21-22 LaLiga第6節 グラナダCF対レアル・ソシエダ

グラナダの本拠地、Nuevo Estadio de Los Cármenesでの一戦。地図見ると結構海近いんすね。グラナダといえばナスル朝の首都で、世界遺産アルハンブラ宮殿はあまりに有名ですね。そしてスペイン本土最高峰・ムラセンを擁するシエラネバダ山脈もかなり近い。山が近く人がいすぎないこともあって落ち着いたところらしいし、訪れてみたいなあ。

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グラナダはここまで3分2敗。ラージョ戦は衝撃でしたがビジャレアルバレンシアバルサの強豪3チーム相手のエンパテは価値がでかい。R.モレノ監督、若い。L.エンリケのアシスタントコーチとして一緒にバルサやローマ、代表などに在籍していたらしい。これからの監督としての手腕にも期待ですね。あと、伊達男ですね。

◆先発紹介     

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ラレアルはイサクが前節の負傷でいません。ソルロスが先発。前節からの変化として、イサクがいないこともあり4-1-2-3に戻し、シルバが務めていた右IHはこの日はナバーロ。GKはM.ライアン、両名とも今季初先発。レミーロを休ませられたのは大きい。右SBはサルドゥア、アンカーはゲバラがそれぞれ先発。サルドゥアは開幕節、バルサ戦以来の先発。

グラナダの選手あまりわからないんですよね。GKのマクシミアーノとCBのD.ドゥアルテはポルトガルの強豪、スポルティングCPからの移籍組らしい。SBのアリアスはATMからのローン移籍らしいけど29歳ってのを見て不安になった。中盤~前線は結構知ってます!ゴナロン良いらしいですね。技巧派のミジャ先発は観衆としては嬉しい。マチス怖いなあ、頼むぜサルドゥア。

●交代

-グラナダ-

’23

①D.マチスOUT、A.プエルタスIN

ハムストリング辺りの筋肉に違和感があったとのことで自ら交代を申し出る。マチスは下記事によると、近々右足の大腿二頭筋を痛めたばかりだったようだ。同じ左WGに入る。

Granada CF | Darwin Machís justifica en redes su última ausencia con Venezuela | Ideal

’65

②ロチーナOUT、バッカIN

L.スアレスが右WGに移り、バッカはCFWに入る。

’78

③ネバOUT、S.エスクデロIN

④L.ミジャOUT、モンチュIN

エスクデロは左SBに、モンチュは右CHにそのまま入る。

 

-ソシエダ-

’64

①R.ナバーロOUT、G.バレラIN

ポルトOUTヤヌザイIN

ヤヌザイポルトゥのいた右WGに、バレラは左WGに入り、オヤルが右IHに移る。疲労を考えればオヤルやメリーノを下げたいが、1点差では試合の行方はわからない。

’75

③ソルロスOUTスベルディアIN

④サルドゥアOUT、スビメンディIN

⑤オヤルサバルOUT、J.ロベテIN

怒涛の3枚交代。ソルロスはハムストリングを痛め、負傷交代。ロベテがソルロスがいたCFWに、スビメンディはアンカーに入り、オヤルサバルがいた右IHにはゲバラが移る。スベルディアは右CBに入り、サルドゥアのいた右SBにはアリツがスライド。何気にスベルディア今季初出場かな。

ロベテの中央は、勿論ソルロスのような力強いポストワークはできないものの、サイドに流れて上がってきた選手たちと新たな三角形を形成する。カンテラで長いロベテは、パスワークにおける位置取りも非常に上手い。”自分にできること”でチームに貢献している。

プレースキック

-グラナダ-

・右CK:モントーロ

・左CK:ロチーナ

・SFK:ー

CKはどっちもアウトスイングですね。ロチーナはファーのサンチェスに合わせ、先制点をアシスト。手前の選手をしっかり超えてファーの味方に合わせる素晴らしい軌道だった。

-ソシエダ-

・右CK:オヤルサバル

・左CK:オヤルサバル(交代後:ヤヌザイ

・SFK:ー

オヤルサバルはライナー性のボールで好機を創出。FKもそうだし、大きく曲げる弾道より、ライナー性のボールを蹴ることが多いこの人。

CKでは有名な縦並び→解散フォーメーションや、ナバーロを使うショートコーナーなどバリエーションを見せた。ナバーロええなあ。このソシエダイレブンで一番ドリブル技術が高いのは彼でしょうね。また、1-1に追いつくチーム1点目もCKの工夫から。

