Beñat Labaien氏(元徳島ヴォルティス監督)のPodcastゲスト出演について

冒頭挨拶/前置き

新年明けましておめでとうございます。能登半島震源とする地震の知らせ、大変悲しく思います。能登半島は何度も訪れた地で、風光明媚で大好きな場所の一つです。被害のさらなる拡大が起こらない事を祈っております。

今回はヴォルティスサポのぽかすたんさん(X:@pokastan)がご自身のブログで紹介されていた、Beñat Labaien氏(徳島ヴォルティス元監督)が出演したPodcastの内容の翻訳に挑戦しました。興味深いコンテンツを紹介いただいたぽかすたんさんに、この場でも御礼申し上げます。そして、いつもヴォルティスについてのご発信、興味深く拝見しております。重ねてありがとうございます!
ぽかすたんさんによる元記事は此方から。

note.com

Podcast / Corpholisticについて

本題に入る前に、Labaien氏がゲストとして出演したPodcastの概要に触れておきます。彼が出演したPodcastは、Corpholisticというグループが提供しているものです。同グループは2名の専門家 Alain Sola Vicente氏、Yolanda Valdivieso González氏が運営しています。両名は強度の高い運動後の回復 / 負傷からの回復等を目的とした水中(プール)での活動セッションの活用の発展に従事しており、Alain氏は、フットボール界でも活躍され、以前はLa Realでもフィジカルスタッフとして働かれ、現在はReal Madridの技術チームの一員として活躍されている方です。Corpholisticの詳細は以下ページからご参照ください。

Corpholistic - Terapia y ejercicio

今回Labaien氏がゲスト出演したPodcastのリンク(Spotify)を貼付します。

open.spotify.com

 

Podcast内容

以下、Podcastを自分なりに聞き取った内容を以下記していきます。スペイン語の習得レベルが低いので、上手くできていない事をご容赦ください。

・EPISODIO内容

総体的に、個人の経験は年齢に比例して増えていくものですが、この法則性に当てはまらない人物としてBeñat Labaienが挙げられます。

このエピソードの生みの親であるBeñatは、我々にスペインのフットボールに関する経験を語った他、日の出ずる国、日本での生活に関する話題で我々を驚かせました。

Beñatはフットボールの理解の仕方、その感性、フットボール界の未来に関して明解なアイデア、確固たる根拠を持ち併せ、個人的にもプロフェッショナルの1人としても自身を成長させる新たな挑戦にオープンな姿勢でいる人物です。

・本題

¡Hola! 私達のPodcast”Corpholistic”(*)の新エピソードにようこそ。これまでとは別のアプローチかもしれませんが、(本日のゲストは)皆さんが好きになるだろう人物で、多くの点で私達に貢献し、フットボール界でも異なる視点を以て取り組む人物です。取り分け、彼の知識の泉は興味深いもので、多くの方が気に入るでしょう。

*治療(回復)とスポーツ、両分野に関連した新たなアイデアを生成する事を目的としたPodcast

 

彼の名前はBeñat Labaien。彼は好奇心旺盛で、また辛抱強い人物であり、日々より良いフットボールの指導者になろうとしています。
フットボール界に監督は多くいますが、異なる視点を持った人物という事でBeñatをゲストとして招聘しました。彼は他の者には不可能なものを、私達に容易にもたらし得る。それを(Podcastの場で)共有する事は興味深い事と考えます。彼と数時間仕事をともにし、彼の頭脳がどのように物事の分析を独特な方法で行っているのか、確かめました。彼はスポーツ物理を学んでおり、それ故「フィジカルコンディション能力(速さ、出力、持久力、柔軟性等)」という視点を常に持っている。先述した通り広範な知識を持った人物で、今からそれを披露してくれるでしょう。また聞き手の皆さんは、彼が何故日の出ずる国、日本に滞在したのか、その国の人々のあり方を知っていますでしょうか。

 

Alain Sola Vicente)Beñat、私達の招待に応じていただきありがとうございます。
Beñat Labaien)ありがとうございます、Alain。貴方と再びご一緒できて嬉しいです。それでは本題に入りましょう。

A)(ゲストには)毎度の事ですが、Caña(ビール)をどうぞ。今やほぼ2m級の身長の貴方ですが、幼少期がありましたよね。小さい頃、貴方は何になりたかったですか?
B)小さい頃から監督になりたかったです。フットボールが大好きでたくさんプレーしました。そして未だ小さかった14歳の頃、兄弟がプレーする村のチームを監督として率いるようになりました。

