21-22 LaLiga第28節 レアル・ソシエダ対RCDマジョルカ(2022.3.2)

久保選手のおかげでwowowでも放送!解説はJリーグ黎明期のベルマーレ等で活躍した野口幸司さん。前回対戦はロベテの劇的決勝点でアノエタが湧いた思い出の一戦です。敵地Son Moixでもあの頃の勢いを🔥

↓試合前に刺客に狙われるイサクww このマスコット"Dimonio"に関して、悪魔はそれ無しにマジョルカ島の祭りは無いってぐらいの存在らしい。Txurdinより強そう。

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◇雑感

大体ブログを2回目見返して書いてるんですが、そういう時は1回目観た時のざっくりの印象をここに書いて、何でそうなってたんだろうってのを一つポイントにしたいと思います。

塩試合に見えた。中盤~前線に良い形でパスが入らなくて攻めの足掛かりが作れず攻撃のスイッチが入らない。マジョルカ守備のどこが良かったのか、ソシエダ攻撃の何が悪かったのか、2回目観ることで少しでも分かればなあと。野口さん頼んだ!(他力)

マジョルカの攻撃は外からが多かったので、アタッカーの質が高くて怖いとはいえ中と抜かれた後をケアすれば何とかって印象でした。

 

◇先発紹介

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*Mallorca*

面子の揃い具合昇格組感ないっす。GKにはPSGから夏までのローンでセルヒオリコ。ナバスとドンナルンマいるPSGでは知らんが実力は折り紙つき。 結構色々動いてくるであろうダニロドに良い形でボールを入れさせないよう気を付けたい。自分でも仕掛けられるし周りとの連携も良いイメージ。 A.サンチェスはあまり観たことが無いのでこの試合で特徴を知りたい。マジョルカ島、地元生まれの24歳、10番背負ってるし期待大きそう。

*La Real*

3日前のOsasuna戦からGKのレミーロとDF4人、IHのシルバ、メリーノは連戦先発。アンカーと3トップは先発入替え。トップに負傷者が多くて、ベンチの12人中6人がサンセ(Bチーム)の選手、内訳は#31A.ソラ、#35J.ロベテ、#37N.ジュワラ、#39J.ゴメス、#46オラサガスティ、#47A.マルティン。背番号の基準がよく分からん。前節Bチーム登録の選手が3人出てたけど、両翼の位置で先発したナイスとマルティンのパフォーマンスが攻守にかなり良くて驚いた。戦力になってるのが凄い。


◇交代、構築変更

*Mallorca*

’67

①#23アマトOUT、#34ハビ ジャブレスIN

②#8S.セビージャOUT、#11M.ホッペIN

4-2-3-1→4-4-2。ダニロドがCHに落ち、J.ジャブレスが左SH、M.ホッペがムリキと並んで2トップ。

’70

③#17久保建英OUT、#19イ・ガンインIN

右SHを入替え。

’79

④#10A.サンチェスOUT、#12I.ババIN

⑤#15マフェオOUT、#2G.ゴンサレスIN

CH、右SBを入替え。基本マフェオが出てるイメージでG.ゴンサレスさん初めて観ます。ウルグアイの名門ペニャロールから今冬フリー移籍で加入。知らないわけだ。

*La Real*

’HT明け

ゲバラOUT、スビメンディIN

アンカーを入れ替え。ゲバラは判断が遅いなと感じる場面が多かった。相手守備が間に合ってしまう。

’70

②アリツOUT、A.ソラIN

ポルトOUT、N.ジュワラIN

右SB、右SHを入替え。アリツは連戦だったしコンディションに気を遣った良い交代だと思う。ポルトゥは前半から長い距離を走っていたのとOsasuna戦で輝いたナイスへの期待もあるんじゃなかろうか。

’79

④ゴロサベルOUTスベルディアIN

スベルディアは右SBに入り、ソラが左SBに移る。WOWOW解説の野口さんはソラとナイスの右サイドの守備に安定感が無かったための修正と解釈。確かに2点リードする展開で中のスペースを消すように立ち振る舞うスベルディアの方が向いてる感じがした。

’85

⑤メリーノOUT、イジャラメンディIN

左IHを入替え。

 


◇攻撃

Mallorcaはダニロドがムリキに並ぶ4-4-2ブロックで、前2枚は片方がCBへの寄せ、もう片方がアンカーのゲバラのチェックを担当。

中盤4枚はゾーンではなく人基準。中2枚(CH)がそれぞれIHのシルバメリーノをマーク。両SHはIH又はSBを見る中間ポジション。SBがWGをチェック。

La Realは嚙み合わせ上中々組立てで中盤を使えない。CBの1枚が浮くので持ち上がりを使えそうに見えるが、Mallorca前2枚のこの動きへの反応が速く、持ち上がろうとするCBにゲバラのマークを捨てて献身的に駆けつけてくる。La RealとしてはSBを上げてCBに開かせればいいじゃんと思うんだけど... SBが近いせいでMallorcaSHも近いんで、下手すればSH、FWに挟まれてしまう。持ち上がったCBが失うリスクを恐れているのか、SBが上がることで相手ブロックをコンパクトにするのを嫌っているのか。

