国王杯準々決勝(ベスト8→4)レアル・ソシエダ対ベティス(2022.2.4)

またホームで戦える幸せ。相手は前回ボコされたベティス、左のA.モレノとファンミを封じられない限り勝ちはない。頼むぜヤヌザイサルドゥア!

満席とは言えないがキックオフ前から大音量の声援。素晴らしい後押しを追い風に難関を突破したい。ヘタフェ戦からアリツとイサク、アイエンが先発復帰し超本気のイレブン。2日後には強敵バレンシア戦も控えるが、国王杯も本気で挑む。勝ちたい。

◇先発紹介

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*ラレアル*

既に上に書いてしまったので割愛w

ベティス

前回対戦時は、右SBにベジェリン、ピボーテにグアルダとギド、最前線にジョゼ。ファンミを逃さない事、A.モレノの進撃を食い止めること、フェキルに制限を掛けることがマスト。


◇交代、構築変更

*ラレアル*

’HT後

ゲバラOUT、スビメンディIN

不調のゲバラの交代は当然として故障明けのスビメンディ投入。ハムストリングを痛めていたがどれだけ戻っているか。

’73

ヤヌザイOUT、ソルロスIN

③シルバOUTラフィーニャIN

イサクを右WGに回すという攻めの選択。イサクのWG器用はこれまでほとんど見たことが無い。イマノルの点を取りたいという気持ちが伝わる。シルバお疲れ。ラフィーニャは右のIHに入り、メリーノが左IHへ。

’83

④イサクOUTポルトIN

右WGを入れ替え。ポルトゥの勢いに賭ける。

 

ベティス

’77

①フアンミOUT、ルイバルIN

ルイバルがそのまま左SHに。右の印象のが強いけど。

’88

②カナーレスOUTホアキンIN

③フェキルOUT、ロドリIN

ホアキンがトップ下、ロドリが右SHの位置。

 


プレースキック

*ラレアル*

・右CK:ヤヌザイ
・左CK:ヤヌザイ
・SFK:オヤルサバル

ヤヌザイの良いクロスから合わせる場面もあった。決まらなかったけどね...

ベティス

・右CK:フェキル
・左CK:フェキル
・SFK:フェキル

カナーレスとかって蹴らんのかな。フェキルがそれだけ上手いのか。


◇攻撃

ベティスの守備は4-4-1-1ブロック。ソシエダのビルドアップは4バック+ゲバラにメリーノ又はシルバのIHが補佐。ソシエダビルド対応は、ボールを持つCBにはパンダ氏が寄せ、フェキルはゲバラ番又は前に上がる、この時ゲバラはパンダ氏かいずれかの背中で消す。ソシエダIHに対してはCHの一角を前に出すことで対応。ボール出しを赦すとフェキルがイグレシアスと前残りし、ライン間を狭くした4-4ブロックで対応。

プレス隊とDFラインの間のスペースが気になるが、ソシエダ3トップ+OHが4人に対し、ベティス4バック+プレスに出ず残るCH1枚と5人いるので、ライン間に入れられても対応が間に合う。ソシエダはメリーノやゲバラがプレスを外せるとチャンスになる。

以下の工夫でボール出しを成功させた。

・SBを上げてWGが内のレーンに入り、間で縦パスを受ける。特にオヤルサバルの間受けが非常に上手い。

・CBがサイドに開き、イグレシアスとフェキルを分断。IHがベティスCHを引き連れて高い位置に張り、ゲバラ周りを空けて彼に自由を与える。

・中盤が低い位置に降りてサポートし、ベティス前2枚の脇から上がるCBにボール出しの縦パスを入れさせる。

 

また、ベティスの守備の肝は最終ライン。中盤がプレー方向を限定するので良い予測をして対応。これが速い。結局ここを崩せなければチャンスにならない、ソシエダの攻撃はベティスに比べるとゆさぶりが乏しくて、ベティス最終ラインに整って守られる時間が長かった。

 

◇守備

ベティスのビルドアップは4バック+CBの少し前に立つピボーテの一角が中心。もう一人のピボーテは前めにいたり、サイドに流れたり。ボール出しが成功すると最終ラインをかなり上げる。

フェキルやパンダ氏が最前線サイドに流れてロングボールを引き出し、速攻の起点になった。

ラレアルはシルバを前に押し出すいつもの4-4-2。問題はボールを最終ラインで回収してもベティスの即時奪回の強度が高いこと。近場へのパスを抑えられる上、ボールホルダーにも厳しいアタックが来る。前衛守備隊の圧に合わせて最終ラインがハーフラインを超えるまで押し上げてきて、ラレアルは攻撃に移行できず蹴ったセカンドボールを回収され二次攻撃を受ける。 そんなチームをしばしば助けたのがヤヌザイ。すぐキープ力、運ぶ推進力で攻撃の起点として機能。

ボール出し成功後、ベティスは早めに前線に入れ、ソシエダ最終ラインを釣りだしてDFライン裏を狙う。


◇得点

’12 RSO 0-1 BET フアンミ(アシスト:B.イグレシアス)

