【23-24 国王杯 1st Round】 La Real対CD Buñol について

今季も国王杯が開幕しましたね。La Realの初戦の相手は、日本でも名高いトマトにまみれる奇祭・Tomatinaの街で知られるBuñolに本拠地を構えるCD Buñol。
チームバスを大勢で、そして笑顔で出迎えてくれる様子にほっこりしました。↓

僕が契約しているDAZNでは放送が無かったので、市内のバルに出掛けて観戦しました。最初に訪れたバルではMovistar+の契約が無くて、移動している間にKOしてしまい、前半20分前後から観始めたのですが、観られなかった方に試合の概要や自分なりに感じ取った事をお伝えしたく、ブログとして残します。

スターティングイレブンについて

スターティングイレブン

ずっと守護神レミーロに蓋をされていたマレーロが今季初出場🎉
Sanseの正GKは現在アジェサが務めていて、番号こそマレーロの方が大きいものの、トップチームでの序列はマレーロが上である事が窺えます。
パチェコのLI起用はアイエンを休ませる為と思います。過去にも何度か務めていました。また、久々に観るウルコのCB起用。近年はPivoteを務める事が多かった彼ですが、CBとしてもプレー可能。配球と恵まれた体格を活かした当たりの強さは非凡なものがあると思います。
ザカリャン、オラサ、トゥリの中盤3枚はここで実力をアピールして重要戦力たる足掛かりを掴んで欲しいですね。

試合内容について

前半

La Realが終始ボールを握って攻撃の糸口を探る展開。CD BuñolはLa RealのCBにはあまりプレスに来ず、その先で圧縮して奪う構え。

La Realの左サイドはSBのパチェコがハーフスペース下がり目辺りに構えて配球役を担い、大外はモモに任せる立ち振る舞い。元中盤で捌きが上手いパチェコがこの役割を担うのは分かるけど、モモは利き足サイドという事もあり、複数人で対応されると単独では中々こじ開けられず。ザカリャンもサディクも自分の持ち場に拘ってあまり関わりにいかないのも左で詰まる要因の一つと見受けられました。

右サイドは、パチェコが内寄り下がり目に絞る関係でアリツ‐ウルコのCB2枚+パチェコで3枚気味になる兼ね合いからオドリは高めに位置。然しボールを持って違いを生むタイプでは無いEDのマグナと、使われるのが得意なオドリ、そして圧縮されてボール循環が厳しい中でトゥリの補助に忙しいオラサ、やはり中央に拘るサディクという面々で中々ハーモニーを生み出せず此方も停滞。

結果スペースにパスを出してもマークが着いたアタッカーに出すのでしっかり潰され、WGの突破に頼るためにサイドに出しても出した先で詰まって奪われるか、一度戻してまたボールが左右を行ったり来たりと、敵陣深くに攻め入る気配も無い寂しい攻めに。
La Realの攻めが不甲斐ないのもありますが、1部のチーム相手にもしっかり連動して対応し切るCD Buñolの守備の頑強さも感じました。
自分が観始めてからは放ったシュートの殆ど全てがブロックに侵入できずに放つミドルばかりでした。

一方CK以外は相手を早い段階で弾き返し続けた守備陣は良い仕事をしてくれたと思います。

後半

HT明けに2枚交代。
ED:#28 マグナOUT→#38 A.ダディエIN
CFW:#19 サディクOUT→#9 C.フェルナンデスIN

A.ダディエ(2002, Donostia)はこの日がトップチームデビュー🎉
Cチームに在籍していた時からプレーをちょくちょく観ていた選手で、La Real印の【敵陣深く攻め込む】を体現してくれる順足サイドアタッカー。ポジショニングの工夫と仕掛けの速さでサイドを活性化してくれる大好きな生粋のウィンガーです。