ボール出しが巧く行っていたのは以下の2パターン。

・中盤に引いたソルロスに入れる

ゲバラをDFラインに退かせ、SBを上げてMallorca中盤4枚を下げる。WGが中に入るので、IHとWGがうまく連動できれば中央でボールを受けやすくする。

また、立ち上がりのところ、奪った後裏への一本のパスでの速攻を狙った。マジョルカSBの裏、CBの脇から3トップの誰かが一本のパスから抜け出しを狙う。出し手受け手が1stチョイスとしてやってるように見えるので、試合前のミーティングとかで言われている感じですね

(後半)

ムリキの疲れとホッペの緩さでLa Realは余裕を持って中央からの組立てができた。逆にMallorcaは守備の時間が増えてしまった。


◇守備

La RealはMallorcaが最終ラインで持つときはMallorca2CHにIHを当て、マンツーマン気味に前から嵌めに行く。結構イーブンのロングボールを蹴らせることに成功していた。外される場面もあったが、その際はDF陣が前進を食い止め、プレス隊が帰陣。

Mallorcaの組立てはCB,CH2枚が中心。SBは高めの位置を取るので、CB→SBにグラウンダーで出すには少し遠い。SBや前線にロングボールに入れて、落としやセカンドボールを拾って受ける。崩しもCBとCHを除いた6人が攻め込む。

ダニロドリゲスが流動的に動くので特に右サイドの久保が中を使えていた。アマトは突破力を買われているからか右大外に張って勝負することが多かった。が、アリツに加え、カバーにルノルマンがいるので右を崩し切るのは難しかった。

(後半)

ホッペを入れた後、SBの位置を下げ、外から組立て、La Realブロックの外側からクロス→長身の前2枚で仕留めるというアプローチに徹した。正直機能したとは言い難く、ブロックの間に差さないのでLa Realはブロックを下げる事で十分対応できた。


◇選手寸評&所感

大活躍/そこそこ活躍/普通/あんま良くない/悪い

*Mallorca*

セルヒオ・リコ

良いセービングがあったが、足元いまいちな印象を受けた。

マフェオ

速い。結構上がるSBだが戻りの速さでカバー。シンプルに優秀。

バリエント

裏を取られるのを恐れてか、守る位置が低いのが気になった。ソシエダの前線にスペースを与えた。

ライージョ

右のバリエントもだが、パス捌きがかなりセーフティーで怖さが無かった。捌く位置も低く、La Realプレス隊に蹴らされる場面が多かった。。

オリバン

しっかり守備で戻りながら、何度もサイドを駆け上がりタフネスを見せた。アマトがあんまり外を回る彼を気にしていなかったのが可哀想だった。

A.サンチェス

基本的に低い位置で構えていて攻撃参加は限定的。後半鋭い運ぶドリブルで持ち上がり、前線にボールを届けた。長いパスで攻撃を組み立てるのが得意にも見えないし、高い位置でプレーした方が持前のテクニックが生きて良いんじゃないかと思った。一方守備ではスピードと予測を生かしてDFラインの裏までカバーした。

S.セビージャ

流石の配球。A.サンチェス同様、もう少し攻撃の時上がっても良いんじゃないかと。

久保 建英

クイックな仕掛けとガツガツいく守備。ソシエダが結構人数を掛けて守ったので、最終ラインを崩すには至らなかった。

ダニ・ロドリゲス

プレス、プレスバックと攻撃以外にもかなりの働き。攻撃面で色気のあるプレーはない代わりに受けると叩いてすぐまた出ていく。攻守のリンクマンである彼がMallorcaのトランジションの強度の高いサッカーを支えている

守備では鬼の二度追い三度追い。ゲバラもCBもチェックするスーパーな働き。

アマト

あんまりボールに寄ってこず、絡めなかった。大外から鋭い仕掛けを見せたが、アリツに止められるかルノルマンのカバーが間に合うかでチャンスメイクできず。速さと巧さは観た。

ムリキ

後半攻守にエネルギーが落ち、特に守備ではプレスが機能せず、アンカーを経由するビルドアップを赦した。疲れが見えた。

(途中出場)

