21-22 LaLiga 第9節 レアル・ソシエダ対マジョルカ
マジョルカとの対戦で日本語実況ktkr!と思いきや久保負傷でいつも通りの英語実況という仕打ち。酷いや。若くしてプリメーラのクラブで主力扱いを受ける久保は確かに日本の至宝だが、ラ・コンチャ海岸はビスケー湾の真珠ぞ
ラレアルは負傷離脱していた選手が代表ウィークもあってか続々とカムバック。名手シルバの他、左のSB、CBが務まるパチェコの復帰も大きい。活躍していたソルロスの復帰もとても喜ばしい。
一方代表戦から戻ってきたオヤルサバルが負傷離脱。1-1.5か月の離脱とのうわさ。ここまでのチーム全11得点中6ゴールを決めているエースの不在により得点力不足に陥らないか不安を隠せない。他のアタッカー陣の奮起に期待したい。
◇先発紹介
ラレアルの先発で一番予想が難しかったのは前線。シルバが出なければイサクとソルロスの前2枚も普通にあるかなと思った。ナバーロは指揮官の期待に応えたい。メリーノ、アイエンとロビン・アリツの2CBはほんと鉄板ですな。アイエンは代えがトップにいないというのもあるけどw ゲバラのアンカーも地味に驚いた。MF、FWは中々攻撃的な構成で良い感じ。
一方のマジョルカはこの試合はサイドアタッカーのイメージが強いダニ・ロドリゲスがトップ下に入り、前半戦ムブラが入ることが多かった右にはイ・ガンイン。また、Wピボーテはバタグリアとルイスデガラレタ。バタグリアはアルヘン育ち、ガラレタはレサマ育ち。攻守に成長著しいババがいなくてもこれだけ力のある2人を並べられるんですね。ほんとに昇格組?w闘える選手がそろっている。
主審:ゴンサレス・フエルテス
◇交代
ラレアル
’後半開始
①R.ナバーロOUT、ゴロサベルIN
②ゲバラOUT、スビメンディIN
ゴロサベルが左SBに入り、4-4-1の形。初めてゴロサベルを左SBで観たなあ。
’67
③ヤヌザイOUT、ロベテIN
④イサクOUT、ソルロスIN
’92
守り切る交代。ポルトゥお疲れ!
'62
①#16バタグリアOUT、#8S.セビージャIN
②#23アマトOUT、#26フェル・ニーニョIN
S.セビージャはそのままピボーテの位置に。ニーニョはアンヘルと2トップを組み、4-4-2に変形。ダニロドが左SHに入る。
’76
③#22アンヘルOUT、#9アブドンIN
④#4ガラレタOUT、#12ババIN
同ポジション同士の交代。アブドンさんは昨季セグンダAで31戦10発らしい。9番背負ってるだけあるね。
’85
⑤#19イガンインOUT、#7J.ムブラIN
右SH同士の交代。ムブラはカタルーニャ州都バルセロナ市から北西25㎞ほどのムニシピオ、グラノリェース出身、コンゴ人の父とスペイン人の母の間に生まれたそう。10-11~17-18シーズンまでマシアにいたらしい。知らなかったなあ。
◇セットプレー
ラレアル
・右CK:無かったかな
・左CK:ヤヌザイ
・SFK:ヤヌザイ
ヤヌザイは良いコーナーを蹴っていた。メリーノがしっかりミートできていれば一点ものの場面もあった。
・右CK:イガンイン
・左CK:S.セビージャ
・SFK:イガンイン(右寄り)
プレースキックの怖さは久保より彼かもしれない。
◇攻撃
マジョルカは4-4-2守備。前2枚はCBには寄せず、ゲバラへのパスコースを締める。おかげでゲバラをヘソの位置でほとんど使えませんでした...手痛い。ラレアルは後ろ4枚でボール出しを図るも、アンカーのゲバラが使えずCBの前進もないので窮する。ゲバラが使えない時、もっとCBが開いて相手プレス隊を引きつけても良いと思うんだが。セーフティ過ぎる。
