22-23 Real Sociedad選手紹介③(FW編)

さてFW編です!今季も何とか書けました。
久保は右WGとして、R.ナバーロは左WGとしてこちらで紹介しています。レギュラー含めかなり若い面々が並んでますね。CFWのイサク、CFDEZ、カリカはいずれも最前線中央に張り続ける定点型でなく、ライン間に落ちて受けに来たり、サイドに流れるタイプ。隣のWGもそれに呼応して流動的な攻撃を生んで欲しい。
PSMではナバーロやA.マルティン、久保、🍑と其々に機を見て中に入る動きが観られましたね。見ていてワクワクするような攻撃を展開して、フィニッシュに繋げて欲しい!

守備陣、中盤は以下ページで紹介しています。↴

wesleysni.hatenablog.com

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(※)
・年齢は21-22LaLiga最終節(2022/8/14)時点のものを記します。
・背番号は22-23シーズンのものを記します。B登録の選手は(B)と記します。トップチームでの背番号が分かったら追記します。
・出生地、Gipzukoa県生まれなら青字、バスク地方(7県)生まれなら緑字で記します。
・出身クラブは前所属クラブと、それに続いて()内にその前の所属クラブを記します。ソシエダB(Sanse)出身なら青字で、Juvenil又はCチームからソシエダ所属なら青字+太字で区別します。バスク地方のクラブ出身なら同様に緑字で。La RealのCチームは2016年にできたため、JuvenilからSanseに上がった選手も多くいます。

 

~Extremo Derecho~

#11 Mohamed-Ali Cho(モハメド・アリ・チョー)(通称:Momo/モモ)

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年齢 : 18
出身 : Stains(セーヌ=サン=ドニ県, イル=ド=フランス地域圏
出身クラブ : Angers SCO (←Angers SCO U19)
契約満了:June, 2027
ポジション:WG、CFW

🍑。良いあだ名である。高額な移籍金もあり、このフランス出身アタッカーの獲得に疑問の声が多方から上がっているのを見たが、笑顔と可愛いあだ名を披露した入団挨拶で絆されたファンも多いんではないだろうか、俺なんですけどね()
Transfermarktによると数年エバートンFCのユースで過ごして英国籍を持っているらしい。本当かねえ。その前はPSGユース。豪華だねえ

フランス時代のプレーはプレー集をちょろっと観たぐらいなので何も話せません。今季PSMを観ると嬉しい誤算やプレスの掛け方が上手い。CBまで出ていく時しっかり背中で消しながら出ていくし、間合いも近く相手保持者にかなり圧を掛ける。周りとの連動も現時点で上出来。また縦突破だけでなく裏抜けもあるし中に入ってパスレシーブもでき球離れも悪くない。嬉しい。身体も強くて寄せられても簡単にはボールを渡さない。
一方逆足はあまり得意でなく窮屈な感じ。

移籍金11mと聞いた時にどこぞの馬の骨と悲しんだが、かなり有望なアタッカーで一芸に頼らず総合力も期待できそうなことが分かった。普通に開幕が楽しみです!

 

#14 Takefusa Kubo(久保 建英)

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年齢 : 21
出身 : 川崎市(神奈川県)
出身クラブ : FC東京U18 (←FC東京U18)
契約満了:June, 2027
ポジション:WG、IH

オラベSDが惚れ込んだ俊英。正直ブライスの加入が決まった時久保の獲得の線は消えたかと思っていたので驚きました。どちらもWGできますしね。2027年夏までの大型契約、じっくりクラブに慣れて欲しい。バスク生活羨ましいなあ...当方、東京バスクの家(バスク自治州政府公認の在外バスク系同胞団体)に所属するぐらいにはバスクの地が大好きです。現地の人から愛される選手になってくれ!

