物語スペインの歴史 人物篇 -岩根圀和著

スペインの歴史を書いた本は沢山あるが、この著作はスペインの史実に名を刻む人物のある側面、出来事に焦点を当てたもの。レアル・ソシエダに興味を持ち、ギプスコア、バスクに興味を持つようになってから、スペインの歴史の本を数冊読んできたが、元々学生時代から歴史や政治、戦争にさして興味を持ってこなかった私には一人の人間を通してその者が生きた時代背景、政況を見る方が親しみやすく、割とぺらぺら読み進められた。

本作は以下の6名についての計6編から成る。

レコンキスタで大きな戦果をもたらした騎士エル・シド

②狂人と呼ばれた女王フアナ

③帝国時代の植民地支配のやり方に異を唱えた聖職者ラス・カサス

④言わずと知れた名作「ドン・キホーテラマンチャの男)」の作者、作家ミゲル・セルバンテス

アラゴン州生まれの宮廷画家ゴヤ

カタルーニャ州出身の建築家ガウディ

 

エル・シドの物語

Embed from Getty Images

ブルゴス近郊、カスティージャ王国ビバールの町で生まれた彼はレコンキスタの国民的英雄と知られ、伝記ではかなりの上方修正の脚色でどこに出しても恥ずかしくない騎士道物語として仕立てられいることが書かれていた。吟遊詩人によって民間伝承的に伝わったものが本にまとめられていたようだ。彼自身は、実際は物語に描かれるような敬虔なクリスチャンでもなく、また時には騎士道精神とは相反するような、手段を選ばない残虐な行動にも打って出ていたことが綴られていた。彼ほどの戦果を挙げると「こまけえことはいいんだよ」精神の萌芽をもたらすんだろうか、、。
イベリア復興の英雄として知られているが、時のカスティージャ国王アルフォンソ6世に追放されてからは、時にはイスラム世界のモーロ人達とも手を組みつつ勢力を再拡大していったとのこと。戦いに明け暮れた人生だったことは確かなようだ。まあその時代の騎士は誰しもそうなのかもしれんが。

ただ伝記にも語られている武勇は確かなものだったようで、兵からの信頼も厚かったことが書かれている。数度の追放を経ても戦史の表舞台から姿を消さなかったのは彼の強さと求心力によるところもあるのだろう。映画観てみたいなあ、GEO行けば置いてるんかな。

 

②フアナの物語

Embed from Getty Images

フアナはレコンキスタ達成時のカトリック両王・カスティージャ王女イサベル、アラゴン王子フェルナンドの間に生まれ、王家の娘として育った。彼女自身は容姿や学問の才にも恵まれ、王族の人間として立派に成長していた。政略面からハプスブルク家神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世の息子フィリップと結婚した。フアナは結婚当初からフィリップを一途に愛したが、彼はベルギーフランドル地方ブリュージュ生まれの男で、金髪碧眼の女性が好み(フアナは黒髪)ということで、不倫の嵐。愛の強いフアナは怒りを周囲にぶつけ、そんな彼女を厄介に思うフィリップの構図、夫婦の心の距離はますます開いていった。フィリップは不倫したり狩猟やスポーツに出かけたりと外で楽しく過ごしていたようだ。フアナの情緒が不安定になった理由の一端として、ハプスブルク家に嫁ぎ愛する母国スペインから遠く離れていたことも挙げられていた。気の毒。夫の急死によりますます精神が不安定となった彼女は長女イサベルと長男フアンの若くしての死によりスペイン女王となってからもバジャドリード県のサンタ・クララ修道院に幽閉されていた。飯もまともに食わず風呂にも入らず皮膚は悪くなりボロボロの身で晩年を過ごし、心優しい四女カタリーナだけが心のよりどころだったようだ。

夫の死後遺体の入った棺を引きづり回したり食事や入浴もせず周囲には当たり散らかしたりと良くない面がいろいろ書かれていたが、政争の犠牲者ともとれる内容であった。とりわけフィリップはいただけない。小特集ではフアナの息子であり、西ヨーロッパに広く領土を拡大したカール5世の「顎」が当時様々風刺されていたことが特集されていて、気の毒だが可笑しかった。

 

③ラス・カサスの物語

Embed from Getty Images

15~16世紀の植民地支配時代を生きた聖職者。彼自身もコロンブスの船に乗ったりと何度も「新大陸インディアス」へ渡っている。物心ついた時から残虐な植民地支配に異を唱えていたわけではなく、齢30を過ぎたころドミニコ会員の演説を聞いて奮い立ち、自らもインディアスのエンコミエンダ制への反対活動に加わった。エンコミエンダとは「委託」の意味であり、インディアスの人々にキリスト教布教を行い、彼らの心を救うということを名目に征服者にキリスト教世界の国策として強制労働使役権と貢租徴収権さらにはインディアスの集落を管理区域として与えるもの。つまりキリスト教の押し付けと、先住民にインディアスに眠る金銀の採掘や強制労働をさせる自己都合による醜悪な政策である。この物語は人生晩年に差し掛かったラス・カサスが、植民地支配肯定派の、当時を代表する哲学者セプルベダとの「バジャドリード論戦」へ臨戦の支度をする描写で始まった。描写からは彼の周到な用意と論戦への強い気概、集中力がバシバシと伝わり、とてつもない重要性をもった戦いであることが窺えた。

バジャドリード論戦は、前述のフアナの息子カール5世がラス・カサスの訴えを聞き入れたことに端を発するもので、カール5世が信頼を置くセプルベダとの議論の場が設けられた。この論戦においてセプルベダは「先住民は野蛮で良識がなく、キリスト教信仰による矯正が必要。また、先進的なヨーロッパ世界の物資や技術を持ち込むことで彼らの生活を豊かにしている」旨を植民地支配の良い点として挙げた。これに対しラス・カサスは、「自身も何度もインディアスに足を運び、彼らがスペイン人来訪前も独自の文明・生活や自治体制を築いており、介入は不要だった。またキリスト教が彼等にとって良いものとは限らず押し付けてよい理由はない。加えて金銀といった彼等の土地のものを奪うことは略奪行為に他ならない」と反駁した。両者は聖書の言及・解釈にも何度も及び、議論は白熱した。ただ、この論戦もエンコミエンダ制廃止等の目立った成果には繋がらず、ラス・カサスは志半ばでこの世を去った。
非道を地で行く当時のスペイン植民地支配時代にあって、異を唱えたドミニコ会の存在を知れ、うれしく思う。独裁政権第二共和政のこともそうだが、この国は良い歴史もあれば目を背けたくなるような時代もある。そんな部分もあっての今のスペインなのだろう。

 

④ミゲル・セルバンテスの物語

Embed from Getty Images

ミゲル・セルバンテスが齢60近い時に巻き込まれたある殺人事件のことが綴られている。彼は元々トレドやマドリードに住んでいたが、バジャドリードの家賃の安い共同住宅を見つけて越してきたようだ。そこで事件に巻き込まれた。彼の住居の周辺で殺人事件が起き、何故か供述のかみ合わない彼の親族達のせいもあってか、容疑は中々晴れなかったようだ。ただただ、当時のスペインの治安の悪さが頭に残った。殺人は路上でアラゴン国王が仕える騎士が路上で何者かに刺殺されたというもので、捜査は打ち切られたとのことだが、騎士が誰かの交際者か妻に手を出したことを発端とする痴情のもつれとの見解が有力だったようだ。あとはミゲル・セルバンテスが裕福ではなかったことが強調されており、事件の捜査側が、彼の家に給仕の者がいたことは驚くべきことだったと記録を残していたのはあまりに失礼だと思ったw後にめちゃくちゃ売れたのになあ。

 

ゴヤの物語

Embed from Getty Images

晩年、病と闘いながら作品を創り続けるゴヤの様子が描かれていた。他にも悲惨な病状は数々あったようだが、聴力を失っていたことが強調されていた。聞こえない他、謎の耳鳴りにうなされていたようだ。病は画風にも大きな影響を及ぼし、暗くまた風刺的な絵が増えていった。この章では絵画のことばかりでなく、宮廷画家として政情に振り回されたり、恐怖の異端尋問につけ狙われたりと、時のNo.1画家とは言え、病以外にも様々なものに影響されいていることが綴られ、芸術家が比較的作風を限定されることはないだろう現代と比べると生きづらいであろう世情が窺える。裸のマハが、宰相ゴドイの愛人がモデルと言われていることは知らなかったし、ゴドイの人間臭さと宮廷画家にこっそりそんなことを頼むのも阿呆ですね。。。1808年 5月3日 マドリード プリンシペ・ピオの丘での銃殺は、異端尋問などスペイン国内で度々酷い目に遭いながらも、彼がスペインのことを思う心が感じられた。ボルドーで生涯を終えた彼は晩年まで絵を描き続けたが、彼の生涯にはアラゴン生まれの男としての根気と気持ちの強さが表れていると綴られていた。

アントニオ・ガウディの物語

Embed from Getty Images

 晩年の彼が日々のルーティンの通り、バルセロナ市街地の通りを歩き、仕事終わりに教会へ向かう様子が描かれることからこの章が始まる。年老いて身だしなみに全く気を遣わなくなり、身体も衰え息絶え絶えの様子で歩を進める彼の姿は浮浪者にこそ見えても、決して偉大な建築家には見えなかったという。若い時は服装もばっちり整えていたようなのだが、いつからかそのような風体になってしまったようだ。巨匠となって後は周囲にすすんで気に入られる必要がなくなったのかもしれないし、自由度が増した結果なのかもしれない。ガウディの建築家としての能力は疑う余地がないものだったようだが、割と偏屈で人物としては万民受けするタイプではなかったとのこと。根っからのカタルーニャ人で基本誰にもカタルーニャ語で話す上、彼の建築を理解できない者とはまともに口を聞こうとしなかったようだ。
さらに驚いたことには、サグラダファミリアの建築担当者は当初は他におり、その者が条件面で雇い主等周囲と折り合いがつかなくなったことでチャンスが巡ってきたようだ。サグラダファミリアは未完成なことで知られているが、彼が亡くなる前に計画的にあとを後任に譲ったわけではなく、市電に撥ねられたことで事故死したことが綴られている。当時の市電は信号機もなく、子供を殺す鉄の筐体として恐れられていたようだ。これまで知らなかった偉大な建築家の最期は信じ難く、驚かざるを得なかった。高額な給金を得てもサグラダファミリアにつぎ込み、身体を悪くしてもタクシー(馬車?)すら使うことがなかったところにも彼という人間の様が想像できた。

 

*感想*

どの章もかなり裏話的な内容で、スペイン史を学んでいない自分には目新しい内容ばかりでした。歴史に名を残した人物の光の当たらない部分をしっかり描いている。また、特に④~⑥章では、各人が生きた当時のスペイン各地の様子が窺い知れることから、角度を変えて、かつてのスペイン国内の様子を知りたい方にはおすすめの一冊です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

22-23 【PSM】レアル・ソシエダB対ベアサイン(2022.7.30 前半のみ)

来ましたSanseのPSM!Zubietaから見える山々の深緑、建物が大変美しいです。ベアサインはギプスコア県都サン・セバスティアンからアラバ県都ビトリア=ガステイスまで向かう高速道路沿いのムニシピオで、X.アロンソの故郷・トロサを過ぎた辺りですね。現所属選手ではアリツやトゥリがここの出身です!
アサインKEには彼らの知人も含まれているんでしょうかね。

動画のカクツキが酷かったのですが、マシだった前半だけでも感想を記しておこうと思います。

 

◇先発紹介

スタメンは以下の通り。知らない選手が沢山いますね。

少なくとも昨季のBチーム、Cチーム、フベニール所属の選手達で構成されていると思われます。GKのU.マレーロ(20)は昨季Cチームの正GK。
DFラインは右からLDのI.ルぺレス(19)、L.ベイティア(18)、I.エスクルディア(23)、J.ゴメス(18)
中盤アンカーにP.ロドリゲス(20)、右IHにD.ガリード(22)、左IHにA.レバルビエル(17)
3トップは右からA.ダディエ(20)、J.マルトン(23)、U.ガルシア(20)。

I.ルぺレスはOsasunaカンテラから移籍してきた2003年1月生まれの19歳。Osasunaでの契約更新オファーを受けず加入。Osasunaで将来を嘱望されていたようで、相当良い選手なのでしょう。Aihenのような綺麗な金髪。
U.マレーロは昨季のCチーム正GK、今季からBに昇格。ベイティアは昨季フベニールで今季はC所属?、I.エスクルディアはIrunのレアル・ウニオンからのローンバックのBの選手でLIもできる、J.ゴメスは昨季サンセに加入した攻撃的LI。
P.ロドリゲスは昨季C、今季からB所属の本職CBの選手、D.ガリードは昨季からB所属の中盤オフェンシブ、レバルビエルは昨季フベニール所属、今季からC所属。
ダディエは昨季C、今季からB所属のWG、J.マルトンは昨季からB所属の9番タイプ、U.ガルシアは今季同じDonostiaのクラブ・Peña Sport FCからローンバックのWG。

ベンチメンバーは以下の通り。


◇攻撃

<組立て>

La RealはCBとアンカーの3枚でボール出し。Beasainの1stラインは3枚、2トップ+左SHが上がってフォアチェック。La RealがGKから近場で繋いだり、大きくバックパスで下げたりで低い位置で持つ時以外はあまり厳しくチェックに来ず、CBから中に縦パスを入れられる。
両IHは相手Wボランチの脇で受けることを意識していた。またはIHが中にボランチを寄せ、WGが内側を取ってボールを引き出したりと多彩。
インテリオールは縦パスに対してすぐフリーの味方に落としてポゼッションを安定。ベアサインの守備の1stラインというより、カウンターに備えているように見える。ボールを味方が奪った時誰かがライン間でボールを引き取り、他の選手が裏へ走る。

20分過ぎからペルーがDFラインに落ち後ろを3枚にして両SBを上げた。WGはより内側へ。中の人数が増え、狭くなったのでここには出し辛くなったが、高い位置に上げたSBを使った攻撃が増えた。


<その他>

基本中で組み立てて外に展開し、中で仕留めようとする。そのためにも中盤、特にIHのところでボールが収まると、SBはWGを追い越す勢いで上がっていく。サイドをWB、SB、IH、CFWらの絡みで攻略し、クロスを上げるかポケットを取りに行く。


◇守備

<組立て>

マルトンにガリードが並びに行く4-4-2プレスだが、ベアサインは殆どDFラインで回さずガリードがCBまで出ていく場面はそんなに無い。4-4-1-1のような形。

<その他>

アサインはボールサイドに人を集める。ボールサイドのCHはトップ下ぐらいの位置まで常に上がっていくし、SBはWBかなという所まで上がっていく。
サイドからの攻撃が主体。