マジョルカの守備は兎に角中へのパスコースを断ち、前6枚+SBで、逆サイドの選手もボールサイドまでスライドし、かなり圧縮。この試合のソシエダのプレス耐性は、逆サイドに展開できるほどのものではなく、サイドでよく詰まらされた。また、ボールが2ライン間に入る時、DFラインが押し上げ、しっかりボールに圧力を掛ける。その間にWピボーテなど周囲が寄せてボールを回収してしまう。受けに回らない守備が素晴らしい。 加えて特筆すべきはかなりのハイライン。ラレアルがDFラインで持つとき、最終ラインはセンターサークル付近まで上げてきている。
前半10分を過ぎるとゲバラがCBに落ち、メリーノがアンカーの位置にずれ、後ろ3⁺1枚で組み立てるいつもの形。SBを高い位置に上げることで相手の中盤ラインを押し下げ、パス回しにゆとりが生まれる。地味に大きいのが、相手の守備の重心が下がることで、ボールを奪われた時のショートカウンターの怖さを削いだ。
◇守備
ナバーロがイサクと並ぶいつもの4-4-2ブロック。
#4ガラレタを中心にテンポ良くショートパスを繋ぐマジョルカに、ソシエダのミドルプレスが効きが弱い。ガラレタのところをあまり使わせないようになってから、守備が安定してきた。
10人になってから4-4-1ブロックに。相手のDFラインへの圧力は致し方なく減ったが、ハイラインは維持してより高い位置で潰す狙い。ただ、奥深くまで侵入を招くと10人にある程度割り切って、引き込んで守った。特にWGの守備貢献が素晴らしく、大外で好きにやらせなかった。ロベテとポルトゥはその辺強い。
62分のセビージャ投入からマジョルカの攻撃がかなり嫌なものに変わる。マジョルカはポゼッションが安定することでSBの攻撃参加も増え、ラレアルは守備の重心を下げざるを得なかった。SBが上がることでSHが内側にポジショニングをとる。ただ、中央は締めているので、そこまでバイタルで前向かれて大ピンチって場面もなかった。
終始ハイラインを設定したこの試合で、裏を取らせずラインを高く保ち続けたエルストンド&ル・ノルマンの最終ラインコンビはこの試合影のMVP。
◇得点、ゲームの流れ
試合開始~10分過ぎ
マジョルカのプレスが光る。
10分過ぎ~
ゲバラがDFラインに落ち、メリーノをアンカーの位置に下げるいつもの形。ゲバラのボールタッチが増え、ビルドアップに少し可能性を感じるようになる。
’後半開始
前半終了間際のアイエンの退場でラレアル4-4-1に。
’62~
マジョルカは9番を1枚増やし、4-4-2に。司令塔として振る舞えるセビージャ投入により、マジョルカはじっくり攻めだす。ソシエダブロックの外でボールを晒しながら回し、空いたところに刺す。
マジョルカの時間帯が続いたが、67分にイマノル監督がソルロスを投入し、前線に起点ができる。抜群のポストワークで攻撃を成立させた。
’89 ⚽RSO 1-0 MLL J.ロベテ②(アシスト:M.スビメンディ)
耐え忍んだラレアルに歓喜の瞬間が訪れる。
左サイドスローインからの流れで、メリーノから斜めの落としを受けたスビメンディがダイアゴナルなRun with the ballで敵のマークを受けずに少し運び、プルアウェイでマーカーのマフェオから離れ、空間を確保したロベテにパス。
ロベテの前にはマフェオとすぐ近くにヴァリエントが構えるも、小さいエラシコでシュートコースを空け、低く強いシュートを放つ。ファーを警戒し逆モーションになったレイナに対しボールはディフレクションがあったかないかニアに飛び、彼の手を弾き、値千金の先制点となった。