A)既に回答の一部を得ているところですが、どこで、そしていつフットボール界でのキャリアをスタートさせたか聞きたいです。貴方は若くして長い間業界に従事してきましたよね。
B)私はBergaraという、バスクのあらゆる都市(ビルバオビトリアサン・セバスティアン)に車で40分で行ける距離の内陸の村に生まれました。指導者としてのキャリアは早くに始まりました。弟は1990年生まれ、即ち私の3歳年下で、彼のチームの監督が私が12~13歳の時にいなくなりました。その当時、私が熱中していたのはフットボールをプレーする事でしたが、同時にチームを率いる事にも興味を持っていました。

 

A)監督になりたかった事は理解しました。しかし、後に学問としてスポーツ物理を修め、その上分析官としても働かれています。どうしてフィジカルトレーナーでもアナリストでもなく、監督になりたかったのですか?

B)小さい頃から夢見ていた事でした。スポーツ物理を学ぶためにMadrid のUniversidad Camilo José Celaに行ったというのは(一側面としては)事実ですが、両親に進学理由を聞かれた時の良いexcuseになってくれました(笑)。私の進学理由は、同大学がスペインのフットボールと提携関係を持っていたからでした。大学にはフットボール指導者養成クラスがあり、指導者としてのキャリアの走り出しを行える場でした。21歳の頃、NIVEL3(通称UEFA PRO)を取得しました。色々な知識を得たとはいえ、私が学生としてMadridを訪れたのは、指導者になる為、そのために成長する為です。

A)そしてそれを成し遂げたと。

B)その通りです。

A)私がレアル・マドリーで働いていた時、2009年、2010年のおよそ2年間をともにしましたよね。同クラブでの数年間について話してください。Fernando Morientesの下第2監督として働いていましたが、レアル・マドリーという要求レベルの高いクラブで何をしていたか話してもらえますか?
B)レアル・マドリーでは1年間をCadete A、2年間をJuvenil B担当コーチとして過ごしました。日々パフォーマンスに関する要求レベルを感じ受けていました。特に強く覚えている事として、同クラブでは全ての試合、練習がとても重要なものという事。レアル・マドリーが負けてしまえば、若い選手達でも責任を問われる。(貴方が知っている通り)同クラブでの日々の要求レベルの高さ、重要性は他では見つける事が難しいものでした。

A)貴方にとって役に立つ情報か分かりませんが、今日も同クラブの要求レベルの高さに変わりありません。
B)そうでしょうね。

 

A)Fernando Morientesとともに仕事をされていましたが、貴方が当時分析という世界にいたのも確かです。当時そうだったかは知り得ませんが、後にはより優れた指導者となるべく働いていました。F.MorientesやLuis Miguel Ramis , Alberto Trilとともに働くようになる前の段階の話をしてくれますか?

B)はい。レアル・マドリー入団以前に、スペインのアンダー世代代表チームで、初めて分析という世界での仕事を始めました。当時はFernando Hierroが監督を務めていました。また、私に声を掛けてくれた人物であるGinés Meléndezもともに働いていました。レアル・マドリー入団後、偉大な友達であるMorientesが同期になりました。そしてRamis、Trilもいました。そしてAlberto(Tril)とはBチームであるCastillaでもともに仕事をしました。私は分析官として。

このように第2監督として前進する機会を与えられ、アナリストとしての仕事も経験しました。その後以前Elche CFを率いていたVíctor Ortaに呼ばれてLeeds Unitedでアナリスト兼第2監督として働き、その後La Realで4年半分析部門に従事しました。いつも(私が)言っている事ですが、その4年半は監督としての一人立ちを目指す自身にとって大きな助けとなったものでした。アナリストとしての従事は自分をより良い監督にするのに役立ち、異なる視点からのフットボールの理解を学ぶ事ができました。監督の中には、アナリストを単に仕事に従事する責務を負う者として見る者もいて、それを経験してきました。私はアナリストである事の大変さを知っています。アナリストの仕事は美しい一方長時間の従事が必要なハードなものです。その為、アナリストとしての経験は私を大いに助けており、そのおかげでより優れたプロフェッショナルというものを理解しています。

 

A)スポーツ物理、(Beñatの)大学での成長、指導者、分析業の大変さといったテーマについて沢山の事に触れてきました。Elche CF、Leedsでの事含め。
貴方はLeeds Unitedではアナリストとしても、アシスタントコーチとしても働いていたんですよね?