個人的にはクラブがウーデゴールのローンバック当初から彼の獲得を狙っていたという話から、WGというよりIHの位置で期待しているのではないかと考えている。オンザボールで数枚剥がせる巧さと緩急、そこから決定的なパスを通すビジョンは既に実証済み。
オフザボールの周囲を生かし自らも生きる位置取り、守備時のプレッシングなどを学び、長所の多いアタッカーに成長して欲しい。

情けない話だが彼をしっかり観た試合が1.5試合ほどしか無いので、かなり楽しみにしている。La Masia時代に、「レオ・メッシに似ているか?」と尋ねた日本のインタビュアーに対し、コーチに「いやいや、彼は寧ろペドロとイニエスタを足して2で割ったような選手だよ」と言わしめた素養を見せつけて欲しい。(当方ペドロもイニエスタも大好きです。)

 

(昨季B) Näis Djouahra(ナイス・ジュワラ)※2022夏HNK Rijekaに完全移籍※

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年齢 : 22
出身 : Bourgoin-Jallieu(イゼール県, オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏)
出身クラブ : Real Sociedad B (←St-Étienne U19)
前契約:until June, 2023
ポジション:WG

(クソデカため息)。昨季はLaLigaで7戦に出場しサプライズ的活躍を披露。今季プレシーズントップチーム帯同の9人に選ばれ、出世街道を走っていた。ポルトゥとヤヌザイが抜け、益々この俊英に期待が、と思っていた矢先の移籍劇。どうして、どうして。
私は本人が望んでの移籍と妄信。彼のような優れた選手をすすんで手放すクラブではないと信じたい。

一昨季までは主戦場が左WGで、一か八かの突破をどんどん仕掛けるドリブラーだなぁと観ていたが昨季でその見立てがひっくり返された。大外に張るだけでなく少し引いて受けに来る動き、そこから中盤との連携により加速、パス&ゴーで前進。相手のタックルは繊細なボールタッチで鼻先で躱して爆発的な加速で一気に抜き去る。守備の動きも機敏でブロック守備の一員として周りと良い距離感を保っての守備、素早く間合いを詰め切る寄せ、全てが最高で本格ブレイクは時間の問題と思われた

アドリア海沿いの港湾都市・リエカ良い所だ。
幾らの設定か知りませんが買戻しOPが付帯しているらしい。いつでも戻って来てね!

 

#7(昨季) Cristian Portuguez(クリスティアンポルトゥ)※2022夏Getafeにローン移籍(買取OP付帯)※

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年齢 : 30
出身 : Beniel(ムルシア県/州)
出身クラブ : Valencia CF B (←Valencia CF Juvenil)
La Realでの契約:until June, 2024
ポジション:WG、ST

J.グリディに並ぶLa Realの魂。いつでもチームのために走り身体をぶつけ、気持ちの乗ったドリブル、ランニングでゴールに迫る。
背こそ高くないがロングボールを収めたり身体を入れるボールキープが上手かったので20-21前半戦は組立てに詰まったら彼に蹴ることが決まり事になっていた。

昨季のポルトゥのゴールが減ったのは、チームが組立てに苦しみ、良い位置で待つ彼にパスを入れられなかった事も大きい。シュートがミートしなかったり枠に飛ばないのもあったが、シュート以外ではパフォーマンスは寧ろ良かった。仲良しGroguetのIssa君とも認識が被ったが、昨季は”組立てに苦しむ分良い形で預けなくても打開してしまうヤヌザイの重要性が勝ったことも、彼の出場時間が増えた一因”と見受けられる。オヤルサバルらの負傷離脱者もあり、干されるという程度ではなかった一方途中出場が増えた。LaLiga37戦出場の内先発17(一昨季は24/37戦先発)でプレー時間も一昨季比で600分減少した。

元気なポルトゥは”常時出場”を求め、ヘタフェに去った。ローン移籍だが本人がお別れのメッセージも発しており、買取OPの行使は既定路線に見える。
チームのために闘う姿とパサーとイメージを共有してばっちり決める斜めの抜け出し、右斜めから駆け引きを制して決めるシュートが大好きでした。個人的には狼と犬の中間のような愛らしい見た目、わんぱくそうな見た目とギャップのあるハイトーンボイス、カンテラ産でない身ながらインタビューでLa Realを家族のように思っていると何度も語る彼が心から大好きです。

彼の魂はZubietaで時間を共にした残された皆が受け継ぎ体現すると信じている。
ヘタフェでも元気な姿が観たい。

 

#11(昨季) Adnan Januzaj(アドナン・ヤヌザイ

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年齢 : 27
出身 : Brussel(ブリュッセル首都圏地域)
出身クラブ : Man Utd U21 (←Man Utd U18)
契約満了:June, 2027
契約満了済(June, 2022)
ポジション:WG