◇選手寸評&プチ総括

マレーロ
捌きもセービングも安定。捌きは両足蹴れるし、セービングは準備が良い。13分は素晴らしい飛び出しでピンチを摘んだ。

ルぺレス
プレス回避に長けているしオーバーラップも迷いがなくタイミングが良い。器用さは全カテゴリのLDでも、現時点でゴロサベルに匹敵するかその次ぐらいのレベルだと思う。

ベイティア
躊躇なく良いタイミングで差す縦パスが光った。パススピードが心地よい。プレー選択に迷いがなく、後ろでもっさりしないのが助かる。左足の技術も高くて、両足で強いグラウンダーを蹴れる。

エスクルディア
左足のフィードと持ち上がりで貢献。

J.ゴメス
WGのウナイ・ガルシアが張る分、内を駆け上がった。息が合っており、お互いシンプルにパスを出し合って無駄走りが少なかった。
抉るのは十分、クロスは狙いどころ、ボールの質ともに今一つ。

ダニ・ガリード
体格で勝るマーカーに競り負け、ロストする場面もあったが、ライン間でダイレクトではたき、ボール出しの起点になった。1stタッチ目のところで潰されなければ、吸い付くトラップでそのまま相手DFラインに仕掛けられる場面も。
ネガトラの戻っての守備など、チームのために闘えるところも見せた。

ウナイ・ガルシア
外に張っていることが多かった。細かいボールタッチとJo-Goとの息の合ったパス交換で攻撃にリズムを生んだ。両足で動かすボール捌きでボールを落ち着いてキープ。狭いところでも余裕を感じた。
隙を見つけて内側に入ってボールを引き出す動きもあり、ビルドアップにも貢献した。

※今夏、Arenas Club (Getxo[ビスカヤ県])に移籍。このクラブはお隣ことバスクの雄・Athletic Clubの提携クラブだと思うのですが、La Realからも選手が移籍していくのですね。Gorka Gastesi (DF), José Ortega (GK)も同じく今夏にLa Real→Arenas Clubに移籍しています。
Getxoはビスカヤ県の港町で、同ムニシピオ~ Portugaleteを繋ぐ世界遺産ビスカヤ橋が有名ですね。

Embed from Getty Images

ハビ・マルトン
斜めに落とすポストワークが気が利いている。サイズがあり結構背負える。斜めの抜けだしや不利の小さいシュートなど、小回りが利くなとも思った。
守備ではGKまでプレッシャーを掛ける献身的なフォアチェックで後ろを助けた。

22-23 LaLiga J9 セルタ対レアル・ソシエダ(2022.10.16)@Estadio de Balaídos

敵地バライードスに乗り込んでの一戦。昨季対戦時は、La Realは4-1-2-3で臨んでいたので◇4-4-2対面でCeltaと戦うのは私がLa Realを観始めてからは初だと思います。
試合前色々な人が触れてましたが、今夏CeltaからLa Realに移籍してきたブライス・メンデスは古巣戦ですね。移籍早々LaLiga8戦5Gと爆発中!今節も期待しています。

Embed from Getty Images

昨季の対戦は2戦2勝ながら内容は対照的前半戦はCeltaの速いパス交換を捕まえられずシュートの雨を浴びながら、今夏出場機会を求めてコペンハーゲンFCに移籍してしまったGKマシュー・ライアンのビッグセーブ連発で辛くも勝利。攻撃面もCeltaの強度の高いハイプレスに苦しんだ。
後半戦は、攻撃面は連携でCeltaのプレッシングを往なして安定感のあるボールポゼッション、それによる主体的な攻撃を披露。守備面は、エース・オヤルサバルの得点で前半12分に先制したチームがある程度前プレスの圧を減らしても中盤以降の争いで強くいくため、1-5-4又は1-4-5でセットしてCeltaの中盤、アタッカーのオフザボールを消しに行く構え。これによりCeltaの攻撃に自由を与えなかったことが功を奏し、1-0のスコアとは裏腹に内容が充実した勝利を挙げることができた。

この試合はセルタ日本公式ペーニャ「Peña Celtista Afouteza Nipón」さんと「Reala Nippon」のオンライン観戦会で生観戦しました(私はReala Nipponの平会員です)。結果は1-0の勝利ながら、内容はCeltaに軍配。La Realは所謂「プロフェッショナルファウル」、傷口をこれ以上広げないためのファウルを何度も犯し、受けたイエローカードは7枚。守備面ではCeltaの目まぐるしいパス交換、Celtaアタッカー陣に苦しみ、今季これまで試合を彩ってきたシルバ、ブライスに中々ボールを良い形で預けられず俄然苦戦。結果はプロスポーツのため勿論のこと、より内容を重視するLa Realとしては勝利を手放しでは喜べない一戦となりました。

鬼のように長い前置き、失礼いたしました。この記事では、CeltaがLa Realをどのように苦しめたのか、微力ながら振り返っていきたいと思います✑

◇先発紹介

スターティングイレブン

*La Real*

ミッドウィークのELシェリフ戦からの入替えは、
DFがゴロサベル⇔アリツ、パチェコスベルディア、リコ⇔アイエン。
MFがスビ⇔ゲバラ、イジャラ⇔トゥリ
FWが久保⇔CFDEZ

そこそこローテーションしてますね。ブライスももっと休ませたいですが。
怪我人はスベルディアが実戦復帰してCBのスカッドは元通り。LDも10/3のジローナ戦で足首付近を負傷したゴロサベルが実戦復帰。FWはバレネが復帰してCFDEZの復帰と併せてこちらも一応4枚カードが揃いました。(ナバーロは2トップ位置で出てないと思いますので、FWとしては数えていません。)

*Celta*

オスカルやベルトランが入ることもあるトップ下、この日はG.ベイガが先発。オスカルはこの日はロンボの右、彼も中盤~FWにかけて幾つものポジションをこなせるユーティリティープレイヤーですね。バルサ戦でも前線の起点になっていたラーセンは要注意ですね。その他は昨季から御馴染みの面々。
4-4-2対面、とても楽しみです。

◇交代、構築変更

*La Real*

'27
①アイエンOUT⇔D.リコIN
負傷交代。KO間際にマジョとハイボールの競り合いで頭同士をぶつけて出血していたアイエンだが、今度は右足内転筋を痛めてしまい交代。大事がないと良いなぁ。

www.realsociedad.eus

’46
②イジャラメンディOUT⇔メリーノIN
久々先発のイジャラは90分走れるコンディションには無いのかもしれない。
イジャラは左脚大腿部に違和感があり、90分の器用を避けたらしい。また、イジャラの状態が良かったので彼を先発で起用したとのこと。

’67
③ゴロサベルOUT⇔アリツ・エルストンドIN
LD同士の交代。守備を固める狙いもあるかもしれないが、ゴロが故障離脱明けである点にも因るか。

’74
④シルバOUT⇔ロベルト・ナバーロIN
⑤久保OUT⇔バレネチェアIN
主力を休ませる交代か。ナバーロをEI、バレネをEDに入れて4-3-3にシフト。マンツーマンからブロック守備に。

*Celta*

’64
①H.マジョOUT⇔O.ミンゲサIN
②G.ベイガOUT⇔C.ペレスIN
Doble cambio. ミンゲサはそのままLDに。ペレスは左インテリオールの位置に入り、セルビがトップ下の位置に移った。

’79
③F.セルビOUTG.パシエンシアIN

Celtaはラーセン、アスパス、パシエンシアの前3枚、トップ下?にペレス、その背後にベルトラン、オスカルの4-2-1-3的フォーメーションに。両SBを高く張り出させ、3トップは中でのフィニッシュに専念。


◇攻撃

<組立て>

マンツーマン気味に守るCeltaに対し、CBから直接攻撃的中盤に入れられる場面は少ない。縦のパスコースを切りに来るCelta守備陣に対し、La RealはSBからの横パスで中盤を使う事ができた。しかし距離のある横パスは結構難易度が高い。
フリーマン的に動くシルバに預けることで何とか攻撃に繋げる。特に右に流れた時は連携の巧いゴロサベル、ブライスと絡んで有機的な攻撃に繋がった。

Celtaのマンマーク守備に遭い、直接CBからへその位置のスビに出すことは難しいが、一度シルバやダウンスリー時高い位置を取ったSBに入れたところからスビのダイレクトを使うルートがよく効いていた。ボールより後ろにいる選手への注意は薄くなるし、スビならインターセプトされなければダイレクトで縦パスを差せる。

[後半]
La RealはIHを大外に寄せてCeltaのSBを釣り出し、その裏にトップ下のシルバや久保、ソルロスが走ってそこに出すなど、よりダイレクトな攻撃を展開。
勿体なかったのが、D.リコのポジショニング。スビがDFライン近くまで下がって後ろ3枚で組み立てる時、開いたCBと高い位置を取らないSB(リコ)が近くてそこだけ何の意味もない配置になっていたこと。低い位置のライン際に近い距離感の2人がいて何ができるのか。CeltaはこのLa RealのSBにはマークを着けていなかったので、本当に意味がなかったと思う。

相手のSB裏を取るにしても、マークがつかない時は、もう少し高い位置まで出た方がインテリオールが中に入れ、相手を配置で押し込めると思う。


<その他>

SBを上げ、ボールに複数人が絡むパス攻撃が最もチャンスを生んだ。今のLa Realは、中央3レーン辺りで、MF4枚+久保がボールを受けられるかが生命線だと思っている。誰かが前を向いて受ければ、彼らは近い距離感でプレーする周りの選手に上手く繋げてくれる。其々相手の嫌がる位置や、ボールホルダーをサポートする動きがうまいのでパス交換からチャンスにつなげる。

[後半]
上述の2トップ+シルバがCeltaのSB裏を取りに行くダイレクトな攻撃やスビメンディの縦パスによるテンポアップを起点にする攻撃など、よりダイナミックな攻撃になった。一度深さを取ることで味方の上がりを待てるので、グラウンダーで丁寧にボールを出せずともいつもの中盤+久保を中心とするパス攻撃ができた。

1点を追うCeltaが前がかりになった試合終盤はオープンになり、スムーズに敵陣に侵入できたが、勝負所で攻めが強引になったり味方同士が被ったりして追加点を奪えなかった。だが、4-3-3に変えてから3トップがOHのスルーパスを待ち構える場面なんかは、良い時のLa Realを思い出して良かった。


◇守備

<組立て>

CeltaのCBには2トップ、アンカーのベルトランにはトップ下のシルバ、SBにはSBがプレスを掛けに行くハイプレス。
これに対してCeltaは速いパス回しやFWに当てるレイオフでLa Realのマンマークをずらしていく。
また、ラーセンに中長距離のパスを通してポストさせたり、上がる味方と入れ替わりで中盤に降りるアスパスを使うのはどちらも何度も成功し、高い再現性を誇った。ラーセンは長いリーチを活かして、味方に叩くだけに留まらず自分でキープできる。

CeltaはSBを巧みに使う。
・高い位置に張らせてそこを起点に周囲のFW、中盤との連携で崩しに掛かる
・マークに来るLa RealのSBを引きつけてその裏をベイガ等に取らせる
・低い位置から味方が中盤で回している間にフリーで内、外を上がる。

どんどんボールを動かすCeltaのビルド~攻撃は結構マッチョだと思っている。


<その他>

Celtaは複数人のイメージ共有、ランニングがハマれば動きながらの目線と身体の向きを変えるダイレクトのパス回しでマンマークを無効化しながらボールを運べる。
スペースでなく人を守るLa Realとしては、この目まぐるしいパス回しに分が悪く、DFラインのところでようやく潰せるような、後手に回る守備を強いられた。

La Realはボールへのプレッシャーが掛かる場面ではその後方でしっかりマークに着いてCeltaのオフザボールを消せていた。
Celtaの攻撃の持ち味は、アタッカーのアクション、スペースに対してどんどんボールを出していく積極性だと思う。多くの選手が絡む動的な攻めで、綺麗にパスが通らなくてもセカンドボールを拾ってチャンスを生む。
La Realは、以下の注意が必要。
◎スペースを与えない為になるべくコンパクトに守ること
◎ボールホルダーへのプレッシャーを掛け続けること→オフザボールの動きに対応すること
◎クリアの処理を誤らないこと
◎セカンドボールを拾わせないこと

これらが崩れるとピンチを迎える。

74分過ぎ
3ラインコンパクトの守備ブロックを固めてきたLa Realはブロックの外で持つCeltaの選手に寄せにいかない。これは裏目だったと思う。Celtaの積極的なアタッカーにカットインを許して劣勢に陥った。

79分過ぎ

まず同点にしたいCeltaがファイヤーに踏み切る。前3枚が中央最前線に立ち、外、中からここにボールを入れるというシンプルな攻撃。あまり放り込んでこなかったのが助かった。


◇選手寸評&プチ総括

大活躍/そこそこ活躍/普通/あんま良くない/悪い

*La Real*

ゴロサベル
人に厳しいCeltaのマークを掻い潜るには彼のトライアングルパスの巧さが光る。ガランにやらせない1対1の守備でも輝きを放った。

スベルディア(ゴール:’54①)
大抵のFWにはロングボールを入れさせないこの人もS.ラーセンには苦しんだ。スベルディアが悪いとは言えないが、度々ポストプレーを許した。

後半の決勝点はソルロス、メリーノと2タワーの後ろでフリーで合わせてのもの。よく決めた。

スビメンディ
前に出せない中盤、SBが斜めにスビに戻す→スビのダイレクトの縦パスが刺さり続けていた。ダイレクトであれだけ速くて正確なパスを出せるのは凄い。足元でなく、動いた先の未来の足元に出すのでカットされない。
セカンドボールの予測が良く、相手に流れを渡し切らなかった。オープンな展開では彼のスルーパスが尚冴える。

イジャラメンディ(ゴール:’30①)
今季初先発。いち早くマーク相手を見つけるプレッシングの動きは流石。ボールを持った時にCeltaの寄せに苦しむ場面があった。
零れ球をワントラップでニアにぶち込んだ先制点は値千金。

久保
激しいフォアチェックで貢献。過密日程でELも出ていたのに走力が落ちないのが凄い。攻撃面は、間受けや裏抜けで違いを生んだ。ハーフスペースや左の大外、時には右にまで流れて色々なところでボールを受けた。OHとしても振る舞える彼が受けると、シルバやブライス、メリーノらと絡んでチャンスを生めるし、サイドでは突破を仕掛けられる。一方、裏抜けは抜けた後アイドゥーの好守に遭った。後ろから身体をねじ込んだり横からぶつけたりしてくる。背中で彼の動きを感じるか、もっと言えば彼と正対しての1対1の方が可能性があるかも。

ソルロス
アイドゥーに負けない強さと速さを武器に抜け出し、Celtaの脅威となった。当たりの強さだけでなく繊細なタッチでボールをキープし、起点となった。時々バイタルに引いて受ける動きも。アイドゥーを寄せ付けないフィジカルの強さ、スピードは流石。