B)はい。アナリストとしてはThomas Christiansenとともに、その後現シェフィールド・ユナイテッド監督のPaul Heckingbottomとともに働きました。彼の下アシスタントとして働いた経験は私にとって忘れられないものです。ピッチ、ベンチともに私が経験したかった地での仕事であり、私に力を与えてくれました。

 

A)イングランドでの経験は、貴方のサッカー選手の見方を変えましたか?

B)いいえ。プロとしてのストレスに晒されるサッカー選手は、アナリストのように監督に対しても責任を果たす存在ですよね。Bプランの一員として構想された時どのように感じるか、何を好んで何を好まないか、という事を(同じく責任を果たす立場故)理解する助けになりました。厳密には、イングランドでの経験そのものが、別の角度から選手の事を把握する助けになったと言えるわけではありません。キャリア全体が選手の把握を助けています。

A)しかし、イングランドフットボールはスペインのそれとは異なりますよね?

B)はい。違います。情熱、ファン...home/away問わず、首位/最下位相手全ての試合でフットボールがどのように息をしているかという点が明白に異なります。

 

A)ファン、選手双方が違う生き方をしているとの事ですが、インテンシティ―という点、フットボールの展開のあり方も異なりますか?

B)はい。ゲーム/試合における最も大きな違いは全くクローズな展開にならないという事です。スペインでは恐らく、80分に2-0の試合があったとすると、残り10分でもう何点かどちらかのチームに入るかもしれないという事で終盤観客は雰囲気をがんがん盛り上げます。その為80分以降+ATに退屈な展開になる試合がかなり少ないです。間違いなく、観に来た観客の熱がプレーを左右しています。

 

A)興味深い観点ですね。私にとって同様に気になるのは、貴方がLa Realではどのように働いていたのかという事です。自チーム(La Real)同様、対戦相手のチームの分析も行っていたのですよね。そして、どのように真に重要な観点を抽出する事ができたのでしょうか。私にとっては、情報というのは極端に多い量あるもので、重要なものを抽出するのは非常に難しいものと思われます。整理された方法で行っていたのではないでしょうか。

私に分析においては何が重要なのかを教えてください。

B)私にとっては、今日では(全員が持っている)情報を抱える事、何があったか確認する事自体は重要ではありません。貴方が話したように、重要項目に見える情報を選択する事、取り分け選手との関連付けを行う事が重要です。どのように、各々必要とするものが違う選手達一人一人に適した情報を渡すか、それが私にとって最重要です。
そして、どのようにその選別を行うかも重要です。

A)例えば、情報をチーム、スタッフがよく与えられている組織がある一方、連携があまりなく個々人で取り組む組織があったとしたらどのように調整しますか?

B)先ずはImanol Alguacil監督を長とする指導者チームで話し合います。各々が大変明確な役割を持っています。幸運な事に良い監督(Imanol)に巡り会え、彼は当初から私を信頼してくれました。そのためチームの前で、(自身を持って)試合ごとの準備に関する話をする事ができました。そうした日々の中で私は経験値を蓄え、指導者としてのステップアップに備える事ができました。彼なくしては経験は積めても、此処まで完璧でポジティブなものにはなりませんでした。

A)最終的にLa Realではどれだけ過ごしましたか。5,6年でしょうか?

B)4年半です。

 

A)直接的な質問をします。価値という観点で、貴方はLa Realにどのような貢献ができたと考えていますか?

B)数年間責任を伴って貢献できた事はポジティブな事です。取り分け分析の仕事に関する貢献には付加価値を与えられたと思います。今日では重要且つ基礎的なものになっている分析に私が影響を与えました。そして、分析という分野/部門に従事する人には、他の全ての人が敬意を持っていますよね。分析スタッフはメソドロジーに関する仕事をこなし、異なる専門家がいる。

 

A)的を射た意見だと思います。フットボールそのもの、フィジカル面の準備は明らかに最重要な事柄ですよね。他の全てはその近くを埋めるもので、疲労/過負荷からの回復や適応、分析は選手達がより良いパフォーマンスを発揮するのを助けてくれる要素です。それらの要素をフットボール界にも導入する事は重要です。
(話題を変えて)Roberto Olabeからは何を学びましたか?印象に残っている事を教えてください。

