22-23 LaLiga第5節 ヘタフェCF対レアル・ソシエダ(2022.9.11)@Coliseum Alfonso Pérez

9/8(木)夜のEL・GL第1節、オールド・トラフォードでのUnited戦から中2日。ELってきついですね… 御相手が本調子で無かったとは言え、敵地で値千金の勝ち点3をもぎ取ったことを弾みに頑張れ!

ヘタフェは昨季2分と苦手にしている印象。
サイドチェンジを多用しない為かコンパクトな守備を崩せずに苦しんでいる内に勝負強い彼らにこじ開けられ、得点力の無いラレアルは苦戦必至という覚え。自分のブログを読み返すと、2戦ともビルドアップに苦しむか、ボールを出した後にヘタフェのコンパクトなブロックに捕まるという感じだった。今回はどうなるかね。

個人的にはソリッドな守備を敷く相手にも面白い攻撃ができてこそ「攻撃的なチーム」「ボール出しが上手いチーム」と形容されるべきだと思う。内容に拘ってやって欲しい!

 

◇先発紹介

*ラレアル*

United戦からの先発の入替えは、
DF)A.ソラ(←ゴロサベル)、スベルディア(←アリツ)
MF)トゥリ(←ブライス
FW)ソルロス←(シルバ、United戦:シルバがトップ下、久保が左FW)

ソラトゥリ、今季初先発おめ!Gipuzkoa出身の今季トップ昇格選手を皆で応援しましょう(*´ω`)

*ヘタフェ*

アンカーの位置を務めるA.アルゴビア #16 さん、Rayo B→Getafe B→Getafeか。トップ昇格おめでとう。御出身のVelilla de San Antonio がVallecas寄りでどちらもMadridから見て西の方。Madridは狭い中つうか首都近郊にクラブが多いですな。


◇交代、構築変更

*ラレアル*

’38

①モモIN ⇔ サディクOUT

負傷のサディクに代わりモモがIN。ソルロスが右に移り、モモは2トップの左に。
サディクは検査の結果右膝前十字靭帯断裂。今季絶望と報じられた。大変残念だけど元気で戻って来てね。

後ろからの楔を、モモの方がよりサイドに流れて受ける。サディクは中盤に引いたり、バイタル寄り、相手CB(HV)の近くで引き出すことが多かった。

 

’HT明け

ブライスIN ⇔ 久保OUT
③シルバIN ⇔ トゥリエンテスOUT

メリーノが左IHに移り、ブライスが右IH、シルバが久保のいたトップ下に。
中盤の構成がレギュラーメンバーに代わった。久保をFWに回すプランもあっただろうが、ソルロスを残した。

'70

④ゴロサベルIN ⇔ ソラOUT
ソラは交代前足痛そうにしていた。実況&解説は彼が交代を志願していたと。

’81
カリカブルIN ⇔ ソルロスOUT
インパクトを残したい。が、放り込みが既定路線気味になって中々決定機には絡めず。数度頭で合わせたが力なくGKの正面に。左で浮くアイエンはアーリーの精度は期待できない。

 

*ヘタフェ*

'52
①J.イグレシアスIN ⇔ アンヒレOUT

Transfermarktによるとイグレシアスは右利きでRBが本職らしい。この日はアンヒレリと入れ替わりで左WBに入った。

’60

②J.セオアネIN ⇔ アルゴビアOUT
アンカー同士の交代。中盤の潰し、特に久保のマーキングを精力的に走ってやっていたアルゴビアさんが交代、最後の方は足を攣っていた。闘えるカンテラーノ、素晴らしいなぁ

途中からマクシモビッチと左右を入れ替えていた。ヘタフェがよりブロックを下げてから、より競り合いに強そうなマクシモビッチを中央に配したいということか。

’70

③ムニルIN ⇔ マジョラルOUT
ポルトIN ⇔ アレニャOUT

それぞれ左FW、右IH同士の交代。ポルトゥそこか!彼はバレンシアユース時代ボランチだったらしいですもんね。(VCFペーニャ会長殿からいただいた情報です)

◇攻撃

<組立て>

〔後ろ4枚〕
ラレアル
のビルド時のSBの位置は低め。CB→SBに各停のパスを出すと、ヘタフェはそれまでラレアルIHを見ていたIHがjumpして捕まえに来る。
ラレアルはそこにつけこみ、ヘタフェブロックをIHから引き込み、DFラインからヘタフェCB脇に一気に通しに行く。ヘタフェWBはIHが出た玉突きでIHを捕まえに出るので背後が薄くなる。ただ、裏を取りに行く動きに対してパスを出さないと、FWに入れた後、圧縮されて絡み奪られていた。

