21-22 LaLiga 第10節 アトレティコ・マドリード対レアル・ソシエダ(2021.10.24)

大入りのワンダ・メトロポリターノで昨年王者に挑戦。昨季は2戦2敗。4強相手にどれだけ戦えるかは、ヨーロッパの舞台で戦えるかどうかの指標であり、俄然チームの実力が問われる。育成・チーム作りは勿論大切だが、応援するチームが強豪に当然のように無残に敗れ去る姿は決して見たくない。

 

離脱者は以下の通り。数えてみると9人もいる…。/(^o^)\ナンテコッタイ

しかし代表ウィークを挟んだのもあってソルロスとパチェコが復帰。やったね!

(DF)

アイエン(※1)、ディエゴ・リコ、モンレアル

(MF)

スビメンディ(※2)、イジャラメンディ、グリディ

(FW)

C.フェルナンデス、オヤルサバル(※3)、バレネチェア

 

※1 前節マジョルカ戦で退場(イエロー2枚)。出場停止。

※2 10/21のEL SK Sturm Graz(墺)戦で負傷。

※3 代表戦から復帰後、10/15の練習中に負傷。

無印の選手は前節から引き続き負傷離脱。。

 

◇先発紹介

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サルドゥアが右WG...笑 誰が予想できた? クロスには定評のある男。

3日前のELから入替え4枚。ELでは左右のWGがポルトゥ、ヤヌザイ、アンカーにはスビメンディが入り、左SBにはアイエンが先発。

アトレティコの3トップって結構あるんかな?自分は初めて観たかもしれない。前線多いしなあ。コレアもクーニャも他クラブならエース格では。

 

ただし、このラレアルの並びはフェイク。5分も経つと以下の並びに変わる。おかしいと思ったよ~(後付け 昨季は全く観なかった形。ただ19-20はやってなかったかな?気のせいかもしれないけど。

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主審:ホセ ルイス マヌエラ モンテーロ

◇交代

アトレティコ

HT明け

①ルマルOUTカラスコIN

アトレティコが3-4-3に変形。DFラインは右からフェリペ、エルモソ、ロディ。右WBにトリッピアー、左WBにカラスコ。神采配。

’57

②ロディOUT、コンドグビアIN

③デポールOUT、コレアIN

トリッピアーが右HVに落ちて右WBにコレア、コンドグビアはコケとWピボーテ。サイド攻撃を強化するいけいけどんどん交代。まあ押し込んでるからね。

 

’72

グリーズマンOUT、M.クーニャIN

⑤エルモソOUT、E.エレ―ラIN

後半トーンダウン気味だったグリーズマンがOUT。エルモソの交代は意外だがコンドグビアの万能さを褒めたい。左HVにコンドグビア、コケの相方にエレ―ラ、右WGにクーニャ。

 

ラレアル

’62

①D.シルバOUTパチェコIN

②イサクOUTポルトIN

③サルドゥアOUT、トゥリエンテスIN

3枚交代で3-4-2-1に変形。並びは以下。蹂躙されていた2トップ脇をケアしにいく狙い。

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’88

ゲバラOUTヤヌザイIN

⑤ソルロスOUT、ロベテIN

ヤヌザイはトゥリエンテスがやってた左オフェンシブに入り、トゥリがゲバラの位置(中盤底)に下がる。ロベテはそのまま1トップ。

 

プレースキック

アトレティコ

右CK:グリーズマン、トリッピアー

左CK:カラスコ

SFK:ルマル、カラスコ

ラレアル

右CK:ゴロサベル

左CK:あったかなあ。

SFK:イサク、ゴロサベル、シルバ

直接狙える距離はイサク。合わせるボールはゴロスかシルバ。

 

◇攻撃

(4-3-3時)

ソシエダの2CBは相手WGのグリジ、フェリックスに、アンカーのゲバラスアレスにみられ、ビルドが詰まる。

(3-1-4-2)

両HVがぐっと開く。アトレティコのFWラインはここにはマンツーマン気味に来ない。

ソシエダ3バックはCFW、WGの間のゲートからゲバラ、メリーノに通してボール出しを成功させる。ソシエダWBへは、大きくスライドしたボールサイドのインテリオールがつくので、WBは各駅停車のパスでは自由になれない。

