいに位置。
両WBが最終ライン[5]から前のライン[3]へジャンプすることはほとんどない。中盤~前よりの守備はスライドしたCHが担当。ソシエダのビルドアップに対しては5-3-2の3+2のみで対応する。
ソシエダはヘタフェ3-2ライン間のサイドのスペースを起点にした攻めを試みるが、ボールサイドにかなり圧縮するヘタフェの守備網に掛かり、前進が捗らない。何故ボールサイドにスライドした中盤ライン3枚の逆サイドに空いた大きなスペースを使わないのか。
ゲバラがDFラインに落ちるときはグリディが底に移り、WBが高い位置を取り、両WGがハーフレーンに位置。ラフィーニャは中央に構え、3-1-1-3のような形。フィニッシュは3トップ+ラフィーニャで中央からの崩しを狙う。中央渋滞気味のごり押しです…
問題は敵ブロックの間にボールを入れた後のサポート。折角間で受けても周りに選手がいないため、ヘタフェはブロックの重心を下げて3トップをマークするだけで良い。周りにサポートの選手がいれば、間受けを起点にして更に相手の守備網の目を広げていけるだろうのに。運んで寄せられてマークされた中央に入れて奪われるの繰り返し。敵1stラインの先でボールを受けても、一人がサポートに行ってももう一人以上受けられる人がいないと攻撃が広がらない。
一方、ビルドアップは上手くいっていた。大体DFラインに落ちたゲバラ+2CBとアンカーの位置に入るグリディ、その脇に落ちてくるラフィーニャでボールを出す。ヘタフェWBが前に出てこない事もあり、ソシエダCBが開いてボールを持つと2トップを引っ張れる。ヘタフェFW1枚を引きつけたCBから、アンカー又は引いてきたラフィーニャ等にパスが通りやすい。
しかし、後ろ4枚でビルドアップするときは良くない。開いたCBと低い位置に構えるSBの距離が狭く、相手に詰められてSBのところで蹴るしかなくなる。レミーロがいるんだから、SBはもう少し高くても良い。
(後半頭)
ヘタフェが前からプレスをかけるように。前半はほぼ2トップだけでプレスを掛けていたが、時には中盤ライン3枚が連動してソシエダ中盤をマンツーマンで捕まえに来る。アランバリはアンカーのゲバラをチェック。
60分台後半に入ると、前半通りプレスの重心の低い5-3-2に戻した。上手くいってなかったわけでもないし、よくわからない。元々後半頭だけエネルギッシュにいくと決めていたのだろうか。
(70分過ぎ)
ソシエダ、ようやくSBが高い位置まで攻め込む。WG、IHと連携してチャンネル攻略や揺さぶってからのクロスを試みる。最初からやってよ!!
◇守備
ヘタフェはビルドアップ時の形も5-3-2。
ソシエダの1stプレスラインを超えると、3バック以外が攻めに上がる。逆サイドのWBも上がって、底のアランバリが下がり目。
2トップの関係性、マジョラルが最前線に張る一方、O.ロドリゲスは受けに下がることが多い。中盤で受け、得意のキックを活かす。
ソシエダはヘタフェビルドアップに対してラフィーニャをソルロスと並べる4‐4‐2形。ボールサイドのWGが、ヘタフェのHVとWBの両方を見る中間守備。
最終ラインはヘタフェがバックパスで大きく戻すとハーフライン近くまで上がり全体をコンパクトに保つ。
(後半)
ヘタフェはビルドアップを後ろ3枚に任せ、WBは高い位置。やっと彼らの攻撃参加が観られたし、ロングカウンター一辺倒が終わる。ソシエダはWGが攻め残るときがあるので、ヘタフェWBが中に切れ込んだり、フリーで運ぶシーンが目立った。
時にはジェネを右SBの位置で使い、疑似的4-3-3のようになっていて面白かった。球出しはミトロビッチの方が上手いし、ジェネは足はあるし、まあアリなのかもしれんと思ってみていた。
◇所感
*ラレアル*
・レミーロ
63分にチームを救うビッグセーブ。CKからのドンピシャヘッドのディフレクションだったが、良く合わせた。
いつも通り運びもしないし良い縦パスも入れてくれない。守備は上々。以前より釣りだされることが減った気がする。
・ルノルマン
48分にCKから決定機。シュートは枠を捕らえたが、ソリアのワンハンドセーブが素晴らしかった。スベルディア+ルノルマンは本当ビルドアップが詰まる。
・サルドゥア
堅実な守備で貢献。相手が引く展開では、もっと攻めても良いんじゃないかな。球出しではいいボールを前線に供給するが、彼自身クロスが上手いので上がって欲しい。
・リコ
あまり器用でないこの人は、サイドで受けてもモーション大きいキックでマーカーに当てる場面がちらほら。
・ゲバラ
いまいち。狭い所にボールを出すのでなく、できれば広い所に展開して欲しい。中盤がサイドを変えられると大きい。セーフティーなパスが多く、相手守備を打開するようなプレーはできなかった。
一方守備かなり頑張っていた。時にはCBの裏のカバーまで、良く走ったし抜かれず走り負けず、相手を封じた。逞しくなった。