(途中出場)

ディエゴ・リコ
守備時の高さ、強さは非常にありがたいが、保持時の位置取りがアイエンに比べて劣る。相手を引きつけているわけでもなく、La Realのパス攻撃にとって良い位置を取っているわけでもなかった。

R.ナバーロ
細かいボールタッチ、緩急のついたフェイントで対面のDFを翻弄。スペース、裏へのランニング等精力的なオフザボールはこの日も健在。

バレネチェア
(恐らく監督からの指示で)低い位置まで下がって守備を頑張った。攻めてはキープ力を見せた他、面白いパスをCelta最終ライン裏に通すなど持ち味の意外性を発揮。
若干スピードやキレが落ちているように見えたのが気になったが、復帰間もないのでこれから。

*Celta*

A.マルチェシン
素晴らしいセーブを連発。ディトゥーロより安定感含め、相手にしたくなさは上かもしれない。

アイドゥー
コウデ監督がファイヤーに打って出た80分以降、自陣の広大なスペースをケアする事になったが、持ち前のコートカバーリングで試合を成立させた。競り合いではソルロス以外には負けなかった。

オスカル・ロドリゲス
1点を追いかける終盤はタスクがどしっと増えたが、見事に”水を運ぶ役”を遂行した。前寄りが本職だろうに良い選手。

ガブリ・ベイガ
身体の強さ、しなやかさと速さを武器に攻守に活躍。攻めてはアクションの多さでLa Realの脅威となった。プレーの幅が広く、ポストプレーにスペースを突くランニング、身体を巧く使い、かつ足元の技術でボールを守るキープ、ファイナルサードでの意外性のあるプレー...etc 彼
44分のソルロスとの1対1、彼の股を通して往なしたところ、大変痺れた。

スベルディアの決勝点、彼がマークに着いていたがボールの方を見て外してしまった。

イアゴ・アスパス(ゴール:’39⑥)
ライン間受けとそこからのアイデアで違いを生んだ。同点弾は完璧にレミーロの逆を突いた。もう6点、恐ろしい。

ストランド・ラーセン
スベルディアとル・ノルマンの2枚相手に余裕のあるポストワークを披露。ここで収まってしまう事とCeltaのどんどん前につけていくサッカーの掛け算の破壊力はバルサ戦でも証明済み。この試合でも良く出ていた。

(途中出場)
カルレス・ペレス
遠目からでも狙えるパンチ力や、身体を巧く使ったボールキープで違いを生んだ。
この日はとにかくキレがあり、少しでもスペースを与えると迷わず切り込み、素晴らしいジョーカーとして機能。

G.パシエンシア
守備にも走らず電柱感。試合終了後に主審のレフェリングに苦言を呈し退場。ホイッスル後に退場する選手を初めて観た。暴言というよりのっぺり「お前のレフェリング酷い」と苦言を呈した模様。退場は気の毒だが審判もヘイトを買いそう。

 

(感想)

観返したらそこまで悪い試合じゃなかった、というのが一番の感想。前半は攻めあぐねたが、後半は組立てのアプローチを変え、より相手が空けたスペースをダイレクトで使いにいくサッカーで前進し、それで得たCKから勝ち越せた。
リアタイ時はぼこすかやられていたように見えた守備も、Celtaの攻撃が面白いように繋がっていた時以外はボールへの寄せ&オフザボールの潰しで相手の攻撃をコントロールできていた。
◇4-4-2にしてから、皆スプリントの必要、頻度が増えたり、コートカバー範囲が増えたり緩めないマンマークを強いられる事で皆頼もしくなったと思う。コウデが鍛え上げたCeltaほどではないが、徐々にイレブンが逞しくなってきた。怪しい判定もあったが、スビのパスミスによる1失点のみに抑えたことは素直に評価したい。

ヘタフェ戦では実直にハマるだけだったボール出しも、シルバや2トップらのフリーマンとなる動きを使ったり、スペースを突きにいったりアプローチが複数あって良かった。Celtaラテラルの組立て、崩しへの関与のさせ方はCeltaを見習いたい。アイエンはその辺りの振る舞いが上手いが、D.リコは良い位置が取れない時がまだまだ多い。右のゴロサベルも、良いものを持っているのでもっと自分がボール出し~崩しの中心になるぐらいの気概を以てボールに絡んできて欲しい。

Celtaに走り負けなかったことは週中にSheriffと試合をしたことに鑑みても素晴らしいスタッツ。イエロー7枚は痛手だが、一点を争う展開でカバーリングが難しいケースも多いマンマーク守備なのである程度仕方ない。

これは昨季から続いていることだが、マージンを守りに行く展開でチームが選択するのは往なすポゼッションでなくリトリート守備による逃げ切り。カウンターを喰らわない利点があることも分かる。

終盤クラブのベースの4-3-3に変えた後、IHのブライス、メリーノの上がりが遅れて前線が孤立した場面なんかでは如実に疲労の蓄積を感じた。ここからも中2-4日の試合日程が続くが、選手の負荷を管理しながらどこまで内容と結果を求められるか。W杯中断を待たず、EL・GLの1位/2位突破を決める連戦、オモニア戦とユナイテッド戦が待っている。

(下:今季試合日程)

Calendario y Próximos Partidos del Real Sociedad | LaLiga

22-23 LaLiga第5節 ジローナFC対レアル・ソシエダ(2022.10.2)@Estadi Montilivi

Gironaの本拠地、Estadi Montiliviでの一戦。Girona、思ったよりフランスとの国境に近い。地図で見てみるとSan Sebastiánは国境西端、Gironaは国境東端付近といった印象ですね。同じスペイン北部と云えど、遠いなぁ

この試合は生きた心地を失いながらライブ観戦していました。試合は壮絶な撃ち合いに。マンツーマン気味の守備を敷いたものの対人で負けてマークを剥がされ、ボコボコボコっと3点叩きこまれた後如何にして追加点を防げたのか
また、コンパクトで隙の無いように見えたジローナの守備から如何にして得点をもぎ取ったのか、注目して振り返っていきます!
YouTubeチャンネル”オトラボ”でLaLiga3強以外の各クラブの情報中心に取り上げている中の人・松井さんがこの試合のマッチレビューをしてくれています。以下リンクからご覧ください。ラレアル対ジローナの振り返りは3:15~です!

www.youtube.com

◇先発紹介

スターティングイレブン

<ラ レアル>

Embed from Getty Images

今組めるベストメンバー。怪我から復帰のCFDEZ、D.リコはベンチスタート。久保とソルロスのコンビはとてもしっくりくる。大型で走力に優れ、前線で身体を張れるソルロスと、当たりには強くないが、サイド/2列目でのプレー、裏への抜け出しとLa RealFW陣随一の"プレーの幅"を持つ久保はLaLiga、EL双方でチームを盛り立てている。
中盤ロンボのセットはもはや説明不要。攻守にチームを支える何でも屋。

懸念点はCB。ル・ノルマンに加え代表ウィーク中のトレーニングでスベルディアが負傷し、トップ登録25人の中で稼働可能な選手が2人だけに。本職ではないながらプレーできる選手として数えられるのは中盤のスビメンディ、D.リコ。但しD.リコはLa Real加入以降SB/WB以外でプレーした経験はない。
イマノル監督はCBのバックアッパーについてリーグ戦はB(サンセ)のウルコ、スビ、リコを、ELはこの3名に加えウルコと同じくB登録のA.アランバリの手を借りると記者会見で語っている。
※23歳以上のB登録の選手はLaLigaの試合に出場することはできない。
(DVによる関連記事。大先輩Realista ぐるぐる亭さんからの情報提供です。)

real-sociedad.diariovasco.com

<ジローナ>

3-4-2-1的フォーメーション。トップのカスティジャノスは上背はないが機動力と当たりの強さ、シュートのパンチ力に優れる。アルヘン出身ぽい。2シャドーはレイニエルが負傷のためロロとバジェホのコンビ。両WBのアルナウとミゲルは連携に優れた選手で周囲とトライアングルパスで攻め上がるのも得意、要注意。


◇交代

<ラ レアル>

’55
①ゴロサベルOUT、A.ソラIN
交錯で足首を捻挫し負傷交代。1週間程度で復帰できる見込みらしい。結構腫れてたのが痛々しかった。

'82
②シルバOUT、トゥリエンテスIN
③アリツOUTゲバラIN
大幅変更。トゥリはトップ下、アンカーにゲバラ、右CBにスビメンディ。今度リコのCBも観てみたい。信頼に足らなければそこでは使われないだろうが。

’87
④久保OUT、ナバーロIN
⑤ソルロスOUT、CFDEZIN
CFDEZお帰りなさい。昨季は開幕前の大怪我で一試合も出れず。長かった...。
ナバーロ出場良かった。4-4-2は彼向きのフォーメーションではない。PSMでは4-3-3の左WGで頭角を現していた。

<ジローナ>

’54
①M.バジェホOUT、#21Y.エレーラIN
ヤンヘルはそのまま右シャドーに入った。どちらかというと3列目、CHという印象だったので驚いた。

’75
②フアンペOUT、#11バレリーIN
ジローナ、4バックに変更。バレリーが右SH、ヤンヘルがトップ下に入る。

’78
③アルナウOUT、#20Y.コウトIN
④A.ガルシアOUT、#32ウレニャIN
ヤンヘルがWピボーテの位置に下がり、ウレニャが左WGの位置。ヤン・コウトはアルナウと入れ替わりでそのまま右SBの位置。


◇攻撃

<組立て>

横並びのDF4人+アンカーのスビを中心としたボール出し。
SB2人は中盤がボールを持つと位置を上げて大外の高い位置を取りに行く。CBにバックパスが出ると、同サイドのSBは上がったとこから戻り、CBの近くにサポートに行く。

ジローナの1stプレスラインはCFWのカスティジャノスがアンカーのスビをマーク、シャドー2人はラレアルのCB、IH、SBを同時に見る中間守備。シャドーがラレアルCBに出て行くと、SBにはWB、IHにはCHがそれぞれ前にずれて捕まえに来る。

中盤はマークがきついが、ダイレクトパスやキープ力、1個レーン、人を飛ばすパスで密集を抜けるスビメンディ、メリーノ、シルバの捌きが光った。

30分頃~
アイエンを左HVの位置に入れ、ゴロサベルを高い位置に上げる3-4-3の構えに変えた。ボール出しはアイエン、パチェコ、アリツの後ろ3枚とスビが中心。
シルバ、ブライス、久保、メリーノ、ゴロサベルらが入れ替わり立ち替わりボールを引き出し、ジローナ守備網を押し込んだ。


<その他>

La Realが後ろ4枚ベタ引きビルドで相手WBをSBで引き込む時、これまでの相手には2トップの一角を相手CB脇から抜け出させるダイレクトな攻撃が有効だったが、ジローナ3バックはボールサイドへ圧縮してきてその攻め筋は消されていた。

シルバやブライスらが前を向いてボールを捌ける頻度が高かったので、そこに呼応して久保やソルロスがハーフレーンや大外でボールを受けて仕掛けたり、アイエンやゴロサベルの上がりからクロスを上げる。

◇守備

<組立て>

基本マンツーマン。ボールに近いところから、人について嵌めに行く。逆サイドは捨てる。
ジローナはCB3枚+CH2枚(+引いてくるロロ)でボールを出す。中盤にボールが渡ると、アルナウ+ミゲルの両WBは大外レーンの最前線まで張り出し、La RealのSBをピン止めしてDFラインを薄く横に伸ばす。これにより2シャドーは外に張らなくてよくなり、フリーマンに。M.バジェホは前線に、ロロはバイタルを取りにいくことが多い。

76分~
4-2-3-1の形に変わる。組立は2バック+ロメウが中心。高めに位置取る両SBに対し、La Realは両SBがSHのマークに追われておりぶつけるマーカーがいない。ここの持ち上がりを起点にする場面が増えた。大外の枚数が+1になったことでLa Real守備を困らせた。

85分~

La Realの守備が、人を捕まえに行くマンツーマン気味守備から4-4-2ブロックに明らかに変更。悲しいのが中盤本職のトゥリエンテスがソルロスと前2枚を構成し、FWの久保が中盤ブロックに入っている事。トゥリは動きの練習頑張ろう。それプラス久保の守備が相当良いのだろう。

<その他>

大外に張り出した両WB、2シャドーからのクロスや、La Realのマンツーマン守備を1枚躱してDFラインに突っかけてのチャンスメイク。ジローナの攻撃配置が良く、La Realのマンツーマンと相性が良い。1枚剥がした時にLa RealのDF4枚は前線や高く張り出したWBにピン止めされているので、バイタルに大きな空白。ここを使われてピンチを招く場面が多かった。La RealのDFラインをピン止めするのはWBなので、カステジャノスはバイタルに降りるとこのスペースを自由に使える。ロロも低い位置で受けてからの長距離の運びでバイタルエリアを切り裂く場面も。マーク担当のブライスは速さで劣る。
つまり、ジローナのチャンスクリエイトは偶然によってもたらされたものでなくて、マンツーマン守備が攻撃側の選手の配置に従属するという特性を利用し、La Realの守備網にウィークポイントを創り出して均衡を崩す。3得点はジローナの作戦勝ち。La Realはバイタルをフリーで上がってくる選手を手前で止めに行く勇気を持てず、PAまで持ち込ませてしまう場面があった。昨季までを観ていると確かに最終ラインにメリーノやスビが降りてこないとCBがDFラインから飛び出さないという原則を感じる場面があったが、今日の試合に関してはリスクを冒していくしかない場面でいけてない場面が多かった。

 

◇選手寸評&プチ総括

大活躍/そこそこ活躍/普通/あんま良くない/悪い

<ラ レアル>

レミー
3失点目は正面寄りだったので彼なら防げたかもしれない。が、距離も近くフリーだったので文句は言えない。DAZN解説の松原さんは「手前のバウンドで伸び、処理が難しかった」とコメント。75-76分、ロロが立て続けにフリーで右足を振り抜いたが、連続でパラドン。契約更新イメージビデオのぺロタの壁を思い出した。

ゴロサベル
アイエンと両CBが後ろ3枚を形成してから、ゴロはブライスとどちらかが右IH、もう一方が右WGのタスクを入替えながら行った。

3失点目はゴロサベルが中盤でパスを引っ掛けたところからのトランジション攻撃に因るもの。

アリツ
1失点目の自陣でパスを引っ掛けられたところは不用意。失点を招き代償が高くついた。さらに3失点目、カステジャノスに突っ込んで躱された後にコケてしまい、豪快に蹴り込まれた。
ただし、カスティジャノスへのロングボールを悉くインターセプトし続けた守備対応は評価したいし、特に後半バイタルフリーで受けた相手に対する鋭い寄せで何度もチームを救った。
81分ソルロスの爆速ドリブルの脇を駆け上がって追い抜き、決定機を迎えたがトラップが足につかなかった。決めてれば評価はもっと高かったと思う。