ベルギーが生んだ至宝。自分が彼を初めて観たのはいつかのPSMの横浜FM戦。当時はラストパスを最大の武器とする典型的なトップ下タイプだったがUtdで鳴らしたのはぶち抜き突破から降り抜いて痛烈なシュートを突き刺すウィンガーとしてだった。引退したレジェンド・R.ギグスの11番を受け継いだ逸材。

La Realでは当時から目立っていたドリブル突破だけでなく、大外で一人でも時間を作るキープや逆サイドへの展開でも活躍。個人技に長けた選手に乏しいLa Realでは0からチャンスを作れる稀有な存在だった。

ポルトゥのところで述べたが今季は一人でボールを守れる個の力で、組立てがうまくいかなくても彼のキープ、往なしを起点にする場面が増えた。昨季は出場33戦中先発17とポジションを争うポルトゥを上回り、またオヤルサバル離脱時には左WGをそつなくこなした。もともとカットインというよりはverticalにドリブルしていくタイプなので苦にしないのかもしれない。CK、PKのプレースキックでも冴えを見せた。特にPKだが、自分が観た試合ではオヤルサバルより成功している。勿論オヤルが試行回数が多い分失敗を観ているというのはあるだろうが。オヤルのようなトリッキーさは無いが、GKの動きが見えているのかサラッと逆を突いてくれる。非常に安心する。CKもかぎ爪のように鋭く曲がる独特の軌道を持つ。味方に合わせるのも上手い。

クラブが何度も契約更新を試みながらも代理人のM.ライオラの体調悪化、死去もあり交渉が難航。とりわけ年俸面はネックだった模様で当記事執筆時点(2022.8.13)で新天地が決まったという話を聞かない。La Realは高額年俸を出すクラブではない。昨季はクラブ年俸最高級の選手で4m€ぐらいだとか何とか。

確かなクオリティを有しているので、良いチームが見つかると思う、あまり心配していない。頑張れJanu!

 

~Delantero~

#19 Alexander Isak(アレクサンデル・イサク)

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年齢 : 22
出身 : Solna(ストックホルム県, Uppland地方)
出身クラブ : AIK Solna U19 (←AIK Solna U17)
契約満了:June, 2026
ポジション:CFW、WG、ST

La Realのドリブルキング。ある程度DFを背負ってのキープもできるがそれよりはタイミングよくライン間に引いたりサイドに流れて受け、前を向いて崩しの起点となるのが得意。ストライドと加速、足技で一瞬で剥がせる。パスに切り替えるのもお手のもの。ただ個人的にはプレーエリアが広いことは良いことだが、この先も9番として勝負していくなら最前線でのパスレシーブ、エリア内で折り返しに合わせる動きにも拘って欲しい。この人の得点が伸びない最大の弱みはそこだと思っている。プレスはかなり追ってくれる。ありがとうございます。終盤まで走り通せるスタミナの持ち主。強みと弱みがはっきりしているが、弱みが無くなれば本当にトッティのように”王”になれると思う。

大変クリエイティブな選手で、昨季同じく独特なセンスを持つバレネとホットラインが開通しかけていたのは今季期待する要素の一つ。どちらも相手の裏をかきにいく攻撃が大好きですのでね。イサクがドリブルのモーションを見せ、ロブパスに切り替えてバレネが裏に抜け出した所とか浪漫飛行でしかなかった。

偶に書店でFootballistaを立ち読みするのだが、イサクの出身クラブ、AIK Solnaの育成担当者のインタビュー記事が載っていて非常に興味深い内容だった。AIKでは個人の閃きを大切にしており、デザインされたチーム戦術をガチガチにはめ込むより、選手個々のアイデアとそれに周りが呼応してやる柔軟性を鍛えているらしい。そうすることで崩しの局面などで面白い発想ができるアタッカーが多く出てくるのだとか。今の彼の姿と合致しており、非常に面白い記事だった。
かなりうろ覚えなので読み返したかったが見つからず、すみません。

本人は将来のプレミア移籍を希望しているが、クラブは現時点では違約金の90m€でのバイアウトしか認めない方針。W.ジョゼの一件もあるので、本人が出たいと望むのであれば妥協点を探るべきとは思う。そのためにCFDEZを獲ってきたり、カリカ、マルトン、レスピナス、J-M.ロサを抱えているのはナイスである。イサクに触発されて皆一線級の選手に育っていって欲しい。