B)彼からは特に働き方、仕事を良く整理して取り組む事を学びました。そして自分が達成したい事に関してとても明確なビジョンを持った人物で、その規模は大きいです。La Realのスタッフには野心的な人々です。野心はとても重要で、彼らのものは明解でしかと持っています。
然し(Robertoは)特に仕事の能力、忙しくしながら日々抱えるタスクをコントロールする能力に長けた人物です。そして3~4年の計画を持っているとすると、その中で上手くいく事いかない事があっても、自分達の目標を達成する為に軌道修正をうまく行う力、自分達で定めた道のりを進み通し続ける力に長けています。

 

A)SDを務めるRobertoは他の人物より日々多くの仕事量を抱えていますよね。また、貴方が仰った彼の長所はmultitaskingと言われていますよね。一度に20だとかどれだけ多くの仕事を同時進行できるか、というものでは無く、問題が生じた場合にもそれに対応しつつ、一つずつ仕事にあたっていく能力の事で。

B)その通りです。

 

A)一方Imanolからは、意識して、もしくは無意識にどのような事を教わりましたか?

B)Imanolは際立った人物です。私は多くの監督と働いてきました。F.Morientes, Thomas Christiansen, Paul Heckingbottom…アトレティコ・マドリーでキャリアを始めて以降、彼らから多くを学んできました。然しほぼ5年をともにしたというのは事実ですが、最も際立っていたのはImanolです。彼のアイデアは整然としていて、彼の考えるフットボールに私は好感を抱いています。フットボールの考え方は個性が出るもので、皆が同意するフットボールの取り組み方があるかどうかは私は知りません。ただ総じて、Imanolは自身が持つアイデア、私が感じた事を全て整理していたという印象を受けました。そしてチームをmanagementする事、フットボールの理解…あらゆる面に優れていて、何か一つを上げる事ができません。「成功を収めている監督」と呼ばれている人物で、チームのmanagementが上手くリーグも上位でフィニッシュしている。選手達は彼の指揮下で、より整った準備をして試合に臨み、多くのものを見てきた。賢く、あらゆる面で私に多くの事を教えてくれた監督です。

 

A)(良い結果を残すには)あらゆる面に秀でていなければなりませんが、それを忘れてしまいがちですね。また、貴方が同意するかはわかりませんが、私はLa Realに関して最も恋しいのはJhonny Porto(Zubietaで選手達への食事を作る料理人)です。

B)ああ、他の人も私の妻に向かってそう言っていました(笑)。私はLa Realのフットボールのプレーを観るのが大好きですが、食事面を離れた今恋しく思っているかと言うと、そうではありません。ですが、Johnyの愛情がこもったご飯が好きな事は確かです。

A)チームが遠征で離れた時、負傷離脱中の選手とともにシュラスコを食べた時もありましたよね。

B)ありましたね(笑)。

 

A)食事の話はこの辺りで。一つの腰を落ち着けた段階を終えた貴方は、アジアの国、日本のフットボール界から声を掛けられ、国外に活躍の場を移しましたね?

B)はい。1年前に日本のフットボールクラブ、徳島ヴォルティスから、私の代理人経由で声が掛かりました。周囲の環境はそれまでの数年間と決定的に変わりましたが、La Realを出て挑戦するタイミングにいると捉えました。ただLa Realでの数年間が経験した中で最も美しく、濃密な時間で、今復帰したいと思っているのは事実です。

 

A)La Real退団は痛みが伴うものだったのでしょうが、日本での経験はその痛みに見合うものでしたよね。貴方にとって、日本のどのような点が関心を惹きましたか?文化、物事の取り組み方等について教えてください。

B)日本ほど私達の国と慣習が異なる国に巡り会う事は無いと思っています。(例えば)COVID-19のワクチンを接種しました。物事の考え方は私達のそれとは全面的に異なります。フットボールの取り組み方、食事の仕方、1日の過ごし方、仕事における責任、勤務時間…その全てが違います。

 

A)仕事における規律/秩序、勤務スケジュールが特長的とよく言われていますよね。

B)はい。想像していたよりも。優れた点に関して言うと、私のあり方を変えるようなものもありました。監督を大いにリスペクトし、あらゆる事に関して沢山の質問をされます。彼らはよく学び、向上しようと心がけています。そして大変長い時間働きます。映画で観たことがあるようにスターバックスのある公園で車中泊をする人も見ました。喫茶店で眠る人もよく見ます。車で定期的に寝ているような人もいて、スターバックスに行けば、駐車場で10台の車を、そしてその内4台では車中で生活している形跡があるという光景を見られます。

色々な発見がありましたが、私は日本の文化が大好きです。此方より好ましい点、学ぶべき、此方でも導入すべき点が沢山あると思っています。

 

A)良いですね。フットボールについては、日本のフットボールそのもの、そして日本の選手達のどのような特徴が目を惹きましたか?