パチェコ
配球面はこの日も秀逸。失点の場面等守備対応で少し後手を踏む場面があった。対人は強いがカバーリングや駆け引きは向上の余地がある。

アイエン
左HVの位置に入っての捌きや人に強いマーキングでチームに安定感をもたらした。後ろ3枚を構成している時にも機を見て駆け上がるなど積極的な姿勢を見せてくれた。そこからのクロスは残念。

ただし、相手の裏へのパスに対するインターセプトを空ぶる場面もあった。慎重にいくべき場面もあるが、積極性は買い。

スビメンディ(ゴール:①、アシスト:②)
速い動き出しでへその位置で何度も受け、ボール出しの核に。この日は近場へのグラウンダーだけでなく、前線をスペースに走らせるスルーパスも目立った。スペースを見つけるや自分で持ち上がる柔軟かつ積極的なプレー選択
チーム2点目のアシストは球質が素晴らしい。
4点目のゴールは、ゴール前に飛び込んでソルロスとともにDFを引きつけ、フリーにしたメリーノのトラップミスが零れてきてそれを押し込んだ。

守備でも躍動。34分、アリツの股を抜いたロロの突破、クロスの流れからA.ガルシアのシュートをブロックした場面は値千金。

ブライス・メンデス(ゴール:④)
ロロに対する守備対応は手を焼いたが一瞬のスピード的にミスマッチだし、ブライスはアタッカーなので仕方がない。
攻撃面は流石。相手守備を往なして守備者の目線と体勢を変えさせるパスワークが光る。また、ゴロサベルとのコンビネーションは既に熟練の域。ゴロが内側(ハーフレーン)に入る時は大外に、大外に張る時は内に位置取った。

3点目のFKはチームを救った。得点後大声と振りでチームを鼓舞してる姿が情熱的だった。

メリーノ(アシスト:③)
身体を張った守備がこの日も素晴らしかった。攻撃面では競り合いの強さによるボールキープ、味方をサポートに違いを見せ、トライアングルの底として器用にテンポ良いパス攻撃を支えた。言わずもがな球捌きに長けるので、1タッチ2タッチで素早く正確に捌き、相手マーカーを寄せ付けない。出しどころも文句なし。

シルバ
攻撃に変化をつける絶対的な崩しの切り札。ジローナはシルバにマークを着けないので、意外とバイタルでも時間がある。いつも通り周りとうまく絡んで攻撃を活性化し、1点目と4点目はプレアシストを決めた。

久保(ゴール:②、アシスト:①)
どんな場面で受けてもサポートがいればワンツーで局面を打開できる。タッチが細かいので相手は飛び込めず、良い形で受ければ殆どの場面でシュート、クロス等ラストパスまで繋げてくれる。
守備でも献身的に走り、時にはフリーで持ち上がる選手を長い距離を戻ってマークにいったり、鋭い寄せでボールを回収する場面が光った。79分の競り合いではソルロスが外さなければ実質上のアシスト。
S.ブエノの背後を取り、最終ラインとGKの間にグラウンダーを蹴った1点目のアシストは文句なし。

5点目は角度がきつくスーパーだったし、似たような場所から撃った50分のシュートシーンはフリーのシルバを囮にして、DF3枚を相手にしながら仕掛けて撃ったもの。密集を打開する度胸と積極性、ドリブルの細かさ、アジリティーが光った。

ソルロス(ゴール:③,④、アシスト:①)
この日はあまり大外に流れず、中央~左ハーフレーン辺りを静かにうろうろしてチャンスを窺った。シルバがパスレシーブできているので特に下がる必要もなく、最前線での仕事に集中できた。79分のポスト直撃はご愛嬌と言えるのは、2点決めてくれたから。
ゴール前中央から、ファーサイドに流れる動きで相手左HVのフアンペの背後を取り先制点。

(途中出場)
ソラ
見劣りしない守備対応を見せた。まずいポジショニングや釣りだされる時があった昨季より格段に守備が良くなっていると思う。終盤、自分達がボールを握りたい時間帯で、簡単に付近の味方につけず、囲いの外に渡す良いボールの動かし方をした。

トゥリエンテス
最前線のプレスに従事。精力的に走った。攻撃面はあまり目立たず。

ゲバラ
この試合に関しては昨季の簡単に下げてしまうゲバラは完全に消え去っていた。どんどん前に着けていく縦パス、自分のところで止めきる守備。
出番は少なくとも良いトレーニングができている事を窺わせる素晴らしいパフォーマンス。

ナバーロ
5点目が決まった後、チームはマンツーマン守備から4-4-2のブロック守備に切り替え、中盤ライン4枚の左の位置に入った。ブロックの中での動きは上々。ボールと味方、相手の位置に合わせて細かくポジションを修正できていた。
攻撃面はあまり出番なし。

CFDEZ
シュートを積極的に放った。ボールを引き出す巧さ、周りを使う巧さどれも錆び付いてない、長期離脱した選手が良い状態で帰ってきてくれることは凄く嬉しい。

<ジローナ>

フアン・カルロス
浮き球対応で迷いを見せる場面や、セービングの弾き方がやや不安に見えたが、5失点はいずれも彼が悪いわけでは無いと思う。

S.ブエノ
1失点目こそ久保に背後を取られたが、その後は要所を締めていた。結構初速が速くて予測も良い。ただよりアジリティに長けたマーク対象の久保との1対1には苦しんだ。3点目を入れてから特に大きくサイドに流れる時以外は久保のマンマーク

ベルナルド
恵まれた体格で競り合いでこそ強みを見せたが、小回りが利かずLa Realの揺さぶりに手を焼いた。

フアンペ
ソルロスの2得点はどちらも彼が背後を取られた。リアクションも鈍く、ソルロスを気にせずひたすらボールを見ていたのはいただけない。マーク対象がどういう動きをしようとしているか、

アルナウ・マルティネス(ゴール:②)
豪快なヘディングからチーム2点目をマーク。FKからの流れ、La Realのクリアがうまくいかず、零れ球をロロが左サイドで拾ってファーサイドにクロス。パチェコの下がりながらのクリアが上方向に上がってしまい、PA内でCBのベルナルドが折り返し、これがゴール左寄りで待っていたアルナウに上がり叩きこまれる。

オリオル・ロメウ
素早い寄せから攻守を連発。特にセカンドボールへの反応が凄まじかった。迷いのない速く適確な配球も素晴らしく、攻撃にテンポを生んだ。ボールタッチも繊細で取れない。当たりも強いので尚更。
黙々とボール回収、速い捌きを見せる彼はブンデスリーガ屈指のCHに成長した遠藤航を思わせた。

アレイシュ・ガレシア
ところどころ間で受けるポジショニングと間受けからの配球でチャンスを生んだ。ただ、ボール出しでの貢献はいまいちな印象で、90分通して素晴らしい選手には見えない。守備面でもブロックの一因としての動き、位置取りは良かったが、対人やカバーリングなど特段の強みはそこまで感じない。

ミゲル・グティエレス
ボールを持った時のアイデアやプレーのバリエーションが他のLIと比べて豊富な印象。周りを巧く使ってプレスを簡単に往なす。アルナウのクロスにファーから飛び込んで合わせた場面は惜しかった。GK正面で無ければ入っていたかも。
外から中に入っていく動きは捕まえ辛いしこの人の武器になっている。

マヌ・バジェホ
中央、サイドでドリブルをがんがん仕掛けるロロほどの華は無いが、大外のアルナウや中央のカステジャノスのサポート、クロスへの飛び込み、プレスバック等々WGながら"水を運ぶ"タスクをこなし、好印象を持った。

ロロ・リケルメ(ゴール:①)
寄せが緩いと簡単に緩急で剥がして一気にバイタルまで駆け上がる。1対1に強いこの人にマンマークは分が悪かった。また、敢えて大外の低い位置に張り出してフリーで受け、直ぐにドリブルを開始し一気にPAまで駆け上がるなど自分の武器の活かし方も心得ていた。ファイナルサード以外でも大きな働きができるのは、アタッカーとして素晴らしい。
同点ゴールは味方がパスカットしてのトランジションから、デスマルケでマーカーのスビから離れてパスを受けると、寄せに来たスビに対し、股を通して外してPA手前から豪快なミドル。ニア上隅に超弾速の一発を叩きこまれ、長身のレミーロも届かなかった。

カステジャノス
彼自身が目立つことは多くなかったが、攻撃ではLa RealのCBを引っ張ってピン止めし続けて他のアタッカー陣にスペースを供給し、守備では粘り強くプレスを掛け続けた。スビメンディに入る回数をもっと絞れたら良かったが、インターセプトを狙って彼の少し前でカバーシャドウする形だったので、抑えきるのは難しかった。そこは監督の判断もあると思う。

(途中出場)

Y.エレーラ
昨季はCHでばかり観ていたので、シャドーと前の位置に入ったことが驚きだった。パチェコにも負けない当たりに強さで前線の起点になった。サポートが上手い。

バレリー・フェルナンデス
目立った活躍は見せられなかったが、周囲との連携の良さは窺えた。

ヤン・コウト
この人の武器はスプリント力と思い切りの良さが出る鋭い攻撃参加。何度かサイドを抉ったが、決定的な場面には繋がらず。最近開幕当初に対してアルナウとの序列が逆転しているかなという印象。

ウレニャ
La Realが守備に重きを置いたこともありボールをあまり受けられなかったが、精力的なプレッシング、プレスバックで貢献。
終盤何度か前向きでボールを持って仕掛けた。ぶち抜けたわけではないが、キレは鋭かった。
少し来歴を調べると、フベニールA時代からGironaに所属する2003年生まれの19歳。活躍に期待したいです。

 

(感想)
守備の脆さをジローナに突かれた試合でもあり、それを自慢の攻撃力で跳ね返した試合でもあった。守備時にカウンター等で中盤4枚が後ろを取られて広大なバイタルを好き放題に突進される場面が何度も訪れた。WBのDFラインピン止めでLa Realバイタルを広げたジローナの配置で優位を取りに来る作戦は見事だし、1枚2枚剥がせる強さ・巧さを持ったジローナの選手達(特にCHのオリオウ・ロメウ、シャドーのロロ、CFWのカステジャノス)も素晴らしい。だがそこに対応しきれず危機を何度も迎えたLa Realの守備アプローチはどうなんだろう。

大量5得点をたたき出した選手達の強い精神力、閃きは勿論称賛したいが、欧州の舞台で結果を残す事を目標に掲げるこのチームに、主導権を渡さない守備の構築は求めて然るべきだと考えてこの先の試合を見守っていきたい。

22-23 LaLiga第5節 ヘタフェCF対レアル・ソシエダ(2022.9.11)@Coliseum Alfonso Pérez

9/8(木)夜のEL・GL第1節、オールド・トラフォードでのUnited戦から中2日。ELってきついですね… 御相手が本調子で無かったとは言え、敵地で値千金の勝ち点3をもぎ取ったことを弾みに頑張れ!

ヘタフェは昨季2分と苦手にしている印象。
サイドチェンジを多用しない為かコンパクトな守備を崩せずに苦しんでいる内に勝負強い彼らにこじ開けられ、得点力の無いラレアルは苦戦必至という覚え。自分のブログを読み返すと、2戦ともビルドアップに苦しむか、ボールを出した後にヘタフェのコンパクトなブロックに捕まるという感じだった。今回はどうなるかね。

個人的にはソリッドな守備を敷く相手にも面白い攻撃ができてこそ「攻撃的なチーム」「ボール出しが上手いチーム」と形容されるべきだと思う。内容に拘ってやって欲しい!

 

◇先発紹介

*ラレアル*

United戦からの先発の入替えは、
DF)A.ソラ(←ゴロサベル)、スベルディア(←アリツ)
MF)トゥリ(←ブライス
FW)ソルロス←(シルバ、United戦:シルバがトップ下、久保が左FW)

ソラトゥリ、今季初先発おめ!Gipuzkoa出身の今季トップ昇格選手を皆で応援しましょう(*´ω`)

*ヘタフェ*

アンカーの位置を務めるA.アルゴビア #16 さん、Rayo B→Getafe B→Getafeか。トップ昇格おめでとう。御出身のVelilla de San Antonio がVallecas寄りでどちらもMadridから見て西の方。Madridは狭い中つうか首都近郊にクラブが多いですな。


◇交代、構築変更

*ラレアル*

’38

①モモIN ⇔ サディクOUT

負傷のサディクに代わりモモがIN。ソルロスが右に移り、モモは2トップの左に。
サディクは検査の結果右膝前十字靭帯断裂。今季絶望と報じられた。大変残念だけど元気で戻って来てね。

後ろからの楔を、モモの方がよりサイドに流れて受ける。サディクは中盤に引いたり、バイタル寄り、相手CB(HV)の近くで引き出すことが多かった。

 

’HT明け

ブライスIN ⇔ 久保OUT
③シルバIN ⇔ トゥリエンテスOUT

メリーノが左IHに移り、ブライスが右IH、シルバが久保のいたトップ下に。
中盤の構成がレギュラーメンバーに代わった。久保をFWに回すプランもあっただろうが、ソルロスを残した。

'70

④ゴロサベルIN ⇔ ソラOUT
ソラは交代前足痛そうにしていた。実況&解説は彼が交代を志願していたと。

’81
カリカブルIN ⇔ ソルロスOUT
インパクトを残したい。が、放り込みが既定路線気味になって中々決定機には絡めず。数度頭で合わせたが力なくGKの正面に。左で浮くアイエンはアーリーの精度は期待できない。

 

*ヘタフェ*

'52
①J.イグレシアスIN ⇔ アンヒレOUT

Transfermarktによるとイグレシアスは右利きでRBが本職らしい。この日はアンヒレリと入れ替わりで左WBに入った。

’60

②J.セオアネIN ⇔ アルゴビアOUT
アンカー同士の交代。中盤の潰し、特に久保のマーキングを精力的に走ってやっていたアルゴビアさんが交代、最後の方は足を攣っていた。闘えるカンテラーノ、素晴らしいなぁ

途中からマクシモビッチと左右を入れ替えていた。ヘタフェがよりブロックを下げてから、より競り合いに強そうなマクシモビッチを中央に配したいということか。

’70

③ムニルIN ⇔ マジョラルOUT
ポルトIN ⇔ アレニャOUT

それぞれ左FW、右IH同士の交代。ポルトゥそこか!彼はバレンシアユース時代ボランチだったらしいですもんね。(VCFペーニャ会長殿からいただいた情報です)

◇攻撃

<組立て>

〔後ろ4枚〕
ラレアル
のビルド時のSBの位置は低め。CB→SBに各停のパスを出すと、ヘタフェはそれまでラレアルIHを見ていたIHがjumpして捕まえに来る。
ラレアルはそこにつけこみ、ヘタフェブロックをIHから引き込み、DFラインからヘタフェCB脇に一気に通しに行く。ヘタフェWBはIHが出た玉突きでIHを捕まえに出るので背後が薄くなる。ただ、裏を取りに行く動きに対してパスを出さないと、FWに入れた後、圧縮されて絡み奪られていた。

