20-21 ラ・レアル選手紹介③(FW編)

チームのFW陣の紹介です。木村浩嗣さんが何かの記事で言及していたが、このチームはサイドアタッカーを利き足と同じサイドに置くことが多い。これは、SDオラベが語った、深く攻め込むというチームのゲームモデルの一要素が影響しているように思う。利き足のサイドであれば、一番警戒すべきゴール方向への斜めのコースを優先して切る相手DFに対し、遠い位置で、自分の半身を挟んでボールを持てるからである。ペネトレートやワンツーでゴールに迫るバレネチェアや開いた位置からの仕掛け、パスといった技巧で勝負するヤヌザイは逆足のサイドが主だが、レフティーのオヤルサバル、メルケランスは左サイドが、右利きのポルトゥは右サイドが主戦場である。

左右のサイドアタッカー及び9番の3つのポジションを主担当とする選手について紹介します!守備陣、中盤については以下からご参照ください。

wesleysni.hatenablog.com

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 参照元Real Sociedad - Detailed squad 20/21 | Transfermarkt

 

#7 Cristian Portugués(クリスティアンポルトゥゲス)

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Age: 29

Place of birth: Beniel(ムルシア(県/州))

Contract: Jun 30, 2024

名門バレンシアCFユース育ちの走り、闘うチームプレイヤー。ヤヌザイとの競争に遭いながら、先発24戦ながら8G3A(交代出場13試合と多いけど/プレー時間: 約2190分)。バレンシアペーニャ代表のOkkuさんから、彼がVCFユース出身で当時は守備的中盤などでプレーしていた旨ご教示いただいた。ラ・レアルにいつも力いっぱいの貢献を果たし、チームを家族と表してくれる彼を育てたバレンシアCFには感謝しかありません。いつぞやのFOOTBALL FREAKS(DAZN)で彼のインタビューを観れた。代表のオヤルサバルやシルバが注目・メディア露出を集めがちだと勝手に思ってるので、にやけた。スピードと強さを備えたアタッカーで、スピードといっても加速も速度維持もどちらも長けており、加えて当たりの強度を活かすことで競り合いを制してゴールに迫る。特に前半戦は困った時は彼を走らせるパスを蹴ればいっかみたいな決め事があったように感じた。また、ランニングの質が高く、特に斜めのランニングで敵の守備陣に混乱を生み、自ら、またはチームメイトのシュート機会を作る。追い回すハイプレス、ブロック守備のどちらも得意で、当たりの強さと距離感の良さで敵の侵入を食い止める。ヤヌザイ起用時より守備を安定させる。

一言で言えば、攻守両面で最高の選手。167㎝と高さはないものの9番としてもプレー可能で、特にゴール右斜めからの決定力は特筆すべきものがある。逆にイージーなシュートを外してしまう場面がちらほら見られ、今季もこの点が何とかなっていれば2桁決めてたと思う。ビッグクラブに抜かれないよう調整。偉い人にはそれが分からんのです。

 

#11 Adnan Januzaj(アドナン・ヤヌザイ)

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Age: 26

Place of birth: Brussel(ベルギー首都)  

Contract: Jun 30, 2022

代表に度々呼ばれるオヤルサバルやメリーノ、シルバに次いで国際的に有名なんじゃないか?ユナイテッドで衝撃を残した技巧派アタッカー。シルバ離脱時中央でも試されたが微妙だった。インテリオールである以上守備の良さも必要だし、プレーも組立てに貢献するよりボールを届けてもらう側の選手なのだろう。私はそこまでは彼を買ってないんだが、ソシエダペーニャの皆さんには残留派が多く、信頼を得ている。実際技術があって、更にそれを抜くためだけに使うんじゃなく狭いところでキープしてくれる。そしてタッチラインを踏むぐらい開いて受けてくれるのはチームにとって非常にありがたい。ポルトゥとタイプの違う右のアタッカーという部分でも現状貴重。右本職はその2枚だけなわけだし。

