🌳La Realの育成、提携クラブとの取り組みについて(2/2)
前置きは前Partに任せ、省略いたします。本記事では、前Partで紹介したように、La Realの育成メソッドの根幹を担っている、提携各クラブが、実際にどこにあるか、そしてどんな選手を輩出しているか、というところを記していきます。
提携クラブの一覧は以下クラブ公式サイトに掲載されています。各クラブのescudo、特徴的ですよね。スペイン北西部のユースカテゴリの試合を追っている方々は、幾つか見覚えのある方がおられるかと思います。
前Partのリンクはこちらです。
◆提携クラブの数など全体的な統計について
色々書いていく前に、まずここに触れておきたいと思います。統計と言うと仰々しいですが、数字に触れる程度です。
まず私が本記事執筆時点(2022/12/20)で把握しているLa Realの提携クラブの数は92。これは上リンクのページに掲載されている90クラブとリストに載っていない2クラブ{ÖIS Fotboll(スウェーデン/Göteborg市)、徳島ヴォルティス(日本/徳島市)}を加えた数字です。
この2クラブを公式サイトの提携クラブページにリストアップしていないことについて、何か区分けはあるかは不明ですが、この記事では提携クラブの総計を2クラブを加えた92として捉えます。
これらクラブの、地域ごとの分布はどうなっているでしょうか。下図をご覧ください。
色分けが分かりにくく恐縮ですが、下の地域とそれに対応する円グラフ中の色を示したリストですが、シェアが高い順に左上から横に並んでいます。割合でなくて数字にすると以下の通りです。
また、パーセンテージの数字、下位4地域が潰れてしまってますが、いずれも1%です。
(域内提携クラブが多い順に)
①ギプスコア県・・・71
②ラ・リオハ県・・・7
③ナバーラ県/州、ラプルディ・・・各4
④アラバ県・・・2
⑤カナリア諸島、サラマンカ県、スウェーデン、日本・・・各1
※ラプルディとは仏領バスクの、バスク地方内での1地域です。司馬遼太郎の街道がゆく~南蛮のみち~にも登場するカンドウ神父、元フランス代表のB.リザラズの出身地・サン=ジャン=ド=リュズなどが有名ですね。
さて、上グラフの分布を見ていきますと、やはり圧倒的にギプスコア県のクラブが多いです。Made in Gipuzkoaを謳い、「カンテラーノの8割をGipuzkoa県民で構成する」ことを掲げているだけありますね。
また、シェア2位がバスク7領域でないラ・リオハ県というのは少し意外。これには、スペイン1部2部のクラブを擁するビスカヤ、アラバ、ナバーラの各県が睨みを利かせていることが関係しているのかなと勘繰っています。逆の立場で考えれば、ご近所クラブに自分達の地域出身の有望な若手が攫われうるなんて嫌ですもんね(笑)
◆Gipuzkoa県内の提携クラブについて
まず、Gipuzkoa県内での提携クラブの分布を下の地図、グラフとともに見ていきます。
おい何か歪な地図だな?と思われてると思います。拙作ゆえお許しください。何で地図自作した?→著作権侵害の回避です。
棒グラフの色分けは地図のコマルカの色分けに対応させています。
Q1. 地図上の灰色塗りつぶしの地域は何?
A2. 分からなかったので、調べてみたものの複雑かつ要領を得なかったので、とある現地在住の大学院生に質問しました。
→山岳地帯及び牧草地帯だそうです。かつ共有地として管理されており、人が生活する地域ではないそうです。
ということで、他の地域と一線を画しており、提携クラブも域内に無いので、本記事には関係しないものと思ってください。
Q2. コマルカ?
A2. ムニシピオ(San Sebastián, Irún等の県内の地域区分)をいくつか内包している地域区分です。そのため、ムニシピオ<コマルカ<県(provincia)<州(Comunidad autónoma)という並びです。
続いて、どんなクラブがあるか、見ていきたいと思います。
・Real Unión
所在地:Irun/Bidasoaldea
フランス国境に面した地域ですね。
レアル・ウニオンはウナイ・エメリが2021年に筆頭株主となり、現在は兄のイゴールさんが会長を務めているクラブです。ウナイの祖父、父がレアル・ウニオンで長く選手として活躍しており、国王杯を過去4度制していることでも有名ですね。今季は国王杯1回戦で1部でプレーするカディスCF相手に勝利したことでも話題になりました。
El Cádiz y el Almería se quedan sin Copa. El histórico Real Unión de Irún y el Arenteiro protagonizan las dos grandes sorpresas de la primera eliminatoria copera.
