PSM レアル・ソシエダ 対 SDウエスカ(2021/7/17)
U-24のスペイン対日本がやっている一方、スビエタではこのカードの試合が行われていた。5時間強にわたる信仰勧誘を乗り切った私にはスビエタのピッチ、周りの緑と青空のコントラストはあまりに美しく、心が洗われたような気分に浸った。
かなり主力が出ている。特にアリツ、サルドゥア、シルバ、ヤヌの右はガチガチですねw アンカーの位置は代表招集でスビメンディを、負傷でゲバラとイジャラを欠いており、この日はサンセからトゥリエンテスが抜擢。彼の本職は一列前のインテリオールだろうけど。バウティが左SHに!彼のサイド起用を陰ながら推していたので、非常に楽しみ。「サイドアタッカーは寧ろ人員過多やん」とは言ってはいけない。一番の武器は周囲に敵がいても前を向き、シュートを放つセンスと見えるが、ある程度の走力と足元の技術に、半端な寄せなら跳ねのけられる当たりの強さがある。怪我人が良く出るチームなのでこなせるポジションが多い方が出場機会増に繋がるだろうし、これが本人のプレーの幅を広げることにもつながって欲しい。
<守備>
シルバが前に出る4-4-2。前からガンガンいくというよりは選手間の距離をコンパクトにして網にかける。1stラインより前いかれるとシルバが中盤ラインに下がって4-5-1。奪った後、ボールホルダー及びその周りの選手に素早く詰め、何度か奪回した。グリディの出足がよく、何度も引っ掛けていた。自陣での守備は、昨季からソシエダはサイドからの崩しに弱い気がする。可能な場面ではしっかりボールにアタックして良いクロスを入れさせないようにしたり、奥深くへの侵入を阻みたい。
(HT)
メンバーが変わってもメルケランス、ナバーロ又はポルトゥがトップのウィリーと並ぶ4-4-2のプレス。ドリブルのあるナバーロは奪った後の攻め手としてもよく機能していてカウンターに期待をもたせた。キレがあった。相手のビルド時、なぜかポコルニ―が結構前にいて圧を掛ける場面が多く、後ろの人数が少なくなってて怖かった。ウエスカはフィジカルに強みがある前線にロングボールを入れてくることが増えたが、うまく対応していた。裏へ走らせるボールは少なかったが。縦に入れてきたタイミングで前を向かせず潰せる場面が多かった。DF陣ナイス。新顔のポコルニ―は大柄(Transfermarktによると身長183cm、昨季はオーストリア1部でプレー)で、競り合いは中々に強そう。
<攻撃>
ウエスカは前はエスクリチェの1枚なので、両CBは割と自由に持てる。ただ両WGの位置取りは中盤ラインと横並びではなく、SBや中盤に入ると厳しくチェックに来る遊撃型。ソシエダがセンターラインを超えると1-5-4ブロックに変える。ソシエダが自陣深くで回す時は、二度追い含めかなり圧力をかけ、マンツーマン気味にはめにくる。
ビルドアップの時ヤヌザイが右ハーフスペースに引いてもらいに来ることが多かった。また、縦パスをゴールに背を向けて受け、ワンタッチでCBに返す中盤が多い中、時々斜めに動きながら前を向いて受けるシルバの上手さが目立った。アンカーに入ったトゥリエンテスは寄せられてもうまくボールを逃がし、時には敵を躱した。また守備でもボールにかなりアタックし、パスカットを成功させる場面も何度もあった。バンバン前につけるアリツとパチェコのコンビ、すごいなあ。
(HT)
メルケランスのプレースキック、いつ観ても惚れ惚れするなあ。右のCKはメルケランスが、左はナバーロが担当しそれぞれゴールに向かって巻くインスイングのボールを蹴る。両CBのパス出しの志向(スベルディア&ルノルマン<アリツ&パチェコ)、両インテリオールの引いて受ける意識(メルケランス&ナバーロ<シルバ&グリディ)の差からか、サイドのレーンからボール出しをする場面が増えた。また、前半よりアンカーを経由しない組立て・攻撃が増えた。途中メルケランスとバレネが位置を入れ替えている場面があり、面白かった。昨季のバレネは左右のWGと右SBはやったが、中央はやってない(EL、スーペルコパは観てないけど)。
ポルトゥが入ってかなり右からの攻めが増えた。この試合でも彼の推進力は健在。右で作って左に開くバレネに展開するパターンが多かった。ウエスカは中を固める分、CBから大外へのパスでボール出しを成功させる場面が多い、というかウエスカの前からの圧力が前半より弱く、1stラインもCBに寄せに来るのではなく、ずるずる下がって中盤ラインに吸収されていくイメージだった。