ジャブレス

テクニックを見せたが、2トップへのクロスが攻め手の大味な4-4-2と化したマジョルカでは少々浮いた存在だった。細かく繋ぐサッカーのが生きそう。

ホッペ

良く動いていたのが見えたが、クロスが合わなかった。攻めが分かりやすくなってしまっていたし。

イガンイン

高い位置で受ける事があまりなかったのでそんなに怖さが無かった。フィジカル強そうだからゴリゴリ来た方が怖そう。キックは上手いけど。

ババ

捌きほんと上手くなったなあ。然しこの時間でババ、ミドルによる一発を期待したのとサンチェスが相当疲れていたということなんかね。

G.ゴンサレス

目立った印象は受けなかったが、ぎこちなくもなかった。マフェオは鉄板かもだが、頑張って欲しい。

*La Real*

レミー

このところ安定感抜群で文句ないです。ボール出しも流石。

エルストンド

いるだけで守備とボール出しに安定を生む。速さではアマトに敵わないが、ぶち抜かれてもドリブルでボールを大きく離せばルノルマンのカバーが間に合うし、ほぼ読み勝っていて危なげなかった。

ルノルマン

ビルドアップで工夫が無いのはご愛嬌。隣のアリツに助けられた。逆に守備では広いカバー範囲で皆を助けた。ムリキにも簡単にはやらせない強さ。

パチェコ

いつもよりはビルドで貢献できず。全体で前から捕まえにくるマジョルカ守備が素晴らしい。

ゴロサベル

思ったより久保にやられなかった。この人の1対1の強さは日によってまちまちです。

ゲバラ

球離れが悪かったり、相手が受け手に寄せてきているタイミングでパスを出すなど判断が良くない場面がちらほら。また、相手の嫌な位置で受けられず捌きにもあまり余裕が無かった。スビとイジャラの調子が良いので頑張って喰らいついて欲しい。

シルバ (goal : ①)

硬直した状況下で値千金の先制点。ダイアゴナルランでゴール前中央の密集に突っかけるワンツーだったが、中央にいたオヤルサバルの背中側を使うアイデアと、メリーノのダイレクトでの返し、シルバのトラップの精度のすべてが良くて綺麗に繋がった。最前線に右はポルトゥ、左寄りにはソルロス、その外にゴロサベルと人数を掛けていたのでDFを横に割ることが出来ていた。

メリーノ(goal : ③,assist : ③)

1G1Aの活躍。この人の空中戦の強さほんますこ。先制点を生んだアシストも、膠着した展開をこじあけるのが針の穴を通すラストパスだったことで嬉しくなった。

ポルト

アリツがそこまで上がらないのもあって、この試合は主に繋ぎを担った。ゴール前での精度はポルトゥって感じ。

オヤルサバル

マフェオに止められる場面も多かったが、積極的な仕掛けがチームを押し上げた。抉って良いクロスをうったけど飛び込む選手がいなかった。

守備では戻ってゴロサベルを助けた。

ソルロス

今まで中央にどしっと構えていることが多かったが、この試合は外に流れてプレーすることが多かった。相手DFが中央に固まらないのが大きい。Mallorcaはソルロスの空けた中央に外や後ろから入ってくる小兵アタッカーを掴まえ辛そうだった。また、流れて動きながら受ける事で、後ろからのボールを受ける回数が増えた。脚とテクがある分このスタイルも良いと思う。相変わらずパスが正直すぎて引っ掛けられるのが残念。

(途中出場)

スビメンディ

自分の絡まないところでボール出しをさせる時のマークの引き付け方がゲバラより巧いなと思った。勿論コーチ陣の刷り込みがあったかもしれんが。自分が少し離れてMallorca前2枚に長い距離を走らせることで、CBの持ち上がりを引き出した。

A.ソラ

守備で他の味方から浮いてる時があって、守備の網を広げないポジショニングを身につけて欲しいなと思った。変な位置で捏ねて引っ掛けるときもあったし何か奔放だった。

ナイス

Osasuna戦に引き続き良い縦突破を見せた。守備も精力的にこなした。

スベルディア

ソラと比べるとやはり守備でのポジショニングと安定感はうわ手と感じる。

イジャラ

短いが確実に出番増えてるべな。IHならグリディじゃないんだね。

 

Mallorcaの前半はLa Realのビルドを、キーマンの両IHを厳しくマークすることで阻害し、苦し紛れに繋いだところを中盤で奪ってショートカウンターという狙いが成功していた。

窮屈な展開からもこじ開けたメリーノ+シルバのタレントに感謝。そこまでマークがきつくなかったにも関わらず組立てで十分な働きが出来なかった4バックのところはもっとアグレッシブに取り組んで欲しい。プレー選びが消極的だし、位置取りも静的。

Mallorcaは追いかける展開でFW2枚へのクロスゲーを選択したが、前半の攻撃の方が怖かった。 A.サンチェス、ジャブレスと技が光るカードを切れる分、彼らが生きるような、流動的な形も観てみたい。組合せ次第で色んな戦い方ができそう。