左大外レーン、ハーフライン手前で引っ掛けられて攻→守。奪われてすぐSHカナーレスのスルーパスがルノルマン脇に顔を出したパンダ氏に通って深さを取られる。バックパスをハーフレーンで受けたカルバリョがマークをものともせず前進し、フェキルとワンツーでPA侵入→このボールがゴールラインPA右ポケット)まで達し、対応するゲバラと競る。カルバリョをブロックしながらラインを割らせようとしたゲバラに覆いかぶさり、長い足でスイッチバックゲバラを吹き飛ばしてマイナスに折り返し、フリーになったファンミが得点。

ゲバラはやらせ過ぎ。カルバリョを甘く見ていたんじゃないか、ミスマッチの危機感が足りない。蹴り出せたはず、緩慢な対応だった。

ファンミの動き(ステップバック)をケアできなかったことにより入った失点。サルドゥアはしきりに背中のファンミを見ていたが、ボールを見た瞬間に下がったファンミが完全に上手。 失点早いよ…決めきるベティスを褒めるべきか。

 

’56 RSO 0-2 BET フアンミ(アシスト:フェキル)

カナーレスのスルーパスに尽きる。V.モレノフォアチェックの緩いシルバの脇からアンカー位置のカルバリョに通すと、彼はこのボールを斜め後ろからスイッチに来たカナーレスに落として譲る。彼はただハイエナに来たわけではなく、V.モレノの縦パスが入った時からスピードを上げてアピールしていたA.モレノを見ていた

タイミングを計って出したカナーレスの素晴らしいスルーパスはアリツーサルドゥア間を抜け、ゴールライン近くまで達する。後はゴール近くに構えるソシエダDFをあざ笑うかのようにドフリーのファンミにマイナスに折り返し、ファンミは逆足ながら素晴らしいコントールショットでレミーロの脇を抜く。

PA手前から猛ダッシュでゴール前に詰め、ルノルマンとアイエンの二人を釣ったパンダ氏が素晴らしかった

 

’81 RSO 0-3 BET W.ジョゼ(PK)

サバリがフリーランを開始し、ベティスは直接彼を使わず1個バックパスをW.カルバリョ→カナーレスと挟んで完全に右サイド大外レーンで抜け出す。サバリはルノルマンと追ってきたイサクに寄せられる前にPA脇からセンタリング。

ゴール前、ヘッドで狙える場所に送らずPA内遠目に上げることでソシエダ中のDFの意表をついてフェキルに空間を提供。フェキルのダイレクトボレーに離れた位置でのブロックを余儀なくされたサルドゥアが腕を出してしまい議論の余地ないPK。これをウィリーが沈めて3-0。

 

’86 RSO 0-4 BET ルイバル(アシスト:V.ルイス)

4-0またかよ....縦ポン一発ですよ?擁護不可。右→左のサイドチェンジの流れでソシエダブロックを振り、スペースのあるV.ルイスに下げると突っ込むソシエダ守備陣。ルイバルがサルドゥアの脇から簡単に抜け出し、最後はレミーロとの1対1を制して万事休す。サルドゥアとアリツ2人いたが、少し中よりに位置するサルドゥアから離れた位置から抜け出し、大外から巻くようなコースで走ったルイバルの準備&動き出し、ランニングが素晴らしかった。良い時のソシエダDFなら相手のロングボールに対し深さを取って準備は怠らないが... 3点ビハインドで意識が前に行くのは分かるが簡単に失点する場面を見せられると悲しい。


◇選手寸評&所感

トータルで見て、

大活躍/そこそこ活躍/普通/あんま良くない/悪い

*ラレアル*

レミー

1人で完結させるボール出しは流石。キックの質は言うまでもないが、相手プレス隊を動かす引き付け、ミスダイレクションがうまい。

4失点は他の10人が悪い。良いセーブもあった。

サルドゥア

ところどころ荒かった。気持ちが空回りしてしまっていた印象で振り回された。ハンドは擁護不可。

エルストンド

カバーの距離感、出足が良く、攻撃を次々摘み取った。派手な縦パスこそ控えめだが、彼の往なしと撫でつけるような優しいボールタッチで酒が飲める。ロングパスでアクセントもつけた。

ルノルマン

守備力は頼もしいのだが、奪った後がセーフティ過ぎる。クリアせなならん場面もあるが、簡単に蹴らないことで相手の攻撃を切りたい。ビルドアップへの貢献は寂しいが、惜しいヘディングシュートがあった。

アイエン

流石の競り合いの強さ。アイエンのところから縦パスを入れて起点にするのは難しい。攻撃でも縦パスを入れる、自ら運ぶ積極性で貢献。

ゲバラ

パスミスが目立ったのもあるが、相手が読みやすい捌きで詰まらせる場面が多かった。悪い時のゲバラはこんな感じ、ロストは良くないが詰まらせるのも良くない。ほんの少し引きつけて方向を変えるとか、工夫が欲しい。フリーの時は良いパスもあったけど、マークされた状態で力を発揮できないとアンカーとしては厳しい。