— EL PAÍS Deportes (@elpais_deportes) November 14, 2022
Por Rafael Pineda. https://t.co/oHfkiQBBxG
現在同クラブのトップチームが1a RFEF(3部)と競争力の高いカテゴリでプレーしていることから、多くのLa Real若手選手が力を伸ばしにローン移籍に向かっています。
(近年のローン移籍例)
21-22シーズン:Imanol Ezkurdia
20-21シーズン:Gexan Elosegi、Anatz Elizondo、Théo Lucbert
・Añorga KKE/Oiartzun KE
所在地:(前者)Donostia、(後者)Oiartzun/Donostialdea
両クラブは、いずれも女子サッカーで有名なチームであり、Gipuzkoaサッカーを牽引してきた存在です。
Añorga KKEは'90年代にリーグ優勝が3回、女王杯優勝も3回と、スペイン女子サッカー史に輝かしい栄光を刻んでいます。
Oiartzun KEは'90 -'91シーズンにリーグ優勝し、'80年代に女王杯を2度優勝した。このクラブで選手として輝かしい成績を残したのみならず、選手キャリア後半は選手兼監督としても同クラブに貢献した人物として、Garbiñe Etxeberriaさんがいます。
彼女は、引退後La Realの初代監督を務め上げた人物で、その後クラブを一度離れるも、2017年から女子チームSDとしてLa Realに復帰し、チームの女王杯優勝(2019)に大きく貢献しています。選手としても、セカンドキャリアでもGipuzkoaサッカーに大きく貢献されている文字通りのレジェンドですね!
リーグ優勝を経験しているクラブが提携クラブとして、相談に乗ってもらえる立場にあるなんて、何とも心強い。
↓Garbiñeさんの輝かしい業績の一部が以下ページに記されています。
・Orioko FT
所在地:Orio/Urola Kosta
このクラブと言えば、何といってもイマノル・アルグアシル監督!Orioで生まれた彼はLa Realへの移籍前、このクラブで過ごしています!
↓歓待を笑顔で受けるイマノル。試合やトレーニング中の厳しい表情の裏にある愛情深い一面が見て取れますね。優れた指導者であり優れた人間。これぞMade in Gipuzkoa。La Realにいる全員の模範です。
・SD Beasain
所在地:Beasain/Goierri
Beasainといえばこの人、アリツ・エルストンド。Beasainで生まれた彼は、La Real加入前にこの地元クラブでプレーし、加入後も1年loanでこのクラブに一時戻っています。
現在2a RFEF(4部)でプレーするこのクラブとは、近年もクラブ間の選手移籍が複数あります。
・Mutriku F.T.
所在地:Mutriku/Debabarrena
我らがCapítan・アシエル・イジャラメンディの出身クラブです!
↓75周年を記念して、La Realが特別にトレーニングをMutrikuのピッチで行った動画がありました。ルッリやフアンミなど、今や他のLaLigaのクラブで活躍する面々がいて、20-21から追っている私にとっては新鮮な気持ちになりました。バレネ若!(更に)
◆Gipuzkoa県外の提携クラブについて
Gipuzkoa県外にもLa Realと結びつきの強いクラブが沢山あります。ここでいくつか見ていきたいと思います。
・CD EDF Logroño
所在地:Logroño(ラ・リオハ)
このクラブはLa Realの誇る新星・P.マリン(Sanse)とA.テハダの出身クラブということで取り上げました。P.マリン(2003年生まれ、U-19代表)は今季トップチームデビューを果たし、周りを良く観て瞬間瞬間で位置的優位を獲得するのが上手く、両足でボールを扱える技術も素晴らしいです。
A.テハダは2002年生まれとして若くしてスペイン女子フル代表に名を連ねる逸材のDFで、人に強いタイトな守備でチームに大きく貢献しています。
・CD Calahorra
所在地:Calahorra(ラ・リオハ)
1a RFEF(3部)と競争力の高いリーグでプレーしており、ここも選手のやり取りが多いクラブです。近年のLa Realからのローン移籍を例示しておきます。
22-23シーズン:Kerman Sukía、Iñaki Recio
21-22シーズン:Ander Zoilo、Jorge Martínez
・ÖIS Fotboll
所在地:Göteborg(スウェーデン)
スペインから少し遠いスウェーデンのクラブとも選手のやり取りがあります。20-21シーズンにLa RealからPeru Ruiz(現在はカディスBでプレー)がローン移籍で行っていた他、ÖISからは2006年生まれのSantino Samuyiwa(2006年生まれ)が加入し、現在はJuvenil B(通称Easo)でプレーしています。本年スウェーデンU-16代表の試合でゴールを決めるなど脚光を浴びました。
ÖISのように、徳島ヴォルティスとも選手のやり取りがあるかもしれませんね!
~結びに~
今回は2Partに分けて、提携クラブについて取り上げてみました。今Partでは提携クラブの内の1部に触れましたが、新参サポの私が把握するのみでこれだけ国王杯を制していたり、選手を輩出しているので、他にも特色的なクラブが多々あるんだと思います。少しずつ知っていきたいです。
今の構造が変わらない限り、将来La Realで、またはX.アロンソやA.イジャラメンディのように世界に名を轟かせながら活躍する選手がGipuzkoa県、その他の地域からも出てくる選手が現れうることと思います。
今後もLa Realのみならず、関連し合う様々なクラブ/人/地域に注目していこうと思っております。皆様におかれましても、何か面白い情報を仕入れられたら教えていただけると嬉しいです!