〔後ろ3枚〕
10分過ぎあたりから2トップに背中で消されて中々へその位置で受けられなかったスビが2CB間に降りてヘタフェ2トップに対して3枚を作った。両HVは相手2トップ脇に開いて前進し、対面のIHを釣りだしつつ縦パスを狙う。
ヘタフェWBはラレアルのSBとIHをともに見る中間守備なので、SBをビルドアップで使いやすくなった。
両HVから前に差しに行く他、DFライン中央のスビからメリーノに速いパスを入れる場面も多かった。メリーノが受けてから次のパス先を探すので、この隙に奪われる場面がちらほら。ここのメリーノのサポートをトゥリエンテスやSB、久保らがもっとわかりやすく行えば十分中央からの組立てができたかなと思うので勿体なさも感じる。

トップ下の久保は後ろ2枚の時は相手アンカーのアルゴビアが、スビが降りて後ろ3枚の時は底に下がるメリーノについていかないマクシモビッチがマンマークに着いてここに入れるのが難しかった。

<その他>

〔前半〕
大体HVや中盤から中長距離のパスを駆け引きして相手HV脇で受けようとするFWのサディク、ソルロスに通し、彼らがPA、バイタルまで持ち込むのを起点にするパターン。またはソラのオーバーラップを使ってクロスを入れるパターン。ビルド隊→中盤→アタッカーと上手く繋げていなかったので手数を省く攻撃が多かった。一番やりたい事ができない故の割り切り。

〔後半〕
チャンスこそ作れていたが、サイドからのクロスが殆ど。中を崩し切るには至らなかったのが敗戦の一因かなぁ。ヘタフェの5-3-2ブロックは中の人数が多いし狭いので、外から中のランニング、その逆とか斜めの崩しがあると面白かったかもしれない。間、間に入れ続けて相手ブロックをゆがめたい。


◇守備

<組立て>

ショートパスによる後ろからの組立てを省略しバイタル以前に蹴ってくることが多い。ラレアルの前プレス2枚に対し、アンカーを経由せず、3:2で数的優位のDFラインから前線に入れ、セカンドボールを中盤で拾う狙い。蹴ると云ってもパサー側が数的優位にあり余裕があるので、結構良いボールが出て繋がる。


<その他>

ラレアルはサイドが薄いのでIHとWBのパス交換でチャンスを作れる。ヘタフェはSBとIHの2枚でサイドを攻略に来る。IHがサイド奥深くを中から外の斜めのランニングで突く形が多い。角度を付けた速く正確なパス回し、ほれぼれするし打開もされる。
とりわけアレニャがいる右サイドの崩しが良い。アレニャは連携が巧く、機敏。

シンプルにマジョラル、ウナルに入れて彼らの落としから展開する場面も多い。

 

◇得点

'45+5
GET 1-0 RSO E.ウナル②

トゥリエンテスが不要なハンドを犯し、若干遠目、ゴール斜め左からのFK。
これを壁上を掠める痛烈な一発でヘタフェが先制。そして前半終了

なんやあの化け物...

’48

GET 2-0 RSO アレニャ(アシスト:E.ウナル①)

左サイドのスローインからサイドを抉り、クロスに対してマイナス気味に立ってたマジョラルの更にマイナス方向、アレニャがフリーで待っておりここに合わせて得点。インサイドで丁寧に流し込まれた。

GET 2-1 RSO⚽ ブライス・メンデス②(アシスト:モモ②)

モモのマーカー手前から上げた右足ピンポイントクロスから、マーカーの背中をとったブライスがヘッドで叩きこんだ。オフザボールの達人。
モモは両足で鋭く曲がって落ちる高回転のクロスを蹴る。これからも期待してます。

◇印象に残った選手

大活躍/そこそこ活躍/普通/あんま良くない/悪い

*ラレアル*

A.ソラ
剥がしが上手い。結構きつく寄せられても往なして剥がす。アンヒレリにもイグレシアスにも1対1では負けてなかった印象。
サポートない状態で独力で前へ運べるのはとてもありがたい。
繋ぎのパス、クロスの精度もゴロサベルより上か。

組立てでも出しどころが面白いし、戻す時も斜めに戻すことでその後の展開をスムーズにした。賢い。

スビメンディ
ヘタフェの前2枚に対しCBの間に降りて、持ち前の素早い捌きでへその位置のメリーノにずばずば通した。

ブライス・メンデス
得点見事。マーク担当のアンヒレリがボールウォッチャー気味になり、自分へのマークが緩慢と見るや手を挙げて要求し、彼の前からフリーで飛び込んだ。
DFラインからの組立時CB脇に下がり、ソラの位置を上げるサポートも気が利いていた。

モモ
並みのCBでは後追いでも防げないアジリティとスピードはこの試合も健在。左サイドを崩した。
右サイドだけでなく、左サイドでもWGとしての仕事をこなす。ブライスに上げたカットインからの右足でのピンポイントクロスには正直驚かされた。右サイドでは縦突破からの右足クロスの精度がヘタれていたので期待していなかった。
左足のクロスも鋭く落ちるボールを蹴っていた。とても良いクロッサーだということが分かった。

倒されてもすぐ立ち上がってゴールに向かう不屈の男。あ、止められた。と2,3度思ってもドリブルし続けてることがある。

ソルロス
クロスが増えた後半、中で合わせる動きがもっと欲しかった。高さを生かして欲しい。
また身体のキレは戻ってきたが、パスや動きが味方に合わない場面がちらほら。もっとできる。期待してます。

また、これは組み合わせの話だがサディクとの2トップはもっと中盤、DFラインからの繋ぎが上手くいかないと攻撃を淡白にするかなと思った。中盤オフェンシブをやれる久保や本職サイドアタッカーのモモと組んだときの方が相補性が良いし攻撃に繋がりが出る。

シルバ
とても気が利いている。CBからボール出しのパスが他の選手に入った時のサポートが誰よりも早くて正確。ヘタフェ守備陣との距離の取り方と出し手との距離感、角度のつけ方どれを取っても格別。
ボール出しも即座に潰されては意味がない。マークがきつい選手に出た場合、その後のサポートが重要なんだという当たり前のようなことに改めて気づかされた。不世出の特別なタレントだと思う。

 

*ヘタフェ*

C.アレニャ
ダミアンとの連携で右サイドを何度も抉った。間で受けた時に見せる運びのドリブルの馬力は要注意。
2点目のゴールはソシエダのクロス対応が酷かったとは言え、良いポジショニング、ミートだった。

E.ウナル
ロングボールを収める巧さ。めちゃくちゃ強いわけではないが身体の使い方、当て方やDFとの駆け引きが上手い。ヘタフェの選手が中盤以降で前を向いている時、大体ラストパスを受けられる準備ができていて怖さがあり、推進力もある。対人守備(地上戦)が強くないスベルディアは分が悪かった印象。ヘタフェ1点目のFKは力強いショットでコースも良かった。
正直羨ましいレベルのストライカー。ツキがあったらもう1,2点とってそうだった。

1点目の壁の上を掠めるキャノンFK、たまげた(;´・ω・)

セオアネ
間受けが上手い。そこからの展開も上手い。72分のウナルのポスト直撃、センターサークル以降から彼のライナー性の一本のパスからでした。
守備もスライドが早くて注意深く、多少離れていてもインターセプトを狙う瞬発力がある。オープンなボールへの反応が早く、速攻の起点になる。要注意人物

 

◇感想

前半試合をコントロールできなかったのが痛かった。ヘタフェのブロック重心が比較的高かった前半は細かいビルドアップを省略して、シンプルにヘタフェDFラインの裏を突いた。
後半シルバがボール出しの後の繋ぎをサポートすることでヘタフェを押し込むことに成功。ヘタフェがブロックを下げるまでは攻撃に彩りを出した。
ヘタフェがブロックを下げ中を締めた後半途中からはブロックの外、大外からの放り込みでしかゴールに迫れなかった。

課題は組立てで上手く後ろから繋げない時間帯の作りと相手がブロックを下げる時間帯の崩し。前者はスビメンディを下げてパサーとなるDFラインに余裕を生むことで前につけれてはいたが、ボール出しのパスが入った後の展開、サポートがそれを巧く熟したシルバのいない前半に不足していた。

後者は、ヘタフェのカウンターを恐れてか、連携でブロックの中から攻略してやろうという意識が薄く、リスクの少ないところから攻める時間帯が長かった。誰かが無理してもその後潰されて終わりと、スイッチを誰かが入れた後にそれに続く選手がどれだけいるか、スビメンディやモモ、ソラなど個々では剥がせる選手がいたので、次の試合はその組み合わせが観たいです。

引き分けは覚悟していたが負けかぁ...。大エースE.ウナルを褒めると辛抱強い組織的な守備を褒めるしかないのか。先に書いたがチャレンジとサポート、あとは間に入れ続ける相手の懐から崩す攻撃が観たい。サイドチェンジも押し込んでからも織り交ぜてくれればいいのに。

22-23 Real Sociedad選手紹介③(FW編)

さてFW編です!今季も何とか書けました。
久保は右WGとして、R.ナバーロは左WGとしてこちらで紹介しています。レギュラー含めかなり若い面々が並んでますね。CFWのイサク、CFDEZ、カリカはいずれも最前線中央に張り続ける定点型でなく、ライン間に落ちて受けに来たり、サイドに流れるタイプ。隣のWGもそれに呼応して流動的な攻撃を生んで欲しい。
PSMではナバーロやA.マルティン、久保、🍑と其々に機を見て中に入る動きが観られましたね。見ていてワクワクするような攻撃を展開して、フィニッシュに繋げて欲しい!

守備陣、中盤は以下ページで紹介しています。↴

wesleysni.hatenablog.com

wesleysni.hatenablog.com

(※)
・年齢は21-22LaLiga最終節(2022/8/14)時点のものを記します。
・背番号は22-23シーズンのものを記します。B登録の選手は(B)と記します。トップチームでの背番号が分かったら追記します。
・出生地、Gipzukoa県生まれなら青字、バスク地方(7県)生まれなら緑字で記します。
・出身クラブは前所属クラブと、それに続いて()内にその前の所属クラブを記します。ソシエダB(Sanse)出身なら青字で、Juvenil又はCチームからソシエダ所属なら青字+太字で区別します。バスク地方のクラブ出身なら同様に緑字で。La RealのCチームは2016年にできたため、JuvenilからSanseに上がった選手も多くいます。

 

~Extremo Derecho~

#11 Mohamed-Ali Cho(モハメド・アリ・チョー)(通称:Momo/モモ)

Embed from Getty Images

年齢 : 18
出身 : Stains(セーヌ=サン=ドニ県, イル=ド=フランス地域圏
出身クラブ : Angers SCO (←Angers SCO U19)
契約満了:June, 2027
ポジション:WG、CFW

🍑。良いあだ名である。高額な移籍金もあり、このフランス出身アタッカーの獲得に疑問の声が多方から上がっているのを見たが、笑顔と可愛いあだ名を披露した入団挨拶で絆されたファンも多いんではないだろうか、俺なんですけどね()
Transfermarktによると数年エバートンFCのユースで過ごして英国籍を持っているらしい。本当かねえ。その前はPSGユース。豪華だねえ

フランス時代のプレーはプレー集をちょろっと観たぐらいなので何も話せません。今季PSMを観ると嬉しい誤算やプレスの掛け方が上手い。CBまで出ていく時しっかり背中で消しながら出ていくし、間合いも近く相手保持者にかなり圧を掛ける。周りとの連動も現時点で上出来。また縦突破だけでなく裏抜けもあるし中に入ってパスレシーブもでき球離れも悪くない。嬉しい。身体も強くて寄せられても簡単にはボールを渡さない。
一方逆足はあまり得意でなく窮屈な感じ。

移籍金11mと聞いた時にどこぞの馬の骨と悲しんだが、かなり有望なアタッカーで一芸に頼らず総合力も期待できそうなことが分かった。普通に開幕が楽しみです!

 

#14 Takefusa Kubo(久保 建英)

Embed from Getty Images

年齢 : 21
出身 : 川崎市(神奈川県)
出身クラブ : FC東京U18 (←FC東京U18)
契約満了:June, 2027
ポジション:WG、IH

オラベSDが惚れ込んだ俊英。正直ブライスの加入が決まった時久保の獲得の線は消えたかと思っていたので驚きました。どちらもWGできますしね。2027年夏までの大型契約、じっくりクラブに慣れて欲しい。バスク生活羨ましいなあ...当方、東京バスクの家(バスク自治州政府公認の在外バスク系同胞団体)に所属するぐらいにはバスクの地が大好きです。現地の人から愛される選手になってくれ!

個人的にはクラブがウーデゴールのローンバック当初から彼の獲得を狙っていたという話から、WGというよりIHの位置で期待しているのではないかと考えている。オンザボールで数枚剥がせる巧さと緩急、そこから決定的なパスを通すビジョンは既に実証済み。
オフザボールの周囲を生かし自らも生きる位置取り、守備時のプレッシングなどを学び、長所の多いアタッカーに成長して欲しい。

情けない話だが彼をしっかり観た試合が1.5試合ほどしか無いので、かなり楽しみにしている。La Masia時代に、「レオ・メッシに似ているか?」と尋ねた日本のインタビュアーに対し、コーチに「いやいや、彼は寧ろペドロとイニエスタを足して2で割ったような選手だよ」と言わしめた素養を見せつけて欲しい。(当方ペドロもイニエスタも大好きです。)

 

(昨季B) Näis Djouahra(ナイス・ジュワラ)※2022夏HNK Rijekaに完全移籍※

Embed from Getty Images

年齢 : 22
出身 : Bourgoin-Jallieu(イゼール県, オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏)
出身クラブ : Real Sociedad B (←St-Étienne U19)
前契約:until June, 2023
ポジション:WG

(クソデカため息)。昨季はLaLigaで7戦に出場しサプライズ的活躍を披露。今季プレシーズントップチーム帯同の9人に選ばれ、出世街道を走っていた。ポルトゥとヤヌザイが抜け、益々この俊英に期待が、と思っていた矢先の移籍劇。どうして、どうして。
私は本人が望んでの移籍と妄信。彼のような優れた選手をすすんで手放すクラブではないと信じたい。

一昨季までは主戦場が左WGで、一か八かの突破をどんどん仕掛けるドリブラーだなぁと観ていたが昨季でその見立てがひっくり返された。大外に張るだけでなく少し引いて受けに来る動き、そこから中盤との連携により加速、パス&ゴーで前進。相手のタックルは繊細なボールタッチで鼻先で躱して爆発的な加速で一気に抜き去る。守備の動きも機敏でブロック守備の一員として周りと良い距離感を保っての守備、素早く間合いを詰め切る寄せ、全てが最高で本格ブレイクは時間の問題と思われた

アドリア海沿いの港湾都市・リエカ良い所だ。
幾らの設定か知りませんが買戻しOPが付帯しているらしい。いつでも戻って来てね!