私が彼を初めて観たのは13-14開幕前の日産スタジアムでのマリノス戦だったよ、スルーパスに生きる技巧派トップ下なんかなあと思ったら、名を馳せたのはウイングとしての活躍でしたな。あの時彼10代だったんよね、そりゃ騒がれるわ。香川とドルトムントでもレンタルかで一緒にやってたよね、ラ・レアルにはユナイテッドからの完全移籍で2017年夏に加入していた模様(移籍金850万€?)。私がラ・レアルを観ているのが今季からなので、あ、どうもお久しぶりですという気分になった。ラ・レアル4季目の彼はリーグ戦17試合(内先発12)に出場し、4G4A。彼の今季の印象的な活躍としてはやはり何といっても来季EL出場が懸かった最終節。サイド攻撃を活性化し、CKから決勝点を演出した。昨季の最終節アトレティコ戦でも彼は同点に追いつくゴールを決めており、その活躍から勝手にEL請負人と呼んでいる。

 

#19 Alexander Isak(アレクサンデル・イサク)

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Age: 21

Place of birth: Solna(ストックホルム県、スウェーデン)

Contract: Jun 30, 2024

17歳の頃ドルトムントに渡った神童。ソシエダに来てくれてありがとう。ドルトムントにいた頃から期待しかしてませんでした。今季17Gはキャリアハイなんじゃないか?リーグ戦34試合(内先発4)出場。プレーの引き出しの多いFWで、最前線中央でボールを受けられなくてもサイドに流れたりバイタルに引いたりしてボールを引き出す。タイミングも良く、他のアタッカーやインテリオールが受けられない時に彼に助けられる場面が何度もあった。背負ってる時は味方にはたき、フリーの時は前を向いてドリブルやワンツーで敵守備攻略にかかる。繊細なタッチで相手を翻弄し、大きなストライドで抜き去る。一旦スプリントに入ると中々止められない。個による打開。ポストプレイヤーではないがポストもこなすし、守備も割と結構走ってくれる彼に一点不満を言わせてもらうと、もう少し空中戦頑張ってくれませんか?クロッサーの精度もあるのかもしれないが、浮き球のクロスをシュートまで持ってく雰囲気がない。結構プレーがエレガントなんよなwドルトムントの買戻しOP行使に震える。どうやら、ソシエダ-ドルトムント両フロントの交渉により、RSO→BVBの300-400万€追加支払いによって、買戻しOP取下げ合意がなされた模様!( Isak deslumbra )

ハーランドやムココという素晴らしいFWがいらっしゃいますね!あとトルガン・アザールやロイスの偽9もええやないすか!完璧ですね!!ハーランドを獲得するチームはFW(+金銭)で取引きくださいますよう何卒よろしくお願いいたします\(^O^)/(大声)

 

#9 Carlos Fernández(カルロス・フェルナンデス)

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Age: 25

Place of birth: Castilleja de Guzmán(セビージャ県、アンダルシア州)

Contract: Jun 30, 2026

 セビージャカンテラが生んだ俊英FWは本年1月にソシエダに加入。ウルブズにローン移籍したW.ジョゼと入れ替わり。移籍金1,000万€というソシエダにとってのビッグディールには、イサクの買戻しOPが関係してそう。ソシエダ加入後は今季リーグ戦11試合(内先発4)出場、1G2A。イサクよりポストプレーは丁寧で、空中戦も強い。ディフェンスもしっかり追ってくれるし、サイズに甘えず、大迫のように地に根を張ってしっかり球際で戦うのが好印象。周りを活かすのが得意なチームプレイヤーと見える。左インテリオールでもプレー可能。周りが良く見えている印象、意外性のあるパス選択で相手の出足を鈍らせる場面が度々あった。完全にフィットすればトッティのように周りも操る9.5番になりうるんじゃないかと期待を膨らませている。今後が楽しみな選手。

 

#25 Jon Bautista(ヨン・バウティスタ)

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Age: 25

Place of birth: Mahón(メノルカ島、バレアレス諸島)

Contract: Jun 30, 2023

今季リーグ戦21試合(全て途中出場)出場、プレー時間は約350分、0G1A。ただし、ELでは5試合(全て途中出場)出場、プレー時間約110分で2G。グループステージ突破に貢献した。受けてからシュートに結び付ける独特のセンスはイサクらより上。くるっと反転してGK正面を外してマウスを捕らえる。リーグ戦でも惜しいシュートが数本あった。ただ、彼の難点としてパフォーマンスに加えて守備強度にも波があり鬼神のように追い回し、身体をぶつけて相手にチャレンジしてくれる時もあれば、途中投入でそれは勘弁してくれよ...という有様の時もある。現スカッドに9番が他に2枚おり、現状CFWの3番手。個人的にはある程度の当たりの強さとタフネス(波があるが)があるので、ポルトゥの代役が務まる唯一の選手なんじゃないかと期待している。イマノル監督、彼のサイド起用いかがですか??まあとは言っても一番期待したいのはゴール、Bチームにロベテやカリカブルが控えていることから、ここ数年の働きいかんが彼の未来に大きく影響しそう。