〔後ろ3枚〕
10分過ぎあたりから2トップに背中で消されて中々へその位置で受けられなかったスビが2CB間に降りてヘタフェ2トップに対して3枚を作った。両HVは相手2トップ脇に開いて前進し、対面のIHを釣りだしつつ縦パスを狙う。
ヘタフェWBはラレアルのSBとIHをともに見る中間守備なので、SBをビルドアップで使いやすくなった。
両HVから前に差しに行く他、DFライン中央のスビからメリーノに速いパスを入れる場面も多かった。メリーノが受けてから次のパス先を探すので、この隙に奪われる場面がちらほら。ここのメリーノのサポートをトゥリエンテスやSB、久保らがもっとわかりやすく行えば十分中央からの組立てができたかなと思うので勿体なさも感じる。

トップ下の久保は後ろ2枚の時は相手アンカーのアルゴビアが、スビが降りて後ろ3枚の時は底に下がるメリーノについていかないマクシモビッチがマンマークに着いてここに入れるのが難しかった。

<その他>

〔前半〕
大体HVや中盤から中長距離のパスを駆け引きして相手HV脇で受けようとするFWのサディク、ソルロスに通し、彼らがPA、バイタルまで持ち込むのを起点にするパターン。またはソラのオーバーラップを使ってクロスを入れるパターン。ビルド隊→中盤→アタッカーと上手く繋げていなかったので手数を省く攻撃が多かった。一番やりたい事ができない故の割り切り。

〔後半〕
チャンスこそ作れていたが、サイドからのクロスが殆ど。中を崩し切るには至らなかったのが敗戦の一因かなぁ。ヘタフェの5-3-2ブロックは中の人数が多いし狭いので、外から中のランニング、その逆とか斜めの崩しがあると面白かったかもしれない。間、間に入れ続けて相手ブロックをゆがめたい。


◇守備

<組立て>

ショートパスによる後ろからの組立てを省略しバイタル以前に蹴ってくることが多い。ラレアルの前プレス2枚に対し、アンカーを経由せず、3:2で数的優位のDFラインから前線に入れ、セカンドボールを中盤で拾う狙い。蹴ると云ってもパサー側が数的優位にあり余裕があるので、結構良いボールが出て繋がる。


<その他>

ラレアルはサイドが薄いのでIHとWBのパス交換でチャンスを作れる。ヘタフェはSBとIHの2枚でサイドを攻略に来る。IHがサイド奥深くを中から外の斜めのランニングで突く形が多い。角度を付けた速く正確なパス回し、ほれぼれするし打開もされる。
とりわけアレニャがいる右サイドの崩しが良い。アレニャは連携が巧く、機敏。

シンプルにマジョラル、ウナルに入れて彼らの落としから展開する場面も多い。

 

◇得点

'45+5
GET 1-0 RSO E.ウナル②

トゥリエンテスが不要なハンドを犯し、若干遠目、ゴール斜め左からのFK。
これを壁上を掠める痛烈な一発でヘタフェが先制。そして前半終了

なんやあの化け物...

’48

GET 2-0 RSO アレニャ(アシスト:E.ウナル①)

左サイドのスローインからサイドを抉り、クロスに対してマイナス気味に立ってたマジョラルの更にマイナス方向、アレニャがフリーで待っておりここに合わせて得点。インサイドで丁寧に流し込まれた。

GET 2-1 RSO⚽ ブライス・メンデス②(アシスト:モモ②)

モモのマーカー手前から上げた右足ピンポイントクロスから、マーカーの背中をとったブライスがヘッドで叩きこんだ。オフザボールの達人。
モモは両足で鋭く曲がって落ちる高回転のクロスを蹴る。これからも期待してます。

◇印象に残った選手

大活躍/そこそこ活躍/普通/あんま良くない/悪い

*ラレアル*

A.ソラ
剥がしが上手い。結構きつく寄せられても往なして剥がす。アンヒレリにもイグレシアスにも1対1では負けてなかった印象。
サポートない状態で独力で前へ運べるのはとてもありがたい。
繋ぎのパス、クロスの精度もゴロサベルより上か。

組立てでも出しどころが面白いし、戻す時も斜めに戻すことでその後の展開をスムーズにした。賢い。

スビメンディ
ヘタフェの前2枚に対しCBの間に降りて、持ち前の素早い捌きでへその位置のメリーノにずばずば通した。

ブライス・メンデス
得点見事。マーク担当のアンヒレリがボールウォッチャー気味になり、自分へのマークが緩慢と見るや手を挙げて要求し、彼の前からフリーで飛び込んだ。
DFラインからの組立時CB脇に下がり、ソラの位置を上げるサポートも気が利いていた。