 

#7(昨季) Cristian Portuguez(クリスティアンポルトゥ)※2022夏Getafeにローン移籍(買取OP付帯)※

Embed from Getty Images

年齢 : 30
出身 : Beniel(ムルシア県/州)
出身クラブ : Valencia CF B (←Valencia CF Juvenil)
La Realでの契約:until June, 2024
ポジション:WG、ST

J.グリディに並ぶLa Realの魂。いつでもチームのために走り身体をぶつけ、気持ちの乗ったドリブル、ランニングでゴールに迫る。
背こそ高くないがロングボールを収めたり身体を入れるボールキープが上手かったので20-21前半戦は組立てに詰まったら彼に蹴ることが決まり事になっていた。

昨季のポルトゥのゴールが減ったのは、チームが組立てに苦しみ、良い位置で待つ彼にパスを入れられなかった事も大きい。シュートがミートしなかったり枠に飛ばないのもあったが、シュート以外ではパフォーマンスは寧ろ良かった。仲良しGroguetのIssa君とも認識が被ったが、昨季は”組立てに苦しむ分良い形で預けなくても打開してしまうヤヌザイの重要性が勝ったことも、彼の出場時間が増えた一因”と見受けられる。オヤルサバルらの負傷離脱者もあり、干されるという程度ではなかった一方途中出場が増えた。LaLiga37戦出場の内先発17(一昨季は24/37戦先発)でプレー時間も一昨季比で600分減少した。

元気なポルトゥは”常時出場”を求め、ヘタフェに去った。ローン移籍だが本人がお別れのメッセージも発しており、買取OPの行使は既定路線に見える。
チームのために闘う姿とパサーとイメージを共有してばっちり決める斜めの抜け出し、右斜めから駆け引きを制して決めるシュートが大好きでした。個人的には狼と犬の中間のような愛らしい見た目、わんぱくそうな見た目とギャップのあるハイトーンボイス、カンテラ産でない身ながらインタビューでLa Realを家族のように思っていると何度も語る彼が心から大好きです。

彼の魂はZubietaで時間を共にした残された皆が受け継ぎ体現すると信じている。
ヘタフェでも元気な姿が観たい。

 

#11(昨季) Adnan Januzaj(アドナン・ヤヌザイ

Embed from Getty Images

年齢 : 27
出身 : Brussel(ブリュッセル首都圏地域)
出身クラブ : Man Utd U21 (←Man Utd U18)
契約満了:June, 2027
契約満了済(June, 2022)
ポジション:WG

ベルギーが生んだ至宝。自分が彼を初めて観たのはいつかのPSMの横浜FM戦。当時はラストパスを最大の武器とする典型的なトップ下タイプだったがUtdで鳴らしたのはぶち抜き突破から降り抜いて痛烈なシュートを突き刺すウィンガーとしてだった。引退したレジェンド・R.ギグスの11番を受け継いだ逸材。

La Realでは当時から目立っていたドリブル突破だけでなく、大外で一人でも時間を作るキープや逆サイドへの展開でも活躍。個人技に長けた選手に乏しいLa Realでは0からチャンスを作れる稀有な存在だった。

ポルトゥのところで述べたが今季は一人でボールを守れる個の力で、組立てがうまくいかなくても彼のキープ、往なしを起点にする場面が増えた。昨季は出場33戦中先発17とポジションを争うポルトゥを上回り、またオヤルサバル離脱時には左WGをそつなくこなした。もともとカットインというよりはverticalにドリブルしていくタイプなので苦にしないのかもしれない。CK、PKのプレースキックでも冴えを見せた。特にPKだが、自分が観た試合ではオヤルサバルより成功している。勿論オヤルが試行回数が多い分失敗を観ているというのはあるだろうが。オヤルのようなトリッキーさは無いが、GKの動きが見えているのかサラッと逆を突いてくれる。非常に安心する。CKもかぎ爪のように鋭く曲がる独特の軌道を持つ。味方に合わせるのも上手い。

クラブが何度も契約更新を試みながらも代理人のM.ライオラの体調悪化、死去もあり交渉が難航。とりわけ年俸面はネックだった模様で当記事執筆時点(2022.8.13)で新天地が決まったという話を聞かない。La Realは高額年俸を出すクラブではない。昨季はクラブ年俸最高級の選手で4m€ぐらいだとか何とか。

確かなクオリティを有しているので、良いチームが見つかると思う、あまり心配していない。頑張れJanu!

 

~Delantero~

#19 Alexander Isak(アレクサンデル・イサク)

Embed from Getty Images

年齢 : 22
出身 : Solna(ストックホルム県, Uppland地方)
出身クラブ : AIK Solna U19 (←AIK Solna U17)
契約満了:June, 2026
ポジション:CFW、WG、ST

La Realのドリブルキング。ある程度DFを背負ってのキープもできるがそれよりはタイミングよくライン間に引いたりサイドに流れて受け、前を向いて崩しの起点となるのが得意。ストライドと加速、足技で一瞬で剥がせる。パスに切り替えるのもお手のもの。ただ個人的にはプレーエリアが広いことは良いことだが、この先も9番として勝負していくなら最前線でのパスレシーブ、エリア内で折り返しに合わせる動きにも拘って欲しい。この人の得点が伸びない最大の弱みはそこだと思っている。プレスはかなり追ってくれる。ありがとうございます。終盤まで走り通せるスタミナの持ち主。強みと弱みがはっきりしているが、弱みが無くなれば本当にトッティのように”王”になれると思う。

大変クリエイティブな選手で、昨季同じく独特なセンスを持つバレネとホットラインが開通しかけていたのは今季期待する要素の一つ。どちらも相手の裏をかきにいく攻撃が大好きですのでね。イサクがドリブルのモーションを見せ、ロブパスに切り替えてバレネが裏に抜け出した所とか浪漫飛行でしかなかった。

偶に書店でFootballistaを立ち読みするのだが、イサクの出身クラブ、AIK Solnaの育成担当者のインタビュー記事が載っていて非常に興味深い内容だった。AIKでは個人の閃きを大切にしており、デザインされたチーム戦術をガチガチにはめ込むより、選手個々のアイデアとそれに周りが呼応してやる柔軟性を鍛えているらしい。そうすることで崩しの局面などで面白い発想ができるアタッカーが多く出てくるのだとか。今の彼の姿と合致しており、非常に面白い記事だった。
かなりうろ覚えなので読み返したかったが見つからず、すみません。

本人は将来のプレミア移籍を希望しているが、クラブは現時点では違約金の90m€でのバイアウトしか認めない方針。W.ジョゼの一件もあるので、本人が出たいと望むのであれば妥協点を探るべきとは思う。そのためにCFDEZを獲ってきたり、カリカ、マルトン、レスピナス、J-M.ロサを抱えているのはナイスである。イサクに触発されて皆一線級の選手に育っていって欲しい。

 

#9 Carlos Fernández(カルロス・フェルナンデス)

Embed from Getty Images

年齢 : 26
出身 : Castilleja de Guzmán(セビージャ県, アンダルシア州
出身クラブ : Sevilla Atlético (←Sevilla FC Juvenil)
契約満了:June, 2026
ポジション:CFW、ST、IH、OH

セビージャカンテラ出身の長身FW。昨季は十字靭帯断裂でシーズン丸々棒に振ってしまった。良いシーズンにしてほしい。

彼の特徴は周囲との連携の良さ。周りが見えており、エリア内でも柔らかいコントロールでボールを落ち着け、優しいパスを送ってくれる最前線の司令塔。オヤルサバルはじめ、サイドから中に入ってくるWGが多いLa Realにはもってこいの選手である。

中で合わせる動き出し、ワンタッチゴールもイサクより長けており、ボックスストライカーとしても期待できる。周りにスペースを与えるデコイの動きも素晴らしい。あとはどれだけ最前線で身体が張れるかだと思う。偽9番を見ていても大事に思うのがそこ。イサクもそうだがラグビーのFWのように最前線でも仕事ができる選手であってほしい。まだLa Realでやったのが20-21後半戦しかないので、彼がどういう9番像を作っていくか楽しみに見ていきたい。

 

(B) Jon Karrikaburu(ヨン・カリカブル)

Embed from Getty Images

年齢 : 19
出身 : Elizondo(ナバーラ県/州)
出身クラブ : Real Sociedad B (←Real Sociedad B Juvenil)
契約満了:June, 2026
ポジション:CFW、ST

一昨季はCチーム所属でBチームに召集された終盤を除き4部でプレーしていた超新星。スターダムを早足で駆け上がり今季は1.5軍扱いをクラブが名言。どこからでもゴールを向ける天賦の才の持ち主で、サイドに流れたところで受けてもバスケ選手のようなターン、ボールを身体で隠す独特の持ち方、運び方で進み、両足で枠を捉える。一昨季終盤から活躍を認められBチームに召集されていた彼は、2部昇格POでかなり難易度の高い決勝点を入れ、私を泣かせた。その後昨季も初挑戦の2部で36戦11G2Aの活躍。末恐ろしい。

今季PSMではポストプレー、プレッシングも献身的にこなし得点も決め、さらにファンの期待を煽った。現時点で不調時のイサク、フェルナンデスと比べて期待が持てる。現状第3FWだが、PSMであれだけやれる姿を観ると、出番は回ってくるように思う。まずは1部挑戦1年目ということで、どんどんチームに慣れて周囲に力を認めさせたい。

得点力の物足りなさに悩まされる近頃のLa Realにとって、これ以上ない出世頭である。

 

#23(昨季) Alexander Sörloth(アレクサンデル・ソルロス)※2022夏RBライプツィヒにローンバック※

Embed from Getty Images

年齢 : 26
出身 : Trondheim(ソール・トロンデラーグ県, トロンデラーグ/中部地域)
出身クラブ : Rosenborg BK youth
La Realでの契約:until June, 2022
ポジション:CFW、ST

シーズン前、大怪我を負ってしまったCFDEZの長期離脱のため、急遽やってきたノルウェー出身の巨漢FW。早熟で既に多国でプレー経験有。オランダ、デンマークイングランド、ベルギー、ドイツ等。

195㎝と凄く大きい。大きいし分厚い、恐竜のようである。RBにいるだけあって走力は折り紙付き。あの巨体で攻守に寧ろ誰より走りまくる。出力を支えるのは精悍な顔つきに滲む努力か。既に大好きな要素しかない。不器用そうなのだが足元の技術はかなり高い。両足から精確なシュートを放ち、大きな展開のロングパスも得意。味方のロングボールに対してはフィジカルで競り勝ち、技術で収める。エリア内での深い切り返しは相手を振り切る。相手を外して豪快に振り抜くシュートは爽快。La Realの4-4-2は、サイドに流れたこの人が無限にロングボールを収めてくれるからやれていた感がある。(無茶苦茶頼っていて情けなかった。)サッカーの質が落ちた苦しいシーズンに彼のような無理が利くCFWが来てくれたのは天恵ですね。2m€のレンタル料は高くない。(買取OPの16m€は高いがそこは天下のRB。)
さらに、シーズン終了間際でSan Sebastiánの街が気に入って休日も楽しく過ごしていることを語ってくれた。街とはいえ自然に囲まれているので、そこを気に入ってくれたのかな。可愛い。可愛い。あんなインタビュー記事を見た暁には別れが本当につらくなった。イサクが去ってしまったらおいでくんなんせ!クラブは彼の獲得を試みたが、RBの主力FW、Y.ポウルセンの負傷離脱などもあり叶わなかった。
「1年しか過ごしていないが、La Realが大好きになった!」癒し、神。

www.mundodeportivo.com

 

~Extremo Izquierdo~

#10 Mikel Oyarzabal(ミケル・オヤルサバル)

Embed from Getty Images

年齢 : 25
出身 : Eibar(ギプスコア県, バスク州
出身クラブ : Real Sociedad B (←Real Sociedad Juvenil)
契約満了:June, 2024
ポジション:WG、ST、CFW、OH、IH

言わずと知れたスペイン代表アタッカー。若手の多い現チームの代表的存在。La Realといえば彼。

大変穏やかそうな若者で、バスク地方デウスト大学で経営学を学んでいたことでも有名。引退後を見据えての学びらしい。穏やかそうなのでY.ピノに殺人スライディングをかましてプロ初の退場を経験したことは衝撃だった。理由は分からなかったが、クラブを通して深い謝罪と反省の意を示した。

プレイヤーとしては総合力が高く、走力を生かした飛び出し、当たり負けしない強さ、二度追い三度追いを全く厭わないプレッシング、精度の高い左足の折り返しにミドルシュートプレースキック、1対1で負けない対人守備、ブロック守備時には適確なポジショニング、スムーズなマークの受け渡し、周囲を動かすコーチングなど活躍は多岐にわたる。ドリブル突破だけが弱いという珍しいタイプ。左足の大きな展開、自身のダイナミックなランニングでスピーディーな攻撃を繰り広げる。イサクとのホットラインが開通済みで、オヤルがボールを持つとイサクがくれくれ、とうずうずする。可愛い。
また、チーム随一の決定力を持っている。ピッチ内外で落ち着いている彼はエリア内でも落ち着いている。

唯一気がかりなことが、絶対的な選手故イマノルがローテに組み込まない傾向にあったことである。昨年の大怪我をきっかけに、過負荷にならないように起用法が改まると良い。不動のエースの帰還をお待ちしています。じっくり治してね。

 

#7 Ander Barrenetxea(アンデル・バレネチェア)

Embed from Getty Images

年齢 : 20
出身 : Donostia/San Sebastián (ギプスコア県, バスク州
出身クラブ : Real Sociedad B (←Real Sociedad C)
契約満了:June, 2027
ポジション:WG、ST(、WB)

若干16歳の頃トップデビューした地元の星。そのシーズン終了後、17歳でトップ契約。他クラブではよく聞く話かもしれないが、Cチームまで抱えてじっくり育てるこのチームでは異例の出世の早さと言える。いたずらっ子のような笑顔でも人気を博していると俺の中で話題に

両足や足裏を使う独特のドリブルが持ち味。クイックネスに優れ、細かく触りながら相手の裏をかく。ワンツーやロブパスのアイデアなど味方との連携も得意。パス&ゴーでサイドを突破したりエリアに侵入する。小柄ながらシュートのインパクトも半端ない。見ていてワクワクするウィンガー。 また、一昨季は彼をSBやWBで使うイマノルの迷采配で守備も磨いたw 結構血気盛んでファウルも多いが、アジリティを生かして相手に食らいつく。昨季観た限りではブロック守備の一員としての動きも良くなってきた印象。当時は意味が分からんと思った采配も、彼のためになっているんだなぁ。
一昨季終盤は彼に預ければ一人は躱すといった絶好調っぷりで昨季は本格ブレイク来てしまう!!とワクワクしていたが左足ハムストリングの断裂という大怪我に見舞われてしまった。