ヤヌザイもキックの調子は良かった。投入後初めて蹴るCKで中央のル・ノルマンの頭に合わす。

◆攻撃

相手は4-4-1-1ブロックでソシエダCBに制限が掛からないので、CBが組立て役として機能。モントーロはアンカー番。その背後に左にゴナロン、右にミジャ。ゲバラ番のモントーロだが、ゲバラがDFラインまで下がると、ここにはついていかず、中盤ラインに引いて4-1-4-1ブロックに変形。ラレアルはゲバラが下がるとメリーノがアンカーの位置に引き、SBを上げる。よく見る形です、メリーノのアンカー適正があってこそ。

グラナダは陣形がコンパクトで、ボール出しは外に張ったSBかWGに出すのが基本線だった。攻撃が外回りになり、ラレアルの良さが出ない。中央からの攻めを試みるも、グラナダのコンパクトな守備で、トラップ際を刈られ前進できない。球際はグラナダの方が強い。

また、アリツから逆サイドへの大きなサイドチェンジの展開が増えた。昨季は同じサイドから攻めることが多かった、良い変化だと思う。サイドチェンジに限らず、アリツはショートパスでの組み立てに詰まるときは前線に正確なロングボールを送った。コンパクトなグラナダもサイドは手薄なので、結構効果的だった。

コンパクトなグラナダの守備にあっても、ナバーロの技術が生きた。狭い所でボールを扱う能力を生かし、細かくボールを動かしながら積極的にシュートを放った。持ち味出してますね。

繋ぎを信条とするソシエダの流儀に反するのかもしれんが、グラナダは中盤での寄せが速く、結構回収されてしまうから、早い段階でソルロスに当ててもいんじゃね?て場面が結構。彼もいつでもどうぞという位置をとってくれている。

(HT)

結構グラナダが前から寄せてくるようになる。強度はボールを持てないという程ではないが、持ち上がりは制限される。トップのスアレスが追い回すのでなく、中盤ラインから1枚ボールホルダーに寄せる人間を出す。他の面子はディアゴナーレの位置で連動。とはいえ、グラナダソシエダDFラインにプレッシャーを掛けに行く事で中盤ラインが少し前がかりになり、ソシエダは2ライン間を使いにかかる。とりわけオヤルサバルの間受けが光った。時間を掛けると圧縮して守られてスペースがなくなるので、ラレアルは奪ったら空いてる前線の選手を探す→間に入ったらインテリオールも上がる、といったシンプルな攻めに切り替えた。メリーノとゲバラは守→攻の切り替えの意識が高く、奪ったらすぐに空いてる味方に出すというところを徹底していた。

◆守備

あまりナバーロが前に出ず、4-1-4-1形で受ける。前節も終盤は4-4-2でなく、4-1-4-1で守っていたけど。グラナダのDFライン4枚+アンカーは自由にボールを持つ。DFライン前に構えるゲバラインターセプトが光った。彼はよく周りが見えている。

グラナダは選手が結構ポジションを入れ替えながらボールを回し、特にトップのL.スアレスが流れる⇔ボランチやWGがトップの位置に飛び出していく動きが面白かった。ソシエダDFは流れるL.スアレスと飛び出してくる選手を両方ケアしなければならないので、対応が難しい。

ソシエダは中盤辺りで失うと即時奪回を試みるが、ミジャとか囲いから離れたところのサポートの選手に出すことで、プレスを外されてしまうこともしばしばあった。グラナダ、昨季もそうだったのだろうが繋ぎが上手い。

(HT)

前半よりL.スアレスソシエダCB脇から裏へ抜ける動きを見せ、何度も鋭いラインブレイクを見せた。L.スアレスの他にもソシエダの高めに設定されたDFラインの裏を突く動きが増える。モントーロ、ミジャ、ゴナロンと優れたパサーがおり、ヒヤヒヤする。

 

●得点

’8 ⚽GRA 1-0 RSO G.サンチェス①(アシスト:ロチーナ)

左からのCK、キッカーのロチーナがファーサイドにドンピシャのボールを送り、G.サンチェスが頭で叩き込む。マークのル・ノルマンはやや後ろから打点に入ってくるG.サンチェスとボールを同一視野で捉えることは難しかったのもあるだろうが、単純に打点に入るのが遅かったように見える。違うカメラから見るとボールに背を向けて対応していた。野球でいう右利きが逆シングルで取りに行くような体制で、完全にボールが見えてなかったようだった。せめてもうちょい競って欲しかった。ボールが素晴らしかったとはいえ、喝。

ゴールのカバーに入っていたゲバラはマーカーと競り合ってて僅かに準備が間に合わず、身体に当てるも防げず。どんまい。

前半

グラナダに早い時間に先制を許すも前半を通して観ると、グラナダが高い位置からプレスにこないこともあり、支配率ではGRA 35:65 RSO、シュート数3:9とソシエダが上回る。まあただナバーロやメリーノなどが遠目から狙ったものが多く、攻め立てているというわけではなし。