 

#9(移籍前) Willian Jose(ウィリアン・ジョゼ)

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Age: 29

Place of birth: Porto Calvo(アラゴアス州、ブラジル) 

Contract: Jun 30, 2024

長身と身体の強さを活かしボールを守り、また持ち前の足元の技術でキープからの展開でアクセントも付けられるCFW。空中戦も強く、彼がいるとクロス攻撃に可能性を感じる。アクションが多くなく見え、前線でボールに触る回数は多くないが、中盤に引いたり再度に流れたりしてボールを受けに来る。中央にいる彼に渡せないチームが悪い?面もあったかも。キープに自信があるからか、若干球離れが悪い。ヒメネスの離脱を受けてか冬のマーケットでウルブズに渡るも、EPL17戦(内先発12)出場1G1Aに終わり、おそらく買取OP行使は無さそう。移籍前はソシエダでリーグ戦13試合(内先発8)出場、3G1A。19-20は11G、18-19は11G、17-18は15G、16-17は12Gを決めていたので不本意なシーズンだったと言える。来季チームにいないのだろうか。もう一華咲かせられる年齢だと思うので、どこでプレーすることになっても今後の活躍に期待したい。願わくは出場機会の得られるチームでプレーして欲しい。とても良い選手なんだよなあ。

 

#10 Mikel Oyarzabal(ミケル・オヤルサバル)

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Age: 24

Place of birth: Eibar(ギプスコア県、バスク州)

Contract: Jun 30, 2024

地元の星。今季リーグ戦33試合(内先発30)出場、11G8A。アシスト8つは立派ですね。因みに19-20は10G11A、18-19は13G4A、17-18は12G7Aと若くして安定した活躍を見せている。好調時は足にボールが吸い付き、スピードに乗った状態でも流れるようにプレーする。彼のストロングポイントの一つに落ち着きが挙げられ、エリアやバイタルなどゴールに迫った場面でも力みがない。ゴールの多さもこの特性によるところが大きいと思う。得点もシュートも力いっぱい蹴り込むものでなく、GKをきれいに外すものが多い。ただ、綺麗なドリブルを披露するがとんでもない加速やフェイントを持ち合わせているわけではないので、大外で1対1になった時、近くに味方がいないとそこからの展開に窮することも多い。これはメルケランスも同様であり、この2人に関しては相手の守備網がある程度整っている時にサイドでプレーする場合は、アイソレートするより味方がトライアングルで攻めれる位置に入るのが良いと思う。シーズン後半、モンレアルが高い位置を張り、オヤルサバルが中に入ってプレーしていたが、オヤルサバルはあまり中で受けるのが得意でないように見えた。モンレアルも一人で色々完結させてしまう力強い選手なのであれだが、再度の連携で崩す場面がもっと観たいかなと思った。左サイドに流れることを好むイサクとの好連携でチャンスを何度も生み出した。また、守備の良さはメルケランスやバレネチェアには無い武器で、周りをよく見ながら適格なポジションをとり、味方に指示を送りスムーズにマークを受け渡す。元々うまかったのか継続して出るうちに良くなったのか。故障離脱からの復帰後はやや調子を落とし(離脱前:11戦7G/復帰後:22戦4G)、ボールを中々受けられず消えていると揶揄される試合も多々あった(私も何度もした)が、それにはエルストンド、シルバら代えの利かない主力の離脱もありチーム自体が調子を落としていたことや、あまり快適そうとは言えない左インテリオールの位置で起用されたり、怪我人が相次ぐチーム事情やイマノル監督からの絶対の信頼からか連戦を強いられ疲労を引きずったことも大きいと思う。来季はメルケランスやバレネチェアとうまくローテーションしながら、ピッチに立った時には第31節セルタ戦の投入後に見せてくれたような、翼を授かったかのようなプレーを見せて欲しい。あと、PKまたぴょこんと跳んでくれ(インパクト前に時間を作り、動いたGKの逆を瞬時に仕留める魔法のPK)。