(得点等&交代)
※申し訳ないがウエスカの交代で出てきた選手が分からないので、選手交代は分かる範囲で書きます。
’1 ⚽RSO 1-0 HUE グリディ(アシスト:バウティスタ)
ウエスカ、センターライン手前(自陣)からスローイン→シルバがレシーバーに寄せ左サイドライン際でボール奪取してからの流れ。
ごちゃごちゃしてしまったが、タイミング良く攻めたシーンだったので。
①シルバが奪った直後の時点では、左のタッチライン際に構えるバウティの前にはマーカーの相手右SBバル、その後方に右CBプリードがおり1対2。
②シルバが少し運んだあとフェルナンデスがゴール方向にダイアゴナルラン→ライン際にいたプリードが中に動く。サルバドールのシルバへの寄せが甘く、バルはシルバがそのまま突進してきた場合の予防的位置取りでバウティに寄せきれない
③シルバがバウティへスルーパス→上図円形で囲んだスペースへ、1stタッチで大きく蹴りだし、ゴールラインからマイナスの折り返し→フェルナンデスが囮となり、プリード、シオバス、マテウの前方を通過したクロスを走りこんだグリディが右足ダイレクトで仕留める。
まず、シルバが運んでいる時、フェルナンデスが突っ立っていたらバウティは突破できてなかったと思うし、そのまま止まらずゴール近くまで突っ込んだのもgood。シルバのパスのタイミング、質は言わずもがなだし、ワンタッチ目で大きく仕掛けたバウティも良かった。グリディは昨季結構逸機があったのに冷静な良いシュートだった。走りこむタイミングもジャスト。
’6 ⚽RSO 2-0 HUE ヤヌザイ(アシスト:トゥリエンテス)
左ハーフスペース辺りで細かく斜めにジグザグに繋いだ流れから、トゥリエンテスが右ハーフスペースにいるヤヌザイに展開、右外を回ったサルドゥアのおかげで前方に敵の減ったヤヌザイはエリア手前から左足一閃。これがサイドネットに突き刺さる。ゴラッソだが、バウティ、グリディにCFDEZ、トゥリエンテスが加わった左サイドが機能し、左でテンポよくボールを回し、敵を引きつけたのが良かった。
’25 ケビン、左足を踏まれた後の着地?で左脚のハムストリング、半膜様筋を痛めてしまう。10人になったソシエダはトゥリエンテスがパチェコの位置に、パチェコが左SBの位置に。
’30 ソシエダ1人目の交代
①#3ケビンOUT、#12アイエン・ムニョスIN。
左SB同士の交代。
’32 ⚽RSO 3-0 HUE フェルナンデス(アシスト:ヤヌザイ)
グリディが自陣で奪取してから独力でバイタルまで運ぶ活躍、カウンター発動。左で張るバウティに短く渡す→バウティ、左ハーフスペースで密集相手に切り込み、中央にシルバがフリーで抜け出すもここには出せず、トゥリエンテスに下げる→トゥリエンテス、すぐさま右ハーフスペースで浮くヤヌザイに展開→ヤヌザイ、ペナ角からアーリーでゴール左から斜めに飛び出すCFDEZに合わせ、左足のワンタッチゴール。非常にヤヌザイの球質が良く、CFDEZは触るだけだった。
ここもバウティの仕掛けが効いた、良いぞ(ニッコリ)。そして2点目に続き、トゥリエンテスの展開が素晴らしい。
’34 RSO 3-1 HUE⚽ エスクリーチェ(アシスト:フェレイロ)
ヤヌザイのボレーがGKに阻まれて、被カウンター。攻め込んでいたのでアタッカー陣は戻れず、DF4枚+トゥリエンテスでの対応。サルドゥアが絞った分フェレイロとの距離が空いていたのはしょうがないし、フェレイロに出す前のエスクリ―チェの溜めも非常にいやらしかった。フェレイロの、GK,最終ラインの間に入れる高速クロスにエスクリ―チェが合わせた。エスクリ―チェの動きが非常にうまく、プルアウェイで一回パチェコにくっついておきながら離れ、外を回ってからニアに入り直してクロスに合わせた。パチェコは見失った感じだった。
難しいけどアイエンは最後のところはもっと絞って良かったかもなあ。
’45 かなりウエスカの選手が変わっている。
ソシエダも交代。
②右CB #6アリツOUT、#5スベルディアIN。
③左CB #26パチェコOUT、#24ル・ノルマンIN。
④右SB #2サルドゥアOUT、#18ゴロサベルIN。
⑤アンカー #27トゥリエンテスOUT、#30ポコルニ―IN。
⑥右IH #14グリディOUT、#29ナバーロIN。
⑦左IH #21シルバOUT、#17メルケランスIN。
◎本人志望の中央で出れて良かった!おめでとう!