・グリディ
今季リーグ戦初出場。
ボールを引き出したが、受けてからの展開が乏しい。今節は味方の選手間の距離も大きくて、グリディ向きではなかった。連携による崩しやダイナミズムが売りの選手。ラフィーニャに繋ぐのが主な役目だった。
グリディ+ゲバラだけではボールが出せないので、ビルドアップを補佐。崩しは3トップにマークがしっかり付いているしSBの上がりも無いので、無理やりコンビネーションを仕掛けるしかなかった。
挙句の果てには戻りの遅いヤヌザイのため、右サイドの守備を支えた。何つうか万能なせいで色々やらされて被害者
・ヤヌザイ
足元で貰おうとする場面が多く、また球離れも悪くて敵ブロックに楽をさせた。守備を頑張っていたとも言えず、特に良い所はなかった。
・オヤルサバル
パスに逃げず積極的にシュートを撃った。
・ソルロス
裏に抜ける場面があると良かったが、多勢に無勢。彼自身の調子は悪くないと思うのだが、周りとの連携が深まらないのが痛い。周りを使うのが上手くない。
(途中出場)
・アリツ
前線へいいボールを供給する場面があったがスベルディアと入れ替えて劇的に良くなったという程でもない。
てかスベルディアも良いロングフィード頼む、アンカーの時は良いキック見せるのに。
・イサク
中々ボールに絡めなかったがATに躍動。91分はGKとの1対1、GKを超えたが力ないループは戻ったDFにクリアされた。93分はペナルティアーク付近で受けて左脚一閃。バーをたたいた。
・ポルトゥ
マークを背負いながら深さをとる上手さはリーガ随一ではないでしょうか。アバウトにスペースに蹴っても、先に身体を入れてキープしてくれる。この人のサイドを抉ってのクロスが一番可能性を感じた。
・シルバ
91分のイサクへのラストパスは流石。バイタルで無類の輝き。トゥリエンテスというボールを入れてくれる良き相棒がいたのも大きい。
・トゥリエンテス
滑らかなファーストタッチで流れるように次のプレーに移る。味方を見つけるのも早くて、攻撃のスイッチを入れた。
*ヘタフェ*
・ソリア
壁。48分のルノルマンのゴール正面からのシュートを左手一本で逸らしたのはスーパーセーブ。
・ミトロビッチ
間合いの取り方が上手くて、この人に前に立たれるとゴール方向へ進めない感じ。FWのフォアチェックの往なし、球出しもかなりセンスがある。良い補強だなと思った。
・ジェネ
守備はいつも通り素晴らしかったが、ヘタフェがやや前がかりになった後半、ビルドアップのところで足元の技術の低さが目立った。特に左足のフィードはアバウト。
・クエンカ
守備では無難に対応。足元が上手いので、ATMのエルモソみたいにもっとここを起点にした攻めが観たいけど、ヘタフェはそういう構築を取らない。誰が出ても同じサッカーした方がこのチームは強い感じするのは分かるが、勿体ない。
・D.スアレス、M.オリヴェラ
(前半)
ヘタフェは後ろ5枚が引いたところから奪ってカウンターなので、WBが上がって攻撃に加わる場面は少ない。守備は堅実だった。
(後半)
オリヴェラのロングスローは中々。彼はきわどいヘディングシュートもあった。結構デカい。
・アランバリ
前半はブロック守備に奔走。後半のゲバラへのマンマークが素晴らしく、ビルドアップを妨げた。
・マクシモビッチ
ソシエダは右からの攻撃が多かったので、守備が忙しかった。彼だから問題ないが。いつ見ても良いなあ、彼。強くて周りとの連携も良くてヘタフェを体現。
・アレニャ
この人を経由する場面が多くなく、あまり目立たず。勿体ない感じもするが、守備を頑張っていた。
・O.ロドリゲス
フリーマン。最前線に張ってる時もあれば、受けに落ちてくることもある。サイドの裏に高精度のキックを入れてくるのは非常に厄介だった。
・マジョラル
あまり彼にボールが入らなかった。O.ロドリゲスも引くことが多いので基本孤立。後半中盤やWBが上がってきたときは良い連携を見せた。周りのサポートがあれば輝いていたので勿体ない。
(途中出場)
・ハイメマタ
めちゃくちゃ目立ったわけでもないが、ボールを引き出す上手さ、粘り強いボールキープは健在。渋い。
・ポベダ
あまり観てない。
死ぬほど悪くはないけど良くもなかった。3トップの動きがやや単調かな。一人が裏、一人が引く動きとかスペースを作り出す動きが欲しい。皆で中央集まっても敵もそれだけ狭く守れるわけで...
ソシエダはビルドアップの時のSBの使い方が悪いと思う。蹴らせるだけのためにCBの横に置いてる気がしてならん。これでは上がるのに時間がかかるし、攻めの人数も少なくなる。SBが上がった方がWGやIHがフリーになりやすいはず。 ホームで負けなかったのは良いけど、静的な攻めで消極的に映った。守りは良かったけど、そもそも攻めにあまり人数を掛けてなかったとも見える。残念ながら個だけで突破できるほど甘くはない。