モモ
並みのCBでは後追いでも防げないアジリティとスピードはこの試合も健在。左サイドを崩した。
右サイドだけでなく、左サイドでもWGとしての仕事をこなす。ブライスに上げたカットインからの右足でのピンポイントクロスには正直驚かされた。右サイドでは縦突破からの右足クロスの精度がヘタれていたので期待していなかった。
左足のクロスも鋭く落ちるボールを蹴っていた。とても良いクロッサーだということが分かった。

倒されてもすぐ立ち上がってゴールに向かう不屈の男。あ、止められた。と2,3度思ってもドリブルし続けてることがある。

ソルロス
クロスが増えた後半、中で合わせる動きがもっと欲しかった。高さを生かして欲しい。
また身体のキレは戻ってきたが、パスや動きが味方に合わない場面がちらほら。もっとできる。期待してます。

また、これは組み合わせの話だがサディクとの2トップはもっと中盤、DFラインからの繋ぎが上手くいかないと攻撃を淡白にするかなと思った。中盤オフェンシブをやれる久保や本職サイドアタッカーのモモと組んだときの方が相補性が良いし攻撃に繋がりが出る。

シルバ
とても気が利いている。CBからボール出しのパスが他の選手に入った時のサポートが誰よりも早くて正確。ヘタフェ守備陣との距離の取り方と出し手との距離感、角度のつけ方どれを取っても格別。
ボール出しも即座に潰されては意味がない。マークがきつい選手に出た場合、その後のサポートが重要なんだという当たり前のようなことに改めて気づかされた。不世出の特別なタレントだと思う。

 

*ヘタフェ*

C.アレニャ
ダミアンとの連携で右サイドを何度も抉った。間で受けた時に見せる運びのドリブルの馬力は要注意。
2点目のゴールはソシエダのクロス対応が酷かったとは言え、良いポジショニング、ミートだった。

E.ウナル
ロングボールを収める巧さ。めちゃくちゃ強いわけではないが身体の使い方、当て方やDFとの駆け引きが上手い。ヘタフェの選手が中盤以降で前を向いている時、大体ラストパスを受けられる準備ができていて怖さがあり、推進力もある。対人守備(地上戦)が強くないスベルディアは分が悪かった印象。ヘタフェ1点目のFKは力強いショットでコースも良かった。
正直羨ましいレベルのストライカー。ツキがあったらもう1,2点とってそうだった。

1点目の壁の上を掠めるキャノンFK、たまげた(;´・ω・)

セオアネ
間受けが上手い。そこからの展開も上手い。72分のウナルのポスト直撃、センターサークル以降から彼のライナー性の一本のパスからでした。
守備もスライドが早くて注意深く、多少離れていてもインターセプトを狙う瞬発力がある。オープンなボールへの反応が早く、速攻の起点になる。要注意人物

 

◇感想

前半試合をコントロールできなかったのが痛かった。ヘタフェのブロック重心が比較的高かった前半は細かいビルドアップを省略して、シンプルにヘタフェDFラインの裏を突いた。
後半シルバがボール出しの後の繋ぎをサポートすることでヘタフェを押し込むことに成功。ヘタフェがブロックを下げるまでは攻撃に彩りを出した。
ヘタフェがブロックを下げ中を締めた後半途中からはブロックの外、大外からの放り込みでしかゴールに迫れなかった。

課題は組立てで上手く後ろから繋げない時間帯の作りと相手がブロックを下げる時間帯の崩し。前者はスビメンディを下げてパサーとなるDFラインに余裕を生むことで前につけれてはいたが、ボール出しのパスが入った後の展開、サポートがそれを巧く熟したシルバのいない前半に不足していた。

後者は、ヘタフェのカウンターを恐れてか、連携でブロックの中から攻略してやろうという意識が薄く、リスクの少ないところから攻める時間帯が長かった。誰かが無理してもその後潰されて終わりと、スイッチを誰かが入れた後にそれに続く選手がどれだけいるか、スビメンディやモモ、ソラなど個々では剥がせる選手がいたので、次の試合はその組み合わせが観たいです。

引き分けは覚悟していたが負けかぁ...。大エースE.ウナルを褒めると辛抱強い組織的な守備を褒めるしかないのか。先に書いたがチャレンジとサポート、あとは間に入れ続ける相手の懐から崩す攻撃が観たい。サイドチェンジも押し込んでからも織り交ぜてくれればいいのに。