 

#9 Carlos Fernández(カルロス・フェルナンデス)

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年齢 : 26
出身 : Castilleja de Guzmán(セビージャ県, アンダルシア州
出身クラブ : Sevilla Atlético (←Sevilla FC Juvenil)
契約満了:June, 2026
ポジション:CFW、ST、IH、OH

セビージャカンテラ出身の長身FW。昨季は十字靭帯断裂でシーズン丸々棒に振ってしまった。良いシーズンにしてほしい。

彼の特徴は周囲との連携の良さ。周りが見えており、エリア内でも柔らかいコントロールでボールを落ち着け、優しいパスを送ってくれる最前線の司令塔。オヤルサバルはじめ、サイドから中に入ってくるWGが多いLa Realにはもってこいの選手である。

中で合わせる動き出し、ワンタッチゴールもイサクより長けており、ボックスストライカーとしても期待できる。周りにスペースを与えるデコイの動きも素晴らしい。あとはどれだけ最前線で身体が張れるかだと思う。偽9番を見ていても大事に思うのがそこ。イサクもそうだがラグビーのFWのように最前線でも仕事ができる選手であってほしい。まだLa Realでやったのが20-21後半戦しかないので、彼がどういう9番像を作っていくか楽しみに見ていきたい。

 

(B) Jon Karrikaburu(ヨン・カリカブル)

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年齢 : 19
出身 : Elizondo(ナバーラ県/州)
出身クラブ : Real Sociedad B (←Real Sociedad B Juvenil)
契約満了:June, 2026
ポジション:CFW、ST

一昨季はCチーム所属でBチームに召集された終盤を除き4部でプレーしていた超新星。スターダムを早足で駆け上がり今季は1.5軍扱いをクラブが名言。どこからでもゴールを向ける天賦の才の持ち主で、サイドに流れたところで受けてもバスケ選手のようなターン、ボールを身体で隠す独特の持ち方、運び方で進み、両足で枠を捉える。一昨季終盤から活躍を認められBチームに召集されていた彼は、2部昇格POでかなり難易度の高い決勝点を入れ、私を泣かせた。その後昨季も初挑戦の2部で36戦11G2Aの活躍。末恐ろしい。

今季PSMではポストプレー、プレッシングも献身的にこなし得点も決め、さらにファンの期待を煽った。現時点で不調時のイサク、フェルナンデスと比べて期待が持てる。現状第3FWだが、PSMであれだけやれる姿を観ると、出番は回ってくるように思う。まずは1部挑戦1年目ということで、どんどんチームに慣れて周囲に力を認めさせたい。

得点力の物足りなさに悩まされる近頃のLa Realにとって、これ以上ない出世頭である。

 

#23(昨季) Alexander Sörloth(アレクサンデル・ソルロス)※2022夏RBライプツィヒにローンバック※

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年齢 : 26
出身 : Trondheim(ソール・トロンデラーグ県, トロンデラーグ/中部地域)
出身クラブ : Rosenborg BK youth
La Realでの契約:until June, 2022
ポジション:CFW、ST

シーズン前、大怪我を負ってしまったCFDEZの長期離脱のため、急遽やってきたノルウェー出身の巨漢FW。早熟で既に多国でプレー経験有。オランダ、デンマークイングランド、ベルギー、ドイツ等。

195㎝と凄く大きい。大きいし分厚い、恐竜のようである。RBにいるだけあって走力は折り紙付き。あの巨体で攻守に寧ろ誰より走りまくる。出力を支えるのは精悍な顔つきに滲む努力か。既に大好きな要素しかない。不器用そうなのだが足元の技術はかなり高い。両足から精確なシュートを放ち、大きな展開のロングパスも得意。味方のロングボールに対してはフィジカルで競り勝ち、技術で収める。エリア内での深い切り返しは相手を振り切る。相手を外して豪快に振り抜くシュートは爽快。La Realの4-4-2は、サイドに流れたこの人が無限にロングボールを収めてくれるからやれていた感がある。(無茶苦茶頼っていて情けなかった。)サッカーの質が落ちた苦しいシーズンに彼のような無理が利くCFWが来てくれたのは天恵ですね。2m€のレンタル料は高くない。(買取OPの16m€は高いがそこは天下のRB。)
さらに、シーズン終了間際でSan Sebastiánの街が気に入って休日も楽しく過ごしていることを語ってくれた。街とはいえ自然に囲まれているので、そこを気に入ってくれたのかな。可愛い。可愛い。あんなインタビュー記事を見た暁には別れが本当につらくなった。イサクが去ってしまったらおいでくんなんせ!クラブは彼の獲得を試みたが、RBの主力FW、Y.ポウルセンの負傷離脱などもあり叶わなかった。
「1年しか過ごしていないが、La Realが大好きになった!」癒し、神。