そんな彼も手術を経て今季から実戦復帰。🍑や久保など他にも活きの良い若手がやってきたので仲良く連携して皆でゴールを脅かして欲しい。

 

#17 Robert Navarro(ロベルト・ナバーロ)

Embed from Getty Images

年齢 : 20
出身 : Barcelona(バルセロナ県, カタルーニャ州
出身クラブ : Real Sociedad B (←AS Monaco Juvenil)
契約満了:June, 2027
ポジション:IH、WG

今季25番以内の背番号を貰い、シーズンを通してトップチームでプレーするであろう俊英。ちょくちょくいるSanseからLa Realに加入した県外出身選手。彼らの存在を思うとトップデビューする地元Gipuzkoa出身選手は半端ないなぁとほっこり(*^^*) 彼もU-16からU-21まで世代別代表に選出されている。

昨季は前半戦トップチームに帯同し、後半戦はSanseでプレー。Sanse(2部)で24戦1G3A、トップチームでは6試合(内先発3)に出場。トップチームではIHでプレーしたが、Sanse、U-21代表ではWGでプレーすることの方が多かった。
この人のプレーの特徴はボールコントロールの巧さと果敢なドリブル突破、飛び出し。身のこなしが軽く、すっと相手DFの前に抜け出す。自分の観る限りだが一昨季まではドリブル突破に拘ったプレースタイルで足を止めてパスを受け、攻撃を停滞させる嫌いがあったが、昨季は飛び出しや相手守備ギャップを突くパスレシーブの動きなどオフザボールのアクションを増やして攻撃を活性化させた。元々技術は一級品だったので賢いプレーも身に着けて鬼に金棒。

今季PSMではブライスや久保の加入もあり、IHでなくWGとしてプレー。ドリブル突破やコンビネーションから違いを生み、個人的今季PSMMVP。左サイドで相手の脅威になっていた。先輩バレネとの良い競争を期待。

 

#17(昨季) Martín Merquelanz(マルティン・メルケランス)

Embed from Getty Images

年齢 : 27
出身 : Irún(ギプスコア県, バスク州
出身クラブ : Real Sociedad B (←Real Sociedad Juvenil)
契約満了:June, 2025
ポジション:WG、OH、IH(、WB)

19-20シーズンにタッグを組んだA.イラオラの元で再ブレイクを期しローン移籍で向かったラージョで膝に大怪我。昨季は不遇の一年になってしまった。今季中の実戦復帰は難しい見立てのためトップチーム登録されず。近年怪我が多いので心配だが、来季にピッチで活躍できるよう、完治を祈っています。

ミランデスではドリブル突破を武器に、パンチ力があり高精度の左脚で36戦15G10Aを記録。この頃の彼のプレーは観たことがなく、人伝です。左脚の威力と精度は翌季の20-21にこの目でしかと見た。中でもライナー性で相手DFの頭を超える独特な軌道のCKは見事の一言で、2本に1本味方の頭に合わせてるんじゃないかってほどのとんでもない代物だった。またスペースを突くのがうまく、エリア内で上手く受けて相手守備を崩していた。半面テクニックがあるがスピードはあまりない。サイドでの1対1の突破はそこまで得意じゃないように見えた。ミランデス時代を思えばコンディションが良ければ見られるかもしれない。また本人はサイド起用でなく中央での起用を望んでいるらしく、トップ下の位置で本領を発揮している姿も観てみたい。
守備はそこそこ、追う時と追わない時でムラがあったが、イマノルが怒りの(?)WB、SB起用をかました後はかなり改善されていた。

...と20-21の思い出を書かなければならないのがとても辛い。もう一華咲かせてくれよ!!

 

(B) Ander Martín(アンデル・マルティン

Embed from Getty Images

年齢 : 21
出身 : Donostia/San Sebastián (ギプスコア県, バスク州
出身クラブ : Real Sociedad B (←Real Sociedad C)
契約満了:June, 2024
ポジション:WG、IH、WB、SB

若手の登竜門・地元Donostia・Antiguoko出身のサイドアタッカー。個人的にはBチームの中でも目立つ存在には見えなかったが、昨季B監督のX.アロンソに攻撃的SBに魔改造されてプレゼンスを高めた。守備は怪しかったがワンツーや豪快なオーバーラップ、突破でサイドを抉りチャンスを演出。彼はIHとしてもプレー可能で、一昨季現ビルバオ所属のA.ペチャロマンを組立て時、中にポジショニングさせたように、組み立ての局面において彼にもそのタスクを課した。組立てとサイドアタックの両面でSanseを盛り立てたというわけですな。

何度も言うようで印象が悪いが、トゥリエンテスやロベテ、R.ナバーロやオラサガスティのように一昨季から目立っていたわけではなく、どっちかというと控えという印象だった彼なので、今季トップデビューし、挙句オサスナ戦では先発出場を果たしたことは本当に驚いた。シンデレラボーイってやつですな。
パフォーマンスにも嬉しい驚き。オラサガスティ同様、激しく寄せるプレスで奪取力を見せつけ、サイドチェンジを蹴られた際のスライドの速さ、ブロック守備の陣形の一員としての動きも大変見事。初Gかとばかりの痛烈なミドルまで放って我々を喜ばせた。
彼やナイス・ジュワラの積極登用から感じたのはイマノル監督が、アタッカーであっても、守備でもきっちり働ける総合力の高い選手を重んじること。

彼とDFのウルコ、CFWのカリカブルはシーズンを通してトップチームの練習に帯同するらしい。ここでもクラブの期待が窺える。
左WGは一番と言って良いほど競争が激しいが、彼は右WG、IH、SBでもプレー可能なので過度な心配は不要。また一人Donostia出身選手がトップ定着しつつあることを大変うれしく思う。このままスターダムを駆け上がっていって欲しい。Bで20Gとかしてくれてもいいんですよ?(無茶ぶり)

 

~総括~

書いててまず思ったのが皆若い。今季トップ登録の選手ではCFDEZの26歳が最高齢ですな。昨季はまだポルトゥがいましたから過度には意識しませんでしたが。
ポルトゥに加えソルロスが抜け、前線から”強さ”が失われてしまった。かなり技巧派揃いのスカッドなので、そこはかなり心配。技に頼らず味方のために身体を張りどんどん相手の懐に入っていってもらいたい。
クラブは右SBとして考えているのかもしれないが、A.ソラの当たりの強さには個人的に期待しており、彼の右WGも観たい。

こうして書き並べてみるといろんなタイプの選手がいて面白い。また複数ポジションこなせる選手ばかりなので、試合中のポジションチェンジを交えた流動的な攻撃や、色々な組み合わせが見込める。心配なのはやはり決定力か。そこはチーム全体でポケット/ニアゾーンを取りに行くなど工夫を見せて個人の打開に頼らない皆で崩すサッカーを心がけて欲しい。

カンテラーノが多いLa Realですが、割合を出してみましょうか(2022.8.13時点)。Bチームを経験している選手は15/24→62.5(%)、Cチーム又はJuvenilからLa Realにいる選手は13/24→54.16(%)。ここの差分の2名はル・ノルマンとR.ナバーロですね。
Bチームから今季昇格させた選手が5名(スビアウレ、ソラ、パチェコ、トゥリエンテス、ナバーロ)もいるのに6割を超えるのがギリギリ。トップチームに6割以上カンテラーノを送り込む難しさを痛感しますね。

続いてGipuzkoa県出身者は10/24→41.66(%)、Euskal Herria(バスク7県)出身者は15/24→62.5(%)。差分の5名はナバーラ県出身のレミーロ、メリーノ、アイエン、パチェコにアラバ県出身のゲバラですね。
図らずもBチーム上がりと同数になっているのが面白い。

いかがでしたでしょうか。一人一人長く書いていますが内どれか少しでも皆さんのお役に立つ情報があれば嬉しいです。辛口なこと書いてしまった選手は今季活躍してもらって、来年書けたら良い所を沢山紹介できると良いなと思っています。
まずはEL、1位抜けしてベスト8の壁を突き破ってくれ!!今季クラブに期待するのは以下の通りです。

 

(トップチーム)

・ELベスト8
・来季EL出場権獲得
・新加入選手の順応+連携強化
・中盤の争いで主導権を渡し過ぎずべた引き守備の時間帯を減らす。
・中央からのスムーズなボール出し+ライン間のIHを経由した攻撃
・オヤルサバルの決定力に縋らない得点パターンの確立

(Sanse)
・3部残留&調子が上向けば2部昇格挑戦へ
・個々の成長、熾烈なレギュラー争い

 

いよいよ開幕、楽しみに観て参りましょう!

22-23 Real Sociedad選手紹介②(MF編)

続いて中盤編です。ここのタレント力はLigaでも上位に食い込むと思います。良いカンテラ出身者が育ってきているところでもあるので、彼らの"挑戦"にも注目して欲しいですね。GK&DF編は以下リンクから↓

wesleysni.hatenablog.com

(※)
・年齢は21-22LaLiga最終節(2022/8/14)時点のものを記します。
・背番号は22-23シーズンのものを記します。B登録の選手は(B)と記します。トップチームでの背番号が分かったら追記します。
・出生地、Gipzukoa県生まれなら青字、バスク地方(7県)生まれなら緑字で記します。
・出身クラブは前所属クラブと、それに続いて()内にその前の所属クラブを記します。ソシエダB(Sanse)出身なら青字で、Juvenil又はCチームからソシエダ所属なら青字+太字で区別します。バスク地方のクラブ出身なら同様に緑字で。La RealのCチームは2016年にできたため、JuvenilからSanseに上がった選手も多くいます。

 

~Pivote~

#3 Martín Zubimendi(マルティン・スビメンディ)

Embed from Getty Images

年齢 : 23
出身 : San Sebastián/Donostia(Gipuzkoa県, バスク州
出身クラブ : Real Sociedad B (←Real Sociedad C)
契約満了:June, 2025
ポジション:DH

東京五輪でもアンカーの位置でレギュラーを張った若きチームの心臓。卓越した足元の技術と受ける前の前方確認で瞬く間に鋭い縦パスを通し、一気に攻撃のスイッチを入れる。狭いところでも通す。受けてから出すまでが速いので相手にパスカットの隙を与えない。La Realの中でも楔のパスという点においてはアリツと彼が抜きん出ている。受け手に前を向かせる出しどころ、相手守備を間に合わせない(パスの)強さ、タイミングに意外性で勝負を決める。

また、足腰が強く、クイックネスがあり且つ当たりに強い。クイックネスはデスマルケや往なし、剥がしに生かされる。ビルドアップでは背後からの縦パスに対し、先ず状況確認で相手の位置、寄せ方を確認しターンしながら1タッチ目で相手から遠いところにボールを置き、スムーズに前進する。個人的にこの光るプレーはチアゴ・アルカンタラに似ていると思う、このターンは一昨季はあまり観れなかったのでまた一つ武器を増やしたと思う。2人とも足腰が強く状況把握に優れ、技術も高く狭いところでも難なくボールを逃がす。
足腰の強さは守備にも生かされる。立ち位置から離れたところにパスを出されても、ダッシュで追いつき刈り取る。この無理が利く守備は、特に4-4-2を敷いて攻め込んだ中カウンターを喰らい、一人でDFライン前を見ざるを得ないという過酷な状況に陥った時大いにチームを助けた。彼がいなければチームは前に出づらかっただろうし、フィルターを掛けられずより多くの決定機を作られていたと思う。今季一番成長を見せた部分はこの守備強度だと思う。
また約182㎝と身長はそこそこだが競り合いの巧さ、体幹の強さとバネにより空中戦で見た目とギャップのある強さを見せる。

いかに綺麗にボール出しを成功させられるかが勝敗に直結するチーム。今季もアンカーの位置からチームを支えて欲しい。

 

#4 Asier Illarramendi(アシエル・イジャラメンディ)(C)

Embed from Getty Images

年齢 : 32
出身 : Mutriku(Gipuzkoa県, バスク州
出身クラブ : Real Sociedad B (←Real Sociedad Juvenil)
契約満了:June, 2023
ポジション:DH、IH

クラブのCapitán。先ずは長い長期離脱から復帰したことを喜びたい。
ビッグクラブと戦う時等、相手チームに圧される苦境でも変わらずパフォーマンスを発揮できる姿が頼もしい。パチェコのところでも書いたが、PKで先制しながら大敗した27節マドリー戦では亀のように自陣に引く劣勢にあって、ただ止まってスペースを消すだけでなく、行ける時には前に出てボールにプレッシャーを掛けたり、ポジトラ時に動き直してパスを引き出し、何とか前線に繋ごうとしたりとアンチフットボールを解消しようと奮闘する姿が印象的だった。逆境に影響されない強さ・勇気とそれを完遂するだけの戦術眼、判断力、相手を外す巧さがある。

そんな鍛えられたプレー判断やポジショニングで貢献する一方、機動力が乏しいのはマイナス要素。守備ではマークを外されたり、ブロックから出て行って外された瞬間には絶望的な背走を余儀なくされるし、ワンツーやサイドチェンジなどの揺さぶりに弱い。広い範囲を守れる選手ではない。

攻撃面、ビルドアップの場面ではアンカーの位置でマークを外せない場面がちらほらある。サリーダでCBの近くに引いている時も多いものの、DFラインの前でボールを受けて欲しいと思う場面もある。これはゲバラにも言える。チームの”へそ”の位置でボールを受けられれば、中央から多彩な攻撃を展開できる。イマノル監督が彼をアンカーでなくIHで使う理由の一つだと思う。
一方、一本のパスで一気にチャンスメイクするパスセンスゲバラやスビメンディには無い武器。ブライスまで中々ボールが渡らないアトレティック戦(Txapela杯決勝)は彼こそが10番だった。DFラインの裏や相手守備網の網目を突く一本のパス。

近年は怪我に泣かされ、シーズンほぼフル稼働したのは2017-18シーズンまで遡る。契約終了が今季いっぱいで、以下MDインタビュー当時(記事は2022.7.22にUP)はクラブからは契約更新の打診はまだ本人に届いていなかった模様。本人もLa Realでの最終年になるかもしれないことを悟っている。
別れの時期も見え隠れしてきた彼の雄姿を確と見届けたい。

www.mundodeportivo.com

 

#16 Ander Guevara(アンデル・ゲバラ

Embed from Getty Images

年齢 : 25
出身 : Vitoria-Gasteiz(アラバ県, バスク州
出身クラブ : Real Sociedad B (←Real Sociedad C)
契約満了:June, 2024
ポジション:DH、IH