面白かったのがゲバラとスビメンディが時々位置を入れ替えていたこと。シルバは底の位置でもうまい。 その入替えに留まらず、中盤3枚は流動的で、うまくサポートし合っていた。

さらにアトレティコ中盤ラインからコケがFWラインを補佐するような位置取りをすることで後ろでの優位性がなくなるとロングボールに頼るように。HVの前進を起点にしようにも、ボールサイドのインテリオールがいい位置でカバーに来ているのであまり好転しない。

単純なことだが、シンプルに大外を上がるWBをもっと使ったら面白かったって場面が多かった。中盤を経由しろってかなりコーチ陣に言われていたんだろうか。

(後半)

押し込まれるので、奪う位置が低くなる。ロングカウンターは慣れていないのか精度が低かった。

 

◇守備

(4-3-3時)

シルバがイサクと最前線で並び、中盤4枚の一番左に入る4-4-2ブロック。

(3-1-4-2)

守備の時はシルバがトップ下的位置に入り、最終ライン前でゲバラとメリーノが並ぶ3-4-1-2。シルバはアンカーのコケを見るような振る舞い。また、ポジトラの意識が非常に高い。マイボールになる前から敵選手から離れ、カウンターの起点になる準備をする。彼を経由するカウンターを何本か打てた。

また、ゴロサベルがWGの位置まで上がり、4-2-1-3の形で守ることもあった。前から強くプレスに行くときの形。蹴らせて後ろ4+2枚で回収を狙う。

ボールを奪うとサイドプレイヤーのソルロスとサルドゥアがぐっと上げる。そのまま前3枚に当てるより、メリーノやシルバら中盤を経由することが多い。

アトレティコらしいのは、両IHがずっと中に構えるのでなく、機を見て外に張ることでWGに内側でプレーさせる。その時に限らず、アトレティコの大外担当は基本SBかインテリオール。特に左はSBのロディが張り、右はデポールが流れることが多い。グリジとフェリックスはWGというよりは2シャドーですね。

(後半)

後ろ3枚に変えたアトレティコはラレアルの5-3-2ブロックの2トップの脇のスペースをどんどん使う。左はロディの上がり、右はデポールの斜めへの落ち。ラレアルも中盤ラインのスライドで寄せに行くが、寄せるまでの時間でサイドチェンジを喰らったりでスムーズにサリーダデバロンを決められ、押し込まれる。 余裕をもってボールを持てるアトレティコはWBを高い位置に上げる。57分のコレア投入(右WB)もそのためよなあ。キツかった。

アトレティコはビルド時コケを右HVの位置に下げ、トリッピアーをWBの位置、コレアをそのもう一列前の位置で使う。だからコレアはあんまWBって感じではなかった。

(後半17分~)

3-2-5ブロックに変更。好き放題やられていた2トップ脇に人を配置。トゥリエンテスとポルトゥで起点を潰しにいく。遅いっちゃあ遅いが良い対応。後半頭から形を変えて形勢逆転し、点まで取ったシメオネ率いるアトレティコを褒めるべきか。

 

◇得点、試合の流れ

キックオフ~’5頃

なんやかんや4-3-3のまま戦うラレアル。アトレティコはWG2枚が2CBを、9番のスアレスがアンカーのゲバラをみてくるので、ラレアルはビルドに詰まり気味。

5分を過ぎるとラレアルが3-1-4-2に変形。

’6 ATM 0-1 RSO⚽ A.ソルロス①(アシスト:イサク)

ゲバラがセンターライン付近でフェリックスのドリブルをつついて奪う。このボールがシルバに渡り、斜め前のメリーノにパス。そのメリーノ→ロディが上がった裏のスペースを使ったイサク→戻りが遅れたアトレティコDFの奥から抜け出したソルロスへと、ワンタッチで繋ぐ。

ソルロスもダイレクトでシュート。詰めてきたオブラクと1対1になるが、敢えてトラップせずにボールを流すボディフェイントでオブラクの動きを止めてこれを制し、左足でオブラクの左を抜く。あの巨体で身のこなしが軽いのが彼。 イサクとメリーノのお膳立ては完璧!