B)技術的に大変優れています。此処ではM.Oyarzabal, R. Le Normandといった選手達とともにいました。日本ではどのチームも40mの距離のキックを練習します。小さい頃からの反復練習の蓄積の賜物だと思います。時間を費やした上で、分析のツールも向上に使われています。選手達の技術は際立った特徴で、身体に染みついています。

 

A)選手達が持っていない素養は何でしょうか?

B)mentalityの部分です。スペインではそこが強い。例えばPKの判定に抗議しないという光景が見られます。選手達の競技レベルは世界の舞台で戦えるものと思います。日本人選手は欧州のほぼ全ての地域でプレーしている事がその表れと言えますよね。mentalityは欠けている部分です。

 

A)少し規律/秩序から外れるべきではないですか?

B)そうなればよりクリエイティブな存在になれるかもしれませんね。彼らは自分達の定めた秩序に沿って行動していて、それにより多くの選択肢が閉ざされています。safetyに行うという文化があり閉鎖的で、負ける(失う)事、失敗する事に心を痛めています。彼らに欠けた点にはそうした背景があります。

 

A)その欠点は指導できる点ですか?

B)はい。私はそれを行うプロセスにいました。彼らには学ぶ環境が揃っていますから。彼らは賢く、外向きのビジョンも持ち併せ、自分達を指導する外国人を招聘しています。また、我々が学ぶべき長所も沢山持っています。今Jリーグは発足から30年という所です。私達は彼ら(の強さ)をW杯で見ています。多くの解決を導きながら彼らは歩んできました。日本は良い未来に向かっていると言えると思います。その道の途中にいる彼らには熱意と手段がありますから。

 

A)試合終了後、ファンにはどのような事を話しますか?

B)(先ず)挨拶しますよね。日本のファンの熱意、人間性等全てにリスペクトを持っています。道は綺麗でゴミが無く何も落ちていません。試合後には自分達の取り組みをスタジアムのあらゆる席のあらゆる人に向けて話します。負けてしまった時には彼らの声を聞きます。負けてしまえばファンはきつく詰めてきます。話す前からかなり怒っていて、言われている内容をスタッフ達が汲めない時もありました。怒ったファンと話す事は何度もありました。

A)翻訳機を持つ事が必要ですが、言われている内容を理解するために、通訳を伴う事が大切ですよね。そして怒っているファンにも良い方法で伝える事が。

B)はい。ヴォルティスは厚いスカッドを持っていて、37人の選手がいる中で通訳の方がいた事は幸運でありがたい事でした。負けた時、引き分けた時はファンの声を聞きます。

 

A)37人は多い数字ですが、全員を同時に指導していたのですか?

B)はい。その通りです。日本では多い人数でチームが構成される事は普遍的ですが、ヴォルティスは中でも特別でした。とは言え、どのチームにも、少なくとも30人の選手がいました。保険を兼ねていると感じます。日本のクラブにはBチームがなく、選手達は18歳の頃に、直接トップチームに行くか、もしくは大学に行くかします。大学に入ってしまえばトップチームには行く事ができません。

そしてクラブは、日本の文化からか、負傷離脱者が出る事に大いに恐れを抱いています。万全を期す為に行うのが、選手数を更に増やす事です。このような慣習があります。慣れたものの、私は約20人のチームを指導するのが常でした。

 

A)そうした経験を経て、秩序が守られ、規律立った仕事をするのに慣れましたか?

B)はい。日本ではトップチームに18歳の選手がいたりしますが、スペインでは通常20歳頃の選手が多いですよね。日本では規律正しく、選手達は働き者で、試合に出られている時もそうでない時もよく練習します。然し、スペインと同様、ロッカールームのmanagementをよく行わなければなりません。選手達はプレーするのが好きで、プレーできないと怒りが沸く。その点に国は関係ありません。

 

A)短期的な視点で、人生のプランを教えてください。

B)指導者として日本に戻りたいと考えています。日本には家族と訪れ、そこには違う文化がありました。言語は異なり、人々は英語を話さない。私は日本でのプロセスを続けたいと思っていました。日本の文化を知り、理解する事は難しい事ではありませんでした。日本での経験をもっと積みたいと考えています。私は世界にオープンな姿勢でいますし、成長できる人間でまだ若く野心的な人間です。将来どうなっているかはこれから見ていきましょう。

 

A)私はフットボールの事はそんなに多く知りませんが、Beñatのチームはどのようなものか、どんなフットボールをするのか教えて貰えますか?