結果、この途中で入った2名がゲームチェンジャーとしてチームの攻撃を活性化してくれました。
 CFDEZはスペースを攻撃するのに長けているという特長を生かし、前半から再三突破を仕掛けて相手の注意を引いていたモモが引きつけて空けたスペースに入って左サイドの攻撃を活性化。
 一方ダディはただ大外に張るのではなく、オドリとの関係性を強く意識。これで前半はややマグナとスペースを喰い合ってしまっていたオドリとお互いを活かして攻められるように。また、持ち味の思い切った仕掛けは右サイドを深く抉った他、可能な時には斜めに持ち込んで行く事で、
・オドリが空いた外を使える。
・元々中にいるCFDEZやIH達との連携が使える。
というグループによる攻めを実現してくれました。
両者ともこの日の殊勲弾の立役者に。ダディはやや遠目から強いシュートを相手GKに撃ち込み、CFDEZはそのこぼれを押し込んでくれました。
得点関与を除いても、前述のような貢献でチームに勢いをもたらしてくれました。

また、言及を欠く事ができないのはトゥリエンテスの剥がし&前進。パチェコが後ろに残る事を頭に入れてか、前半よりも積極的にボールを握り、自慢の両足の技術ですいすい前進。前半には正対せずに1,2タッチで逃がしていたあの姿とは丸で別人。アンカーの位置から1人2人剥がして味方に渡す存在感は抜群。
また、守備でもブライスブスケツを彷彿とさせるような即時奪回の瞬時のアプローチで相手の攻撃を何度も封殺。驚くべきパフォーマンスでした。

また、77分からオドリと交代で同じLDに入ったJ.アランブル(2002, Venezuela)もトップチームデビューを果たし、チームの勝利に貢献しています🎉
ダディと同じく普段はSanseでプレーしている彼はベネズエラのフル代表でもプレーしており、ハードワークと球際の強さで貢献してくれるファイターです🔥

2人の活躍もあって勢いづいたチームは多くの決定機を生み出しましたが、枠に嫌われたり仕留め切れなかったりで追加点は生まれず。
但し、後述の理由で自分はこの試合を肯定的に捉えています🔍

この一戦に感じた「課題」

クラブとしては負けられないこの一戦、HT明けに切った交代の攻撃のカードが主力でなく寧ろSanseの選手だった事等から、自分はImanol監督が以下の課題を掲げて望んでいたと考えています。

🔹主力及び独力による打開を持った個人の力に頼らず、チームとして攻撃して得点を挙げる
🔹(可能な限り)主力の力に頼らずに勝利を挙げる。
🔹普段出場機会が無いが将来有望な若手に経験を積ませる。

近頃はモモを左サイドで起用する事が多かったものの、限られた手札で手堅く勝とうと思えばカットインから決定機創出を狙える右サイドで起用したと思います。そうすればチームとしてもアイソレーションなり最低一つは相手に脅威を与えられる攻撃の形ができる筈。
また、後半頭に入った2人のアタッカーは個人打開と言うより、チームの中で役割を発揮してこそ生きる選手。

この試合、前半は本当に苦しみましたが、後半絶対的主力達に頼らず普段は出場機会が限られる若手主体でもチームの連携で相手を崩せた事は、大きな事だと僕は捉えたいです。

イマノル監督は試合後以下の様に語っていました。

「Buñolは守備面で高いパフォーマンスを発揮し我々は苦しんだが、いつもと異なるプレー環境にあっても主力を休ませ、3名をトップチームデビューさせるなど若手を使いながら勝利を収める事ができた。1-0という僅差での勝利ながらチャンスを数々創出した。目的を達成できた。」

最後に

試合を観られなかった方に、少しでも雰囲気が伝わればと思い、ここに残します。
6部相手に1-0はどうなの?と思われる方もいるでしょうが、僕はイマノル監督が個人の力に頼らずあくまでチーム全員で戦うLa Realの戦い方を主力抜きでも張った事や、その中で苦しみながらも選手達が力を発揮し、最後には形にしてくれた事を肯定的に捉えたいです。
沢山の試合を戦う中でサブ組の力も必要不可欠。彼らにとってこの試合が良いきっかけ

となる事を願って止みません。