極めつけは1点目のカルバリョにPA内でボールを明け渡したシーンです。擁護?できねえ相談だ。おめえは俺を怒らせた(#^ω^) ただ、39分程の、跨ぎのフェイントから繰り出した幻のプレアシストは見事でした。ボールウォッチャーを作ってオヤルサバルをフリーに。

シルバ

統率の取れた4バックを中盤が支えるベティスのブロックに囚われる時間が長かった。味方のためにスペースを空ける動きやボールを引き出す動きは流石だったが、チャンスメイクという点では今一つ。

メリーノ

中盤の大黒柱。ベティス2ライン間でボールを引き出したりキープ力を生かしてビルドアップに貢献。BtoBのIHでロングボールのターゲットとして機能するのが、非常にありがたい。ヘッドでぶち込めそうな場面もあった。(うまくミートせず)

ヤヌザイ

キープ力とパスのファンタジーアで貢献。良いので読まれづらく、繋がればチャンスになる。後半は少しトーンダウン。

オヤルサバル

間受けでボール出しの出口として機能。この人のオフザボールの上手さが非常に助かる。積極的にシュートを放った。一番仕掛けて一番ゴールに迫った。

イサク

技術とアイデアで違いを作る。中を締めるベティスに対し、サイドに流れてチャンスメイクする機転も良かった。だが、45分のごっつぁん失敗は決めなきゃだめだ。

 

(途中出場)

スビメンディ

常に前向きにプレーする姿勢でチームを勢いづけた。足元に拘らない意外性のある配球でレシーバーに前向きにプレーさせた。下がらず狙いすましたパスカットで前目で潰す守備でもチームを盛り立てた。

ソルロス

前線で身体を張ったが、周りとの絡みが薄弱。

ラフィーニャ

左IHでプレー。良く動いていろんなところで味方をサポート。攻守の切り替えが早く、高い位置で取り返す前衛守備も素晴らしい。

ポルト

89分に決定機。メリーノの、ベティス最終ラインの背後に弧を描く軌道のグラウンダーのクロスにA.モレノの奥から抜け出すもダイレクトで撃ったシュートはポスト一撃。久しぶりにベティスDFを困らせた。

ベティス

L.シルバ

あまり脅かされなかったが危なげないセービングを披露。フィードなど攻撃面で目立つ場面はそんなになかった。

バルトラ

空中戦高い。前で潰すのがうまい。

V.ルイス

何気にこの人のビルド力が憎い。4点目のアシストで必殺のフィードも持っていることを証明。ベティスは色んなところから良いボールが出てくる。なるべくプレスいった方が吉。

サバリ

守備対応で隠れ身体能力お化けさを発揮。対人◎。攻撃でも良い位置を取ってサイドチェンジを受けたり器用な活躍。

エドガル

重戦車のようなカルバリョに比べたら目立たないけど、広く守備で走り回っていた。CBが前に出た時に埋める動きも素晴らしい。ベティスのブロックを支えた。

W.カルバリョ

フィジカルモンスター。セットプレーでも強さ、高さを発揮。この人は守備型というより寧ろシティでトップ下やってた頃のヤヤ・トゥーレにプレーが近い。バイタルに上がってくると中央突破をゴリゴリ仕掛けてきて厄介この上無い。ボールを一度握ればブルドーザーのようにアプローチを弾きながら進む。彼に預ければどんどん局面を打開してしまうこれでシュートを決めでもしたらとは考えたくない

カナーレス

何て言ったらいいんだ、偽SH?フリーマン的に広く動き、あちこち配球。

並みの選手がやるなら怖くないが一発のパスがあるのが彼。実際長距離のスルーでピッチに筆を走らせ、2点目を演出した。彼の低い位置からの必殺のスルーパス、おなかいっぱいです。

ファンミ

掴まらないゴールハンター。裏抜けも上手くて終始ソシエダの脅威に。説明不要の大活躍。

フェキル

今日も今日とて鬼キープ。結構守備が上手くて怖い。高い位置で奪われたら一たまりもないですから。

B.イグレシアス

サイドに流れてチャンスメイクするチームプレーが光った。

(途中出場)

ルイバル

得点の大仕事。速かったし準備も良かった。レミーロとの1対1も冷静。

ホアキン

献身的な守備と衰えないフェイントに感動。

ロドリ

やっぱうまい。ホアキンのパスを受けて惜しいシュートを放った。

 

相手守備の深いところを揺さぶれたかどうかがそのまま勝敗に出た印象を受ける。ベティスは好連携を見せてテンポよく前線までパスが繋がるが、ソシエダはボールが出たところで考えてしまう。ボールが出たところで更に動きが繋がっていかないと、攻撃としては貧相かなと思う。 また守備でもベティスのパス回しに喰いつきすぎて、前線に飛び出す選手を悉く自由にしていた。ボール周りだけでなく、人に対するケアもしっかり対応してほしい。

前半戦の対戦に続く4-0はとても悔しいですね。「苦手だからしょうがない」なんて到底思わない。課題点を一個一個潰して、次は良い勝負をして欲しい。