⑨左WG #25バウティスタOUT、#22バレネチェアIN。
⑩トップ #9フェルナンデスOUT、#23W.ジョゼIN。
フィールド全員入れ替えてて草。とりわけナバーロとメルケランスの両インテリオールは公式戦じゃお目にかかれないかもなあ。ダブルオフェンシブというファイヤー。ただ、後半失点なかったんだね。メルケランス、ヤヌザイよりディフェンス頑張っているという印象。コースも切るし距離があっても追っていく。今季の彼に期待。
’58 #1レミーロOUT、#34アジェサIN。
これで11人総入れ替え。アジェサがライアンに先んじて実戦へ。
’63 ウィリー逸機(アシスト未遂:バレネチェア)
バレネが敵4-4-2気味の中盤ラインの脇に降りてルノルマンからグラウンダーのパスを受ける→バレネについて相手右SBが前に出た裏にナバーロがハーフレーン→大外のダイアゴナルランで抜けてスルーを受ける。インナーラップしてきたバレネに浮き球で出し、バレネはダイレで中に、このクロスをウィリーが右のアウトで流し込む。。。かと思ったらマウス僅か左に逸れ、サイドネットを掠めていた。
まずバレネの受け方が良かったし、すぐスペースを突いたナバーロも良かった。ウィリーは中に入るタイミングをやや遅らせることで、撃つだけのスペースを確保した。皆ナイスです。
’71 ⚽RSO 4-1 HUE ウィリー(アシスト:ナバーロ)
ソシエダ左からのスローインを奪われた後、センターサークル内に構える前線の選手に展開したところを絞っていたゴロサベルが奪ってカウンター発動。縦方向にいたポルトゥに繋ぎ、カウンターランでポルトゥと交差して右斜めに回ったナバーロに、ナバーロはダイアゴナルランでDF2枚を引きつけゴール中央で構えるフリーのウィリーに。ゴロサベルから2タッチ*2、その後ラストパスがダイレクト、シュートもダイレと小気味良いカウンターだった。奪った後の皆の意識が高かった他、エネルギッシュかつ効果的で、敵守備を狂わせきったナバーロのランニングを評したい。
’81 ⚽RSO 5-1 HUE ナバーロ(アシスト:ポルトゥ)
左CBのルノルマンからハーフラインを超えた位置に高くライン際に張り出したゴロサベルへロングパス、これが通り、1枚2枚と躱し、内側のレーンにいるポルトゥへ、ポルトゥはボックスの中まで運び、最終ラインとGKに間に転がしたボールにナバーロが詰めて得点。ポルトゥもナバーロもよく走った。ウエスカDFはボールウォッチャーになってナバーロを空けてしまった。
’87 ⚽RSO 6-1 HUE ル・ノルマン(アシスト:メルケランス)
開いてCBからのパスを受けたポルトゥが倒され、ペナ角から5~10m弱後方の位置のFK獲得。これをメルケランスさんがゴール前のル・ノルマンにしっかり合わせてヘッドで得点。実は84分にも、これより更に10m弱後方からのFKをフリーのノルマンに合わせている。手前のDFを超える軌道でかつしっかり緩やかな曲線を描いて味方に合う。このキック一つだけでも特別な選手と言える。
’90 前後半ともにATを取らずに終了。つうか前半は左上の計測より早く終わってて笑った。20秒ぐらいは余してたと思う。
(感想)
・全体的に動きが良かった。今後にかなり期待が持てる。怪我だけは気を付けてください(大声)。
・バウティ良かったんじゃないか?2点目のシーンではフェイクを交えたパスも披露したし、前半10分、33分には2アシスト目未遂もあった。
・ヤヌザイ、守備強度が低い。シーズン始まったらちゃんとやれよ。ベテランのシルバと隣同士なんだからお前が頑張らなきゃ右から崩されるぞ。近くで回されてんのに何ジョギングしてんだか、走れ。
・バレネの仕掛けは強烈で、ナバーロとの連携も良かったが、もっとSBのアイエンの攻撃参加が観たかった。右のゴロに比べれば控えめに見えた。勿論そのおかげで思い切って前線が勝負にいけていた部分もあるが。
・メンバーが変わった後半もしっかり戦えていた。攻め込まれる場面が少なかったので守備はあまり調子をはかれなかったが、縦パスを跳ね返す守備は良かった。
・ポコルニ―は新顔ながら落ち着いてプレーしていた。ただ、味方との連携やパスを引き出す動き、受けてからの捌きはサンセの先輩、トゥリエンテスには見劣りした。取りあえずいきなりのトップデビューおめでとう。