B)既に話しましたが、私はImanolのフットボールが好きで、La Realのプレーのあり方が大好きです。なので、自分のチームに勇気、判断力、ボールの上手な扱い、積極的に戦う事、球際の競り合い、GKも使ってピッチの深さを取ること…を伝えたいと考えています。私は激しく戦うチームが好きです。

 

A)DFは4人、5人どちらで構成しますか?

B)適応という観点で、日本では4人で始め、5人に変化しました。システムより遥かに、アイデア、スタイルが肝要と理解しています。うまくプレーする、私が望むようにプレーするチームが好きです。

大切な事はチームのあり方を持つこと、良いアイデンティティーを持つこと、それからプレー原則を持つことです。仕事を通じてそのようなチームを作っていきたいです。

 

A)とても大切な事ですね。好ましく思います。私は将来システムも重要なファクターになってくると思いますが。全面的に貴方に同意します。選手達に問題を解決する為のツールを授ける事が必要です。そして監督の仕事がチームの性質に影響を与える。

B)仰る通りです。

 

A)私が言及するのを忘れている事で、フットボールの世界で重要だと思う事があればコメント願います。

B)ここではありません。これからも話す機会があると思います。多くの事を話してきました。私の経験をお伝え出来て満足しています。

 

A)沢山の質問をしてきました。このPodcastでは専門家間の交流を通じて新たなアイデアを生み出す事を目的としています。私はフットボールに関して質問をしてきましたが、私達に向けた質問はありますか?

B)貴方は回復の為の水中での仕事に関するpioneerです。既に長い間従事されていますよね。2010年にはもうレアル・マドリーで水中でのセッションに従事していました。10年以上という時間を通じて世界中に知られている事も多いと思います。

少し抽象的ですが、貴方が従事している、水(プール)のフットボールにおける活用の現状は、各クラブ、各国でどの様か、という事をお聞きしたいです。貴方にとっては馴染み深いものでしょうが、大多数の人にとってはそうでは無いと思います。将来をどのように見据えているでしょうか?

 

A)良い質問ですね。追って回答したいと思います。質問を考えて下さった事を通じて、貴方は私の分野にも思いを巡らせてくださったところです。ここからアイデアや感想を生み出しましょう。聞き手の皆さんに向けてお願いします。Beñat。

B)私はフットボールの世界からの観点を提供できます。私は監督達が(度が過ぎて)好まれざる状況に身を置かれるのが好きではありません。相手チームでなく、自チームのファンがあらゆる変化、あらゆる判断の事で監督を執拗に批判するというケースを多く経験してきました。私達がもう少しリスペクトを持って、誰よりチームを良くしたいと思っているのは他ならぬ監督だという事に意識を向けたらどうなるでしょう。この点について私達はよく考えねばなりません。好ましくない状況を何度も見てきています。避けなければなりません。

 

A)素晴らしい反芻になると思います。批判されうるのも建設的な方法でチームを支えるのも構いませんが、そのような好ましくない状況の事を耳にする事が元でフットボールを観ないという人もいます。ここから呼びかけを発信していきましょう。
(以降終わりの挨拶)

 

後書き

如何でしたでしょうか。Labaien氏のキャリア含め、知らない事が多かったです。彼がフットボールをどれだけ愛しているかという事や、学生時代から一貫して監督業を志していた事が伝わってきました。また、日本の特徴として彼が語った「秩序や規律を守る事を重んじ、失敗を恐れて選択肢を閉ざされる」という指摘はサッカーに限らず、読んでいて身につまされるものがありました。
そしてImanol監督への賛辞はかなりの度合いのものでしたね。皆をハードワークして"戦う"集団に鍛えて、ピッチ内外でも模範的な姿を示してくれる正真正銘のリーダーだと僕は思ってきましたが、一緒に働いた人物がここまで称賛する働きぶり、益々感謝の念を積もらせざるを得ません。

徳島ヴォルティスではうまく行きませんでしたが、チーム作りのビジョンを確かに持っている人物だと思います。いつか監督としての経験値を積んで、もう一度ヴォルティスを、またはLa Realを率いる姿を、そしてその時どのようなチームが出来上がるかを見てみたいです。