www.mundodeportivo.com

 

~Extremo Izquierdo~

#10 Mikel Oyarzabal(ミケル・オヤルサバル)

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年齢 : 25
出身 : Eibar(ギプスコア県, バスク州
出身クラブ : Real Sociedad B (←Real Sociedad Juvenil)
契約満了:June, 2024
ポジション:WG、ST、CFW、OH、IH

言わずと知れたスペイン代表アタッカー。若手の多い現チームの代表的存在。La Realといえば彼。

大変穏やかそうな若者で、バスク地方デウスト大学で経営学を学んでいたことでも有名。引退後を見据えての学びらしい。穏やかそうなのでY.ピノに殺人スライディングをかましてプロ初の退場を経験したことは衝撃だった。理由は分からなかったが、クラブを通して深い謝罪と反省の意を示した。

プレイヤーとしては総合力が高く、走力を生かした飛び出し、当たり負けしない強さ、二度追い三度追いを全く厭わないプレッシング、精度の高い左足の折り返しにミドルシュートプレースキック、1対1で負けない対人守備、ブロック守備時には適確なポジショニング、スムーズなマークの受け渡し、周囲を動かすコーチングなど活躍は多岐にわたる。ドリブル突破だけが弱いという珍しいタイプ。左足の大きな展開、自身のダイナミックなランニングでスピーディーな攻撃を繰り広げる。イサクとのホットラインが開通済みで、オヤルがボールを持つとイサクがくれくれ、とうずうずする。可愛い。
また、チーム随一の決定力を持っている。ピッチ内外で落ち着いている彼はエリア内でも落ち着いている。

唯一気がかりなことが、絶対的な選手故イマノルがローテに組み込まない傾向にあったことである。昨年の大怪我をきっかけに、過負荷にならないように起用法が改まると良い。不動のエースの帰還をお待ちしています。じっくり治してね。

 

#7 Ander Barrenetxea(アンデル・バレネチェア)

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年齢 : 20
出身 : Donostia/San Sebastián (ギプスコア県, バスク州
出身クラブ : Real Sociedad B (←Real Sociedad C)
契約満了:June, 2027
ポジション:WG、ST(、WB)

若干16歳の頃トップデビューした地元の星。そのシーズン終了後、17歳でトップ契約。他クラブではよく聞く話かもしれないが、Cチームまで抱えてじっくり育てるこのチームでは異例の出世の早さと言える。いたずらっ子のような笑顔でも人気を博していると俺の中で話題に

両足や足裏を使う独特のドリブルが持ち味。クイックネスに優れ、細かく触りながら相手の裏をかく。ワンツーやロブパスのアイデアなど味方との連携も得意。パス&ゴーでサイドを突破したりエリアに侵入する。小柄ながらシュートのインパクトも半端ない。見ていてワクワクするウィンガー。 また、一昨季は彼をSBやWBで使うイマノルの迷采配で守備も磨いたw 結構血気盛んでファウルも多いが、アジリティを生かして相手に食らいつく。昨季観た限りではブロック守備の一員としての動きも良くなってきた印象。当時は意味が分からんと思った采配も、彼のためになっているんだなぁ。
一昨季終盤は彼に預ければ一人は躱すといった絶好調っぷりで昨季は本格ブレイク来てしまう!!とワクワクしていたが左足ハムストリングの断裂という大怪我に見舞われてしまった。

そんな彼も手術を経て今季から実戦復帰。🍑や久保など他にも活きの良い若手がやってきたので仲良く連携して皆でゴールを脅かして欲しい。

 