◇所感、出場選手寸評
ラレアル
・レミーロ
ハイボールへの強さはほんと頼もしい。
・サルドゥア
当たりに弱いソシエダの面々でメリノとこの男の強さは本当に頼もしい。展開的にも上がりはあんまなかったが守備で貢献。
・アリツ
鋭い読みの成す出足の鋭い守備で相手の裏抜けを悉く潰した。エリア内での潰しも流石。ビルドアップでも度々良い持ち上がり、フィハシオンを見せたが、中盤ともっと連携が取れるようになれば、ボール出しで更に貢献できると思う。D.シルバはボールの出口としても偉大。
・ロビン
アリツと並んで屈強に跳ね返し続けた。ラレアルの防波堤として敵を阻み続けるこの男は間違いなく上位躍進の立役者。組立ての貢献はもうちょい欲しいです...笑 まあ守備よければそれに越したことはない。
・アイエン
前半終了間際、2枚目のイエローで退場した男。2枚目絶対要らなかったな。カバーにゲバラいたし。ロングスローがいつもより飛んでいた彼は、何か熱くなっていた。
いつもよりロングスローの飛程があった。オフになったがイサクがネットを揺らし、これからもイサク、メリーノ、ソルロスらのビッグマンに合えば「ある」という期待を抱かせた。何かかっか来てたけど、粗さ以外は安定したプレーを見せていた。守備だけでなく、攻撃も良くなってきたと思う。昨年は「ただ上がるだけの男」という印象だったが、今年はボールを晒し、相手守備を動かす余裕がある。
・ゲバラ
DFラインに落ちるようになってボールを触れるようになった。前の選手にパス出す時、足元に出さず敢えて横のスペースに出すことで受けやすくする工夫も見られた。
・ナバーロ
繋ぎの部分やプレッシングに、頑張った。結構裏にランニングしてるので、ボールを出して上げて欲しい。目立ったシーンは作れず、繋ぎに徹した。
・メリーノ
いつも通り中盤のフィルター役やビルドアップ、ゴール前への詰めまで幅広く活躍。安定感がすごい。いつ休むんだろうねwグリディが恋しい。
・ヤヌザイ
良い位置でボールを引き出す一方、如何せん球際の競り合いに弱すぎる。敵を背負うとまともにキープできないようでは困る。
・イサク
良い位置で受けてストライカーの仕事に打ち込めるなんて場面は多くなかったが、中盤に引いてシルクのようなボールタッチでボールを飼いならし、そのまま前につっかける彼の十八番のプレーはよく見られた。順調に調子を上げているように思う。
・ポルトゥ
窮屈なビルドアップを見せソシエダにあって、内側のレーンで結構気の利いたポジショニングを見せて間でボールを引き出した。その後のトラップがよければ最高なんだよなw 10人になってからは彼のタフさに助けられる場面が結構あった。サポートがいい位置にいなくてもボールを守れる強さ、独力でサイドを突破する力強さ、水準以上の守備での貢献。
(途中出場)
・ゴロサベル
ポジショニングに不慣れさを感じたが、しょうがない。だが、よくやった。慣れない左でもしっかり攻撃参加した。
・スビメンディ
メリーノと中盤の守備を引き締めた。カバーエリアの広さや寄せのタイトさはゲバラより頼れる。奪った後前にあまり選手がいないので、いつもの小気味良いパスワークを披露する場面は限定された。が、自分で運んでシュートを撃ったり常にボールを味方に繋ごうとする彼の攻撃志向がロベテの決勝点を演出した。きつい中継ぎ登板だったが素晴らしい仕事を見せた。
・ロベテ
文句なしのMOM。エネルギッシュなプレーで勇気を与えた。
現時点でヤヌザイより守備面で頼れるw 攻撃面では負けん気の強さでボールへの執着を見せる。ワンツーも使いながら、マフェオらマジョルカ右サイド守備陣を困らせた。