 

#22 Ander Barrenetxea(アンデル・バレネチェア)

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Age: 19

Place of birth: Donostia/San sebastian(ギプスコア県、バスク州)

Contract: Jun 30, 2027

ソシエダ間宮祥太朗(正面はそこまでだが横や斜めは結構似ていると思っている。因みにイサクは森泉さん)。リーグ戦31試合(内先発13)出場、3G0A。本職の左WGの他、右WGでプレーしたり、時にはSBをやらされた。怪我人は多かったし彼に経験を積ませたいのもわかるがうーん...まあでも、守備をある程度成り立たせていたし、守備の向上に繋がった?と思えば良き足跡だったともいえる。バルサにボコられた第28節、右WBに入ってこの試合チーム唯一の得点を叩き出し、ファンの溜飲を下げた。恐れず仕掛けるドリブルが代名詞のこの選手は、前半こそ自ら仕掛けてクリーンに奪われてしまう場面が目立ったが、終盤戦は駆け引きの妙を見せ、相手がボールにチャレンジするタイミングで逆をとって抜く場面を作り、多分終盤戦鳴りを潜めたチームのドリブル王イサクより全然突破を成功させていた。一瞬の加速力をもってポケットを抉る。不調のオヤルサバルをベンチに追いやって出る日もあったぐらいで、来季も楽しみ。この男のもう一つ目立つ武器は、シュートのインパクトの強さである。13節のエイバル戦で放ったエリア枠線直後でダイレクトで放ったシュートは、唸りを上げてバーを叩き、その弾速は一部で158km/hとも言われた。バルサにはアンス・ファティが、ビジャレアルにはジェレミーピノが、ラ・レアルにはこのバレネチェアがいる。

 

#17 Martín Merquelanz(マルティン・メルケランス)

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Age: 26

Place of birth: Irún(ギプスコア県、バスク州)

Contract: Jun 30, 2025

昨季2部ミランデスで15G10Aをマークし、レンタルバック。リーグ戦13試合(内先発4)出場0G1A。後半戦アイエンが離脱すると、WB(SB)に入ることもあった(28節バルサ戦では頑張っていたがかなり手を焼いていた)。昨季2部で2桁得点以上をマークしたアタッカーにとってDFとしての出場は悔しかったかもしれないが、彼の守備意識、スキルの向上に一役買ったことと信じたい。彼の目に着く武器は抜群の精度を誇る左足と面白いポジショニング。FKもCKも、彼がいる時は、彼がファーストチョイスだと思う。一定のボールスピードがあり、GKも飛び出しづらい。グイっと曲がるが飛程も長く、弾道もある程度の高さがあるのでDFの頭を超えて味方に届く。クロスもCKも、彼がキッカーというだけでかなり期待を高く持てる。シュートのレンジも広く、エリア手前から狙っていける飛び道具を持つ。スナイデルのような弾速、弾道が落ちない無回転ミドルを放つ。また、オフザボールのポジショニングが独特で、特にチームが攻め込んでいる時、相手DFがボールに引き寄せられがちな際、巧みにギャップを突いて浮く。ボールコントロールが上手く、トラップからボールを飼い慣らす技術を持つが、スピードに優位性はなく、抜くドリブルは得意でないためウィンガーとして突破力は平均以下だと思う。ただし、身体が強く大体の当たりに耐えるためマークにあっていてもボールを受けることが出来る。そのキープ力から、シルバの位置でも観てみたい。イマノル監督は彼が不調の時でもオヤルサバルに拘っていたように見えるが、パスセンスや身体の強さ、左足の精度は彼より上のこの選手をベンチに座らせておくのは勿体ないと何度も思った。ただし、彼の競争相手は年下にして代表に定着するオヤルサバルと神童バレネチェアである。ラ・レアルのファンとしてはこのチームで成功して欲しいと思うが、一方この選手の一ファンとしては、もっと重用されるクラブでプレーするの選択もあると思ってしまうので複雑(最もオヤルサバルやバレネチェアなど、現スカッドサイドアタッカーが去ったら話は変わるが、現に1部のクラブからオファーを受けているらしい。それを聞くと...)。プレイヤーとして最も脂がのった年齢に差し掛かる彼の今後を注視したい。