イジャラメンディの復帰もあり、昨季は特に後半戦出番を大きく減らしてしまった。20節以降の19戦で、5戦(内先発3)の出場にとどまった。シーズン全体でも出場は17(内先発11)。一昨季の31戦出場(内先発25)から大きく数字を減らしてしまった。

この天才肌の中盤も昨季は中々調子が上がらなかった。まずアンカーの位置でボールを中々受けられずCBがしょうがなく横パスで隣のCB、SBに流す場面が結構。特に迂回させる動きやDFラインに落ちる動きもあまり見られず工夫にも乏しかった。
この人が明らかにスビやイジャラに劣っていると感じるのは球際の強さ。特に自陣の守備で1対1で対峙してると冷や冷やさせられる。国王杯準々決勝でW.カルバーリョをDF有利な状況で潰せずアシストを許した場面は特に喝。この試合以降LaLigaで16戦あって出場3試合。イマノルの信頼を如実に失った。アイエンを見習って頑張ってくれ。
スビメンディの、守備面の潰し屋的強さを見ると物足りない。

悪い所ばかり挙げてしまったが、今季良かったところを幾つか挙げます。まず球際の弱さを補う、方向を変えるダイレクトのパス。インサイドで強く当てて中距離を最短で繋ぐ。ダイレクトで捌ければ、球際の弱さのハンディは当然軽減させられる。
もう一つが守備時のポジショニングと読み。彼は攻守両面で周りがよく見えている。危ない所をいち早く埋め、また鋭い読みでパスカットを成功させる。

素早い捌きで攻撃を加速させるスビと違ってこの人は崩しに直結する配球ができる独特なセンスがある。数人の動き出しに合わせたこの人の縦パスから、流れるようにフィニッシュまで繋がるなんて場面は一昨季によく見た。
また、ドリブルがあるのはスビやイジャラに無い武器である。綺麗な姿勢で足に吸い付くドリブルの後ろ姿は美しい。アンカー器用の時は中々見れないが、IHの時は結構見せてくれる。相手を鼻先で躱す運びは見ていて気持ちがいい。スカッドの状況によってはIH器用も増えるか。

 

~Interior Derecho~

#21 David Silva(ダビド・シルバ

Embed from Getty Images

年齢 : 36
出身 : Arguineguínグラン・カナリア島, カナリア諸島
出身クラブ : Valencia CF B (←Valencia CF Juvenil)
契約満了:June, 2023
ポジション:IH、OH

言わずと知れたスペインを代表するMF。それこそ攻撃的中盤であれほどのクオリティを持った選手はイニエスタか彼かぐらいと思っています。

昨季は長期離脱がなくLa Realの攻撃を牽引してくれました。特筆すべきは押し込まれて自陣にブロックを構えることが多かった今季の戦いでポジトラ時一人で前線のイサク、ソルロスに渡してカウンターを成立させてくれていたこと。味方がボールを回収するタイミングで4-5-1や5-4-1、あるいは4-4-2ブロックの中盤ラインからすっと前に出てフリーでパスを引き取り、当然確実に潰しに来るマーカーを往なして前線にカウンターパスを出す。

組立てから崩し、フィニッシュまで極上の働きを見せる彼はどんな時間帯でも頼りになる。相手のマークがキツくても背負ってキープしてしまう姿には頭が上がらない。

中盤ダイヤモンドの4-4-2は得点力不足を解消すべく、攻守に抜群のバランスをもたらすラフィーニャとメリーノが成立させ、シルバを崩しの局面に集中させるためのシステムだったとも思っている。クラブ加入当初の2年契約を全うした彼の残留(契約更新)が今季の一番の補強なんじゃないかな。

 

#23 Brais Méndez(ブライス・メンデス)

Embed from Getty Images

年齢 : 25
出身 : Mos(ポンテベドラ県, ガリシア州
出身クラブ : Celta B (←Celta Juvenil)
契約満了:June, 2028
ポジション:IH、OH、WG

ガリシア州ポンテベドラ県出身のセルタ地元カンテラ出身の名手が2028年夏までの大型契約で加入。U-17から各年代の代表に選ばれ、フル代表経験も有り。セルティスタの方々のTweetによると得意なポジションは右WGらしい。だがここまでPSMは殆ど全てトップ下又は右IHとしての出場。私は観れていないが特にボーンマス戦では崩しの核となる極上のパフォーマンスだったらしい。

因みに今回のブライスの加入に要した移籍金・14mはLa Real史上2番目の高額ディール。トップは現キャプテン・イジャラの買戻しに要した16m。ここからもクラブの彼への期待の高さが窺えるし、後述するBチーム(Sanse)のR.ナバーロ、R.ロペス、D.ガリードらがいる中この投資は如何にパスで組み立てる攻撃を身上とするLa Realがこのポジションを重要視し、厳格な要求を掲げているか感じ取れる。
Las condiciones del contrato de Brais

近年はセルタ中盤ダイヤモンドの右を務めたように、守備強度も期待が持てる。WG、攻撃的中盤の両方で幅広い活躍を期待したい。更にテクニック面が目立って気づかなかったが187㎝と高身長。活かされる場面も来るかもしれない。本筋関係ないけど加入決定リリース動画が粋だったので見てつかんさい。↴

ガリシア音楽を代表するバグパイプ・ガイタの演奏で幕を開け、ザックを背負いサンティアゴ巡礼路を逆に西進し、Donostiaに向かう。イマノル監督の故郷・Orio(ギプスコア県)のアルベルゲ(巡礼宿)でトレッキングブーツをトレーニングシューズに履き替え、ケルトの笛(名称知らず...)の音色とともにZubietaに至る。大変そそられますな。

www.youtube.com

 

#17(昨季) Rafinha Alcântara( ラフィーニャ・アルカンタラ)※2022夏PSGへローンバック※

Embed from Getty Images

年齢 : 29
出身 : São Paulo(サンパウロ州
出身クラブ : FC Barcelona B (←FC Barcelona Juvenil)
ポジション:IH、WG、ST

昨季冬に加入しファンを驚かせたクラック。父兄譲りのテクニックに注目が集まるが、半端ない走力と攻守の球際の強さで泥臭い活躍もでき、中盤のダイナモ的活躍をしてくれる。走れて闘えるテクニシャンって最高ですね。攻撃でも組み立てから崩しまで幅広く活躍し、La Realのサッカーにクオリティをもたらした。

彼との長期契約を望むファンは多く、本人もDonostiaでの暮らしに満足げな雰囲気を醸していたが年俸の高さもあってか叶わず。どこでプレーすることになっても応援してます。

(B)Roberto López(ロベルト・ロペス)※2023年夏までCD Mirandésにローン移籍※

Embed from Getty Images

年齢 : 22
出身 : Zaragoza(サラゴサ県, アラゴン州
出身クラブ : Real Sociedad B (←Real Sociedad Juvenil)
契約満了:June, 2025
ポジション:IH、WG

早期からクラブに期待される典型的10番タイプの攻撃的中盤。ライン間で縦パスを受け、スルーパスやサイドへの展開でフィニッシュを演出する。左足の精度は傑出しており、長いレンジでも正確に届ける。U-18から世代別代表経験があり、昨季はU-21でもプレー。ただ近頃はビジャレアルのA.バエナやベティスのロドリに圧され気味。頑張れRL!

一昨季はトップチームに帯同し、シルバの控えとなる右IHの2番手をグリディと争った。昨季はクラブの方針で2部昇格を果たしたSanseで通年キャプテンを張った。機を見てエリア内に顔を出し、28戦4G1Aとまずまずの数字を残した。今季は若手の登竜門・CDミランデスへ1年間のローン移籍。ここで活躍し、クラブの期待を勝ち得たい。

 

(B)Dani Garrido(ダニ・ガリード

Embed from Getty Images

年齢 : 22
出身 : Logroño(ラ・リオハ県/州)
出身クラブ : Real Sociedad B (←Real Sociedad Juvenil)
契約満了:June, 2023
ポジション:IH

自分の大好きなタイプのライン間の受けが上手く、周りとの細かいパス交換など連携で崩していく小兵アタッカー。彼ほど特別なプレーで違いを生めるわけではないが、スタイルはここで名前を挙げた選手の中で最もシルバに似ている。
昨季中々契約更新が発表されず顔面真っ青になりながら吉報を待っていのだが、特にクラブの情報リリースもなくサラッと1年更新されていた。逆に言うと勝負の年になりそう、実力は確かだがライバルが強力。上に名前を挙げた選手に加え、後輩にI.コルタハレナ、P.マリン等の実力者が控えている。昨季はRLの壁に阻まれ19戦(内先発5)の出場に留まった。トップチームデビューを飾る飛躍の一年にして欲しい

 

~Interior Izquierdo~

#8 Miker Merino(ミケル・メリーノ)

Embed from Getty Images

年齢 : 26
出身 : Pamplona(ナバーラ県/州)
出身クラブ : CA Osasuna B (←CA Osasuna Juvenil)
契約満了:June, 2025
ポジション:IH, DH

トゥリエンテスから"El profesor"と慕われる真のB to Bプレイヤー、鉄人。自陣エリア内ではIHとしては文字通り破格の対人守備にインターセプト、空中戦の強さでチームを守る盾となり、相手エリア内ではポストプレー、飛び出し、零れ球の押し込みと幅広く活躍。攻守全局面で力を発揮する姿はB to Bというよりオールコートプレイヤーとでも言いたい。

身体の強さと技術の高さで無茶に見えるパスも難なく収める。展開の長短のパスも見事。アンカーがサリーダでDFラインに退く際は彼が中盤の底に入る。組立てに長けた彼ならではで、グリディが代わりに務めていた時は物足りなさを感じた。また右IHに入ると視野とパスセンスがより生きる。小さい予備動作から大きな展開でスイッチを入れるロブパス大好きです。シルバが左でもプレーできるので意図的に入れ替えている時もあった。
若いのだがプレーには円熟味を感じる。言うまでもなく今季も頼りにしてます。

 

#22 Beñat Turrientes(ベニャ・トゥリエンテス)

Embed from Getty Images

年齢 : 20
出身 : Beasain(Gipuzkoa県, バスク州
出身クラブ : Real Sociedad B (←Real Sociedad Juvenil)
契約満了:June, 2027
ポジション:IH, DH

駆け足で進歩を続ける逸材。昨季トップデビューを果たし、また多くの試合で帯同しベンチ入りした。U-17からU-21まで各世代別代表を経験。La RealのU-21代表の中で最も信頼を勝ち得ているのは彼だろう。
一番の長所は両足の細かいボールタッチによる流麗な捌き。受ける前の周囲の把握も良く、ダイレクト、2タッチで素早くつなぐ。両足の細かいタッチで相手を往なし、剥がして前へ運ぶ。ロングパスの精度も中々。
また華奢に見えるが当たりが強い。しっかり身体を当てる守備でボールを奪う。現時点で対人守備はアンカー本職のゲバラより上だろう(ゲバラ頑張って)。オラサガスティが左IHを務めた今季、2部ではアンカーとして出場する試合が多かった。

メリーノとタイプが違うので途中交代でアクセントも付けられる。PA内にも入っていけるのでシルバの位置でも面白いと思う。
レギュラーの壁は厚いが出場機会を増やしてどんどん成長して欲しい。

#14(昨季) Jon Guridi(ヨン・グリディ)※2022年夏アラベスへ完全移籍※

Embed from Getty Images

年齢 : 27
出身 : Azpeitia(Gipuzkoa県, バスク州
出身クラブ : Real Sociedad B (←Real Sociedad Juvenil)
前契約:until June, 2024
ポジション:IH, DH, OH

La Realの元気印が今夏退団。試合でもトレーニングでも100%を出し続ける姿は周囲の模範であり、La Realの魂だった。写真は昨季リーグ戦初Gを決めた最終節。足元の技術が優れているわけでは無いが90分エネルギッシュに走りきるハードワークが最大の魅力。2列目からの飛び出しも素晴らしく、シルバが負傷離脱した一昨季の後半戦は中盤オフェンシブとして活躍した。今季アラベスのPSMではセカンドトップとして幅広くピッチを走って活躍。得点も決めており、幸せな移籍になっていると思う。

アラベスを攻守に盛り立てて、ビトリア=ガステイスでも愛される選手になって欲しい。

 

(B) Jon Ander Olasagasti(ヨン・アンデル・オラサガスティ)

Embed from Getty Images

年齢 : 21
出身 : Donostia-San Sebastián(Gipuzkoa県, バスク州
出身クラブ : Real Sociedad B (←Real Sociedad C)
前契約:until June, 2025
ポジション:IH, DH

彼もトゥリエンテス同様将来の活躍がかなり期待されるホープ。中盤めちゃくちゃ出てくるなぁ。一昨季はアンカーや2ボランチの位置で出ていた印象だが、今季は主にIHとして出場。ダイナミックな飛び出しで2部で4得点を挙げた。
また、昨季国王杯で見せた、色々な場所に顔を出し、球際ハードにいく守備でこちらを驚かせた。それまでは、球質の綺麗な左足のグラウンダーで組み立てる上品な司令塔と見ていた。

正直3部でのプレーが勿体ないかなと思ってしまうが、徐々に存在感を高めていってくれれば。中盤にここまで厚みがなければトップ帯同でもおかしくないんですがね。

 

~中盤総括~

年齢面でキャリア晩年に差し掛かっているシルバのポジションに同じレフティーのB.メンデスを加えた。グリディの抜けた穴は今季22番を背負うB.トゥリエンテスが埋める。
オフェンシブは久保もプレー可能。ブライスと久保どちらを右WGとしてカウントするか迷ったがPSMで器用経験のある久保を選んだ。

ピボーテの位置ではSanseからスロバキアU-21代表のP.ポコルニーがハンガリー1部のFehérvár FCに来夏までローン移籍。昨季は同4位だった模様。元々ザルツブルクの選手なので隣国ハンガリーでも有名なのかもしれない。トップチームには若いスビ、ゲバラがいるので後進の育成を焦るポジションでもないが、今季のSanseの戦力はどうなのだろうかと少し気がかり。先ずは4部降格圏内に入らないことを第一目標に頑張って欲しい。ゲバラは昨季の巻き返しを期待したい。
オフェンシブ、アンカーはトップチーム登録の選手だけで回せそうだが、メリーノのところは負傷者の出具合などによってはBのオラサガスティ、ゴロチャテギに出番が回ってくるかもしれない。まずは22番を着るトゥリエンテスに期待したい。

最も注目が集まるのは、シルバの後継者争いブライス、久保とカンテラーノ組が競う図、良いですね。中盤オフェンシブに躍動してもらうためにも、ボール出し頑張ろう。
個々のパフォーマンスは勿論、La Realは全員守備全員攻撃が身上なので、チームとしての動き、連携の強化・深化とその成果を試合で観たいです。このメンバーで良いチームになることを期待してます!