89分の会心の一撃でアノエタを揺らした。
・ソルロス
ポジトラ時右に左に位置を変えてボールを拾い、走力で攻撃を成立させんとしてくれた。ありがたいね。彼は強いだけでなく、速いし器用。
10人少なくてポジトラが死んでたら完全にハーフコートゲームになってしまう、故障明けだが動きも良かった。
ポストプレーに安定感は圧倒的。
ピッチに入ってすぐホイッスル。
・M.レイナ
イサクのシュートを阻んだり、ゴールマウスを堅実に守った。あまりよく動くタイプではなく、ゴール前に構えるタイプに見えた。山のような安定感を見せた。
ロベテのゴールの場面は、DFがブラインドになって見づらかったかもしれない。
・マフェオ
運動量がすごい。ヤヌザイは結構彼に封じられていた。対人も結構強い。
・ヴァリエント
あまり印象が無い、ごめんなさい。
・ルッソ
高くて強いのはよくわかった。ソシエダアタッカーをしばしば吹っ飛ばした。アルヘン生まれらしい。
・オリヴァン
前半は機会が少なかったが、上がるときには迫力のある攻撃参加を見せた。
ラレアルのクリアボールをポルトゥと競争になってタッチラインに向けて追いかけるとき、ポルトゥが転倒して広告と激突しそうになった時咄嗟に力強く足を掴んで衝突を抑え込もうとするやさしさを見せた。元々開幕戦のゴールで好きになっていたが、ますます好きになりました。
・ガラレタ
潰しとパスワークの中心として機能。ポジショニングを器用に取り直し、受けるとすぐ叩いてまた受け直せる位置に入る。
潰し屋として機能。タイトな守備で中盤で潰し、ラレアルの進撃を食い止める。
・イガンイン
技巧と走力で貢献。突破力はスピードがあるわけではないので、そこまで。それより嫌らしい位置に出してくる左脚のパスが厄介だった。
・ダニロドリゲス
タイトな守備を見せ、奪うとカウンターの先鋒として機能。攻守に活躍。ヘタフェのアランバリといい、動ける俊英がトップ下にいると非常に厄介。アランバリよりファイターな感じ、悪く言えば粗い。これだけトップ下で守備を引き締めるとあれば、久保も中央の位置は安泰ではないかもね。
前半からかなり飛ばしていたが、後半になってもガス切れの気配はなく、質の高いプレーを維持した。
・アマト
彼もかなり守備に走る。この試合のマジョルカは全員守備全員攻撃。とても良いチームだね。攻撃で目立った場面はあまり作れなかった。
・アンヘル
引いて受けるプレーも巧い。絶対的なデランテロというより11人の中の1人という印象。目立たないが良い選手。守備もうまいし。
(途中出場)
・セビージャ
司令塔としてマジョルカのポゼッション攻撃を成立させた。欠かせない選手だね。彼の投入でラレアルはかなり追い詰められた。数的不利でうまいやつが入ってくると困るね。
・ニーニョ
裏抜けが怖いアタッカー。2トップになったことでアンヘルとの2人の動きに読みづらさが生まれる。とはいえ結構ラレアル最終ラインに消されてたね。
・アブドン
ニーニョと同じくあんま目立てず。ロングボールにダニロドリゲスの落としを受けて迎えたシュートチャンスは惜しくも生かせず。
・ババ
ロングパスうまい。代表帰りらしい、お疲れ。
10人になった時から、まさか勝てるとは思わなかった。試合後のロベテの男泣きは忘れないでしょう。満員近く客が入ったアノエタを沸かせた。イマノルも彼を使ってくれてありがとう。オヤルサバル、シルバを欠き、さらには退場の不運に遭って尚つかんだこの勝利の価値は非常に大きい。次節は王者アトレティコ戦、この試合のように強い気持ちで挑んで欲しい。