HT明け

アトレティコが後ろ3枚にして3-4-3に。ラレアルはゴロサベルが右WB、左WBにサルドゥアとスイッチ。ソシエダの3-5-2ブロックは前のハマりが弱く、アトレティコはWBに高い位置を取らせ、俄然押し込まれる。そしてしっかり点を奪う60分。悔しいけど流石です。そして沸き立つスタジアム。分かってらっしゃる。

一気にひっくり返されそうな劣勢からチームを救ったのはイマノル監督の、2得点を生んだスウェーデン2トップの解体という英断。2トップ脇を起点にすることで優位に立っていたアトレティコビルドの阻害に成功し、ボコボコ展開から盛り返す。3-1-4-2だけでなく、3-4-2-1も成功体験に加えることができた。まずいPKでお茶を濁すも、ドローに持ち込むことに成功。

’47 ATM 0-2 RSO⚽ イサク①(直接FK)

シルバが倒されて得た左寄りからのFK。イサクが壁の右からGK手前でバウンドする低いシュートを撃ち、沈める。初ゴールおめ! オブラクは重心の逆にボールが来て厳しかった。

’60 ⚽ATM 1-2 RSO スアレス⑤(J.フェリックス)

後半開始から終始主導権を握っていたアトレティコが流れを殺さず得点。決めたのはスアレス。フェリックスのクロスのタイミングで上がる前にマーカーのロビンの背後を取り、頭で叩き込む。

ソシエダの自陣サイドでの寄せは甘い。 それが如実に出た場面。フェリックスのコンパクトな振りの素晴らしいクロスは勿論褒められて然るべき。だが、あの場面はゴロサベルとシルバの2枚がサイドにいた。チャレンジ&カバーが敷ける場面で寄せないのはこのレベルでは怠惰。サイド攻撃への弱さは切実に課題ロビンももうちょい競れた。

’76 ⚽ATM 2-2 RSO スアレス⑥(PK)

メリーノがエリア内で左脚ボレーにいったスアレスの軸足をスパイク裏で削りPK&イエロー。レミロの逆をついたPKは流石。今季6ゴール目は凄いなあ、今季も20点ぐらいとるんやろか。

◇寸評

アトレティコ

・オブラク

オブラクさんがゴールに立ちはだかるアトレティコから2点も取れたなんて信じられない。イサクのFKは多分ブラインドで壁の脇辺りからしか見えてなかった感じ。

・トリッピアー

DFクソ強い、攻撃良い。最強。ロングスローの飛距離も良い。

・フェリペ

イサクやソルロスの一瞬の加速に苦しんだ。ただ、ゴロサベルとの競争を見るに遅いわけではない。スピードは問題ないが加速に少し足りないかもしれない。

・エルモソ

結構速い。

・ロディ

(前半)

上がりのタイミングとかは上手いと思うんだけど、オンザボールが残念。プレーが遅い。

(後半)

3バックの左でめちゃくちゃ上がる。カラスコの気の利いた位置取りに気を取られるラレアルは、ロディの爆速の上がりに後手に回る。

・コケ

攻守の司令塔。前半左右のトライアングルを繋ぎ変える姿は、アタランタ時代のA.ゴメスを想起させた。サポートの上手さで彼の右に出る者はいない。

・デポール

文字通りのBox to Box、守備のカバーエリアも恐ろしい。

・ルマル

少しの時間・スペースで仕事をしてしまう。相手の裏をかくのが上手い、判断も速い危険な選手。一気に攻撃のスイッチを入れる中長距離のパスは脅威そのもの。トライアングルを形成してのプレーも非常に読みづらい。

グリーズマン

流石の守備範囲。間受けで貢献したが、エリア内ではあまり脅威になれなかった。

・フェリックス

流麗なボールタッチで違いを見せた。バイタルで彼が受けると危険な雰囲気が漂う。

サイドを変えるキックもすごく上手いね。弾速も十分。

スアレス

2点も取らないでください。彼の良いところは他のアタッカーを利せるところだと思ってて、彼の気の利いたデコイ、ポジショニングは攻撃に流動性を生み、相手守備網を鈍らせる。衰え知らず。

 

(途中出場)

カラスコ

最高のサイドアタッカー。分かっていても止められない突破、シュート。オンザボールを警戒するとさらっと叩いてくる。ワンツー、サイドチェンジ、トライアングル、プレーの引き出しも多種多様。守備も負けないしサボらない。何度目かの春を謳歌する男。