#17 Robert Navarro(ロベルト・ナバーロ)

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年齢 : 20
出身 : Barcelona(バルセロナ県, カタルーニャ州
出身クラブ : Real Sociedad B (←AS Monaco Juvenil)
契約満了:June, 2027
ポジション:IH、WG

今季25番以内の背番号を貰い、シーズンを通してトップチームでプレーするであろう俊英。ちょくちょくいるSanseからLa Realに加入した県外出身選手。彼らの存在を思うとトップデビューする地元Gipuzkoa出身選手は半端ないなぁとほっこり(*^^*) 彼もU-16からU-21まで世代別代表に選出されている。

昨季は前半戦トップチームに帯同し、後半戦はSanseでプレー。Sanse(2部)で24戦1G3A、トップチームでは6試合(内先発3)に出場。トップチームではIHでプレーしたが、Sanse、U-21代表ではWGでプレーすることの方が多かった。
この人のプレーの特徴はボールコントロールの巧さと果敢なドリブル突破、飛び出し。身のこなしが軽く、すっと相手DFの前に抜け出す。自分の観る限りだが一昨季まではドリブル突破に拘ったプレースタイルで足を止めてパスを受け、攻撃を停滞させる嫌いがあったが、昨季は飛び出しや相手守備ギャップを突くパスレシーブの動きなどオフザボールのアクションを増やして攻撃を活性化させた。元々技術は一級品だったので賢いプレーも身に着けて鬼に金棒。

今季PSMではブライスや久保の加入もあり、IHでなくWGとしてプレー。ドリブル突破やコンビネーションから違いを生み、個人的今季PSMMVP。左サイドで相手の脅威になっていた。先輩バレネとの良い競争を期待。

 

#17(昨季) Martín Merquelanz(マルティン・メルケランス)

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年齢 : 27
出身 : Irún(ギプスコア県, バスク州
出身クラブ : Real Sociedad B (←Real Sociedad Juvenil)
契約満了:June, 2025
ポジション:WG、OH、IH(、WB)

19-20シーズンにタッグを組んだA.イラオラの元で再ブレイクを期しローン移籍で向かったラージョで膝に大怪我。昨季は不遇の一年になってしまった。今季中の実戦復帰は難しい見立てのためトップチーム登録されず。近年怪我が多いので心配だが、来季にピッチで活躍できるよう、完治を祈っています。

ミランデスではドリブル突破を武器に、パンチ力があり高精度の左脚で36戦15G10Aを記録。この頃の彼のプレーは観たことがなく、人伝です。左脚の威力と精度は翌季の20-21にこの目でしかと見た。中でもライナー性で相手DFの頭を超える独特な軌道のCKは見事の一言で、2本に1本味方の頭に合わせてるんじゃないかってほどのとんでもない代物だった。またスペースを突くのがうまく、エリア内で上手く受けて相手守備を崩していた。半面テクニックがあるがスピードはあまりない。サイドでの1対1の突破はそこまで得意じゃないように見えた。ミランデス時代を思えばコンディションが良ければ見られるかもしれない。また本人はサイド起用でなく中央での起用を望んでいるらしく、トップ下の位置で本領を発揮している姿も観てみたい。
守備はそこそこ、追う時と追わない時でムラがあったが、イマノルが怒りの(?)WB、SB起用をかました後はかなり改善されていた。

...と20-21の思い出を書かなければならないのがとても辛い。もう一華咲かせてくれよ!!

 

(B) Ander Martín(アンデル・マルティン

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年齢 : 21
出身 : Donostia/San Sebastián (ギプスコア県, バスク州
出身クラブ : Real Sociedad B (←Real Sociedad C)
契約満了:June, 2024
ポジション:WG、IH、WB、SB

若手の登竜門・地元Donostia・Antiguoko出身のサイドアタッカー。個人的にはBチームの中でも目立つ存在には見えなかったが、昨季B監督のX.アロンソに攻撃的SBに魔改造されてプレゼンスを高めた。守備は怪しかったがワンツーや豪快なオーバーラップ、突破でサイドを抉りチャンスを演出。彼はIHとしてもプレー可能で、一昨季現ビルバオ所属のA.ペチャロマンを組立て時、中にポジショニングさせたように、組み立ての局面において彼にもそのタスクを課した。組立てとサイドアタックの両面でSanseを盛り立てたというわけですな。