’51 GRA 1-1 RSO⚽ A.エルストンド①(アシスト:オヤルサバル)

左からのCKから1点を返す。オヤルサバルのCKに対し、中の4枚が全員ニアに突っ込む動きを見せてグラナダDFをニアに釣る→アリツだけ動き直してファーに向かい、グラナダDF陣の背後でダイレクトボレー。良く仕込んできたなあ、素晴らしい。

後半

グラナダソシエダも前半より前からプレスを掛けるようになる。グラナダソシエダに回され続けるのを嫌ってか、ソシエダが低い位置で回す時は中盤ラインからDFラインに寄せる人を出すようになった。一方ソシエダグラナダが低い位置で回す時はCFW、片方のWG、右インテリオールの3枚で寄せ、GKまで寄せに行った。昨季もそうだが、後半からギアを上げることが多い。苦し紛れのロングボールを蹴らせ、ボールの回収を試みる。

’59 GRA 1-2 RSO⚽ メリーノ①

エルストンドがポルトゥにロングボールを蹴り、収めたポルトゥから横方向にゲバラ、メリーノと素早く繋ぎ、空いた逆サイドで待つオヤルサバルにボールが渡る。オヤルサバルは大外レーンからゴールに向かって斜めに仕掛け、縦とゴールをケアする立ち位置のアリアスの手前から強いグラウンダーのクロスをエリア内に蹴りこむ。

ドゥアルテがナバーロの手前で足を延ばして当てるも、力なくこぼれたところにメリーノが詰めて左脚一閃。切れ味鋭いシュートがサイドネットに突き刺さる。

’70 ⚽GRA 2-2 RSO L.ミジャ(PK)

バッカが、3人目の動きでサルドゥアの裏でフリーで受け、ゴールに向かって突き進むところをゲバラが食い下がる。身体を入れてクリーンに奪ったかと思いきや、最後のところでバッカがボールとゲバラの間に足を捻じ込みゲバラはこれを引っ掛けてしまい、PK。ボール、ゴールへの執念、南米ですね。ゲバラはもう一歩足りなかった。

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ヤヌザイ、さぼんなの図。

’82 GRA 2-3 RSO⚽ A.エルストンド②

アリツのドブレーテ、しかもボレー2発w

アイエン、バレラ、メリーノのトライアングルでポケットを取ると、メリーノのグラウンダークロスに手前でロベテが潰れた先、ヤヌザイがダイレクト。これをマクシミアーノが前にはじくも、詰めたアリツがダイレクトでゴール右隅に沈める。

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●感想

・ナバーロも積極的にポケットを取りに行っていた。ゲバラもそうしていたし、チームとしてインテリオールがポケットを使うのはパターンの一つとして意識してるかもしれないなあ。

・虹を架けるサルドゥア。ソシエダ随一のクロッサーだね。

・今日もキレキレだったバレラ、次戦先発すらありかもなあ。

・3点目のメリーノの動きもそうですが、この試合はWG、IH、SBのトライアングルを使った攻撃が見られた。

・バッカ、ここぞの出力衰えてないですね。PK獲得の仕掛けは凄かったし、最後ゲバラに足引っ掛けさせた狡猾は経験値を感じた。

ゲバラこの試合も良かったです。ブロックに組み込まれた守備では寄せの速さ、人への強さでスビメンディに劣るけど、今節のように4-1-4-1ブロックであれば持前の視野の広さを生かし、インターセプトや危ない位置を埋める動きで貢献してくれる。

攻撃面では、スビメンディがどちらかというとボール出しに特化したタイプなのに対し、ゲバラはより司令塔的なができる。たとえが極端ですが、シャビやイニエスタにキレイに渡すのがメインのブスケツか、10番のように前線へのスルーパスまで出すグアルディオラかの違いのような。

 

めちゃいい試合でした!パス回しもセーフティなショートパスばかりでなく、ロングボールを交えて無駄な横パス、バックパスも少なかったし、サイドで起点ができるから、ボール出しのところでインテリオールに頼り過ぎず、流れの中でインテリオールが積極的に上がって攻撃にバリエーションをもたらした。外回りの攻撃も悪いことばかりではないなあと。ナバーロもメリーノもシュート何本か放っていてかなり良かったです。

守備も失点の場面以外は、細かいミスはあったけど距離感が良く、そのあとのカバーで潰せていた。今季ベストゲームですね。

 

一方怪我人が続出していて、この試合のソルロスに加え、スベルディアも痛めたとか...。サンセが可哀想。。とはいえ、皆で乗り切るしかないですね。EL含む3連戦、メンバーも入れ替えて一人当たりの負担を減らしつつ、これ以上の怪我人が出ないことを祈ります。イマノル監督、連れてきてるならトゥリエンテス使ってメリーノ休ませては?