・コンドグビア

フィジカル番長。彼のカバーエリアの広さは素晴らしい。

・コレア

WBが務まる男。周囲との連携も良いし、自分での仕掛けも良い。ゴールセンスも非凡。彼がベンチスタートは勿体ない。贅沢なアトレティコ

・クーニャ

キレのある動きと意外性のあるパス。彼って左の方が得意なんじゃ?と思うけどフェリックスがいるんでは仕方ない。

・エレ―ラ

運動量があり、巧い。運ぶドリブルに逆足の上手さ。万能。もっと早くから5大リーグで観たかった選手。

 

ラレアル

レミー

相変わらず足元うまい!中央に綺麗に通してくれるのは神。受ける方も勿論うまい。

・アリツ

前半はよくフェリックスを封じてた。変なミスもあったとは言え、この人なしの最終ラインは考えたくない。

・ロビン

最高の盾。速くて強いしこの試合は球出しも良かった。中盤のサポートが良かったとも言える。最短距離で向かうのでカバーが間に合う。何度か相手選手と足を交錯して痛める場面があり気の毒だった。

スベルディア

パスが合わない、、。カウンターのあるアトレティコ相手には簡単にカットされるのは怖い。積極性は大事だが、ボールも大切に。守備はだいぶ逆を取られることが減ったと思う。ぶっちゃけ危なげなかったまである。強豪相手にここまでやれれば十分。

ゲバラ

攻守に貢献。消されてたマジョルカ戦前半から大幅に向上。シルバとの相性はスビメンディより上な気がする。髭は似合わん。

・サルドゥア

対人守備の強さは流石。もうちょい上がっても良いかなあ。守備しっかりしてくれるのは大変ありがたいが。

・ゴロサベル

守備面では左もどんどん板についてきた。ただ攻撃時はやっぱ右に入ってる普段と比べてがくっと見劣りする。そんな逆足うまいわけでもないし、ぎこちない。急造だからしゃあない。

・シルバ

極上のパスワーク、サポート。カウンターのトリガーとして機能。ボール奪取にも貢献。唯一ケチつけるならスルーだろって場面が数回。

右ニアゾーンでのワンツーからのシュート、いつか沈めて欲しい。

・メリーノ

安定安心のメリーノ。だがPK献上の場面は反省してくれ。ここまでうまい選手の中で、ここまで守れる選手はそうそういない。当たりも空中戦も強い。今節もありがとう。

・イサク

先制アシストは極上。ぶっちゃけソルロスよりイサク残してほしかった。この試合はイサクの方が冴えてた。

・ソルロス

先制点本当にありがとう。1stチャンスをものにした。

やや持ちすぎる嫌いがあった。イサクも中々の化け物なのでシンプルに彼を使った方がチャンスになる場面もある。その辺はこれから良くなってくれればいい。1年でいなくなってしまうのだろうか、、。

また、戻っての守備も凄く良かった!アトレティコの左サイドは強いので、ここに戻ってきてくれるのは非常に助かった。

 

(途中出場)

パチェコ

ボール出しに定評のある彼はこの日は主に守備、それも潰しで貢献。気持ちが入ったインターセプトを見せた。球際で負けないのはありがたい。

ポルト

ソルロスという良きポストプレイヤーの下でシャドーとして躍動。

・トゥリエンテス

バイタルで見せたスルーとか含め、センスの塊。球際に強く、奪われそうな場面でもボールを繋ぐ。守備も寄せが速く、カバーエリアも十分。文句の付け所が無い。もっと長い時間観てみたい選手No.1

ヤヌザイ

上手いけど、守備が弱い分決定的な仕事を期待してしまう。巧いだけの人よりチームを勝たせる選手が観たい。

・ロベテ

元気に守備で貢献。あれだけガツガツプレーしてくれると監督も使いたくなると思う。ファイター。

 

兎に角後半頭から後ろ3枚できたシメオネの采配が冴えた。イマノルの5-3-2→3-2-5ブロックへの変更は失点前なら神だった。メリーノのPK献上は痛かったが、守備の強い彼が居なければ引き分けで追われていないだろう。勝って欲しかったのは間違いないが、価値あるドロー。悔しさはアノエタでの2/2戦目でぶつけよう!