何度も言うようで印象が悪いが、トゥリエンテスやロベテ、R.ナバーロやオラサガスティのように一昨季から目立っていたわけではなく、どっちかというと控えという印象だった彼なので、今季トップデビューし、挙句オサスナ戦では先発出場を果たしたことは本当に驚いた。シンデレラボーイってやつですな。
パフォーマンスにも嬉しい驚き。オラサガスティ同様、激しく寄せるプレスで奪取力を見せつけ、サイドチェンジを蹴られた際のスライドの速さ、ブロック守備の陣形の一員としての動きも大変見事。初Gかとばかりの痛烈なミドルまで放って我々を喜ばせた。
彼やナイス・ジュワラの積極登用から感じたのはイマノル監督が、アタッカーであっても、守備でもきっちり働ける総合力の高い選手を重んじること。

彼とDFのウルコ、CFWのカリカブルはシーズンを通してトップチームの練習に帯同するらしい。ここでもクラブの期待が窺える。
左WGは一番と言って良いほど競争が激しいが、彼は右WG、IH、SBでもプレー可能なので過度な心配は不要。また一人Donostia出身選手がトップ定着しつつあることを大変うれしく思う。このままスターダムを駆け上がっていって欲しい。Bで20Gとかしてくれてもいいんですよ?(無茶ぶり)

 

~総括~

書いててまず思ったのが皆若い。今季トップ登録の選手ではCFDEZの26歳が最高齢ですな。昨季はまだポルトゥがいましたから過度には意識しませんでしたが。
ポルトゥに加えソルロスが抜け、前線から”強さ”が失われてしまった。かなり技巧派揃いのスカッドなので、そこはかなり心配。技に頼らず味方のために身体を張りどんどん相手の懐に入っていってもらいたい。
クラブは右SBとして考えているのかもしれないが、A.ソラの当たりの強さには個人的に期待しており、彼の右WGも観たい。

こうして書き並べてみるといろんなタイプの選手がいて面白い。また複数ポジションこなせる選手ばかりなので、試合中のポジションチェンジを交えた流動的な攻撃や、色々な組み合わせが見込める。心配なのはやはり決定力か。そこはチーム全体でポケット/ニアゾーンを取りに行くなど工夫を見せて個人の打開に頼らない皆で崩すサッカーを心がけて欲しい。

カンテラーノが多いLa Realですが、割合を出してみましょうか(2022.8.13時点)。Bチームを経験している選手は15/24→62.5(%)、Cチーム又はJuvenilからLa Realにいる選手は13/24→54.16(%)。ここの差分の2名はル・ノルマンとR.ナバーロですね。
Bチームから今季昇格させた選手が5名(スビアウレ、ソラ、パチェコ、トゥリエンテス、ナバーロ)もいるのに6割を超えるのがギリギリ。トップチームに6割以上カンテラーノを送り込む難しさを痛感しますね。

続いてGipuzkoa県出身者は10/24→41.66(%)、Euskal Herria(バスク7県)出身者は15/24→62.5(%)。差分の5名はナバーラ県出身のレミーロ、メリーノ、アイエン、パチェコにアラバ県出身のゲバラですね。
図らずもBチーム上がりと同数になっているのが面白い。

いかがでしたでしょうか。一人一人長く書いていますが内どれか少しでも皆さんのお役に立つ情報があれば嬉しいです。辛口なこと書いてしまった選手は今季活躍してもらって、来年書けたら良い所を沢山紹介できると良いなと思っています。
まずはEL、1位抜けしてベスト8の壁を突き破ってくれ!!今季クラブに期待するのは以下の通りです。

 

(トップチーム)

・ELベスト8
・来季EL出場権獲得
・新加入選手の順応+連携強化
・中盤の争いで主導権を渡し過ぎずべた引き守備の時間帯を減らす。
・中央からのスムーズなボール出し+ライン間のIHを経由した攻撃
・オヤルサバルの決定力に縋らない得点パターンの確立

(Sanse)
・3部残留&調子が上向けば2部昇格挑戦へ
・個々の成長、熾烈なレギュラー争い

 

いよいよ開幕、楽しみに観て参りましょう!